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22、ローランの気持ち
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大好きなルイーザと一緒に寝られるなんて、僕は天にも昇る心地だった。
香水臭い母とちがって、ルイーザからはとっても良い香りがする。シャボンや丁寧に焚き込められた香木の香り。清らかな匂い。
寝るまえにたくさんの要求をしたことで、嫌われないかと不安になった。でも、彼女は僕をふんわり抱いてくれて、頬にチュッとキス……昇天。
普段の顔も好きだけど、眼鏡を取った時は釘付けになった。知的でクールな人が幼く見えるんだ。今、この瞬間、僕にしか見せない顔なんだって思うと、ゾクゾクしてしまった。あどけない彼女をずっと見つめていたい。
恋焦がれた人と同じベッドの中、手をつなぎ合っている。こんな状況下で寝られるわけがないじゃないか! 僕は一生懸命、寝たふりをした。彼女が甘い寝息を吐くまで待った。その美しい寝顔をじっくり堪能するつもりだったんだ。でも、悲しいかな、それは叶わなかった。
ルイーザは寝るまえにランタンの火を消した。だから、真っ暗。寝顔も何も見えない。
僕は明け方まで眠れなかったから、早起きできなかった。起きた時にはもう、ルイーザは身支度して済まし顔でお茶を飲んでいたのさ。
「よく眠れた?」と聞かれて、僕は嘘をついた。眠れなかったなんて正直に話そうものなら、過剰に心配するからね。こういうのは嬉しい反面、胸の奥がチリチリ痛む。母親ぶるのはやめてほしい。
けど、僕も子供という立場を充分に活用させてもらうよ。あなたが僕を子供扱いするなら、それを逆手に取ってやる。あなたの柔らかな胸に顔を埋められるのは、子供の特権だからね。
この屋敷に置いてもらう条件――“嘘をつかないこと”、“人に感謝すること”――最初から僕には守れないとわかっていた。
感謝はするようになったけど、正直者にはなれない。なぜなら、僕の本当の気持ちをあなたに言ったら、離れてしまうだろうから。
そもそも、引き取ってもらうことになったのだって、嘘が発端だった。
僕はうまいことやれと、母に言い聞かせられていたんだ。普通にしていたんじゃ、追い返されるのはわかっていたからね。親戚とはいえ、私生児を押し付けられて預かってくれるお人好しはいないよ。
世の中は厳しい、そんなことぐらい僕は身を持って学んでいたんだ。
追い返されれば、また祖父に折檻される。僕は必死だった。祖父のプルーニャ男爵はイカれた嗜虐趣味者だよ。世間の悪評どおりの男さ。ご立派なピヴォワン侯爵とはちがうの。
父親で居候のアルマンは息子の僕に興味ないから、気づきもしない。母に至っては、一緒になって虐待してくる。
そんな環境で育った僕がノエルを見てどう思ったか? 正直に言うよ。だらしない格好をして、使用人の子供と遊ぶあいつが不愉快極まりなかった。
母親のルイーザは甘くて、ちょっと転んだくらいで心配する。他のマダムたちと談笑している間も、ノエルはルイーザの目の端に映っていた。いつだって見守っているんだ。子供を道具としてしか見ないうちの母とは、天と地ほどの差がある。
僕は大切にされているノエルが憎かった。世の中はそんなに甘いもんじゃない。その澄んだエメラルドの瞳を汚してやりたいとさえ思ったんだ。
この屋敷に来て一日目のこと――
使用人?……乳母の子だったか、仲良しごっこをしているから、それもムカついた。僕には友達がいなかったからね。貴族の子と接する機会はあったが、みんな僕より愚かだし、退屈な奴らと幼稚な付き合いはしたくなかったんだ。使用人の子なんて、もってのほか。僕は格下とは付き合いたくない。
そんなふうに考えていたのさ、当時はね。
馬鹿は頭に血が上りやすい。安い友情なんかも好きだろう。そこを利用してやろうと思った。
僕の住んでいたプルーニャ男爵家では、使用人の命は蟻ん子と同じだった。祖父は戯れに人殺しをするような人だよ。乳母の子に剣を向けることくらい、我が家では普通のことだった。
ノエルは友達を守ろうと、向かってきたね。僕とノエルは剣で打ち合うことになった。馬鹿だけど、運動神経はいいのか。動揺しているにもかかわらず、手加減しているのがわかった。
軽くケガをするつもりだったから、僕も下手なりに剣を合わせてみた。ノエルは木剣、僕はレイピアというおかしな打ち合いだ。ノエルの力が強くて、僕のレイピアが折れてしまいそうだった。刃の付いてない飾り物の剣でも、壊したら酷い目に遭わされる。あの家に戻るつもりはないけど、まだうまくいく保証はない。僕は身体を固くした。
当然、剣で受けると想定された一撃を僕は身体で受けた。ノエルの木剣が、僕の肩に振り下ろされる。
激痛だったよ。だが、僕はもっと酷い痛みに耐えたこともある。これくらいは平気だった。
ケガをさせる気はなかったんだろうね。ノエルは呆然と立ち尽くした。
「ご、ごめん……」
そう、あやまってもくれたんだ。僕はノエルのそんなところにも腹が立った。敵をやっつけて、あやまる奴があるか? こいつは僕が壮絶な体罰に耐えている間、ぬるま湯に浸かって生きてきた。だから、こんな言動をするのだと、そう思った。
短剣を抜いて向けてやると、ノエルは目を見開いた。幼なじみとやらは、その間に逃げていたな。友情なんてそんなもんさ。
もちろん、僕も本気で刃物を使うつもりはない。母親に罪悪感を植え付けるにはケガの程度が足りないと思ったから、もう少し痛い思いをしようと思った。
だけど、ノエルは木剣を振り上げなかった。これ以上、僕を傷つけようとはしなかったんだ。しびれを切らした僕は垣根を短剣で荒らした。葉が落ちて吹雪みたいに舞ったよ。ノエルは「やめろ!」と叫んだ。
その時、垣根の向こうから足音が聞こえた。
僕たちは垣根の迷路の一番奥、袋小路にいた。足音の主が来るには、迂回しなければならない。少しだけ時間があった。
さっき逃げたチキン野郎が、大人を連れてきたんだ。僕はしゃがみこんで、被害者を装うことにした。
案の定、ルイーザはノエルが僕を暴行したと思ったんだよね。来るなり、青白い顔でノエルをにらんだ。うつむいた僕は地面を見ながら、ほくそ笑んだよ。
「ローランにあやまりなさい」
いつも優しいお母さまが大激怒。ケガをした、かわいそうな僕の味方になる。甘ったれは少しぐらい痛い目にあったほうがいいさ。
馬鹿は状況をうまく説明できず、逃げた。お母さまの優しさは被害者の僕に注がれる。ケガの程度は浅いが、ほぼ思い描いたとおりに、ことが運んでいた。
あとは服を脱ぐのを嫌がって、しぶしぶ身体の傷を見せる。
善良なルイーザは僕に同情して、すぐには追い出そうとしないだろう。それから、ノエルに打たれたケガの手当てをしてもらって……
想定外だったのはこのあと。ルイーザがじかに手当てをしてくれるとは、思わなかった。
初めての体験に僕は狼狽した。僕の母がこんなふうに触れてくれたことは、一度だってなかったからだ。処置できるだけいいほうで、だいたいは使用人が持ってきた薬を自分で塗ったり、消毒したりしていたんだ。
触れられたところから、じんわり温かくなって、筋肉が弛緩していった。心地よくて、もっと触れられたいと僕は思った。
こんな幸せを当たり前のように享受してきたノエルが妬ましくて、いっそう憎くなった。
眼鏡の奥の黒い目が笑う。艷やかな黒髪はまっすぐで、この人の心みたいだった。
母はこの人を悪女だと言っていた。自分の父親より年上の男をだまくらかして、財産と地位を得たのだと。
どこが悪女? 僕には聖女にしか見えなかった。所作のすべてが洗練されていて、嫌みを感じさせないし、可憐な唇から発せられる言葉は思慮深く、機知に富んでいる。いくらでも見入ってしまう、気高く清らかなひと……
この時から、僕はピヴォワン夫人、ルイーザに恋してしまったんだ。
香水臭い母とちがって、ルイーザからはとっても良い香りがする。シャボンや丁寧に焚き込められた香木の香り。清らかな匂い。
寝るまえにたくさんの要求をしたことで、嫌われないかと不安になった。でも、彼女は僕をふんわり抱いてくれて、頬にチュッとキス……昇天。
普段の顔も好きだけど、眼鏡を取った時は釘付けになった。知的でクールな人が幼く見えるんだ。今、この瞬間、僕にしか見せない顔なんだって思うと、ゾクゾクしてしまった。あどけない彼女をずっと見つめていたい。
恋焦がれた人と同じベッドの中、手をつなぎ合っている。こんな状況下で寝られるわけがないじゃないか! 僕は一生懸命、寝たふりをした。彼女が甘い寝息を吐くまで待った。その美しい寝顔をじっくり堪能するつもりだったんだ。でも、悲しいかな、それは叶わなかった。
ルイーザは寝るまえにランタンの火を消した。だから、真っ暗。寝顔も何も見えない。
僕は明け方まで眠れなかったから、早起きできなかった。起きた時にはもう、ルイーザは身支度して済まし顔でお茶を飲んでいたのさ。
「よく眠れた?」と聞かれて、僕は嘘をついた。眠れなかったなんて正直に話そうものなら、過剰に心配するからね。こういうのは嬉しい反面、胸の奥がチリチリ痛む。母親ぶるのはやめてほしい。
けど、僕も子供という立場を充分に活用させてもらうよ。あなたが僕を子供扱いするなら、それを逆手に取ってやる。あなたの柔らかな胸に顔を埋められるのは、子供の特権だからね。
この屋敷に置いてもらう条件――“嘘をつかないこと”、“人に感謝すること”――最初から僕には守れないとわかっていた。
感謝はするようになったけど、正直者にはなれない。なぜなら、僕の本当の気持ちをあなたに言ったら、離れてしまうだろうから。
そもそも、引き取ってもらうことになったのだって、嘘が発端だった。
僕はうまいことやれと、母に言い聞かせられていたんだ。普通にしていたんじゃ、追い返されるのはわかっていたからね。親戚とはいえ、私生児を押し付けられて預かってくれるお人好しはいないよ。
世の中は厳しい、そんなことぐらい僕は身を持って学んでいたんだ。
追い返されれば、また祖父に折檻される。僕は必死だった。祖父のプルーニャ男爵はイカれた嗜虐趣味者だよ。世間の悪評どおりの男さ。ご立派なピヴォワン侯爵とはちがうの。
父親で居候のアルマンは息子の僕に興味ないから、気づきもしない。母に至っては、一緒になって虐待してくる。
そんな環境で育った僕がノエルを見てどう思ったか? 正直に言うよ。だらしない格好をして、使用人の子供と遊ぶあいつが不愉快極まりなかった。
母親のルイーザは甘くて、ちょっと転んだくらいで心配する。他のマダムたちと談笑している間も、ノエルはルイーザの目の端に映っていた。いつだって見守っているんだ。子供を道具としてしか見ないうちの母とは、天と地ほどの差がある。
僕は大切にされているノエルが憎かった。世の中はそんなに甘いもんじゃない。その澄んだエメラルドの瞳を汚してやりたいとさえ思ったんだ。
この屋敷に来て一日目のこと――
使用人?……乳母の子だったか、仲良しごっこをしているから、それもムカついた。僕には友達がいなかったからね。貴族の子と接する機会はあったが、みんな僕より愚かだし、退屈な奴らと幼稚な付き合いはしたくなかったんだ。使用人の子なんて、もってのほか。僕は格下とは付き合いたくない。
そんなふうに考えていたのさ、当時はね。
馬鹿は頭に血が上りやすい。安い友情なんかも好きだろう。そこを利用してやろうと思った。
僕の住んでいたプルーニャ男爵家では、使用人の命は蟻ん子と同じだった。祖父は戯れに人殺しをするような人だよ。乳母の子に剣を向けることくらい、我が家では普通のことだった。
ノエルは友達を守ろうと、向かってきたね。僕とノエルは剣で打ち合うことになった。馬鹿だけど、運動神経はいいのか。動揺しているにもかかわらず、手加減しているのがわかった。
軽くケガをするつもりだったから、僕も下手なりに剣を合わせてみた。ノエルは木剣、僕はレイピアというおかしな打ち合いだ。ノエルの力が強くて、僕のレイピアが折れてしまいそうだった。刃の付いてない飾り物の剣でも、壊したら酷い目に遭わされる。あの家に戻るつもりはないけど、まだうまくいく保証はない。僕は身体を固くした。
当然、剣で受けると想定された一撃を僕は身体で受けた。ノエルの木剣が、僕の肩に振り下ろされる。
激痛だったよ。だが、僕はもっと酷い痛みに耐えたこともある。これくらいは平気だった。
ケガをさせる気はなかったんだろうね。ノエルは呆然と立ち尽くした。
「ご、ごめん……」
そう、あやまってもくれたんだ。僕はノエルのそんなところにも腹が立った。敵をやっつけて、あやまる奴があるか? こいつは僕が壮絶な体罰に耐えている間、ぬるま湯に浸かって生きてきた。だから、こんな言動をするのだと、そう思った。
短剣を抜いて向けてやると、ノエルは目を見開いた。幼なじみとやらは、その間に逃げていたな。友情なんてそんなもんさ。
もちろん、僕も本気で刃物を使うつもりはない。母親に罪悪感を植え付けるにはケガの程度が足りないと思ったから、もう少し痛い思いをしようと思った。
だけど、ノエルは木剣を振り上げなかった。これ以上、僕を傷つけようとはしなかったんだ。しびれを切らした僕は垣根を短剣で荒らした。葉が落ちて吹雪みたいに舞ったよ。ノエルは「やめろ!」と叫んだ。
その時、垣根の向こうから足音が聞こえた。
僕たちは垣根の迷路の一番奥、袋小路にいた。足音の主が来るには、迂回しなければならない。少しだけ時間があった。
さっき逃げたチキン野郎が、大人を連れてきたんだ。僕はしゃがみこんで、被害者を装うことにした。
案の定、ルイーザはノエルが僕を暴行したと思ったんだよね。来るなり、青白い顔でノエルをにらんだ。うつむいた僕は地面を見ながら、ほくそ笑んだよ。
「ローランにあやまりなさい」
いつも優しいお母さまが大激怒。ケガをした、かわいそうな僕の味方になる。甘ったれは少しぐらい痛い目にあったほうがいいさ。
馬鹿は状況をうまく説明できず、逃げた。お母さまの優しさは被害者の僕に注がれる。ケガの程度は浅いが、ほぼ思い描いたとおりに、ことが運んでいた。
あとは服を脱ぐのを嫌がって、しぶしぶ身体の傷を見せる。
善良なルイーザは僕に同情して、すぐには追い出そうとしないだろう。それから、ノエルに打たれたケガの手当てをしてもらって……
想定外だったのはこのあと。ルイーザがじかに手当てをしてくれるとは、思わなかった。
初めての体験に僕は狼狽した。僕の母がこんなふうに触れてくれたことは、一度だってなかったからだ。処置できるだけいいほうで、だいたいは使用人が持ってきた薬を自分で塗ったり、消毒したりしていたんだ。
触れられたところから、じんわり温かくなって、筋肉が弛緩していった。心地よくて、もっと触れられたいと僕は思った。
こんな幸せを当たり前のように享受してきたノエルが妬ましくて、いっそう憎くなった。
眼鏡の奥の黒い目が笑う。艷やかな黒髪はまっすぐで、この人の心みたいだった。
母はこの人を悪女だと言っていた。自分の父親より年上の男をだまくらかして、財産と地位を得たのだと。
どこが悪女? 僕には聖女にしか見えなかった。所作のすべてが洗練されていて、嫌みを感じさせないし、可憐な唇から発せられる言葉は思慮深く、機知に富んでいる。いくらでも見入ってしまう、気高く清らかなひと……
この時から、僕はピヴォワン夫人、ルイーザに恋してしまったんだ。
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