102 / 138
蓋然
3.
しおりを挟む
「寝てた? うん、藤堂さん来てるよ、…………、ああ、カニ買ってきて、カニね、あー聞こえない。よろしく」
板の間に正座――ではなく胡坐をかいた慎一郎の膝にはひよが乗っている。今日はチャコールグレーのロングエプロンを渡された。七海はストーブのケトルに水を継ぎ足す間で通話を終えた。相手は千晶と兄か、肝心なところをスルーして話が進んでいく。過ぎたことをあれこれいっても始まらないが。
「寝ぼけてる。兄貴に帰ってくるように連絡したから、それまで風呂にでもどう?」
「ありがとう」
そこまで甘えられないとかぶりをふる。私情はぶつけても立ち位置はいつもニュートラル。本当に揺るがないのは姉弟そっくりで。
「アキは大学の傍に部屋を借りて家と行ったり来たりしてる。病院も向こうが近いんだ。条件に合う処がこっちになくてね」
七海はどこまで話していいのか、判断がつきかねるという顔で言葉を切った。
「アキは俺らにも『何も言わない』だけで『俺も言う立場にない』――ただ、根回しはしとかないとね。
兄貴もクズだからさ、悪いほうに邪推しちゃったんじゃないの? 兄は両親より保護者ヅラしてるのが厄介でね。二言目には俺が拾ってやった、俺が名前を、オムツを、ミルクをって」
「お兄さんが弟妹を強請ったって話は聞いたよ、よくある話でしょ」
神様にお願いと照れ笑いでごまかされるか、お前ひとりで十分と吐き捨てられるにしろ、子供が一度は口にする類のもの。その先の責任は保護者が負うことだ。
「それに子守は本来年嵩が担うものだ、教え導いてこそ自身も成長し、責任感も生じる。俺にも弟がいるが、特別な存在だよ。小さな手が俺の指を握ったあの日から――」
「…俺と同じ歳って言ってなかった? その下もいるの? 年の離れた弟妹はさぞかしかわいいんでしょうね」
七海がそこまでと優しい微笑みで制す。
彼が話を遮ってたのは初めてで、慎一郎は肩を竦める。
「アキにも以前窘められたよ。アキや君とは対等に思えるのに、弟は弟なんだ。俺はともかく、レオさんはいいお兄さんじゃないか、懐が深いっての?」
「あー、……」
七海は世も末と蟀谷に親指と薬指をあて、もみほぐした。目の前のブラコンにも、怖いもの知らずな姉に対しても、頭痛が痛い。
慎一郎はといえば、君の姉さんは至極真っ当なことを言っただけし、君のお兄さんも好い加減に真っ当だ、そうだろう? と、実は変な趣味でもあるんじゃないかと七海の疑いのまなざしの笑顔で跳ねのける。
「…うちの両親のことは何か聞いてる?」
「いいや、お互いが唯一過ぎるようなことは言っていたけれど、見たままだよね」
「そ、仲がいいんですよ、昔からね。ただ、子供としてはどうなんでしょう。カズがどんな気持ちで4歳まで過ごしたのか、どんな心境で駄々をこねてみせたのか。――両親がどんな思いで応えたのか」
家族仲は良いはずのに、七海も千晶もどこか両親に対して距離感のある口調。どこの家庭にも程度の差はあれ問題はあるものだ。細かな不満はあるけれど、おおむねよき父よき母である。それは七海もわかっていて、うまく違和感のようなものを表現し難いようだった。
「今回のことも両親のほうは問題ないんだ。世間体なんて気にしてない。父は固まってたけど、母は落ち着いてててね、アキが服借りるって連絡しただけでなんとなく気づいたって、女の勘て怖いよね、――散々説教して――アキの友人や大学もね」
七海はまた言葉をきり、ネジのズレた姉とその周囲のアホアホエピソードを語った。彼らのだれも千晶の選択を否定せず――代わりに子としての体験を話すのだ。
「詳細は省くけど、両親共肉親の情に薄く、その代わり周囲には恵まれたそうです。それで駆け落ち同然で結婚」母方から反対されたという程度の話で、名家だとか式の最中にかっさらったとかのドラマチックなものではないと言い添えた。
「――ま、祝福されての結婚でも同じことだった。そう言い切ったから複雑なんでしょう。今は最低限の連絡だけで親族との行き来はありません。両親も、問題があるのは理解しています」
面倒な相手との付き合い、地方地方による慣習の違い、親族、身内という感覚。言葉で教わるのと肌身で感じるのは別だ。知って拒否するのと、知らずに過ごすのとは違う。
「父方とは仲がいいんです、それはそれで遠慮があって、一方とだけ仲良くするのもどうか、というのもあるんでしょう。ここまではどこにでも転がってる話ですよ」
子は親の鏡なら、その親の親も然り。どちらもしっかりした祖父母なのだろうと伺い知れる。それだけに溝は深い、慎一郎も心当たりのある境遇に軽く頷くと、七海も苦笑交じりで応えた。
「――俺が物心ついた時にはアキがいて、兄貴と両親がいた。俺が一番無邪気に過ごしてたと思う。あの年代の人は結婚して家庭子供をもつのが自然な流れで、そこに落とし穴があるとは思っていなかった。いや、父は薄々覚悟していたんでしょう、母のほうがね。両親が自分達の危うさに向き合って努力していたのはわかりました。ただ、彼らが自覚する以前にカズやアキは気づいていたんだと思う」
自分が面倒をみるからと強請った結果、兄は、それはそれは弟妹を自分のもののようにかいがいしく世話を焼いた。立ち独り歩きするようになれば逞しくあれと谷底に突き落とし、世の酸いを教えたのも兄だ。
「年子で母の体調が悪かったとはいえ、兄の世話焼きに責任感以上のものを感じ取っていたんでしょう。彼らも子供が親の代役を務める異常性はよしとしなかった。いろいろぶつかったりしてはみても、――人外だからさ」
両親も手をこまねいていたのではない、ただ、知性は経験値で勝っても知能の差は雲泥。
自分よりできる奴をコントロールできるかと問われたら。猫がライオンを飼いならせるか。野生は人の手で育てても懐かないから野生なのだ。
「だから名前よびなんだね」
「そ、そして拾い子が俺でなくアキなのか」
空から落ちてきた男の子と、彼が拾った女の子。それもまた物心ついた時から耳にしていた冗談だった。
戸籍と母子手帳から逆算すると兄は(旅行に行ってないが)ハネムーンベイビー、その兄が誕生日からクリスマスまでごねた千晶が9月生まれで、解せないのは翌年7月に生まれた七海のほうだ。
慎一郎にとって離れて暮らしても直嗣は弟、母親が違えども他人と疑ったことはない。単なる身内意識か、それとも血のなせるものか。
「うちの母娘の関係が良好なのは兄の緩衝と橋渡しがあったからです。今じゃ信じられないだろうけど、昔のアキはお兄ちゃん子で……」
弟は昔の話、姉の黒歴史だから触れてやらないでくれと小声になった。
「健全な成長過程、と言えるのでは」
「よく言いすぎですよ」
板の間の石油ストーブに乗せたケトルから細く湯気が立ち昇る。
「カズにはこの世界がどう見えているんだろう、そう思うことがあります。ある日――」
七海は独り言のようにつぶやき、最後は口にしなかった。
彼もまた兄を想い、そして。
代わりにケトルの湯気を目で追った。慎一郎もあとに続いた。
視線は天上へ、そして少し下がって止まる。
ススキで出来たフクロウとミミズクが二羽、欄間から部屋を見下ろしていた。
「アキもね10月だったかな、突然伊豆へドライブへ出かけていったんです。で、帰って来てからowl達を作って」
軽トラで多摩川の土手へ。そして大小さまざまなフクロウやウサギや子供にしか見えないふしぎな生き物を、家の中――板の間で友達と服も部屋も猫も芒まみれにして、と七海はぶつくされた。
「仙石原か、アキは何もないところが好きだよね」
「なんだかね、もっとお花畑で居そうなのに、頭んなかは荒野なんだよなぁ」
板の間に正座――ではなく胡坐をかいた慎一郎の膝にはひよが乗っている。今日はチャコールグレーのロングエプロンを渡された。七海はストーブのケトルに水を継ぎ足す間で通話を終えた。相手は千晶と兄か、肝心なところをスルーして話が進んでいく。過ぎたことをあれこれいっても始まらないが。
「寝ぼけてる。兄貴に帰ってくるように連絡したから、それまで風呂にでもどう?」
「ありがとう」
そこまで甘えられないとかぶりをふる。私情はぶつけても立ち位置はいつもニュートラル。本当に揺るがないのは姉弟そっくりで。
「アキは大学の傍に部屋を借りて家と行ったり来たりしてる。病院も向こうが近いんだ。条件に合う処がこっちになくてね」
七海はどこまで話していいのか、判断がつきかねるという顔で言葉を切った。
「アキは俺らにも『何も言わない』だけで『俺も言う立場にない』――ただ、根回しはしとかないとね。
兄貴もクズだからさ、悪いほうに邪推しちゃったんじゃないの? 兄は両親より保護者ヅラしてるのが厄介でね。二言目には俺が拾ってやった、俺が名前を、オムツを、ミルクをって」
「お兄さんが弟妹を強請ったって話は聞いたよ、よくある話でしょ」
神様にお願いと照れ笑いでごまかされるか、お前ひとりで十分と吐き捨てられるにしろ、子供が一度は口にする類のもの。その先の責任は保護者が負うことだ。
「それに子守は本来年嵩が担うものだ、教え導いてこそ自身も成長し、責任感も生じる。俺にも弟がいるが、特別な存在だよ。小さな手が俺の指を握ったあの日から――」
「…俺と同じ歳って言ってなかった? その下もいるの? 年の離れた弟妹はさぞかしかわいいんでしょうね」
七海がそこまでと優しい微笑みで制す。
彼が話を遮ってたのは初めてで、慎一郎は肩を竦める。
「アキにも以前窘められたよ。アキや君とは対等に思えるのに、弟は弟なんだ。俺はともかく、レオさんはいいお兄さんじゃないか、懐が深いっての?」
「あー、……」
七海は世も末と蟀谷に親指と薬指をあて、もみほぐした。目の前のブラコンにも、怖いもの知らずな姉に対しても、頭痛が痛い。
慎一郎はといえば、君の姉さんは至極真っ当なことを言っただけし、君のお兄さんも好い加減に真っ当だ、そうだろう? と、実は変な趣味でもあるんじゃないかと七海の疑いのまなざしの笑顔で跳ねのける。
「…うちの両親のことは何か聞いてる?」
「いいや、お互いが唯一過ぎるようなことは言っていたけれど、見たままだよね」
「そ、仲がいいんですよ、昔からね。ただ、子供としてはどうなんでしょう。カズがどんな気持ちで4歳まで過ごしたのか、どんな心境で駄々をこねてみせたのか。――両親がどんな思いで応えたのか」
家族仲は良いはずのに、七海も千晶もどこか両親に対して距離感のある口調。どこの家庭にも程度の差はあれ問題はあるものだ。細かな不満はあるけれど、おおむねよき父よき母である。それは七海もわかっていて、うまく違和感のようなものを表現し難いようだった。
「今回のことも両親のほうは問題ないんだ。世間体なんて気にしてない。父は固まってたけど、母は落ち着いてててね、アキが服借りるって連絡しただけでなんとなく気づいたって、女の勘て怖いよね、――散々説教して――アキの友人や大学もね」
七海はまた言葉をきり、ネジのズレた姉とその周囲のアホアホエピソードを語った。彼らのだれも千晶の選択を否定せず――代わりに子としての体験を話すのだ。
「詳細は省くけど、両親共肉親の情に薄く、その代わり周囲には恵まれたそうです。それで駆け落ち同然で結婚」母方から反対されたという程度の話で、名家だとか式の最中にかっさらったとかのドラマチックなものではないと言い添えた。
「――ま、祝福されての結婚でも同じことだった。そう言い切ったから複雑なんでしょう。今は最低限の連絡だけで親族との行き来はありません。両親も、問題があるのは理解しています」
面倒な相手との付き合い、地方地方による慣習の違い、親族、身内という感覚。言葉で教わるのと肌身で感じるのは別だ。知って拒否するのと、知らずに過ごすのとは違う。
「父方とは仲がいいんです、それはそれで遠慮があって、一方とだけ仲良くするのもどうか、というのもあるんでしょう。ここまではどこにでも転がってる話ですよ」
子は親の鏡なら、その親の親も然り。どちらもしっかりした祖父母なのだろうと伺い知れる。それだけに溝は深い、慎一郎も心当たりのある境遇に軽く頷くと、七海も苦笑交じりで応えた。
「――俺が物心ついた時にはアキがいて、兄貴と両親がいた。俺が一番無邪気に過ごしてたと思う。あの年代の人は結婚して家庭子供をもつのが自然な流れで、そこに落とし穴があるとは思っていなかった。いや、父は薄々覚悟していたんでしょう、母のほうがね。両親が自分達の危うさに向き合って努力していたのはわかりました。ただ、彼らが自覚する以前にカズやアキは気づいていたんだと思う」
自分が面倒をみるからと強請った結果、兄は、それはそれは弟妹を自分のもののようにかいがいしく世話を焼いた。立ち独り歩きするようになれば逞しくあれと谷底に突き落とし、世の酸いを教えたのも兄だ。
「年子で母の体調が悪かったとはいえ、兄の世話焼きに責任感以上のものを感じ取っていたんでしょう。彼らも子供が親の代役を務める異常性はよしとしなかった。いろいろぶつかったりしてはみても、――人外だからさ」
両親も手をこまねいていたのではない、ただ、知性は経験値で勝っても知能の差は雲泥。
自分よりできる奴をコントロールできるかと問われたら。猫がライオンを飼いならせるか。野生は人の手で育てても懐かないから野生なのだ。
「だから名前よびなんだね」
「そ、そして拾い子が俺でなくアキなのか」
空から落ちてきた男の子と、彼が拾った女の子。それもまた物心ついた時から耳にしていた冗談だった。
戸籍と母子手帳から逆算すると兄は(旅行に行ってないが)ハネムーンベイビー、その兄が誕生日からクリスマスまでごねた千晶が9月生まれで、解せないのは翌年7月に生まれた七海のほうだ。
慎一郎にとって離れて暮らしても直嗣は弟、母親が違えども他人と疑ったことはない。単なる身内意識か、それとも血のなせるものか。
「うちの母娘の関係が良好なのは兄の緩衝と橋渡しがあったからです。今じゃ信じられないだろうけど、昔のアキはお兄ちゃん子で……」
弟は昔の話、姉の黒歴史だから触れてやらないでくれと小声になった。
「健全な成長過程、と言えるのでは」
「よく言いすぎですよ」
板の間の石油ストーブに乗せたケトルから細く湯気が立ち昇る。
「カズにはこの世界がどう見えているんだろう、そう思うことがあります。ある日――」
七海は独り言のようにつぶやき、最後は口にしなかった。
彼もまた兄を想い、そして。
代わりにケトルの湯気を目で追った。慎一郎もあとに続いた。
視線は天上へ、そして少し下がって止まる。
ススキで出来たフクロウとミミズクが二羽、欄間から部屋を見下ろしていた。
「アキもね10月だったかな、突然伊豆へドライブへ出かけていったんです。で、帰って来てからowl達を作って」
軽トラで多摩川の土手へ。そして大小さまざまなフクロウやウサギや子供にしか見えないふしぎな生き物を、家の中――板の間で友達と服も部屋も猫も芒まみれにして、と七海はぶつくされた。
「仙石原か、アキは何もないところが好きだよね」
「なんだかね、もっとお花畑で居そうなのに、頭んなかは荒野なんだよなぁ」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【R18・完結】蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない〜
花室 芽苳
恋愛
契約結婚しませんか?貴方は確かにそう言ったのに。気付けば貴方の冷たい瞳に炎が宿ってー?ねえ、これは大人の恋なんですか?
どこにいても誰といても冷静沈着。
二階堂 柚瑠木《にかいどう ゆるぎ》は二階堂財閥の御曹司
そんな彼が契約結婚の相手として選んだのは
十条コーポレーションのお嬢様
十条 月菜《じゅうじょう つきな》
真面目で努力家の月菜は、そんな柚瑠木の申し出を受ける。
「契約結婚でも、私は柚瑠木さんの妻として頑張ります!」
「余計な事はしなくていい、貴女はお飾りの妻に過ぎないんですから」
しかし、挫けず頑張る月菜の姿に柚瑠木は徐々に心を動かされて――――?
冷徹御曹司 二階堂 柚瑠木 185㎝ 33歳
努力家妻 十条 月菜 150㎝ 24歳
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる