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本編
4.新たな出会い②
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それからの私は大変だった。
おじい様にお手紙を書いて、新たに婚約者候補を立ててくれるように頼まなければならなかったし、婚約発表のために始めていた準備もストップさせる必要があった。
それに並行して、私は私でマナー講習やダンスのレッスンにも精を出す。
なんせ今まではデニスが相手だと思っていたから、自分を必要以上によく見せるなんてこと考えもしなかったのだ。
でもこれからは、お相手を探さなければいけない身だ。
こちらも相手に気に入ってもらうために、技術や努力も必要になるだろう。
今までサボっていたので自業自得な部分もあるが、忙しく充実した日々を送っていた。
そんなある日のこと。
学園の渡り廊下を歩いている時に、飛んできた鞠を避け損なった私は、その場でパッタリ倒れてしまう。
「ステファニー!」
「大丈夫?」
シンシアとメイシーの慌てた声がした。
「うわぁー! ごめん!」
「バカ、謝ってる場合か!」
「何やってるんだよ。ほらどいて。医務室に連れて行くから」
そして男子の言い合う声がして……。
私はゆらゆらと運ばれ、気が付いたら救護室のベッドの上だった。
「あ……大丈夫?」
目を開けると知らない男子がいた。
両サイドの髪を綺麗に撫で付けた黒髪が、所々乱れている。
蒼玉のように煌めく瞳が揺れていて『あぁ、私はこの人に心配かけてしまってるのかも』と気が付いた。
とりあえず返事……。
いえ、何か言わなければ。
「あの、ここは……?」
「救護室。覚えてるかな? 鞠が当たったんだけど……」
「あぁ。はい。覚えてます。えーと、あなたは……?」
「俺はブラッドリー・ローマン。騎士科の二年」
「あ、私は、ステファニー・グランデ。家政科の二年です」
彼に名乗られて私も慌てて自己紹介した。
何となく見たことがあるような気がしたのは、私たちの科と一番近い、騎士科の生徒だったからだったんだ。
「どこか痛いとか、具合悪いとか……ない?」
「えーと……たぶん大丈夫だと思います」
「良かった~。友だちが暴投して、俺が取り損ねたから……ごめん」
「そんな。私も避けられなかったんだし……運が悪かっただけです」
私たちはこんなふうに、偶然出会ったのだった。
おじい様にお手紙を書いて、新たに婚約者候補を立ててくれるように頼まなければならなかったし、婚約発表のために始めていた準備もストップさせる必要があった。
それに並行して、私は私でマナー講習やダンスのレッスンにも精を出す。
なんせ今まではデニスが相手だと思っていたから、自分を必要以上によく見せるなんてこと考えもしなかったのだ。
でもこれからは、お相手を探さなければいけない身だ。
こちらも相手に気に入ってもらうために、技術や努力も必要になるだろう。
今までサボっていたので自業自得な部分もあるが、忙しく充実した日々を送っていた。
そんなある日のこと。
学園の渡り廊下を歩いている時に、飛んできた鞠を避け損なった私は、その場でパッタリ倒れてしまう。
「ステファニー!」
「大丈夫?」
シンシアとメイシーの慌てた声がした。
「うわぁー! ごめん!」
「バカ、謝ってる場合か!」
「何やってるんだよ。ほらどいて。医務室に連れて行くから」
そして男子の言い合う声がして……。
私はゆらゆらと運ばれ、気が付いたら救護室のベッドの上だった。
「あ……大丈夫?」
目を開けると知らない男子がいた。
両サイドの髪を綺麗に撫で付けた黒髪が、所々乱れている。
蒼玉のように煌めく瞳が揺れていて『あぁ、私はこの人に心配かけてしまってるのかも』と気が付いた。
とりあえず返事……。
いえ、何か言わなければ。
「あの、ここは……?」
「救護室。覚えてるかな? 鞠が当たったんだけど……」
「あぁ。はい。覚えてます。えーと、あなたは……?」
「俺はブラッドリー・ローマン。騎士科の二年」
「あ、私は、ステファニー・グランデ。家政科の二年です」
彼に名乗られて私も慌てて自己紹介した。
何となく見たことがあるような気がしたのは、私たちの科と一番近い、騎士科の生徒だったからだったんだ。
「どこか痛いとか、具合悪いとか……ない?」
「えーと……たぶん大丈夫だと思います」
「良かった~。友だちが暴投して、俺が取り損ねたから……ごめん」
「そんな。私も避けられなかったんだし……運が悪かっただけです」
私たちはこんなふうに、偶然出会ったのだった。
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