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徒然
なおちゃん①
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それは慎一郎が帰国した年の夏、久しぶりに乗らないか、とネイビーブルーの車で千晶を誘った。
千晶は明日の休みのために仕事の片を付け、遅い夕飯をあり合わせで済ませ、実家に向かうところだった。慎一郎自身はレセプションの帰り、運転があると言えば飲まずに済むのだ、と笑った。
「ちょっと遠回りでいい?」
「…何かあったの?」
慎一郎は千晶に向き、困ったように笑った。
話したい時は聞いてこないのに、こんな時だけ問うてくる。
「何っていう程のことはないんだ、こう、違和感が…、…ああ」
口にすれば自覚し、ぼんやりと降り積もる、その正体に気付く。そんなニュアンスを千晶は容易く聞き取って、微笑んだ。
気づけばもう大丈夫、慎一郎も軽く口角を上げた。
「安全運転でね」
「アキが運転する? いいの?」
「少し飲んじゃったから」
千晶は首を振ってから、エイリアンズはもう寝てる、と言った。急がなくてもいい。慎一郎も腕時計を外す。
とりあえず海を目指す。ラジオからも♪ I'm good ~と流れてくる。
「この車も走ってるの見かけなくなったね」
「ん、生産終了から20年経過した今、国内でナンバーついてるのが1万台強、そのなかで日常の足にしてる人は少ないね。辰巳や大黒には地方からも――」(※車自慢が集う首都高のPA)
「(始まったよ)寄らなくていいです、そういうのは男同士でどうぞ」
「男と連れション?」
「せめてコーヒー飲みたくなっちゃった位に言ってよね」
街にあふれていた車は、ある時からぴたりと個体数を減らす。まるで植生の遷移のようだ。そして、どこかにひっそりと残っている。
「ふっ、千晶センセの周りも車好き多いでしょ」
「まぁ、酒もたばこもうるさいし、息抜きってなると移動時間の車やバイクくらいしかないからねー」
「…あとは寝るだけって? 笑えないな」
「夜のほうも今は色々危険がって、あはは、この車は嫌いじゃないよ」
慎一郎も仕事では運転手付きの身分、こうして自分の車で移動するひとときはささやかな愉しみだ。
千晶は気分転換より睡眠時間の確保を優先する。車に興味がなさそうにしているが、これで軽やHV大衆車だったらドライブに付き合っていないんだろう、慎一郎の指摘に、千晶はそれはそれと笑って軽く背もたれを倒した。
慎一郎の乗る車は減ったが、代わりに直嗣の車に似たシルエットがちらほらと視界に入ってくる。
「直嗣さんは千葉だっけ、あの赤いの乗ってるの?」
「ああ、これも運転させろってうるさくてね。もう一台買おうかと、初期型の黄色でなんと2桁ナンバー――」
「(車好きってアタマおかし)その黄色はATってオチなの?」
「……アキ、優しさってなんだろね」
一を聞いて十を理解しても黙って最後まで話をきいて欲しいと思うのは我儘だろうか。
「あー……シンも蒐集癖に目覚めちゃった? 実家に専用ガレージ立てて歴代――」
「欲しくないといったら嘘になるけれどね、乗り切れないもの」
ガレージ付きのマンションは防犯と移動コストの短縮だ。2台分の駐車スペースにもこの車1台だけ。車は好きだが洗車も整備も人任せ、車を眺めながら酒を飲んだりもしない。
実家には用途別の自家用車が数台、車庫には十分空きがある。父親が頻繁に趣味車を入れ替える他は物持ちよく、減価償却も費用対効果もまるっと無視して維持。他の親族もおおむね同様で、経済規模からいえばかなり控え目な保有台数。
直嗣もまだ20歳の誕生日にパパが買ってくれた真っ赤なオープンカー1台。祖父母も同じ車を長く乗っている。
「そう、じゃぁずっとこれを乗り続けたいから予備に買っておく感じ? 赤いのも買っちゃう?」
「千晶さん、形あるものはいつか壊れる、執着は身を亡ぼす」
「……、えっと、直嗣さんの運転は意外とアレなの? 血の気が多すぎて同じの三台目とか? それとも壊滅的にへt」
「いいや、ふつう」
大人しいが言いたいことは言う直嗣、ハンドルを握っても直嗣のまま。死角の少ない車だからバンパー下に擦り傷をつくったくらいだ。休みの日にはドライブか、イグアナと猫に逢いに車で帰省するくらいに運転には慣れている。
「…普通ね」
「普通だよ、車のサイズを把握し、周囲に気を配り予測し、流れにのって走らせる。それだけのことだよ」
それすらできないってどうなのかな、と微笑む慎一郎の秘書はもう三人目。運転手並みのテクニックは求めていない。
千晶もにっこりと、微笑む。笑顔の下はここまで付き合ったんだからもういいでしょ、である。
「つまり普段楽して乗ってる直嗣さんに、繊細なコントロールが必要な俺様の愛車を運転させるのは嫌だ、だから代わりを用意してやる、アクセル踏むだけのATを、な」
「嫌じゃない、まだ早いってだけだよ」
言い回しにまでこだわる、慎一郎のMT至上主義は救いようがない。レーシングカーだって2ペダルだ。千晶はサイドブレーキに掛けられた腕時計と、この車と、どちらが高いのかと下世話なことを思いつつ。
「…直嗣さんの車を入れ替えておいてあげたら? そのほうが面白――泣いて喜ぶかも」
「アキ、それは財産権の侵害でしょ。直嗣が自主的に乗るかどうかだよ。七海くんだってMTでしょ。最初からATって――」
「七海は見た目重視、操作性は二の次なの。どっちか乗ってて言われて、もう一台のATにも一瞬心が揺れたみたいよ」
「猶更でしょ、初めての車はMT、わかってるよナツ君は」
「……、大きいほうは家の駐車スペースにとまらないし、七海も分不相応だって。ってかあれも個人所有だったんだねー。まぁ、ちっちゃいほうでよかったよ。小回り利くし、ツインズは屋根開けたらぐずらないし、あの振動で平気で寝てるし、(七海の)彼女もあれと軽トラなら酔わないって嬉しそうで」
「へぇ」
慎一郎は会話の主語に首を傾げつつ、適当に相槌をうつ。借り物とは聞いていたが、七海の乗っている車に見覚えはなかった。千晶の共通の認識を前提とした口ぶりは、さて。
「好き嫌いあるよね、あの車。兄も父もエンジン掛けたらないわーって顔で首振ってたもん。母は可愛すぎて私が乗ったらイタ過ぎるって。ナツの美意識過剰は母譲りよねー」
「two-cylinderはね、俺も遠慮するよ」
「ひっど、これだって2…なんでもない。ナツはあれ運転して楽しいって、彼女も免許取ろうかなって言い始めたし。あの二人変に趣味が似てんのね、ま、女と音楽は合わないみたいだからいいか」
「んー? 誰が?」
「(……ん?)車は乗ってなんぼだって、シンとはそこだけ合ってるね。好きににしてって言われて借りもんをいじくり回すナツもナツだし、あれ、うちの駐車スペース空いてるかな」
千晶も会話の前提が微妙にかみ合っていないと気づくと曖昧に濁した。同時に慎一郎も記憶と状況から推察するが、条件が合致しない。
「ん、それは大丈夫…あれ多摩ナンバーだったよね」
「ああ、今はナツの名義になってるの。何かあったときも手続きがスムーズだからって。ちゃんと一筆交わしてるよ」
七海が車を借りている相手は誠仁である。彼らの対面は想像にまかせよう、千晶がうんざりするほど短時間で意気投合し、マンションを引き払うときも色々貰ってきた。
車も方向性が似ていて、ガレージの置物にしたくなかった誠仁と、乗ってみたかった七海が維持費負担で合意。大きいほうは法人に貸与して病院の送迎や外出サービスに使用中。
「そう、ナツ君なら大丈夫だろう」
ここまでくると慎一郎も候補が絞れてきた。あいつめ、慎一郎は今日まで誠仁から七海に――会ったとも会っていないとも聞いていなかった。
「トラブルを避けていては何もできないからね。有事の対処こそ人の真価が問われる。直は俺より速いなら考えてやらないこともない」
「……まだ言ってる。二台で走るのも喜ぶだろうけど、大好きなお兄ちゃんの車だから乗ってみたいんでしょ、直嗣さんは。もったいぶると期待値が上がりすぎるんじゃなーい?」
「…ふん、憧れは手にした瞬間に色あせていくものだよ」
「憧れを追う君もまた誰かの憧れ、なんてねー」
千晶はまた微笑んだ、今度はなまぬるーく。その視線を追うようにラジオから♪follow you down~と流れてきた。まだ、ドライブは続く。
*
それからしばらくして、慎一郎が頬を腫らしてやって来た。千晶は保冷剤を差し出しながら一応心配そうなフリで確認する。
「どうしたの? 親知らず?」
「……直嗣」
あいつ本気で、と顔をしかめながらも声はどこか満足そうな響きが混じっていた。まさか車のことで殴られはしないだろう、だとしても自業自得だ。
「ふーん」
「直んちイグアナがいるんだよ。こーーんな大きくて、でも大人しくて人懐っこいんだ。あと猫が――」
「(イグアナの話は前に聞いた、ずいぶん長生きなんだな)へぇー、二人はね、ハシビロコウとカンガルーに興味があるみたいよ、本物みたら驚くだろうね」
カンガルーは多摩にもいるんだけどね、多摩と吉祥寺はね、もう行ったの。上野はまだなんだよなー、一人で連れてくのは無理だしー、今日は察してちゃんな慎一郎に、千晶はチラ見で反応を誘う。
「動物園か、久しぶりに行ってみるか」
私も一緒に行くとは言っていない――兄弟で怪獣二匹に手を焼いてぞんぶんに追い掛けっこすればいい、千晶はゆったり微笑んで頷いてみせた。
千晶は明日の休みのために仕事の片を付け、遅い夕飯をあり合わせで済ませ、実家に向かうところだった。慎一郎自身はレセプションの帰り、運転があると言えば飲まずに済むのだ、と笑った。
「ちょっと遠回りでいい?」
「…何かあったの?」
慎一郎は千晶に向き、困ったように笑った。
話したい時は聞いてこないのに、こんな時だけ問うてくる。
「何っていう程のことはないんだ、こう、違和感が…、…ああ」
口にすれば自覚し、ぼんやりと降り積もる、その正体に気付く。そんなニュアンスを千晶は容易く聞き取って、微笑んだ。
気づけばもう大丈夫、慎一郎も軽く口角を上げた。
「安全運転でね」
「アキが運転する? いいの?」
「少し飲んじゃったから」
千晶は首を振ってから、エイリアンズはもう寝てる、と言った。急がなくてもいい。慎一郎も腕時計を外す。
とりあえず海を目指す。ラジオからも♪ I'm good ~と流れてくる。
「この車も走ってるの見かけなくなったね」
「ん、生産終了から20年経過した今、国内でナンバーついてるのが1万台強、そのなかで日常の足にしてる人は少ないね。辰巳や大黒には地方からも――」(※車自慢が集う首都高のPA)
「(始まったよ)寄らなくていいです、そういうのは男同士でどうぞ」
「男と連れション?」
「せめてコーヒー飲みたくなっちゃった位に言ってよね」
街にあふれていた車は、ある時からぴたりと個体数を減らす。まるで植生の遷移のようだ。そして、どこかにひっそりと残っている。
「ふっ、千晶センセの周りも車好き多いでしょ」
「まぁ、酒もたばこもうるさいし、息抜きってなると移動時間の車やバイクくらいしかないからねー」
「…あとは寝るだけって? 笑えないな」
「夜のほうも今は色々危険がって、あはは、この車は嫌いじゃないよ」
慎一郎も仕事では運転手付きの身分、こうして自分の車で移動するひとときはささやかな愉しみだ。
千晶は気分転換より睡眠時間の確保を優先する。車に興味がなさそうにしているが、これで軽やHV大衆車だったらドライブに付き合っていないんだろう、慎一郎の指摘に、千晶はそれはそれと笑って軽く背もたれを倒した。
慎一郎の乗る車は減ったが、代わりに直嗣の車に似たシルエットがちらほらと視界に入ってくる。
「直嗣さんは千葉だっけ、あの赤いの乗ってるの?」
「ああ、これも運転させろってうるさくてね。もう一台買おうかと、初期型の黄色でなんと2桁ナンバー――」
「(車好きってアタマおかし)その黄色はATってオチなの?」
「……アキ、優しさってなんだろね」
一を聞いて十を理解しても黙って最後まで話をきいて欲しいと思うのは我儘だろうか。
「あー……シンも蒐集癖に目覚めちゃった? 実家に専用ガレージ立てて歴代――」
「欲しくないといったら嘘になるけれどね、乗り切れないもの」
ガレージ付きのマンションは防犯と移動コストの短縮だ。2台分の駐車スペースにもこの車1台だけ。車は好きだが洗車も整備も人任せ、車を眺めながら酒を飲んだりもしない。
実家には用途別の自家用車が数台、車庫には十分空きがある。父親が頻繁に趣味車を入れ替える他は物持ちよく、減価償却も費用対効果もまるっと無視して維持。他の親族もおおむね同様で、経済規模からいえばかなり控え目な保有台数。
直嗣もまだ20歳の誕生日にパパが買ってくれた真っ赤なオープンカー1台。祖父母も同じ車を長く乗っている。
「そう、じゃぁずっとこれを乗り続けたいから予備に買っておく感じ? 赤いのも買っちゃう?」
「千晶さん、形あるものはいつか壊れる、執着は身を亡ぼす」
「……、えっと、直嗣さんの運転は意外とアレなの? 血の気が多すぎて同じの三台目とか? それとも壊滅的にへt」
「いいや、ふつう」
大人しいが言いたいことは言う直嗣、ハンドルを握っても直嗣のまま。死角の少ない車だからバンパー下に擦り傷をつくったくらいだ。休みの日にはドライブか、イグアナと猫に逢いに車で帰省するくらいに運転には慣れている。
「…普通ね」
「普通だよ、車のサイズを把握し、周囲に気を配り予測し、流れにのって走らせる。それだけのことだよ」
それすらできないってどうなのかな、と微笑む慎一郎の秘書はもう三人目。運転手並みのテクニックは求めていない。
千晶もにっこりと、微笑む。笑顔の下はここまで付き合ったんだからもういいでしょ、である。
「つまり普段楽して乗ってる直嗣さんに、繊細なコントロールが必要な俺様の愛車を運転させるのは嫌だ、だから代わりを用意してやる、アクセル踏むだけのATを、な」
「嫌じゃない、まだ早いってだけだよ」
言い回しにまでこだわる、慎一郎のMT至上主義は救いようがない。レーシングカーだって2ペダルだ。千晶はサイドブレーキに掛けられた腕時計と、この車と、どちらが高いのかと下世話なことを思いつつ。
「…直嗣さんの車を入れ替えておいてあげたら? そのほうが面白――泣いて喜ぶかも」
「アキ、それは財産権の侵害でしょ。直嗣が自主的に乗るかどうかだよ。七海くんだってMTでしょ。最初からATって――」
「七海は見た目重視、操作性は二の次なの。どっちか乗ってて言われて、もう一台のATにも一瞬心が揺れたみたいよ」
「猶更でしょ、初めての車はMT、わかってるよナツ君は」
「……、大きいほうは家の駐車スペースにとまらないし、七海も分不相応だって。ってかあれも個人所有だったんだねー。まぁ、ちっちゃいほうでよかったよ。小回り利くし、ツインズは屋根開けたらぐずらないし、あの振動で平気で寝てるし、(七海の)彼女もあれと軽トラなら酔わないって嬉しそうで」
「へぇ」
慎一郎は会話の主語に首を傾げつつ、適当に相槌をうつ。借り物とは聞いていたが、七海の乗っている車に見覚えはなかった。千晶の共通の認識を前提とした口ぶりは、さて。
「好き嫌いあるよね、あの車。兄も父もエンジン掛けたらないわーって顔で首振ってたもん。母は可愛すぎて私が乗ったらイタ過ぎるって。ナツの美意識過剰は母譲りよねー」
「two-cylinderはね、俺も遠慮するよ」
「ひっど、これだって2…なんでもない。ナツはあれ運転して楽しいって、彼女も免許取ろうかなって言い始めたし。あの二人変に趣味が似てんのね、ま、女と音楽は合わないみたいだからいいか」
「んー? 誰が?」
「(……ん?)車は乗ってなんぼだって、シンとはそこだけ合ってるね。好きににしてって言われて借りもんをいじくり回すナツもナツだし、あれ、うちの駐車スペース空いてるかな」
千晶も会話の前提が微妙にかみ合っていないと気づくと曖昧に濁した。同時に慎一郎も記憶と状況から推察するが、条件が合致しない。
「ん、それは大丈夫…あれ多摩ナンバーだったよね」
「ああ、今はナツの名義になってるの。何かあったときも手続きがスムーズだからって。ちゃんと一筆交わしてるよ」
七海が車を借りている相手は誠仁である。彼らの対面は想像にまかせよう、千晶がうんざりするほど短時間で意気投合し、マンションを引き払うときも色々貰ってきた。
車も方向性が似ていて、ガレージの置物にしたくなかった誠仁と、乗ってみたかった七海が維持費負担で合意。大きいほうは法人に貸与して病院の送迎や外出サービスに使用中。
「そう、ナツ君なら大丈夫だろう」
ここまでくると慎一郎も候補が絞れてきた。あいつめ、慎一郎は今日まで誠仁から七海に――会ったとも会っていないとも聞いていなかった。
「トラブルを避けていては何もできないからね。有事の対処こそ人の真価が問われる。直は俺より速いなら考えてやらないこともない」
「……まだ言ってる。二台で走るのも喜ぶだろうけど、大好きなお兄ちゃんの車だから乗ってみたいんでしょ、直嗣さんは。もったいぶると期待値が上がりすぎるんじゃなーい?」
「…ふん、憧れは手にした瞬間に色あせていくものだよ」
「憧れを追う君もまた誰かの憧れ、なんてねー」
千晶はまた微笑んだ、今度はなまぬるーく。その視線を追うようにラジオから♪follow you down~と流れてきた。まだ、ドライブは続く。
*
それからしばらくして、慎一郎が頬を腫らしてやって来た。千晶は保冷剤を差し出しながら一応心配そうなフリで確認する。
「どうしたの? 親知らず?」
「……直嗣」
あいつ本気で、と顔をしかめながらも声はどこか満足そうな響きが混じっていた。まさか車のことで殴られはしないだろう、だとしても自業自得だ。
「ふーん」
「直んちイグアナがいるんだよ。こーーんな大きくて、でも大人しくて人懐っこいんだ。あと猫が――」
「(イグアナの話は前に聞いた、ずいぶん長生きなんだな)へぇー、二人はね、ハシビロコウとカンガルーに興味があるみたいよ、本物みたら驚くだろうね」
カンガルーは多摩にもいるんだけどね、多摩と吉祥寺はね、もう行ったの。上野はまだなんだよなー、一人で連れてくのは無理だしー、今日は察してちゃんな慎一郎に、千晶はチラ見で反応を誘う。
「動物園か、久しぶりに行ってみるか」
私も一緒に行くとは言っていない――兄弟で怪獣二匹に手を焼いてぞんぶんに追い掛けっこすればいい、千晶はゆったり微笑んで頷いてみせた。
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