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10.計画成功(トール視点)
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両親にはリザリアがいくら僕が求めても、夜の相手をしてくれないことをアピールした。
これは本当だった。
同衾するなら仕事を手伝って欲しいって言われたけれど、僕は計算が苦手だ。字もそんなに上手くないから文章書きたくないし、長い文章を読むと目が疲れるし。
第一、夫が抱きたいって言っているんだから、妻はどんなに忙しくて受け入れるべきじゃないの?
とまあ、元々リザリアには不満を抱いていたというわけだ。
だから恨み辛みを込めてひたすらリザリアへの不満をぶちまければ、両親は僕に同情してくれた。
何だかんだで二人とも僕には甘いからね。
リザリアとは逆に、アデラのことはたくさん褒めまくった。
彼女のおかげで僕は笑顔でいられる。
アデラがいなかったら、僕は駄目になっていたって。
両親はそれもすぐに信じてくれた。
しかも父上の口から「リザリアとじゃなくて、アデラ嬢と結ばれるべきだった」って言葉を引き出せた。
あとは簡単。
僕は『リザリアとの生活に耐えきれず、アデラと会っていた可哀想な夫』を演じるだけ。
あ、アデラとはあくまで友人だって言い張ったけどね。
だって、妻以外に手を出した男呼ばわりは傷つくし?
両親があれこれ責め立てたおかげで、リザリアを屋敷から追い出すことにも成功!
あとは頃合いを見計らって、離婚届を出すだけ。
そしたらすぐにアデラと婚約して結婚ルート!
最高の計画だよね、これ。
アデラが帰った後、早く結婚したいなぁって口元を緩ませていると、広間では何故か母上が立腹していた。
誰かから届いた手紙を鋭く睨みつけている。
「母上、どうしたのです?」
「お母様から手紙が届いたのよ。『トールをアデラ嬢と再婚させるのはやめなさい。リザリア嬢と夫婦生活を続けなさい』ってね」
「な……っ」
何で余計なことを言うんだ、おばあ様は。
孫の結婚に口を出すのやめてくれないかな。
苛立ちを表に出さないよう、可哀想な息子を演じながら母上に尋ねる。
「は、母上ぇ、僕はどうすれば……」
「もちろん無視よ、無視! アデラさんともリザリアとも会ったことがないくせに、何勝手なことを言っているのかしらね!」
母上はそう仰って、おばあ様から届いた手紙をビリビリに破いて捨てた。
ほっ、母上が考えを改めなくてよかった。
安心していると、難しい顔をした父上が広間に入ってきた。
こ、今度は何だ。
再び緊張が走る。警戒していると母上が父上に「どうしました?」と聞いた。
「ああ……それがな、今度ハーライトが店を開くだろう? それで職人を募集をしていたんだが……」
あの厳ついおじさんの店か。
ディンデール家の嫌がらせで、ノエミ夫人の妹の店から従業員を根こそぎ奪ったって聞いたけど、まだ人を集めていたんだ。
相当大きな店なんだろうな、楽しみだ。
「とんだペテン師が現れたらしくてな。何でも他の職人に比べて半分以下の時間で、工芸品を作ったらしい」
「まあ! すごいじゃありませんか!」
「まさか! ハーライトよりも早い時間で、質のいい品物を作れる職人などいるはずがない。しかもまだ若い男だったそうだ。予め作っておいた物を魔法で出したか、粗悪品を一級品に見せかける魔法を使ったに違いない。さっさと追い返したとのことだ」
世の中には悪い奴もいるものだな。
そういう奴からアデラやフィリヌ家を守れるように僕も頑張らないと!
そう思いながら僕は自分の部屋に戻った。
これは本当だった。
同衾するなら仕事を手伝って欲しいって言われたけれど、僕は計算が苦手だ。字もそんなに上手くないから文章書きたくないし、長い文章を読むと目が疲れるし。
第一、夫が抱きたいって言っているんだから、妻はどんなに忙しくて受け入れるべきじゃないの?
とまあ、元々リザリアには不満を抱いていたというわけだ。
だから恨み辛みを込めてひたすらリザリアへの不満をぶちまければ、両親は僕に同情してくれた。
何だかんだで二人とも僕には甘いからね。
リザリアとは逆に、アデラのことはたくさん褒めまくった。
彼女のおかげで僕は笑顔でいられる。
アデラがいなかったら、僕は駄目になっていたって。
両親はそれもすぐに信じてくれた。
しかも父上の口から「リザリアとじゃなくて、アデラ嬢と結ばれるべきだった」って言葉を引き出せた。
あとは簡単。
僕は『リザリアとの生活に耐えきれず、アデラと会っていた可哀想な夫』を演じるだけ。
あ、アデラとはあくまで友人だって言い張ったけどね。
だって、妻以外に手を出した男呼ばわりは傷つくし?
両親があれこれ責め立てたおかげで、リザリアを屋敷から追い出すことにも成功!
あとは頃合いを見計らって、離婚届を出すだけ。
そしたらすぐにアデラと婚約して結婚ルート!
最高の計画だよね、これ。
アデラが帰った後、早く結婚したいなぁって口元を緩ませていると、広間では何故か母上が立腹していた。
誰かから届いた手紙を鋭く睨みつけている。
「母上、どうしたのです?」
「お母様から手紙が届いたのよ。『トールをアデラ嬢と再婚させるのはやめなさい。リザリア嬢と夫婦生活を続けなさい』ってね」
「な……っ」
何で余計なことを言うんだ、おばあ様は。
孫の結婚に口を出すのやめてくれないかな。
苛立ちを表に出さないよう、可哀想な息子を演じながら母上に尋ねる。
「は、母上ぇ、僕はどうすれば……」
「もちろん無視よ、無視! アデラさんともリザリアとも会ったことがないくせに、何勝手なことを言っているのかしらね!」
母上はそう仰って、おばあ様から届いた手紙をビリビリに破いて捨てた。
ほっ、母上が考えを改めなくてよかった。
安心していると、難しい顔をした父上が広間に入ってきた。
こ、今度は何だ。
再び緊張が走る。警戒していると母上が父上に「どうしました?」と聞いた。
「ああ……それがな、今度ハーライトが店を開くだろう? それで職人を募集をしていたんだが……」
あの厳ついおじさんの店か。
ディンデール家の嫌がらせで、ノエミ夫人の妹の店から従業員を根こそぎ奪ったって聞いたけど、まだ人を集めていたんだ。
相当大きな店なんだろうな、楽しみだ。
「とんだペテン師が現れたらしくてな。何でも他の職人に比べて半分以下の時間で、工芸品を作ったらしい」
「まあ! すごいじゃありませんか!」
「まさか! ハーライトよりも早い時間で、質のいい品物を作れる職人などいるはずがない。しかもまだ若い男だったそうだ。予め作っておいた物を魔法で出したか、粗悪品を一級品に見せかける魔法を使ったに違いない。さっさと追い返したとのことだ」
世の中には悪い奴もいるものだな。
そういう奴からアデラやフィリヌ家を守れるように僕も頑張らないと!
そう思いながら僕は自分の部屋に戻った。
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