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必然
8.
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『車なんて動けばいい』そう心のなかで言ったくせに、なかなかどうして千晶も楽しんでいる。女の何でもいいは何でもよくない。
暫くは周囲に気を配っていた慎一郎も千晶の運転が大丈夫そうだと踏むと気を好くし、もう一度行こうと麓の駐車場でUターンさせた。
「運転しやすいねぇ、ゲームみたいで面白いしこれ」
「珍しがって遊ぶのは最初だけだよ」
「…お兄ちゃんはもう飽きたんだ」
ステアリングの両脇下に付いたレバーでマニュアル車のようにシフト操作が出来る、が、レスポンスだの左足がどうのブレーキがどうのと慎一郎のMT至上主義が始まる。
千晶は車が趣味の男はダメという女友達の主張を思い出していた。車好きは往々にして金(と時間)の使い方が間違ってるというのが本来の主旨らしいが、それ以前の問題だ。変な改造はしていなかったし、運転は常識的なのに、一言感想を言っただけこれ。
男には女の買い物の楽しみが分からないらしい、それと似ている。
「直は運転する喜びを分かってない」
「まだ言ってる。渋滞時は楽でしょ、――直嗣さんは女の子とお手々つないだままドライブしたかったとか(適当)」
「…女?」
「(え、そこ? 片手運転ってとこは?)……お兄さん、弟さんはもう21よ。助手席に乗せる女性がママだけなんて、おばちゃん問題だと思うわ」
(おばさん呼びを)まだ根に持ってる、そう突っ込む声が返ってこない。代わりに、憮然とした空気が伝わってくる。
「(何このポンコツ)照れ屋さんだからねぇ、お兄ちゃんにはそういう話はしないかな、って本人がいないとこで言っても仕方ないか。大学生よ、大学生。今遊ばなくていつ遊ぶの、実験にこもり切りなんて逆に心配だわー」
『おばさんにだけは心配されたくない』そんな声が聞こえてきそうだ。
千晶には好戦的な直嗣も、一般的な目でみれば十分いいほうの青年。ひょろ長いもやしっ子も言い換えれば、恐怖感を与えない長身。根は優しそうだし、顔も性格も良すぎないから親しみがある。好みはうるさそうだが、女に幻想を抱いて拗らせてはいない感じ。
「……お姉さん、これで?」
「個人の趣味でしょ、私はvinyl派だけど」
昔、慎一郎のドライビングミュージックを二曲(※20分経過)でラジオに切り替えたのは誰でもない、今運転席に座るアナログ派だとか斜め上なこの女。これもナシだろう、と慎一郎は数枚のCDを放り投げるフリをする。
「…これで? 女性を乗せてスト〇ークス? お、フ〇イドに、9I…」
「♪ででっででーで それで? キ〇ーズでも入れとこっか、ストラング〇ーズ? 5FD…」
「no way」
納得のいかない兄は更に女の形跡を探す。千晶はコンソールボックスに手を掛けたブラコンを制し、車を路肩に停める。そもそも女子受けという意味なら音楽以前にスポーツカーな時点でアウト、ルーフを開けて走ろうものなら一発退場、連絡取れなくなって当然。
「女の子と一緒ならストリーミング繋いで聴いてるんじゃない? あ、ひざ掛けは積んであるじゃない、だからって問い詰めたりしちゃだめだよ」
「……」
兄の趣味も弟の趣味も千晶にしたらどっちもどっち。違っていていいのだ。自分の好きなものを知ってほしい、好きな人の好きなものが自分の好みになる。その同一化を経て個々人の同一性が確立する。
千晶は一度、バイト先で直嗣と母親を見かけていた。なんとなく、あの親子なら大丈夫な感がある。きちんと母と息子だった。
「直ちゃんはあなたの兄弟でしょ」
どうとでも取れる千晶の言葉。兄は複雑だ、適当に遊ぶ弟も嫌だが、変なのに引っ掛かっても困る。慎一郎はずっと胸に秘めたままの考えがある。そのためにもいい相手を見つけて欲しい。
千晶が、困ったように微笑んでみせた。何も知らないはずの千晶が何もかも見通しているようで、慎一郎も困ったように眉を下げた。
「何なの、アキは」
「別に、ほら、あれ」千晶が右斜め前、1時の方向を指さす。
白霧が流れて谷に注いでいく。
「雪壁に雲海、おー」
慎一郎はスマホを取り出して動画を撮り始めた。
一昨日開通したばかりの回廊は白く美しい。
溶けた雪に濡れたアスファルトの黒は濃く、真紅のボンネットは快晴に深みを増す。
空は遠く青く、白が眩し過ぎて千晶の横顔が光に侵食される。
「綺麗だね」千晶はそれだけ言った。慎一郎は「ああ」とだけ返した。以前来た時の、何気ない会話には触れなかった。慎一郎も誰かと来たかとヤボなことは口にしなかった。
*
「わんこ違ってたね」
「若返ったんだよ」
「ちょっとどこに足置いてんの、じゃま」
「いやぁ快適快適」
峠の茶屋で犬をモフり、三往復目、慎一郎はダッシュボード上にそこそこ長い脚を投げ出した。完全にリラックスモード。千晶が足癖を咎めるもどこ吹く風だ。
育ちと品性――これも日本的な行儀か、靴に対する衛生観念が違うのだ。
お互い価値観は尊重して押し付けあうことがなかった。二人とも根は素直なのだろう、相手が不快に感じるといえばその行為は閉ざされた。
千晶は慎一郎の土足の概念とシャツガーターがマヌケで嫌だといい、慎一郎はご飯に生卵と納豆をかけて食べるのを見るに耐えないと言った。シャツガーターは封印されドアマットにハリネズミが追加された。千晶が納豆を買ってくることは無くなり、半熟の目玉焼きで妥協した。
目玉焼きに何をかけるかって? それはお好きに。
「坊ちゃま、エアバッグが開いたらお顔からおみ足が生えることになりますよ」
「ばぁやこそボケちゃったの? 何も無い所でブレーキなんて」
「……解放感ならいっそ後に箱乗りがおススメですよ」
「いいね、チケット切られるのはアキだよ」
下らないやり取りを笑いあいながら「少し歩こう」と慎一郎は駐車スペースを指さした。
「where in the hell!」
「ん? お知り合い? 今誰も乗ってないよ」
ほぼ満車に近く空きは少ないが、なぜDB11の隣を目指すのか。
ミニバンに挟まれるよりいいでしょ、と千晶はさっさと超高級車の隣に大衆車を停めると、マイペースに口笛を吹いて鍵を持ったまま歩きだした。
♪♪~♪~
(また古い曲を…)この突拍子もない所があいまいさなのだろうか。慎一郎はオープンカーが二台並んだ図とともに溜息をつく。
ふとそのメロディが直嗣の車のエンブレムと同じアイコンの曲だと気づくと、眩しく白い雪壁にやっと千晶の姿がくっきりと見えた気がした。
慎一郎は千晶の口笛を咎めない。
口笛に続き、うろ覚えな歌詞で歌い始めた千晶を慎一郎が引き継いで歌うと、千晶はそっと微笑んだ。
そこへ通りがかった壮年の夫婦が足を留め、振り返ると懐かしそうに微笑み合った。
風も変わるだろうか。
***
“24日に通行解除となった――” その日の夕方のスポットニュースに一瞬だけ映った愛車とそのドライバーに、直嗣は飲んでいた紙パックのジュースを吹き出した。
暫くは周囲に気を配っていた慎一郎も千晶の運転が大丈夫そうだと踏むと気を好くし、もう一度行こうと麓の駐車場でUターンさせた。
「運転しやすいねぇ、ゲームみたいで面白いしこれ」
「珍しがって遊ぶのは最初だけだよ」
「…お兄ちゃんはもう飽きたんだ」
ステアリングの両脇下に付いたレバーでマニュアル車のようにシフト操作が出来る、が、レスポンスだの左足がどうのブレーキがどうのと慎一郎のMT至上主義が始まる。
千晶は車が趣味の男はダメという女友達の主張を思い出していた。車好きは往々にして金(と時間)の使い方が間違ってるというのが本来の主旨らしいが、それ以前の問題だ。変な改造はしていなかったし、運転は常識的なのに、一言感想を言っただけこれ。
男には女の買い物の楽しみが分からないらしい、それと似ている。
「直は運転する喜びを分かってない」
「まだ言ってる。渋滞時は楽でしょ、――直嗣さんは女の子とお手々つないだままドライブしたかったとか(適当)」
「…女?」
「(え、そこ? 片手運転ってとこは?)……お兄さん、弟さんはもう21よ。助手席に乗せる女性がママだけなんて、おばちゃん問題だと思うわ」
(おばさん呼びを)まだ根に持ってる、そう突っ込む声が返ってこない。代わりに、憮然とした空気が伝わってくる。
「(何このポンコツ)照れ屋さんだからねぇ、お兄ちゃんにはそういう話はしないかな、って本人がいないとこで言っても仕方ないか。大学生よ、大学生。今遊ばなくていつ遊ぶの、実験にこもり切りなんて逆に心配だわー」
『おばさんにだけは心配されたくない』そんな声が聞こえてきそうだ。
千晶には好戦的な直嗣も、一般的な目でみれば十分いいほうの青年。ひょろ長いもやしっ子も言い換えれば、恐怖感を与えない長身。根は優しそうだし、顔も性格も良すぎないから親しみがある。好みはうるさそうだが、女に幻想を抱いて拗らせてはいない感じ。
「……お姉さん、これで?」
「個人の趣味でしょ、私はvinyl派だけど」
昔、慎一郎のドライビングミュージックを二曲(※20分経過)でラジオに切り替えたのは誰でもない、今運転席に座るアナログ派だとか斜め上なこの女。これもナシだろう、と慎一郎は数枚のCDを放り投げるフリをする。
「…これで? 女性を乗せてスト〇ークス? お、フ〇イドに、9I…」
「♪ででっででーで それで? キ〇ーズでも入れとこっか、ストラング〇ーズ? 5FD…」
「no way」
納得のいかない兄は更に女の形跡を探す。千晶はコンソールボックスに手を掛けたブラコンを制し、車を路肩に停める。そもそも女子受けという意味なら音楽以前にスポーツカーな時点でアウト、ルーフを開けて走ろうものなら一発退場、連絡取れなくなって当然。
「女の子と一緒ならストリーミング繋いで聴いてるんじゃない? あ、ひざ掛けは積んであるじゃない、だからって問い詰めたりしちゃだめだよ」
「……」
兄の趣味も弟の趣味も千晶にしたらどっちもどっち。違っていていいのだ。自分の好きなものを知ってほしい、好きな人の好きなものが自分の好みになる。その同一化を経て個々人の同一性が確立する。
千晶は一度、バイト先で直嗣と母親を見かけていた。なんとなく、あの親子なら大丈夫な感がある。きちんと母と息子だった。
「直ちゃんはあなたの兄弟でしょ」
どうとでも取れる千晶の言葉。兄は複雑だ、適当に遊ぶ弟も嫌だが、変なのに引っ掛かっても困る。慎一郎はずっと胸に秘めたままの考えがある。そのためにもいい相手を見つけて欲しい。
千晶が、困ったように微笑んでみせた。何も知らないはずの千晶が何もかも見通しているようで、慎一郎も困ったように眉を下げた。
「何なの、アキは」
「別に、ほら、あれ」千晶が右斜め前、1時の方向を指さす。
白霧が流れて谷に注いでいく。
「雪壁に雲海、おー」
慎一郎はスマホを取り出して動画を撮り始めた。
一昨日開通したばかりの回廊は白く美しい。
溶けた雪に濡れたアスファルトの黒は濃く、真紅のボンネットは快晴に深みを増す。
空は遠く青く、白が眩し過ぎて千晶の横顔が光に侵食される。
「綺麗だね」千晶はそれだけ言った。慎一郎は「ああ」とだけ返した。以前来た時の、何気ない会話には触れなかった。慎一郎も誰かと来たかとヤボなことは口にしなかった。
*
「わんこ違ってたね」
「若返ったんだよ」
「ちょっとどこに足置いてんの、じゃま」
「いやぁ快適快適」
峠の茶屋で犬をモフり、三往復目、慎一郎はダッシュボード上にそこそこ長い脚を投げ出した。完全にリラックスモード。千晶が足癖を咎めるもどこ吹く風だ。
育ちと品性――これも日本的な行儀か、靴に対する衛生観念が違うのだ。
お互い価値観は尊重して押し付けあうことがなかった。二人とも根は素直なのだろう、相手が不快に感じるといえばその行為は閉ざされた。
千晶は慎一郎の土足の概念とシャツガーターがマヌケで嫌だといい、慎一郎はご飯に生卵と納豆をかけて食べるのを見るに耐えないと言った。シャツガーターは封印されドアマットにハリネズミが追加された。千晶が納豆を買ってくることは無くなり、半熟の目玉焼きで妥協した。
目玉焼きに何をかけるかって? それはお好きに。
「坊ちゃま、エアバッグが開いたらお顔からおみ足が生えることになりますよ」
「ばぁやこそボケちゃったの? 何も無い所でブレーキなんて」
「……解放感ならいっそ後に箱乗りがおススメですよ」
「いいね、チケット切られるのはアキだよ」
下らないやり取りを笑いあいながら「少し歩こう」と慎一郎は駐車スペースを指さした。
「where in the hell!」
「ん? お知り合い? 今誰も乗ってないよ」
ほぼ満車に近く空きは少ないが、なぜDB11の隣を目指すのか。
ミニバンに挟まれるよりいいでしょ、と千晶はさっさと超高級車の隣に大衆車を停めると、マイペースに口笛を吹いて鍵を持ったまま歩きだした。
♪♪~♪~
(また古い曲を…)この突拍子もない所があいまいさなのだろうか。慎一郎はオープンカーが二台並んだ図とともに溜息をつく。
ふとそのメロディが直嗣の車のエンブレムと同じアイコンの曲だと気づくと、眩しく白い雪壁にやっと千晶の姿がくっきりと見えた気がした。
慎一郎は千晶の口笛を咎めない。
口笛に続き、うろ覚えな歌詞で歌い始めた千晶を慎一郎が引き継いで歌うと、千晶はそっと微笑んだ。
そこへ通りがかった壮年の夫婦が足を留め、振り返ると懐かしそうに微笑み合った。
風も変わるだろうか。
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