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第2章 異世界転移は楽じゃない
5. 初勝利①
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「おっさん!俺が行くから馬車を止めて!」
「だ、大丈夫なのか?」
「わからないけど・・・全力は尽くすよ」
「・・・わかった。頼んだぞ!!」
「ありがとう!」
護衛の仕事を受けたときはこういうシチュエーションも想定していたはずなのに、結界云々の話しを聞いてすっかり油断していた。
それに今目の前にいる魔獣は、前に訓練として戦った魔獣とは迫力が違う。
あのときはサラもいたし魔獣と言ってもうさぎ的な動物が凶暴化したような奴だったからな。正直見た目は少し可愛かったし。
でもこいつは違う・・・確か狼が魔獣化したブラッドウルフとかいう奴だよな?
牙も鋭く攻撃力も高い上に魔力耐性もそれなりに強かったはずだ。
明らかに殺意を向けてきてるし結構デカい。
見た目は昔動物園で見たオオカミに似てるけど2倍?いや3倍くらいはあるいか?
日本で生活していたときは猛獣と戦うとかテレビのバラエティー番組で見たことあるくらいだったけど・・・まさか自分が戦う日が来るとは思わなかった。
それにあの魔獣が覆っている黒い霧みたいなのが瘴気か?
ウサギもどきの時は量も少なかったけど、確か毒素があるから瘴気にはなるべく触れない方が良いんだったよな。
買ったばかりのロングソードを構えながら、俺はサラに教わったことを色々と反芻しながらブラッドウルフとの距離を少しずつ詰めていった。
ブラッドウルフは馬車の進路を塞ぐようにの街道の中央に立ち俺を睨んでいる。
遠目には黒っぽく見えた巨体は近くで見ると赤みを帯びた黒い体毛に覆われていた。まるで血を浴びたような色で、本当名前の通りだ。
正直結構ビビってるし気持ち的には逃げたい。
でも・・・見逃してくれないだろうし戦わなきゃおっちゃんやサラが。
逃げるって選択肢は無いな。
と、俺が覚悟を決めて剣を構えなおそうとしたところでブラッドウルフが動いた。
「を!!!」
一瞬消えたかと思ったブラッドウルフは大きく跳躍し、俺が立っていたその場所を爪で鋭く抉った。
とっさに横に転がることでかわすことが出来たけど、予想以上の跳躍だったし巨体に似合わない素早さだ。
あんな爪にやられたら一発でアウトだな。
でも・・・かわせたし落ち着いて対処すれば何とかなるかもしれない。
ブラッドウルフの動きを注意深く見ながら、剣を構え直し間合いを再び詰めた。
そして・・・
「ファイヤーボール!!」
剣で攻めるように見せておいての魔法攻撃。
正直、実戦で魔法を使うのは初めてだったけど、剣での攻撃を警戒し虚をつかれたのかファイヤーボールはブラッドウルフの鼻先に直撃した。
俺の魔法が思った以上に強力だったのか直撃したファイヤーボールはブラッドウルフを炎で覆いつくし悶絶させている。
ファイヤーボールって初級魔法だよな?こんなに強力なものなのか?
でも・・・まだだ。
小説や漫画とかならカッコよくこの一発で討伐完了!ってなるんだろうけど、炎に包まれながらもブラッドウルフは倒れずに立ったままだ。
やっぱり魔法への耐性が強いみたいだ。
まぁファンタジーな世界の小説とか映画みたいに簡単には仕留められないよな。
ただ、あれだけ炎に焼かれたんだし耐性が強くても少しはダメージはあるはず。
一気に畳み込めば勝てる!
もう一度魔法でいくか。いや警戒されるだろうから次は剣か?
一瞬考え込んだ俺に馬車の方から声が聞こえた。
「今のうちにとどめを!!!剣でやつの首を!!!」
「え?サラ?」
「私のことはいいから早く!!体制立直されちゃいます!大丈夫だから!」
「あ、あぁ」
剣か。剣筋はいいってサラにも褒められたよな。
まぁこれでも剣道は有段者だったし・・・ってそんな事考えてる場合じゃないか。
確かに今ならブラッドウルフの瘴気も弱まっているし剣で本体にダメージを与えられるはずだ。
俺はブラッドウルフに向き直り一気に距離を詰めた。
当然ブラッドウルフも俺の動きに反応しその鋭い爪で攻撃をしかけてきたけど、ギリギリのところでかわし上段に構えたロングソードで首元を切りつけた。
一瞬避けようとはしたようだが、ファイヤーボールのダメージの為かタイミングが遅れ俺の剣は吸い込まれるようにブラッドウルフの首を切り落とした。
ズサッ。
首を切られたブラッドウルフの大きなお頭が地面に落ち、その後巨大な胴体も横に倒れた。
勝てたのか?
