23 / 79
本編
23.ブリトニーの提案①
しおりを挟む
まさか辺境伯の座だけでなく、私のことまで争いの原因になってるなんて、どうしたら良いのだろう?
こんなに私が悩んでいるのに、目の前のブリトニーは楽しそうだ。
人がケガしたり、もしかしたら死んでしまったりするかもしれないのに、まったく心配ではないのだろうか?
「そんな悲壮な顔しなくたって良いじゃない。あんなカッコいい二人があなたと辺境伯の座をかけて争うのよ? 私じゃないのが悔しいけど、でも物語が現実になったみたいで素敵じゃない? これは女の子の夢よ!」
「何言ってるの? ケガしたり罰受けたりするかもしれないのよ? 心配じゃないの?」
するとブリトニーはキョトンとして。
「仕方ないじゃない。どちらも譲らないって言ってるんだもの。それに、デニスは強いもの。きっと勝ってくれるわ」
それには返事を返せなかった。
気持ちとしてはブラッドに勝って欲しいし、でもデニスが強いのも知ってるから。
そしてデニスから剣技を取ったら、彼はきっと自信を失ってしまう。
もしそうなったら、あの幼いころからの努力が報われない。
幼なじみとして、今のデニスじゃない彼を私は許容できないような気がするのだ。
また自分の思考の渦に囚われそうになった私の耳に、とんでもない話が飛び込んできた。
「私決めたの。あなたと結婚した人が辺境伯を名乗れるのでしょう? それなら私は二番目になるわ」
「に、二番目!? どう言うこと?」
「だから、一番はあなたに譲るわ」
「はい?」
「それで私は、デニスが勝ったら彼の第二夫人になるわ! 良い考えでしょう?」
「はぁぁぁ?」
私は驚いて首を回し、ブリトニーの顔を真っ直ぐに見詰めた。
彼女は薄っすら微笑んで私を見て……。
「ね? その時は仲良くしましょう?」
そう言って首を傾げる。
その瞬間、私の背筋を悪寒が走った。
こんなに私が悩んでいるのに、目の前のブリトニーは楽しそうだ。
人がケガしたり、もしかしたら死んでしまったりするかもしれないのに、まったく心配ではないのだろうか?
「そんな悲壮な顔しなくたって良いじゃない。あんなカッコいい二人があなたと辺境伯の座をかけて争うのよ? 私じゃないのが悔しいけど、でも物語が現実になったみたいで素敵じゃない? これは女の子の夢よ!」
「何言ってるの? ケガしたり罰受けたりするかもしれないのよ? 心配じゃないの?」
するとブリトニーはキョトンとして。
「仕方ないじゃない。どちらも譲らないって言ってるんだもの。それに、デニスは強いもの。きっと勝ってくれるわ」
それには返事を返せなかった。
気持ちとしてはブラッドに勝って欲しいし、でもデニスが強いのも知ってるから。
そしてデニスから剣技を取ったら、彼はきっと自信を失ってしまう。
もしそうなったら、あの幼いころからの努力が報われない。
幼なじみとして、今のデニスじゃない彼を私は許容できないような気がするのだ。
また自分の思考の渦に囚われそうになった私の耳に、とんでもない話が飛び込んできた。
「私決めたの。あなたと結婚した人が辺境伯を名乗れるのでしょう? それなら私は二番目になるわ」
「に、二番目!? どう言うこと?」
「だから、一番はあなたに譲るわ」
「はい?」
「それで私は、デニスが勝ったら彼の第二夫人になるわ! 良い考えでしょう?」
「はぁぁぁ?」
私は驚いて首を回し、ブリトニーの顔を真っ直ぐに見詰めた。
彼女は薄っすら微笑んで私を見て……。
「ね? その時は仲良くしましょう?」
そう言って首を傾げる。
その瞬間、私の背筋を悪寒が走った。
122
お気に入りに追加
3,668
あなたにおすすめの小説

