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3巻

3-2

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「おーい、こっちじゃぞーぃ」

 森の入口では、既に村長ファミリーが待機していた。

「おはようございます、村ちょ……ハッ!」

 私はあるものに気がついて、息を呑んだ。

「ん? どうしたんじゃ、レイフェルさん」
「なんでリュックじゃなくて、猟銃を背負ってるんですか?」
「ワシ、猟銃より重いもんは持てないんじゃよ~」

 嘘つけ。狩った獲物をいつも自分で持ち帰ってくるのを知ってるんだぞ!

「ごめんなさいねぇ。この人、どうしても持って行くんだって聞かなくて」

 村長の奥さんがほほに手を添えながら、ふぅと溜め息をつく。

「まあまあ。今日はあくまで、護身のために持ってきただけじゃから」
「本当ですか~?」

 これまでの言動のせいで、つい疑いの目を向けてしまう。

「……まあ、ウサギを見たら反射的に構えてしまうかもしれんがのぅ。そのときは許してくれんか?」

 そう言って、撃つジェスチャーをする村長。この人に好き勝手させたら、森から動物が消えそうだな。

「おじいちゃん……」

 そんな祖父に対して、お孫さんが冷たい眼差まなざしを向ける。

「ハッ。い、今のは冗談じゃよ」
「もう! 撃つなら、ウサギじゃなくて熊にしてよ!」

 あ、熊ならいいんだ……

「おはようございます~」
「村長たち、もう来てたのか。早いなぁ」

 キャンプに参加する他の村人も集まったので、みんなで青々と生い茂った森の中に入って行く。いつも薬草をみに来ているけれど、こうしてキャンプに来たのは初めてだ。今日は薬師であることを忘れて、のんびりまったり過ごそう。

「あ、レイフェル様! あれ、コロネット草じゃないですか?」

 サラさんが突然立ち止まって、私の肩を叩いてきた。

「へっ? ど、どこですかっ!?」
「ほら、あそこです!」

 サラさんが少し離れたところを指差すと、一際目立った薬草が風に揺れていた。丸い形をした葉っぱが特徴的で、縁がギザギザしている。
 あ、あれは……まさしくコロネット草っ! 普段なかなか見つけることのできないレア薬草じゃないですか!

「ゲーッツ!」

 私は一目散に駆け寄って、コロネット草をみ取る。

「教えてくださってありがとうございます、サラさーん!」
「いえいえ。レイフェル様のお役に立てて、何よりです」

 いやぁ。すごいよ、サラさん。遠目で見て、すぐにコロネット草だと気づくなんて、知識が半端ないのでは?

「私、小さなころから薬草学を学んでいて、薬草を見分けることが得意なのです!」

 サラさんは自分の目を指差しながら、少し自慢げに語った。勉強家だと感心していると、ティアがサラさんの肩を指でトントンと叩いた。

「サラさん、サラさん」

 そう声をかけながら、後ろを指差す。

「ハァー……ハァー……」

 そこには、汗だくになりながらフラフラと歩くミシェルさんの姿が。

「ミ、ミシェル様ーっ!?」
「だ、だいじょぶ……グフッ」

 全然大丈夫じゃなさそう。うーむ。まだ一時間くらいしか経ってないんだけど、ご令嬢に荷物を背負いながらの森歩きは過酷だったかな……

「あ、あわわ。薬草に夢中で、またミシェル様のことを忘れてしまいました……」

 サラさんはしょんぼりと肩を落としている。ひとつの物事に夢中になると、周りが見えなくなるタイプかな?

「ちびっこ、荷物なら俺が持ってやるぜ?」

 見兼ねたハルバートさんが、ミシェルさんへ手を差し伸べる。

「い、いえっ! 自分で持ちますっ! 息も苦しいし、足も痛くなってきたけど……なんだか、すっごく楽しいんです!」

 額の汗をハンカチで拭いながら、晴れやかに笑うミシェルさん。サラさんはそんな姿を見て、人差し指をピンと立てながら念を押した。

「あまり無理はなさらないでくださいね、ミシェル様!」
「分かってる、分かってるー! ……ゲホゲホッ」
「もう……」

 適当に返事をするミシェルさんに、サラさんは小さく溜め息をついたのだった。


 さらに歩き続けること数十分。
 ようやく私たちは本日のキャンプ地に到着した。近くには緩やかな川があって、釣りも楽しめるんだって。村長を始めとする男性陣が早くも釣竿を用意している。

「テントを張るのが先でしょ! 釣りはそれからにしなさい!」

 村長の奥さんが、彼らを一喝。怒られた釣りバカたちは、しょんぼりとしながらテントを張り始めた。今日は夕方になったら村に帰る予定だけど、せっかくだからテントを設営してみよう! ということになったのだ。その中に入って、休憩もできるしね。
 私とティアも、アルさんにレクチャーしてもらいながら作業を進めていく。

「このポールは、こっちに通してください」
「こ、こんな感じですか?」
「そうそう。上手ですよ、レイフェル様!」

 テントを張り終えたら、最後に固定するためのペグを打ちつけて……設置完了!

「お邪魔しまーす!」
「あ、レイフェルさん。私もー!」

 早速ティアとふたりでテントの中へ入る。思っていたより広いかも。私とティアが寝そべっても、まだスペースがある。

「雰囲気いいね~。あとでお菓子を食べながら、まったりしてよっか」
「いいですね~!」
「いえ、よくありません! 食べ物はテントから離した場所に置いてください。中に持ち込むなんて絶対ダメです」

 ティアとふたりで盛り上がっていると、アルさんが指でバツのマークを作った。

「え? なんでですか?」
「熊が食べ物のにおいにつられて、テントに襲いかかってくるからです!」

 私とティアはヒィッ竦み上がった。森の熊さん怖い!

「安心せぃ、レイフェルさん。熊が出てきても、ワシが仕留めてやるからのぅ」
「村長もしかして、私たちをおとりにして熊を狩ろうとしてません!?」

 熊よりも、このおじいちゃんのほうが怖いな。
 ……さて、全てのテントを張り終えたので、料理の道具と材料を持って川辺へ向かう。

「女の子たちはバーベキューの準備に取りかかってちょうだい!」

 気がつくと村長の奥さんがこの場を取り仕切っていた。

「のぅ、ワシら男衆は何をしたらええんじゃ?」

 村長が自分を指差して尋ねる。

「あー……そうね。あんたたちは、釣りに行ってきていいわよ」

 それは遠回しの戦力外通知だった。

「なんじゃい、ワシらだって料理の手伝いくらいできるぞぃ!」
「そうだ、そうだ!」
「男の料理を見せてやらぁ!」

 抗議する男性陣。しかし、奥さんがひとにらみすると、全員押し黙ってしまった。

「あのねぇ……野菜の皮剥きもろくにできないくせに、何言ってるのよ。包丁の使い方だって危ないんだから、見てるこっちがハラハラするわ」

 そんな中、ティアが一名の背中をぐいぐい押している。

「奥さーん。この人、調理師免許持ってるよ!」
「お、おい。やめろって」

 口ではそう言いつつ、ハルバートさんはあまり嫌がってそうに見えない。奥さんが目を輝かせて、ハルバートさんの腕を掴んだ。

「あら、ホント!?  それならあなたは、私たちのお手伝いね!」
「い、いやー。俺は釣りに行こうと思ってたんだが……おい。どうするよ、アル」

 満更ではない様子でハルバートさんがチラリと横を見る。そこには、村人から借りた釣竿を装備したアルさんがいた。

「では僕は、村長さんたちと釣りに行ってきますね」
「えっ。アル、俺を置いて行くの?」
「釣りをするのは初めてなので、ちょっと緊張しますね。それでは、行ってきます!」
「おい、コラ!」

 アルさんがハルバートさんに背を向けて、男衆の群れへ駆けて行く。

「ほら、ハルバートちゃんはこっちよ!」

 そして奥さんに連行されるハルバートさん。
 そ、そんなわけで、まずは材料を食べやすい大きさに切っていく。鹿肉、猪肉いのししにく、ウサギ肉とたくさんある。村長ったら、どれだけ狩ってきたんだか。おっと、お肉だけじゃなくて野菜もしっかり食べよう。ニンジン、玉ねぎ、ナス、キャベツ……

「キャーッ、目が! 目がいたーい!」
「ミシェル様、目を開けてください! 目を瞑ったまま包丁を握らないで!」

 ミシェルさんは玉ねぎと死闘を繰り広げていた。サラさんがついてるから大丈夫だよ……ね?
 なんとか材料を全部切り終わったら、いよいよ火の準備!

「よし、ここは俺に任しておけ」

 ハルバートさんが辺りから小枝を集めてきて、網焼き器に手早く火を点ける。

「やるじゃない、ハルバートちゃん」
「ハルちゃんがいてくれて、助かったわ~」
「い、いやぁ。このぐらい、たいしたことじゃねぇよ」

 奥さんたちにチヤホヤされて、ハルバートさんの口元が緩んじゃってる。そのとき、釣りバカたちが帰還した。

「ただいま帰りました!」

 アルさんが満面の笑みを浮かべながら、手にしていたバケツを私に見せる。その中では、小魚たちがぐるぐると泳ぎ回っていた。一匹、二匹……十匹っ!?

「アルさん、めちゃめちゃ大漁じゃないですか!」
「はい、大漁です!」

 アルさんはうれしそうに報告する。その笑顔が可愛くて、思わず頭をでしてしまう。

「こ、これがビギナーズラックというやつかのぅ……」
「それに比べて、俺たちは……うぅっ」

 ニッコニコのアルさんとは対照的に村長たちの表情は暗かった。みんな、二、三匹しか釣れなかったんだって。中にはボウズで終わってしまった人も。ドンマイ……
 アルさんたちが釣ってきた魚は、下処理をしてから串に刺して塩焼きに。
 いよいよ、バーベキュー開始! 
 まずは、お肉をジャンジャン焼いていく。いい焼き色がついたら、果物で作った特製のソースをかけて……いただきます!

「お、おいひぃーっ!」

 噛めば噛むほどあふれるお肉の旨みに、甘酸っぱいソースがよく合う。いや~、たまりませんなぁ!
 サラさんとミシェルさんをチラリと見ると、ふたりとも幸せそうにお肉を頬張ほおばっていた。

「えへへっ。私、こんなに美味しくて楽しいごはんは初めてです。みんなで一緒に食べるっていいですね!」

 串焼き片手に、ミシェルさんがうれしそうに言う。

「……ご両親とは食べないの?」
「んーん。ないです」

 村長の奥さんが尋ねると、ミシェルさんは首をフルフルと横に振った。

「だから……今日はキャンプに来て、本当によかったです!」

 そう言って微笑むミシェルさんの横顔を、サラさんは静かに見つめていた。


 空が鮮やかな赤紫色に染まり始めたころ、サラさんとミシェルさんは一足先に帰ることになった。

「えー! もう帰っちゃうんですか?」

 ティアが残念そうな口調で尋ねる。

「ごめんなさい、ティアさん。でも、あんまり遅くならないようにって、屋敷のみんなに言われてるから……」

 ミシェルさんはうつむきながら、深い溜め息をついた。唇を尖らせながら、つま先で地面を蹴っている。本当はまだ、帰りたくないんだろうなぁ。

「えっと……みなさん、今日は本当にありがとうございました。……また遊びに来てもいいですか?」
「もちろんじゃ。楽しみに待っとるぞぃ」

 ミシェルさんが顔を上げておずおずと尋ねると、村長は大きくうなずいた。その答えを聞いて、ミシェルさんとサラさんはうれしそうに笑い合う。

「それでは、そろそろ失礼しますね」

 サラさんが最後に挨拶あいさつして立ち去る。

「あっ、ちょっと待った!」

 ティアがふたりを呼び止める。そしてリュックから何やら紙袋を取り出すと、それをサラさんに差し出した。

「これ、私が作ったマフィンです。よかったら、食べてください!」
「えっ、いいんですか?」

 サラさんは紙袋を受け取ると、うれしそうに顔を輝かせた。

「こんなにたくさん……ありがとうございます。あとでミシェル様といただきますね!」
「ふっふっふ。ティアの作るマフィンはどれも美味しいけど、私のイチオシはオレンジ味です。刻んだオレンジピールが入ってるから、ちょっとほろ苦くて、とっても美味しいんですよ!」

 私は後ろからティアの両肩に手を置き、誇らしげにそう語る。すると、サラさんは私たちをまじまじと見て小さく笑う。

「ふふっ。レイフェル様とティア様って、なんだか姉妹みたいですね」
「ありがとうございます。よく言われるんですよ」

 まあ私の実の妹は、今ごろ炭鉱で汗水を垂らしながら働いていると思いますが……

「だけどサラさんとミシェルさんも、頑張り屋の妹と、それを見守るしっかり者のお姉さんって感じがしますよねー」

 ティアの言葉に、私はふたりを見比べながらコクコクとうなずいた。髪も瞳の色も違うのに、ふたりが一緒にいるところを見ていると、違和感がないっていうか、雰囲気が似てるっていうか。

「ほんとですか? 使用人のみんなにも、よく言われるんです。ね、サラ!」
「あ、はい。でも……なんか恐れ多くて……」

 両手を合わせてうれしそうに話すミシェルさんに、サラさんはほほを掻きながら笑っている。うん、この感じが姉妹っぽい。

「では今度こそ、失礼いたします」

 サラさんとミシェルさんは森の出口に向かって歩き始める。

「みなさん、さよーならー!」

 何度も振り返って手を振るミシェルさんとサラさんに、私たちも大きく振り返したのだった。




     第二話 ジャーロ公爵家 


 屋敷に着いたころには辺りは真っ暗になっていて、空には星が輝いていた。
 サラが玄関の扉を叩くと、メイドたちがいそいそと出てきてお辞儀をした。そしてサラの隣にいるミシェルを見て、ほっと安堵あんどの息をつく。

「ミシェル様! 日が暮れる前には帰ってくるとおっしゃっていたではありませんか! もう夜ですよ!」

 メイド長が目を吊り上げてとがめると、ミシェルはびくっと肩を跳ね上げた。そんな彼女に代わりサラが頭を下げる。

「帰りが遅くなってしまい申し訳ありませんでした」
「サラ様……」
「サ、サラを怒らないで! サラはもっと早い時間に帰ろうって言ってたのに、私がまだ帰りたくないって我儘わがまま言ったせいで遅くなっちゃったの!」

 必死な様子でサラを庇おうとするミシェルを見て、メイド長はわずかに表情を緩めた。

「仕方ありませんね……。サラ様に免じて、今回だけは大目に見てあげます」
「ほんと? ありがとう!」

 ミシェルがぱぁっと表情を明るくさせると、メイド長の目が鋭い光を放つ。

「今回、だ、け、ですからね!」
「は、はーい!」

 ミシェルは逃げるように屋敷の中へ駆け込む。と思ったら、すぐに戻ってきてサラに声をかける。

「今日のキャンプ、すっごく楽しかったね! また行こうね!」
「はい、私も楽しかったです。またお誘いしますね、ミシェル様。今日はゆっくり休んでください」

 ミシェルはうなずくと上機嫌に鼻歌を歌いながら、自分の部屋へ向かう。広間を通りかかると、小太りの男がソファーにもたれながら、数枚の書類を読んでいた。

「お父様、ただいま帰りました!」

 ミシェルは男へ駆け寄って、声を弾ませながら報告する。

「ん? ああ……ミシェルか」

 男はミシェルを一瞥いちべつすると、すぐに書類に視線を戻してしまう。素っ気ない反応に、ミシェルは少し迷ってから再び話しかけた。

「あの、今日はサラ様と一緒にキャンプに行ってきました! 森の中をたくさん歩いたり、みんなで作ったごはんを食べたりして……」
「そんなくだらん話を聞かせようとするな。仕事中なのが見て分からんのか?」

 冷ややかな声が娘の言葉を遮る。

「……ごめんなさい、お父様」

 ミシェルが一言謝ってその場から立ち去ろうとすると、ひとりのメイドが広間に入ってきた。

「ご主人様、商人の方がお見えになりました。応接間でお待ちいただいております」
「分かった。すぐに向かおう」

 男は返事をすると、ソファーから立ち上がった。その際、ミシェルを見ていぶかしげに眉をひそめる。

「なんだ、まだいたのか」

 ミシェルは一瞬目を見開くと、無言で頭を下げて広間をあとにした。
 とぼとぼと、ひとりで長い廊下を歩いていたが、ある部屋の前でふと足を止める。ドアをノックしようとすると、通りかかったメイドに話しかけられた。

「ミシェル様。奥様はただいま外出されております」
「何時ごろに帰ってくる?」
「申し訳ございません。何も伺っておらず私には分かりかねます」
「そっか。教えてくれてありがと」

 表情を曇らせるメイドに、ミシェルは笑顔で返した。お母様はまた若い男の下へ出かけてしまったのだろう。
 ……こんなの、いつものことだよね。自分にそう言い聞かせながら部屋に戻り、閉め切っていたカーテンを開ける。

「あ」

 窓の外には、大好きなサラがいた。屋敷をじっと見上げるサラに、バイバイと小さく手を振る。すると向こうもこちらに気づいて、優しく微笑みながら手を振り返した。
 たったそれだけのことだけれど、ミシェルの冷たくなっていた心はほんのりと温かくなった。


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