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舞台裏

67.舞台裏〈第三者side〉

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〈第三者side〉



 学園に併設された男子寮、中でも伯爵家と同等以上の地位や財産を持つ家の子息が多く住まう建物の一室に、三人の男子生徒が集まっていた。



「どうだ?」



 白金プラチナブロンドの髪に灰青ブルーグレーの瞳をした青年が、彼の侍従と思われる茶髪に栗色の瞳をした男子生徒に聞いた。



「はい、順調です。は不審に思っていません」

「そうか。もっと手こずるかと思ったけど、案外早かったな」



 薄くわらう主人が、今度は隣に座る黒髪に蒼玉サファイアの瞳の友人に話しかける。



「あんなのでその気になるって、やっぱり彼女をあいつに任せる訳にはいかないだろ?」

「ふぅーっ。そうだな。でもこれで踏ん切りがついたよ。もう迷わない」

「お前がやる気になってくれて良かった……」



 白金の髪をした青年は満足そうに頷くと、茶髪の青年に尋ねる。



「ちなみに、彼女にはなんて言ったんだい?」

「決めたセリフ以外は、特に……」



 そう言いながらも、桃金髪ピンクブロンドの髪と紅玉ルビーの瞳の男爵令嬢について、主人に詳しく報告するべく語りだした。



  * * * * *



 学園に編入したブリトニーは、女生徒の輪に馴染めずに居た。

 そこに近寄って行ったのは彼女の美貌と可愛らしい仕草に惹かれた多くの男子生徒。

 瞬く間に人気者となったブリトニーは、仲良くしてくれない女生徒など放って男子生徒と多くの時間を過ごした。

 そんな彼女は父の命を受け、財力と地位を併せ持つ家の嫡男と結婚するために、なるべく良い人脈を辿っていく。

 しかしそんな大物の嫡男は、滅多に隙を見せない。

 楽しく遊ぶ事はしても、ブリトニーと婚約しようとする者は現れなかった。

 それまで貴族社会どころか上流社会ですら過ごした経験の無い彼女は、下町で暮らしていた時のように自分にデレデレになって何でも言う事を聞いてきれるような青年が現れずイライラし始める。



 そんな彼女はある日、茶髪に栗色の瞳で何の特長も見当たらない男子学生から声を掛けられた。



「ブリトニー嬢は下町で育ったって本当かい?」

「え? どうしてその事を……?」



 驚きと警戒を露わにしたブリトニーは訝しげに彼を睨んだ。

 するとその男子生徒は慌てて身振り手振りで否定する。



「言いふらしたりするつもりは無いよ。えーと、ただ前に下町で助けてくれたのはキミじゃないかって思っただけで……」

「……助けてくれた?」

「うん。て言うか、その時僕、金髪に藍玉アクアマリンをした男の子と一緒に居たんだけど……覚えてないよね?」

「え? 金髪に藍玉アクアマリン?」

「うん」



 そう言われたブリトニーは、下町時代の記憶を掘り返してみた。
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