『親友』との時間を優先する婚約者に別れを告げたら
黒木メイ
恋愛
筆頭聖女の私にはルカという婚約者がいる。教会に入る際、ルカとは聖女の契りを交わした。会えない間、互いの不貞を疑う必要がないようにと。
最初は順調だった。燃えるような恋ではなかったけれど、少しずつ心の距離を縮めていけたように思う。
けれど、ルカは高等部に上がり、変わってしまった。その背景には二人の男女がいた。マルコとジュリア。ルカにとって初めてできた『親友』だ。身分も性別も超えた仲。『親友』が教えてくれる全てのものがルカには新鮮に映った。広がる世界。まるで生まれ変わった気分だった。けれど、同時に終わりがあることも理解していた。だからこそ、ルカは学生の間だけでも『親友』との時間を優先したいとステファニアに願い出た。馬鹿正直に。
そんなルカの願いに対して私はダメだとは言えなかった。ルカの気持ちもわかるような気がしたし、自分が心の狭い人間だとは思いたくなかったから。一ヶ月に一度あった逢瀬は数ヶ月に一度に減り、半年に一度になり、とうとう一年に一度まで減った。ようやく会えたとしてもルカの話題は『親友』のことばかり。さすがに堪えた。ルカにとって自分がどういう存在なのか痛いくらいにわかったから。
極めつけはルカと親友カップルの歪な三角関係についての噂。信じたくはないが、間違っているとも思えなかった。もう、半ば受け入れていた。ルカの心はもう自分にはないと。
それでも婚約解消に至らなかったのは、聖女の契りが継続していたから。
辛うじて繋がっていた絆。その絆は聖女の任期終了まで後数ヶ月というところで切れた。婚約はルカの有責で破棄。もう関わることはないだろう。そう思っていたのに、何故かルカは今更になって執着してくる。いったいどういうつもりなの?
戸惑いつつも情を捨てきれないステファニア。プライドは捨てて追い縋ろうとするルカ。さて、二人の未来はどうなる?
※曖昧設定。
※別サイトにも掲載。

あんな妹とそんなに結婚したいなら、どうぞご自由に。
法華
恋愛
貴族クインシーは、政略結婚で婚約させられた婚約者サラ・エースワットを冤罪まで被せて婚約破棄し、サラの妹ミシェルと婚約した。
だが、そこまでして手に入れたミシェルはどうしようもなく問題のある女だった。
クインシーはサラを取り戻そうとするが、サラは既に他の貴族と結婚してしまっていた。
※三話完結

もうあなた様の事は選びませんので
新野乃花(大舟)
恋愛
ロベルト男爵はエリクシアに対して思いを告げ、二人は婚約関係となった。しかし、ロベルトはその後幼馴染であるルアラの事ばかりを気にかけるようになり、エリクシアの事を放っておいてしまう。その後ルアラにたぶらかされる形でロベルトはエリクシアに婚約破棄を告げ、そのまま追放してしまう。…しかしそれから間もなくして、ロベルトはエリクシアに対して一通の手紙を送る。そこには、頼むから自分と復縁してほしい旨の言葉が記載されており…。

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました
紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。
ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。
ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。
貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした
miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。
婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。
(ゲーム通りになるとは限らないのかも)
・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。
周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。
馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。
冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。
強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!?
※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

愛せないですか。それなら別れましょう
黒木 楓
恋愛
「俺はお前を愛せないが、王妃にはしてやろう」
婚約者バラド王子の発言に、 侯爵令嬢フロンは唖然としてしまう。
バラド王子は、フロンよりも平民のラミカを愛している。
そしてフロンはこれから王妃となり、側妃となるラミカに従わなければならない。
王子の命令を聞き、フロンは我慢の限界がきた。
「愛せないですか。それなら別れましょう」
この時バラド王子は、ラミカの本性を知らなかった。

【完結】真実の愛を見出した人と幸せになってください
紫崎 藍華
恋愛
婚約者の態度は最初からおかしかった。
それは婚約を疎ましく思う女性の悪意によって捻じ曲げられた好意の形。
何が真実の愛の形なのか、理解したときには全てが手遅れだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる