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3巻
3-1
しおりを挟むはじまりの話 みんなでキャンプ
季節は初夏。私とティアは、お店の窓から差し込む暖かな日差しを浴びながら、のんびりと過ごしていた。
「今日もいい天気だね~」
「そうですね~」
ああ、寝ちゃいそう。大きな欠伸が出たけど、お客さんはちょうどいない。
毎日暖かくて、ほーんといい季節だなぁ。なんといっても、この時季は薬草がよく育つ。摘んでも摘んでもまたすぐに生えてくるから、薬草は摘み放題っ! 他にも色んな種類の木の実やキノコが実るから、村の奥さんたちはよく採りに行っているんだよね。
あとで私たちも薬草を摘みに行こうっと。薬をたくさん作って、在庫を増やしておかなくちゃ。
……なんて計画を立てているときだった。
「レイフェルさんはおるかのぅっ!?」
「「ギャアアアッ!!」」
お店のドアをバーンッと乱暴に開けて、猟銃を構えた村長が入ってきた。
私とティアは悲鳴を上げながら、咄嗟にモップを装備する。
「むっ? そんなに慌てて、どうしたんじゃ」
きょとんと目を丸くする村長。
「どうしたはこっちの台詞ですよ!」
「強盗が来たのかと思ったじゃん!」
「すまんすまん。ちょっと気が立っておったんじゃ」
「何かあったんですか?」
いつも温厚な村長が珍しい。モップを置きながら尋ねると、村長はふんっと大きく鼻を鳴らして、宣言した。
「ワシはのぅ……猟師をやめることにしたぞぃ!」
「えーっ!!」
雨が降ろうが雪が降ろうが、なんだったら嵐の日も出かけるくらい狩猟が大好きなのに!?
「ど、どうしてそんな急に!?」
「そうだよ! 村長から狩猟を取ったら、何も残らないじゃん!」
ティア、それはちょっと失礼だぞ!
「それがのぅ……。いつものように猪とウサギを仕留めたんで、家に持ち帰ったんじゃよ」
ふむふむ。
「そうしたら、孫にウサギの耳を鷲掴みにしているところを見られて、大泣きされてしもうてのぅ。『おじいちゃんの人でなし』とか、『そんなんだから頭ハゲちゃったんだよ』とグサリとくることを色々言われたんじゃ。まったく、料理したもんは美味い美味いって食っとるくせに……」
頭のことは、ただの悪口なのでは? だけど、お孫さんの気持ちはちょっと分かる。ウサギ、可愛いもんね……
「しかも、家内にまで狩猟禁止令を出されてしまったんじゃよ」
「なんで? 奥さんは村長が何か狩ってくると喜んでるよね?」
ティアが首をかしげる。
「ここ最近、毎日のように狩ってくるから食べ切れなくて困っとるんじゃと」
「それ、村長が悪いじゃん!」
拗ねた口調の村長に、ティアが即座に指摘する。けれど村長も負けじと言い返す。
「ワシはただみんなに美味しい肉を食べさせたくて、狩猟をやってるだけじゃーいっ!」
分かった分かった。だから猟銃振り回しながら騒がないで。
「……それで、ご家族と大喧嘩して家を飛び出してきちゃったんですね?」
「じゃって、家内が『あなたは、みんなにお肉を食べさせたいんじゃなくて、楽しいから狩猟をしているだけでしょ』って言うから……」
「奥さん、ド正論じゃないですか!」
私がそうツッコむと、村長は気まずそうに視線を逸らした。図星かい。
「だけど、なんでうちの店に来たの?」
「もうこの銃はワシには必要ない。というわけで、レイフェルさん。プレゼントフォーユーじゃ。レイフェルさんなら、これを使いこなしてくれると信じとるぞぃ」
「なんでっ!? 私、薬師なんですが?」
猟銃を渡されそうになり、私は大きく仰け反った。
「まあ、獣以外を撃つときに、使ってもええんじゃぞ」
「「村長!?」」
時々怖いことを言うな、この人。
「と、とにかく。私は薬師一本でやっていきますから、こんなの要りません!」
「そうかのぅ? そんじゃ、ティアはどうじゃ?」
「村長のお古なんて、なんかヤダ!」
ティアは両腕で大きなバツマークを作って拒絶した。そりゃそうだ。すると村長は猟銃を抱えて、お店の隅に座り込んでしまった。
「なんじゃい、なんじゃい。みんなして、老人をバカにしおって……」
ぶつぶつと呟きつつ、たまにこちらをチラッと見てくる。
え? このまま、うちに居座るの? 私とティアは顔を見合わせた。ティアは呆れたように溜め息をついて、口を開く。
「放っておいていいんじゃないですか? そのうちお腹が空いたら帰りますよ」
放し飼いの猫じゃないんだから。それに、村長が猟師をやめるのは困る。非常に困る。
「ティア。村長が獣を狩ってこなくなったら、もうジビエ料理が食べられなくなるよ! 鹿肉のロースト、猪肉のステーキ、ウサギ肉の煮込み……」
「ああああ……!」
耳元でぼそぼそとジビエ料理を呟くと、ティアがガタガタと震え出す。
「このままじゃ、あのご馳走がなくなっちゃうんだよ! いいの!?」
「よくないです!」
ティアは泣きそうな顔で首を横に振った。
「だったら村長には、死ぬまで猟師を続けてもらわないと!」
「ん~。お孫さんはともかく、奥さんはお肉が食べ切れなくて怒ってるんですよね。私たちが食べに行けば、解決じゃないですか?」
「どうかなぁ……」
奥さんが「猟師をやめろ」って言うくらいだから、相当余ってるんじゃないかな。流石の私たちも全部食べ切れないと思う。死ぬ。
「うーん。お肉を大量に使う方法かぁ……」
「……あっ、閃いた!」
ティアは掌をポンと叩くと、村長に近づいていった。
「ねぇ、村長。みんなでキャンプパーティーをしようよ」
「キャンプじゃと~?」
拗ねた様子で、ティアを見上げる村長。
「うん。それでお肉をたくさん使って、バーベキューをするの! そしたら、あっという間に食べ切れるんじゃない?」
「ほぉ~、バーベキューはええのぅ。野外で焼く肉は格別じゃぞぃ」
青い空。白い雲。
そして網の上で焼かれる、お肉たち。想像したら、お腹が空いてきたな……
「でしょ? 奥さんの悩みを解決して、村長は文句を言われなくなる。お孫さんも、美味しいお肉を食べたら、きっと機嫌を治してくれるって!」
「『おじいちゃん、イケメン!』って言ってくれるかのぅ!?」
「アー、イウイウ」
コラ、ティア。適当に返事をするんじゃありません。
だけど村長はすっかりやる気になったようで、勢いよく立ち上がった。
「よーし、決めたぞぃ! 村の者たちで、キャンプパーティーじゃあ! そうと決まれば、鹿をあと二頭くらい狩ってくるかの」
「「コラァ! 肉をこれ以上増やすな!」」
猟銃を構えて、店から出て行こうとする村長を通せんぼする。そのとき、ちょうど店のドアが開いた。
「こんにちは、おふたりと……えっ!?」
入ってきたのはアルさんだった。村長が私たちに銃口を向けている状況を見て、目を丸くしている。
「やめろ、ジジィ!」
血相を変えたハルバートさんが店内に飛び込んで、村長から素早く猟銃を奪い取る。その隙に、アルさんが私たちを守るように前に立つ。
「おふたりとも、お怪我はありませんか!?」
「あんた、こいつらの村長なんだろ!? なんでこんなことを……!」
ふたりとも村長がご乱心を起こしたと勘違いしてる。
ち、違うんですと私は慌てて事情を説明した。するとアルさんとハルバートさんは、はぁ……と深い溜め息をつく。
「なぁ、嬢ちゃん。こんなジィさんが村長で、この村大丈夫なのか?」
「その分、女性陣がしっかりしてますから……」
「まあまあ、ハルバート様。村長さんは……えっと……ご、ご立派な方ですよ」
アルさんが村長を雑に褒める。具体的な褒め言葉が思いつかなかったんだろうな……
「ふぉっふぉっふぉっ。アルさんはいい人じゃのぅ。そうじゃ。アルさんとでかマッチョも、キャンプに来んか?」
「キャンプですか?」
アルさんが目をぱちぱちさせて尋ねる。
「村長の狩ってきたお肉をたくさん食べるために、キャンプパーティーをするんです。ふたりも来てください!」
絶対に楽しいに決まってるもんね! 私は両手を握り締めて、力強い声で言った。
「なぁ、アル。ここは、お言葉に甘えることにしようぜ」
「……そうですね。それでは、よろしくお願いします」
アルさんはうれしそうに微笑みながら、ペコリと頭を下げた。
「やったー! アルさんたちも一緒だー!」
「あ……でしたら、もうひとり誘っても、よろしいでしょうか? 最近、蛇の集いに入った新人がおりまして、ぜひ皆様に紹介したいのです」
何かを思い出したように、アルさんが村長に尋ねる。
「うむ。アルさんの知り合いなら、構わんぞぃ。……じゃが人数が多くなると、肉が足りなくなるかもしれんのぅ。ほれ、でかマッチョ。さっさと猟銃を返さんか」
村長はハルバートさんにそう言いながら、チョイチョイと人差し指を曲げて催促する。まったく反省の色を見せていない……
困ったおじいちゃんだなぁと、私たち四人は肩をすくめた。
そしてその日のうちに、回覧板でキャンプのお知らせをしたところ、思ったよりたくさんの人が参加することになった。急な話だったけれど、こんな小さな村だと娯楽も少ないからね。とっても楽しみ。
二日後。
「ふぁぁぁ。ねっむ……」
大きな欠伸をしながら、ベッドから起き上がった。昨日は気分が高揚しちゃって、なかなか寝つけなかったんだよね。早く朝ごはんを食べなきゃ……
「……ん?」
何やらいいにおいがして、お腹がぐぅ~と鳴った。そういえば、今朝はティアがごはんを作りに来てくれるんだっけ。においに誘われるように、ふらふらとキッチンへ向かう。
「おお。おはよう、嬢ちゃん」
ピンク色のエプロンを着けたマッチョが、フライパンで何かを焼いている。
あれ……ティア、ずいぶんとガタイがよくなったな。なんか別人みたいだ……と寝起きの頭でぼんやり考えていると。
「お、おはようございます、レイフェル様」
リビングのテーブルを拭く私の恋人が、おずおずと朝の挨拶をしてきた。
「あ……おはようございます、アルさん。……ぎゃあぁぁぁっ!!」
瞬間、凄まじい悲鳴を上げながら、私は寝室に逃げ込んだ。
み、見られたっ! 髪はボサボサ、口の脇にはヨダレの跡がついている。寝起きのだらしない姿をアルさんに見られてしまったーっ! というか、ここ私の家だよね? なんであの人たちが朝ごはんの準備をしてるの!?
「レイフェル様、大丈夫ですかっ!?」
混乱していると、ドア越しにアルさんが心配そうに声をかけてきた。
「す、すみません、アルさん! 見苦しい姿をお見せしまして……」
「僕としては、図らずとも無防備なレイフェル様が見られて、すっごくうれし……い、いえ! こちらこそ、無断で家の中に入ってしまい、大変失礼しました!」
ものすごい早口すぎて、アルさんが何を言っているのかよく分からなかった。だけど幻滅はされていない模様。
急いで身支度をしてドアを開けると、アルさんは廊下で膝を折り畳んで座っていた。そして床に額をこすりつけんばかりに頭を深く下げる。
「本当に申し訳ありませんでした……っ!」
「そんな、謝らないでください! おはようございます、アルさん!」
私がそう笑いかけると、アルさんは顔を跳ね上げて、ほっとしたように息をついた。
そんなわけで、アルさんと再びキッチンへ向かうと、ハルバートさんが二枚の皿に目玉焼きとベーコンを盛りつけていた。それが終わると今度はレタスをちぎり始める。サラダでも作るのかな。
「ア、アルさん……なんかハルバートさん、手際めっちゃよくありません?」
無駄のない動きに私が首をかしげていると、アルさんは衝撃の事実を語る。
「ハルバート様は、調理師免許を取得しておられます」
「えっ、マジですか!?」
化粧品の開発に携わっているのといい、女子力高っ! 私が驚愕していると、ハルバートさんはトマトを切りながら話す。
「アルは薬草採取で野営することが多いからな。そういうときでも、美味いもんを食わせてやりたいんだ」
お母さんじゃん……ホロリ。
「ところで、どうしてうちにいるんですか?」
「そ、それがですね……本日同行する新人が、ぜひレイフェル様の薬屋に行きたいということで、こちらへやってきたのです」
少し気まずそうに、指で頬を掻きながら説明するアルさん。
「けど嬢ちゃんはまだ寝てるし、弟子っこも店に来たばっかりだったんだ。そしたら『薬師さんのことは私に任せて、ハルバートさんは私たちの朝ごはんを作っててください』って頼まれたんだよ。そんで弟子っこが店の中を案内しに行ったぜ」
「なんですとっ!?」
ティアってば、ハルバートさんが王妃様の弟だって忘れてるのでは!?
「せっかくだから、もう一品作りてぇな」
ハルバートママはニンジンを手に取りながら、店のほうを指差した。ほ、本人もノリノリだから、まあいっか……よし、ちょっと様子を見に行ってみよう。
そっと店内の様子を窺う。
「わあっ、すごい! 化粧品もたくさん種類があるのですね……! この薬は、どのような効果があるのですか?」
長い金髪を後ろで緩めに束ねて、几帳面に切り揃えられた前髪から、まん丸の眼鏡を覗かせた真面目そうな女の子が見える。私やティアと同じくらいの歳かな。
「胃腸薬ですね~。効き目はもちろん、胃への負担があまりないようにしています」
「で、では、これはっ!?」
眼鏡のテンプルをクイクイと動かしながら、薬の効能をティアに尋ねている。その熱心な姿に、アルさんが初めてうちの店に来たときを思い出す。あんな風に薬を調べてたなぁ……
「ん?」
店内の隅っこには、もうひとり見知らぬ客がいた。茶髪の女の子だ。まだ十三、四歳くらいかな。不思議そうに瞬きを繰り返しながら、店の中をキョロキョロ見回している。
「あ、おはようございます、レイフェルさん!」
私に気づいたティアが挨拶をする。
「おはよう、ティア。えっと、こちらの方が……」
「初めまして、私はサラと申します。本日はアレックス様からのお誘いで、キャンプに参加いたします。よろしくお願いします」
私がチラリと視線を向けると、金髪の女の子は深々とお辞儀をした。そして顔を上げ少しずれた眼鏡をかけ直す。
「初めまして、サラさん。私は……」
「レイフェル様ですよね? 噂はお聞きしていますよ。なんでも薬神様の創造の加護を授かった、天才薬師だとか!」
サラさんがぐいぐい顔を近づけてくる。ひぃぃ、鼻息が荒い。
「ストップストーップ。レイフェルさんが怯えちゃってますから」
見兼ねたティアが、私からサラさんを引き剥がす。
「と、ところであの子も、蛇の集いの薬師さんですか……?」
ティアの後ろにササッと隠れながら尋ねると、サラさんはハッと目を大きく見開く。
「ミ、ミシェル様のことをすっかり忘れていました……。も、申し訳ありません、ミシェル様。つい薬のことに夢中になってしまいました……」
サラさんは慌ててその子へ駆け寄ると、深く頭を下げた。
「ううん、私もお店の中を見てて楽しかったよ! 初めて来たけど、薬屋さんってお薬以外もたくさん売っているんだね。化粧品とかお菓子も売ってるー!」
キラキラと目を輝かせるミシェルさん。薬屋にやってきて、こんなに感動しているお客さんは滅多にいない。めっちゃうれしいな……
「紹介します。こちらの方は、私の友人のミシェル様です。ジャーロ公爵家のご令嬢で、以前私はミシェル様の家庭教師を務めていたのです」
「初めまして、薬師様。ミシェルです! キャンプがしてみたくて、サラについてきました。今日はよろしくお願いします!」
サラさんの言葉に合わせて、ミシェルさんがペコリとお辞儀をした。
はきはきとした口調で話すミシェルさんは礼儀正しくて、いい子そうだ。
「こちらこそ、よろしくお願――」
ぐぎゅるるる……
私のお腹が、空気を読まずに大きく鳴った。
「あ、あの……ごめんなさい……」
「えっ。急にどうしたんですか、レイフェルさん。音なんて何も聞こえてないですよ」
「は、はい。私たち、何のことか分かりません」
私にめちゃめちゃ気を遣って、気づかない振りをするティアとミシェルさん。
「ふむふむ。レイフェル様もお腹が空くのですね……」
そんな中、サラさんは何やら感心した様子で呟くと、急いでノートとペンを取り出した。やめて……っ、私に追い打ちをかけないで……っ!
「嬢ちゃん、弟子っこ。朝飯できたぜー」
変な汗をかいていると、ハルバートさんが私たちを呼びにやってきた。
「やったー! もう私、お腹ペコペコですよ!」
ティアがパタパタとリビングへ戻っていく。私も逃げるように、そのあとを追う。
「わりぃ。張り切って作りすぎちまったな」
テーブルには、既に料理が並べられていた。お、美味しそう~!
私とティアは向かい合って座り朝食を早速いただくことに。
本人の言う通り、朝食にしては少し量が多いかもしれないけど、どれも美味しくてペロッと平らげちゃった。
特に美味しかったのが、ニンジンのラペ。ふんわりしたニンジンの食感と、ドレッシングの爽やかな酸味が私のハートを鷲掴みにした。
「肉は昼間にたらふく食うからな。だから、今のうちに野菜をいっぱい食っとけ」
その心遣いもありがたい。
「ふえぇ、ハルバートママのごはんが毎日食べたいよぉ……」
「なんでパパじゃなくて、ママなんだよ!」
ハルバートさんは、ティアの呟きにすかさずツッコミを入れる。
「ブフォッ」
その様子を見てアルさんがコーヒーを噴き出す。……さ、さて、お腹も膨れたことだし、荷物を持って森へいざ出発!
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