【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵

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本編

23.ブリトニーの提案①

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 まさか辺境伯の座だけでなく、私のことまで争いの原因になってるなんて、どうしたら良いのだろう?

 こんなに私が悩んでいるのに、目の前のブリトニーは楽しそうだ。

 人がケガしたり、もしかしたら死んでしまったりするかもしれないのに、まったく心配ではないのだろうか?



「そんな悲壮な顔しなくたって良いじゃない。あんなカッコいい二人があなたと辺境伯の座をかけて争うのよ? 私じゃないのが悔しいけど、でも物語が現実になったみたいで素敵じゃない? これは女の子の夢よ!」

「何言ってるの? ケガしたり罰受けたりするかもしれないのよ? 心配じゃないの?」



 するとブリトニーはキョトンとして。



「仕方ないじゃない。どちらも譲らないって言ってるんだもの。それに、デニスは強いもの。きっと勝ってくれるわ」



 それには返事を返せなかった。

 気持ちとしてはブラッドに勝って欲しいし、でもデニスが強いのも知ってるから。

 そしてデニスから剣技を取ったら、彼はきっと自信を失ってしまう。

 もしそうなったら、あの幼いころからの努力が報われない。

 幼なじみとして、今のデニスじゃない彼を私は許容できないような気がするのだ。



 また自分の思考の渦に囚われそうになった私の耳に、とんでもない話が飛び込んできた。



「私決めたの。あなたと結婚した人が辺境伯を名乗れるのでしょう? それなら私は二番目になるわ」

「に、二番目!? どう言うこと?」

「だから、一番はあなたに譲るわ」

「はい?」

「それで私は、デニスが勝ったら彼の第二夫人お妾さんになるわ! 良い考えでしょう?」

「はぁぁぁ?」


 私は驚いて首を回し、ブリトニーの顔を真っ直ぐに見詰めた。

 彼女は薄っすら微笑んで私を見て……。



「ね? その時は仲良くしましょう?」



 そう言って首を傾げる。

 その瞬間、私の背筋を悪寒が走った。
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