都合のいい女は卒業です。

伯爵令嬢サラサは、王太子ライオットと婚約していた。

しかしライオットが神官の娘であるオフィーリアと恋に落ちたことで、事態は急転する。
治癒魔法の使い手で聖女と呼ばれるオフィーリアと、魔力を一切持たない『非保持者』のサラサ。
どちらが王家に必要とされているかは明白だった。

「すまない。オフィーリアに正妃の座を譲ってくれないだろうか」

だから、そう言われてもサラサは大人しく引き下がることにした。
しかし「君は側妃にでもなればいい」と言われた瞬間、何かがプツンと切れる音がした。

この男には今まで散々苦労をかけられてきたし、屈辱も味わってきた。
それでも必死に尽くしてきたのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。

だからサラサは満面の笑みを浮かべながら、はっきりと告げた。

「ご遠慮しますわ、ライオット殿下」
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