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14.宣言
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コリューダ公爵からの謝罪要求に、会長はすぐに了承の返事を出した。
「お前は余計なことを何も言うな。ただ、頭を下げていればよい」
「わ……私も同行するのですか?」
会長だけが行くものだと思い込んでいた。戸惑いながら尋ねると、信じられないという表情で見られた。
「今回の件は貴様が引き起こしたことだぞ!? 当然ではないか!」
「も、申し訳ありません。このようなことは、トップ自らが解決なさるものとばかり」
「貴様は、自分に責任があるとは思わんのか?」
嫌な質問をする。私にも勿論、申し訳ないと思う気持ちはある。
私情を優先して、リディアを貶そうとした自覚もある。
だが、その……何だ。私にだけ、強く責任を求めるのは違うのではないだろうか?
事前に情報をくれなかった会長や、伯爵家でペラペラと喋ったエルマにも責任はある。
「所詮、貴様は顔だけの男だ」
不満が表情に出ていたのだろう。会長が忌々しそうに吐き捨てた。
「初めて私と会った時、貴様は自分が何と言ったか覚えているか?」
「い、いえ……」
「自分には商才がある。ルシマール商会の発展に貢献すると抜かしおった。逃げ出してきたとはいえ、元貴族だ。私もそれなりに期待していた。だが……」
会長は大きな溜め息をつく。
「商才なんてものはこれっぽっちもなかった。それに加えて、人間性が未熟ときた。本来ならすぐにでも追い出すところだったが、ミシェルの愛した男だ。何か一つでも光るものがあると思っていたが……娘に見る目がなかっただけらしい」
「な、なっ……何故そこまで言われなければならないのです!?」
「私や他の者がどれだけ尻拭いをしてきたと思っている!? 近頃は少しまともになったと思い、仕事を任せてみたらこれだ!」
尻拭い? そんなの初耳だ。私はいつだって、完璧に仕事をこなしていたのではないか?
「アデラに謝罪を済ませたら、お前はルシマール家から出て行ってもらう」
「そんな……! ミシェルは、エルマはどうなるのです!」
「娘は、暫く屋敷に閉じ込めておくことにした。エルマは……そうだな。修道院にでも送ろう。貴様の血が混じった孫など不要だ」
冷ややかな声で言い放つ。私だけではなく、エルマまで……。
会長は、それほどまでに私を憎んでいるのか。
「お前は余計なことを何も言うな。ただ、頭を下げていればよい」
「わ……私も同行するのですか?」
会長だけが行くものだと思い込んでいた。戸惑いながら尋ねると、信じられないという表情で見られた。
「今回の件は貴様が引き起こしたことだぞ!? 当然ではないか!」
「も、申し訳ありません。このようなことは、トップ自らが解決なさるものとばかり」
「貴様は、自分に責任があるとは思わんのか?」
嫌な質問をする。私にも勿論、申し訳ないと思う気持ちはある。
私情を優先して、リディアを貶そうとした自覚もある。
だが、その……何だ。私にだけ、強く責任を求めるのは違うのではないだろうか?
事前に情報をくれなかった会長や、伯爵家でペラペラと喋ったエルマにも責任はある。
「所詮、貴様は顔だけの男だ」
不満が表情に出ていたのだろう。会長が忌々しそうに吐き捨てた。
「初めて私と会った時、貴様は自分が何と言ったか覚えているか?」
「い、いえ……」
「自分には商才がある。ルシマール商会の発展に貢献すると抜かしおった。逃げ出してきたとはいえ、元貴族だ。私もそれなりに期待していた。だが……」
会長は大きな溜め息をつく。
「商才なんてものはこれっぽっちもなかった。それに加えて、人間性が未熟ときた。本来ならすぐにでも追い出すところだったが、ミシェルの愛した男だ。何か一つでも光るものがあると思っていたが……娘に見る目がなかっただけらしい」
「な、なっ……何故そこまで言われなければならないのです!?」
「私や他の者がどれだけ尻拭いをしてきたと思っている!? 近頃は少しまともになったと思い、仕事を任せてみたらこれだ!」
尻拭い? そんなの初耳だ。私はいつだって、完璧に仕事をこなしていたのではないか?
「アデラに謝罪を済ませたら、お前はルシマール家から出て行ってもらう」
「そんな……! ミシェルは、エルマはどうなるのです!」
「娘は、暫く屋敷に閉じ込めておくことにした。エルマは……そうだな。修道院にでも送ろう。貴様の血が混じった孫など不要だ」
冷ややかな声で言い放つ。私だけではなく、エルマまで……。
会長は、それほどまでに私を憎んでいるのか。
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