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73.ワンピース
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※アデラ編をやっている間に本編(リザ視点)の地の文を結構修正しました。
「うーん、こっちがいいかしら?」
「あの、叔母様」
「あ、駄目ね。あなたにはこっちの方が似合うかも」
「叔母様」
「……と思ったけれど、前言撤回! これが……」
「叔母様!」
叔母様が私の服装選びを始めてから早一時間。
決めたかと思えば、こちらの方が言い出す流れを既に数十回繰り返している。
私のために一生懸命悩んでくれているのは分かる。
こういった時、どのような服を着ればいいのかと叔母様に相談したのも私だ。
けれど、いつまでも同じことを繰り返しで流石に疲れてしまった。精神的な意味で。
「こちらにしようと思います」
ベッドに積み上がった服の山から私が手に取ったのは、青色のワンピースだった。
下がレースプリーツスカートになっており、すっきりとしたデザインだ。
叔母様は真剣な表情でワンピースを見つめ、
「うん。いいかもしれない。リザリアってどちらかと言うと、暖色系より寒色系の服の方が似合うものね」
叔母様の合格をもらい、ほっと胸を撫で下ろす。
このままだと昼すぎまで服装も決められないのでは、と不安に思っていたのだ。
「じゃあ、それを着て早くオブシディアくんに見せてあげなさい。きっと褒めてくれると思うわよ~!」
「そうですね。他にも準備がたくさんありますし……」
「んもぅ~、その辺りは私が全部やるって言ったでしょ。あなたは自分が楽しむことだけを考えるの!」
「……ありがとうございます」
叔母様に礼を言ってワンピースに着替える。
先日ロ・ラシェリーの人気店で購入したもので、実際に着るのはこれが初めてだ。
姿見に映る自分の姿を暫し眺めてからリビングに向かうと、
「リザがいつもより可愛い」
紅茶を飲んで待っていたオブシディアさんに笑顔で褒められた。
ストレートな物言いに顔を赤くしつつ、私も口を開く。
「オブシディアさんもとても素敵ですよ」
「そうか? シルヴァンに色々着せられて大変だったぞ。結局『お前は白が一番似合う』って言われて、これになったけど」
こちらも苦労していたらしい。
まだ朝だというのに、疲労困憊と言った様子で溜め息をつくオブシディアさんは、白いジャケットを身に纏っていた。
その下には灰色のベストを着用しており、いつもに比べて服装に緩みがない。
早朝にお兄様が店にやって来たかと思うと、オブシディアさんの肩を掴んで「こいつは俺に任せておけ」と宣言したのだ。
私は普段の黒づくめなオブシディアさんでも構わないと思っていたけれど、こうして常とは違う姿を見れるのは嬉しい。
「あれ? それでお兄様はどちらへ?」
「シルヴァンなら帰ったぜ」
「あら……」
てっきりこのまま残るものだとばかり。
「『俺が居ても邪魔になりそうだし』って言ってた」
「そんな邪魔だなんて」
オブシディアさんのコーディネートをしてくれたのだから、そのお礼もしたかったのに。
残念に思っていると、
「……でも、俺もちょっとそう思っていたから助かった」
「もう……」
けれどオブシディアさんの気持ちは私も理解できるので、責められない。
むしろ微笑ましく思えて、ふわふわのくせ毛を撫でてあげると猫のように目を細めて喜ばれる。
暫くそうしていると、叔母様がリビングにやって来た。
一枚の封筒を持って。
「リザリア、お義兄さんからあんた宛てに手紙が届いたんだけど……」
叔母様が私に手渡したのは、ディンデール家の封蝋で封がされた手紙だった。
「うーん、こっちがいいかしら?」
「あの、叔母様」
「あ、駄目ね。あなたにはこっちの方が似合うかも」
「叔母様」
「……と思ったけれど、前言撤回! これが……」
「叔母様!」
叔母様が私の服装選びを始めてから早一時間。
決めたかと思えば、こちらの方が言い出す流れを既に数十回繰り返している。
私のために一生懸命悩んでくれているのは分かる。
こういった時、どのような服を着ればいいのかと叔母様に相談したのも私だ。
けれど、いつまでも同じことを繰り返しで流石に疲れてしまった。精神的な意味で。
「こちらにしようと思います」
ベッドに積み上がった服の山から私が手に取ったのは、青色のワンピースだった。
下がレースプリーツスカートになっており、すっきりとしたデザインだ。
叔母様は真剣な表情でワンピースを見つめ、
「うん。いいかもしれない。リザリアってどちらかと言うと、暖色系より寒色系の服の方が似合うものね」
叔母様の合格をもらい、ほっと胸を撫で下ろす。
このままだと昼すぎまで服装も決められないのでは、と不安に思っていたのだ。
「じゃあ、それを着て早くオブシディアくんに見せてあげなさい。きっと褒めてくれると思うわよ~!」
「そうですね。他にも準備がたくさんありますし……」
「んもぅ~、その辺りは私が全部やるって言ったでしょ。あなたは自分が楽しむことだけを考えるの!」
「……ありがとうございます」
叔母様に礼を言ってワンピースに着替える。
先日ロ・ラシェリーの人気店で購入したもので、実際に着るのはこれが初めてだ。
姿見に映る自分の姿を暫し眺めてからリビングに向かうと、
「リザがいつもより可愛い」
紅茶を飲んで待っていたオブシディアさんに笑顔で褒められた。
ストレートな物言いに顔を赤くしつつ、私も口を開く。
「オブシディアさんもとても素敵ですよ」
「そうか? シルヴァンに色々着せられて大変だったぞ。結局『お前は白が一番似合う』って言われて、これになったけど」
こちらも苦労していたらしい。
まだ朝だというのに、疲労困憊と言った様子で溜め息をつくオブシディアさんは、白いジャケットを身に纏っていた。
その下には灰色のベストを着用しており、いつもに比べて服装に緩みがない。
早朝にお兄様が店にやって来たかと思うと、オブシディアさんの肩を掴んで「こいつは俺に任せておけ」と宣言したのだ。
私は普段の黒づくめなオブシディアさんでも構わないと思っていたけれど、こうして常とは違う姿を見れるのは嬉しい。
「あれ? それでお兄様はどちらへ?」
「シルヴァンなら帰ったぜ」
「あら……」
てっきりこのまま残るものだとばかり。
「『俺が居ても邪魔になりそうだし』って言ってた」
「そんな邪魔だなんて」
オブシディアさんのコーディネートをしてくれたのだから、そのお礼もしたかったのに。
残念に思っていると、
「……でも、俺もちょっとそう思っていたから助かった」
「もう……」
けれどオブシディアさんの気持ちは私も理解できるので、責められない。
むしろ微笑ましく思えて、ふわふわのくせ毛を撫でてあげると猫のように目を細めて喜ばれる。
暫くそうしていると、叔母様がリビングにやって来た。
一枚の封筒を持って。
「リザリア、お義兄さんからあんた宛てに手紙が届いたんだけど……」
叔母様が私に手渡したのは、ディンデール家の封蝋で封がされた手紙だった。
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