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7.夜会

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 夜会に招待したのは、主に高位貴族。
 それから、有力な商人や産業関係の重役など。
 ロイジェ公爵家だからこそ集めることのできた面々である。

「おめでとうございます、レイラ様」
「お子様のご誕生を心よりお待ちしております」

 貴族たちは挨拶をすると、レイラに祝福の言葉を述べてくれた。

「ありがとうございます、皆様。この子も喜んでいると思います」

 レイラは嬉しそうに目を細めて、腹部を優しく撫でた。
 アンリのことで言い争いをした時はどうなることかと思ったが、機嫌がよさそうで何よりだ。

 ……と、アンリはどこだ?
 会場を見回すと、数人に取り囲まれているようだった。
 直接暴言でも吐かれているのだろうか。

 一年ぶりに見るアンリは……以前より頬のラインがすっきりしていて、肌艶がよくなったように思える。
 しかもホルターネックスタイルのドレス姿で、背中や肩を大胆に露出している。

 以前は肌を見せることを嫌っていたのに……随分と下品な性格になってしまったようだ。
 いや、シリルの趣味かもしれない。

 ここは元婚約者として、私が注意してやらなければ。

「アンリ」
「あ、クリストフ様。本日はパーティーにご招待いただきありがとうございます」

 私が声をかけると、アンリはドレスを持ち上げてカーテシーをした。周りにいた者たちも頭を下げる。
 私は彼らを睨みつけながら、言ってやった。

「ふん……私の前で猫を被ろうとしても無駄だぞ」
「クリストフ様?」
「だか君にも非がある。そんな格好をしているから、いじめられるんだ」
「はい……?」

 アンリはコテンと首を傾げると、彼らと顔を合わせた。

「この方々は商人です。今、医薬品の取引について話し合っておりました」
「ああ……以前、君の旦那が光魔法には頼りたくないと言っていたな。それで、薬をレスター領に取り寄せようとしているのか。まったく……気持ちは分かるが、このような場でする話でもないだろう」
「ははは。これは申し訳ありません、クリストフ様」

 商人の一人が、特に悪びれる様子もなく謝る。

「いや、あなたが謝罪することは……」
「実は私どもから持ちかけた話なのです」
「何?」
「クリストフ様は、レスター男爵家が我々から薬を買おうとしていると勘違いされているようですが、逆ですよ。我々はレスター男爵家から薬を仕入れたいと考えているのです」

 その言葉に、他の商人たちもにこやかに頷いた。

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