39 / 140
10月
4.
しおりを挟む
バスローブを羽織っただけの千晶がベッドに突っ伏す。慎一郎も自らの残った水気を千晶のバスローブに吸わせようとくっついてくる。
「ほんとヒドイヘンタイ」
「3分で終わらなくて悪いねぇ」
「……はぁ、…」
「ふふ、俺もまだドキドキしてる」
慎一郎が千晶の手を取り、自分の胸に当てる。その肌はシャワーを浴びたばかりなのにもう汗ばんでいる。
千晶の右手に少し早い拍動がはっきり伝わってくる。千晶もまだ息が整わない。左手も重ねて拍動の真上へ、それからその流れに沿って手を上へ添わせていく。
頸動脈、からこめかみへ、慎一郎の頭を抱える形になると、両手の中の顔はふっと微笑んで唇を――舌が千晶の鼻先に触れ、少しずらしてと唇へ移動する。千晶もそれにこたえるよう舌で迎え――重ねてきた。
仰向けになった千晶の唇からあごの先、喉と身体の中心を慎一郎の舌がまっすぐ降りていく、肌に鼻先が、髪が触れ、吐息がかかる。再び千晶の心臓も神経も限界に近づく。
臍まで降りその先をめざず慎一郎の頭を押さえ、残った力で身をよじりかぶりを振って拒否した。
慎一郎はちょっといたずらに眉を下げ残念がってみせてから上体を起こし、頭に添えてあった千晶の両手をとって再び自信の胸に重ねた。
――さっきより速い。
「下も辿たどってよ」
促されるままに千晶は慎一郎の鼻先に視線を留めたまま、手だけを少しずつ下に、流れに沿って降ろしていく。腰に巻いていたはずのタオルは落ちたのか落とされたのか? 戸惑いに手が止まると――視界の先で口角が少し上がり上唇を舐める赤い舌が動いた。思わず視線を合わせれば挑発するように顎を引く。
顔を背けた千晶の後に手が伸び、頭の後で包装のセロファンを開ける軽い音がした。
「じゃ、着けて」
少しほっとしていた千晶の期待を易々と裏切り、勝ち誇った顔で微笑む慎一郎。
目の前に差しだされたパッケージを前に千晶は、脳内で他の戦略を幾つかシミュレートした後、受け入れるのが最善と判断した。
渋々受け取り、ゆっくりと中身を取り出してわざとらしく裏表を二三度確認して、
視線を真下に落とした。ハーイ。
ここできゃっと頬を赤らめてわかんなーいとでも言えばかわいいものを、そういうキャラでも、それが通じる相手でもないのは判り切っている。
お腹にぴったり張り付いていてどうしたもんかな、可愛く――はないそれの裏をつーーと人差し指の先で撫で上げるとびくりと脈打ち、お腹との間に僅かな空間が開けたのも一瞬で、先端から透明な液体が一滴滲んですぐにまたぴったりとお腹に張り付いてしまった。もう一度つーっと撫で上げてみてもすでに滲んだ先走りが更に一筋溢れただけで離れてはくれない。
途方に暮れながらもちょっとしたいたずら心が沸きもう一度、さらに一撫で――とした所で上から禍々しい気配を感じた。観念し片手で先端を抑え傾けつつ、もう片手でくるくると被せていった。
根元までぴったり被せ終わると、てへぺろっぽく少し上目使いでそろりと視線を上げていく。目が合うなり
「よくできました」
っと聞こえた瞬間、千晶は腰を持ち上げられ身体が沈み視界が天井の正方形に展開する。
往きつ戻りつじれじれど押し入って三度目、千晶の背がのけぞった。
「―――っ」
慎一郎は不遜に微笑みながら体を起こす。
「早すぎ、そんなんじゃこの先持たないよ」
千晶は必死で息を整えながら枕を掴んだ。掴んだだけで持ち上げてふざけた男の顔を叩こうにも力が入らない。腰はがっちり抑えられてびくともしない。
「これいいね、しっとりとして熱の伝わりも」まだまだ余裕とのろのろ動かしながら商品レビューをする慎一郎も少し汗が浮いている――千晶もレビューには同感で軽く頷く。
「気に入った?」
千晶が泪混じりに瞬きで答えれば「じゃ、遠慮なく」と聞こえてきた。
お互いの両手を絡め合ったあとからまた千晶はもういっぱいいっぱいで、慎一郎が倒れ込んできてやっと二回目が終わったことを知った。
「ほんとヒドイヘンタイ」
「3分で終わらなくて悪いねぇ」
「……はぁ、…」
「ふふ、俺もまだドキドキしてる」
慎一郎が千晶の手を取り、自分の胸に当てる。その肌はシャワーを浴びたばかりなのにもう汗ばんでいる。
千晶の右手に少し早い拍動がはっきり伝わってくる。千晶もまだ息が整わない。左手も重ねて拍動の真上へ、それからその流れに沿って手を上へ添わせていく。
頸動脈、からこめかみへ、慎一郎の頭を抱える形になると、両手の中の顔はふっと微笑んで唇を――舌が千晶の鼻先に触れ、少しずらしてと唇へ移動する。千晶もそれにこたえるよう舌で迎え――重ねてきた。
仰向けになった千晶の唇からあごの先、喉と身体の中心を慎一郎の舌がまっすぐ降りていく、肌に鼻先が、髪が触れ、吐息がかかる。再び千晶の心臓も神経も限界に近づく。
臍まで降りその先をめざず慎一郎の頭を押さえ、残った力で身をよじりかぶりを振って拒否した。
慎一郎はちょっといたずらに眉を下げ残念がってみせてから上体を起こし、頭に添えてあった千晶の両手をとって再び自信の胸に重ねた。
――さっきより速い。
「下も辿たどってよ」
促されるままに千晶は慎一郎の鼻先に視線を留めたまま、手だけを少しずつ下に、流れに沿って降ろしていく。腰に巻いていたはずのタオルは落ちたのか落とされたのか? 戸惑いに手が止まると――視界の先で口角が少し上がり上唇を舐める赤い舌が動いた。思わず視線を合わせれば挑発するように顎を引く。
顔を背けた千晶の後に手が伸び、頭の後で包装のセロファンを開ける軽い音がした。
「じゃ、着けて」
少しほっとしていた千晶の期待を易々と裏切り、勝ち誇った顔で微笑む慎一郎。
目の前に差しだされたパッケージを前に千晶は、脳内で他の戦略を幾つかシミュレートした後、受け入れるのが最善と判断した。
渋々受け取り、ゆっくりと中身を取り出してわざとらしく裏表を二三度確認して、
視線を真下に落とした。ハーイ。
ここできゃっと頬を赤らめてわかんなーいとでも言えばかわいいものを、そういうキャラでも、それが通じる相手でもないのは判り切っている。
お腹にぴったり張り付いていてどうしたもんかな、可愛く――はないそれの裏をつーーと人差し指の先で撫で上げるとびくりと脈打ち、お腹との間に僅かな空間が開けたのも一瞬で、先端から透明な液体が一滴滲んですぐにまたぴったりとお腹に張り付いてしまった。もう一度つーっと撫で上げてみてもすでに滲んだ先走りが更に一筋溢れただけで離れてはくれない。
途方に暮れながらもちょっとしたいたずら心が沸きもう一度、さらに一撫で――とした所で上から禍々しい気配を感じた。観念し片手で先端を抑え傾けつつ、もう片手でくるくると被せていった。
根元までぴったり被せ終わると、てへぺろっぽく少し上目使いでそろりと視線を上げていく。目が合うなり
「よくできました」
っと聞こえた瞬間、千晶は腰を持ち上げられ身体が沈み視界が天井の正方形に展開する。
往きつ戻りつじれじれど押し入って三度目、千晶の背がのけぞった。
「―――っ」
慎一郎は不遜に微笑みながら体を起こす。
「早すぎ、そんなんじゃこの先持たないよ」
千晶は必死で息を整えながら枕を掴んだ。掴んだだけで持ち上げてふざけた男の顔を叩こうにも力が入らない。腰はがっちり抑えられてびくともしない。
「これいいね、しっとりとして熱の伝わりも」まだまだ余裕とのろのろ動かしながら商品レビューをする慎一郎も少し汗が浮いている――千晶もレビューには同感で軽く頷く。
「気に入った?」
千晶が泪混じりに瞬きで答えれば「じゃ、遠慮なく」と聞こえてきた。
お互いの両手を絡め合ったあとからまた千晶はもういっぱいいっぱいで、慎一郎が倒れ込んできてやっと二回目が終わったことを知った。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる