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本編

43.ブリトニーは?①〈第三者side〉

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〈第三者side〉


 卒業式を一週間後に控えて沸き立つ学園内に、怒涛どとうの勢いで一つの噂が駆けめぐった。

 人々は驚き、デマでは無いのかと情報を交換し合い、本当の事と分かると一様いちように頬を引きらせた。

 しかしそれもステファニーが現れるまでの事。

 それ以降、今度は一転して貝のように口をつぐんでしまう。



 * * * * *



「今日、何かおかしくない?」



 いつもと違う学園の空気に、ステファニーはたまらずシンシアに声をかけた。



「そ、そうかしら? 気のせいではなくて?」

「う、うん。いつもと変わらないわよ」



 メイシーがシンシアに追従ついじゅうする。

 しかしそんな二人の努力は、一人の人物により無駄に終わる事となる。



「おはよう! ねぇ、聞いた聞いた? ブリトニー・フォールンの結婚が決まったんですって」

「まぁ、やっと正式に婚約したのね?」

「あら、知ってたの? じゃあ、準男爵の話は?」

「準男爵? さぁ……ブリトニーさんと何か関係があるの?」

「え? 何言ってるの? 大ありよ!?」



 勢い良く噂の真相をぶちけたのは、クラスメイトの一人で噂が大好きなカレンだ。

 そんな彼女はステファニーの後ろで睨む、鬼の形相のシンシアとメイシーに気が付くと、恐れをなして後退あとずさる。

 あと少し早ければ『ごめんなさーい』としっぽを巻いて走り去り、この場から見事逃げおおせたことだろう。

 しかし、そうは問屋がおろさない。

 さすが辺境伯令嬢と言うべきか──驚くほど速い反応速度を披露したステファニーにはあらがえなかった。

 えなくカレンは捕獲……もとい、引き止められる事となる。



「カレン、その話詳しく!」



 カレンが怖々こわごわと視線を戻せば、ワクテカ顔のステファニーがお行儀ぎょうぎ良く座って待っていた。

 こうしてカレンは観念し、メイシーやシンシアから発される威圧の中、洗いざらい情報を吐き出すことになる。
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