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28.新聞
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何じゃこりゃあ、と心の中で絶叫する。
困惑でガタガタと手を震わせつつ、記事を読み進めていく。
そこには私──正確に言えばリグレットが何者かに嵌められて、ブランシェの醜聞を吹聴した犯人に仕立てられ、とある修道院行きとなったと綴られていた。
しかもアデーレ事件における私の動きも載っている。無実なので修道院から出ないかと話を持ちかけられても、仲間たちを見捨てられないと拒否。
そしてグライン公爵家のレイス子息と共に、院長の不正を暴いて修道院を救った修道女と締め括られていた。
「うぅ、うっ、リグレット様……そうだったのですね……」
「リグレット様何も悪いことをしていないのに、可哀想ですよ!」
「皆この記事を読んで、本当のリグレット様を知ることができればいいのですが」
三人が感極まっている。まるで私が泣かせているようだ。ドアが開きっぱなしなので、何事かと他の修道女も集まってきて、新聞記事を読んで感動している。
「うええっ!? リグレット様ってそうだったの!?」
「道理で料理上手だし、畑仕事得意なわけだわ……」
「なのに、私たちのために修道院に残ってくれたんですか!?」
「こんな完璧な人、修道女の中の修道女以外あり得ない……」
「私、修道院に入ったはいいものの神様とかそういうの信じていませんでしたが、今信じるようになりました。だってリグレット様からは清らかなオーラを感じますもの」
修道院生活のおかげで信心深さが身に付いた皆の中で、私がどんどん神聖化されていく。
料理が上手いのは中学生の頃から台所に立っていたからだし、畑仕事が得意なのはそれが仕事だったからだ。
それにしても、何故こんな記事が載せられたのだろう。たかが男爵家の三女が濡れ衣着せられたことが判明した程度。一面トップを飾る内容とはとても思えない。
まさか……と脳裏に浮かんだのは、笑顔のレイス。けれどいくら彼でも、新聞社にあれこれと無茶振りを言うことはできないだろう。
あと、可能性があるとすれば……。
困惑でガタガタと手を震わせつつ、記事を読み進めていく。
そこには私──正確に言えばリグレットが何者かに嵌められて、ブランシェの醜聞を吹聴した犯人に仕立てられ、とある修道院行きとなったと綴られていた。
しかもアデーレ事件における私の動きも載っている。無実なので修道院から出ないかと話を持ちかけられても、仲間たちを見捨てられないと拒否。
そしてグライン公爵家のレイス子息と共に、院長の不正を暴いて修道院を救った修道女と締め括られていた。
「うぅ、うっ、リグレット様……そうだったのですね……」
「リグレット様何も悪いことをしていないのに、可哀想ですよ!」
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三人が感極まっている。まるで私が泣かせているようだ。ドアが開きっぱなしなので、何事かと他の修道女も集まってきて、新聞記事を読んで感動している。
「うええっ!? リグレット様ってそうだったの!?」
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それにしても、何故こんな記事が載せられたのだろう。たかが男爵家の三女が濡れ衣着せられたことが判明した程度。一面トップを飾る内容とはとても思えない。
まさか……と脳裏に浮かんだのは、笑顔のレイス。けれどいくら彼でも、新聞社にあれこれと無茶振りを言うことはできないだろう。
あと、可能性があるとすれば……。
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