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50.フルーツジュース
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今私たちが店内に戻るのはまた騒ぎになりそうだからと、フルコースはこのまま応接間でいただくことになった。
前菜からメインまで全てフルーツが使われて、どれもお洒落で可愛い見た目の料理ばかり。
歯応えのある異国の梨に巻いた自家製生ハム。
桃を使ったカプレーゼ。
無花果と白身魚のカルパッチョ。
優しい味のする林檎のポタージュ。
仔牛のヒレ肉ステーキには、甘酸っぱいベリーソース。
パンにつけるジャムはどんなものかと思っていると、こちらはトマトとパプリカのジャム。
砂糖の量は控えめで、野菜の甘さに驚く。
デザートは異国のフルーツを使ったシャーベット。
鮮やかなオレンジ色をしているから酸っぱいのかと予想していたら、まったりと甘い。
バナナやメロンと似た甘さだけれど、そのどちらでもない風味。
味のバリエーションが豊富で、飽きが全くこないまま完食。
どれも美味しかったことをオーナーに伝えると、嬉しそうな笑みが返ってきた。
「あなた方は当店の救世主ですからね。ご満足いただけたようで幸いです」
「は、はぁ……」
「そうか」
反応に困っている私とは対照的に、オブシディアさんはさらりと受け流してサービスで出されたジュースを飲んでいた。
ジュースは数種類あって、私は数種類の林檎をブレンドしたもの。オブシディアさんは「色が綺麗」という理由でブルーベリーを頼んだ。
酸っぱそう……と思ったけれど、意外とそうでもない。
私の林檎ジュースも柔らかな甘みがあって美味しい。
これなら、「ああいうのって、ただ絞って砂糖を入れただけって味ばかりなのよねぇ……」とフルーツジュースに否定的な叔母様も合格点を出してくれると思う。
そう考えていると、そわそわした様子のオーナーに質問をされた。
「……リザリア様、オブシディア様。そちらのジュースお気に召していただけたでしょうか?」
「ええ、とても」
「それはよかった! 実は以前味についてご指摘を受けまして……それを踏まえて改良したところ、『前より美味しくなった』とお褒めの言葉をたくさんいただけるようになったのです」
これらのジュースが生まれるまで苦労を重ねてきたのね。
努力と執念の味といっても過言ではないのかも。
けれどオーナーの悩みはまだ尽きていないようで、難しい顔で深い溜め息をついてしまう。
「当店ではもっと皆様に召し上がっていただけるよう、テイクアウト化も検討中なんですが……」
「……難航していらっしゃるのですか?」
「そうなんですよ。ある程度時間が経つと、鮮度も味も落ちてしまうという難点がありましてね」
どうしてもその問題をクリアできないとのこと。
確かにこういう飲み物は、作りたてが一番美味しい。
このレストランには元魔法使いの従業員もいて、その方を中心に研究と開発を続けているらしいけれど……。
「ほら、『満ちる水杯』あるじゃないですか。あれと同じ要領で、ジュースを出すグラスが作れれば一番なんですが」
「それはちょっと難しいですね……」
フィリヌ魔導店で水杯を作る時にジュースも材料に加えてみた職人がいたけれど、そのジュースの色をしたグラスができただけだった。
そのことを思い出していると、
「多分作れるぞ」
ジュースを飲み終えたオブシディアさんがそう言った。
その一言にオーナーが食いつく。
「ほ、本当ですか!?」
「ジュースで水の精霊石を作って、それを水杯の材料にすればいいだけの話だろ」
「「……?」」
ジュースで、精霊石を、作る……?
前菜からメインまで全てフルーツが使われて、どれもお洒落で可愛い見た目の料理ばかり。
歯応えのある異国の梨に巻いた自家製生ハム。
桃を使ったカプレーゼ。
無花果と白身魚のカルパッチョ。
優しい味のする林檎のポタージュ。
仔牛のヒレ肉ステーキには、甘酸っぱいベリーソース。
パンにつけるジャムはどんなものかと思っていると、こちらはトマトとパプリカのジャム。
砂糖の量は控えめで、野菜の甘さに驚く。
デザートは異国のフルーツを使ったシャーベット。
鮮やかなオレンジ色をしているから酸っぱいのかと予想していたら、まったりと甘い。
バナナやメロンと似た甘さだけれど、そのどちらでもない風味。
味のバリエーションが豊富で、飽きが全くこないまま完食。
どれも美味しかったことをオーナーに伝えると、嬉しそうな笑みが返ってきた。
「あなた方は当店の救世主ですからね。ご満足いただけたようで幸いです」
「は、はぁ……」
「そうか」
反応に困っている私とは対照的に、オブシディアさんはさらりと受け流してサービスで出されたジュースを飲んでいた。
ジュースは数種類あって、私は数種類の林檎をブレンドしたもの。オブシディアさんは「色が綺麗」という理由でブルーベリーを頼んだ。
酸っぱそう……と思ったけれど、意外とそうでもない。
私の林檎ジュースも柔らかな甘みがあって美味しい。
これなら、「ああいうのって、ただ絞って砂糖を入れただけって味ばかりなのよねぇ……」とフルーツジュースに否定的な叔母様も合格点を出してくれると思う。
そう考えていると、そわそわした様子のオーナーに質問をされた。
「……リザリア様、オブシディア様。そちらのジュースお気に召していただけたでしょうか?」
「ええ、とても」
「それはよかった! 実は以前味についてご指摘を受けまして……それを踏まえて改良したところ、『前より美味しくなった』とお褒めの言葉をたくさんいただけるようになったのです」
これらのジュースが生まれるまで苦労を重ねてきたのね。
努力と執念の味といっても過言ではないのかも。
けれどオーナーの悩みはまだ尽きていないようで、難しい顔で深い溜め息をついてしまう。
「当店ではもっと皆様に召し上がっていただけるよう、テイクアウト化も検討中なんですが……」
「……難航していらっしゃるのですか?」
「そうなんですよ。ある程度時間が経つと、鮮度も味も落ちてしまうという難点がありましてね」
どうしてもその問題をクリアできないとのこと。
確かにこういう飲み物は、作りたてが一番美味しい。
このレストランには元魔法使いの従業員もいて、その方を中心に研究と開発を続けているらしいけれど……。
「ほら、『満ちる水杯』あるじゃないですか。あれと同じ要領で、ジュースを出すグラスが作れれば一番なんですが」
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その一言にオーナーが食いつく。
「ほ、本当ですか!?」
「ジュースで水の精霊石を作って、それを水杯の材料にすればいいだけの話だろ」
「「……?」」
ジュースで、精霊石を、作る……?
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