足元にはブラッドウルフの巨体が横たわっている。
ブラッドウルフを中心に先程まで広がりをみせていた瘴気も少しずつなくなって来ている。
それにしても・・・この剣。
俺はブラッドウルフの首を切り落とした自身の剣をあらためて見た。
初心者だしと武器屋のセール品を買ったはずだけど、こんなに切れ味って良いものなのか?
「だ、大丈夫なのか?」
「わからないけど・・・全力は尽くすよ」
「・・・わかった。頼んだぞ!!」
「ありがとう!」
護衛の仕事を受けたときはこういうシチュエーションも想定していたはずなのに、結界云々の話しを聞いてすっかり油断していた。
それに今目の前にいる魔獣は、前に訓練として戦った魔獣とは迫力が違う。
あのときはサラもいたし魔獣と言ってもうさぎ的な動物が凶暴化したような奴だったからな。正直見た目は少し可愛かったし。
でもこいつは違う・・・確か狼が魔獣化したブラッドウルフとかいう奴だよな?
牙も鋭く攻撃力も高い上に魔力耐性もそれなりに強かったはずだ。
明らかに殺意を向けてきてるし結構デカい。
見た目は昔動物園で見たオオカミに似てるけど2倍?いや3倍くらいはあるいか?
日本で生活していたときは猛獣と戦うとかテレビのバラエティー番組で見たことあるくらいだったけど・・・まさか自分が戦う日が来るとは思わなかった。
それにあの魔獣が覆っている黒い霧みたいなのが瘴気か?
ウサギもどきの時は量も少なかったけど、確か毒素があるから瘴気にはなるべく触れない方が良いんだったよな。
買ったばかりのロングソードを構えながら、俺はサラに教わったことを色々と反芻しながらブラッドウルフとの距離を少しずつ詰めていった。
ブラッドウルフは馬車の進路を塞ぐようにの街道の中央に立ち俺を睨んでいる。
遠目には黒っぽく見えた巨体は近くで見ると赤みを帯びた黒い体毛に覆われていた。まるで血を浴びたような色で、本当名前の通りだ。
正直結構ビビってるし気持ち的には逃げたい。
でも・・・見逃してくれないだろうし戦わなきゃおっちゃんやサラが。
逃げるって選択肢は無いな。
と、俺が覚悟を決めて剣を構えなおそうとしたところでブラッドウルフが動いた。
「を!!!」
一瞬消えたかと思ったブラッドウルフは大きく跳躍し、俺が立っていたその場所を爪で鋭く抉った。
とっさに横に転がることでかわすことが出来たけど、予想以上の跳躍だったし巨体に似合わない素早さだ。
あんな爪にやられたら一発でアウトだな。
でも・・・かわせたし落ち着いて対処すれば何とかなるかもしれない。
ブラッドウルフの動きを注意深く見ながら、剣を構え直し間合いを再び詰めた。
そして・・・
「ファイヤーボール!!」
剣で攻めるように見せておいての魔法攻撃。
正直、実戦で魔法を使うのは初めてだったけど、剣での攻撃を警戒し虚をつかれたのかファイヤーボールはブラッドウルフの鼻先に直撃した。
俺の魔法が思った以上に強力だったのか直撃したファイヤーボールはブラッドウルフを炎で覆いつくし悶絶させている。
ファイヤーボールって初級魔法だよな?こんなに強力なものなのか?
でも・・・まだだ。
小説や漫画とかならカッコよくこの一発で討伐完了!ってなるんだろうけど、炎に包まれながらもブラッドウルフは倒れずに立ったままだ。
やっぱり魔法への耐性が強いみたいだ。
まぁファンタジーな世界の小説とか映画みたいに簡単には仕留められないよな。
ただ、あれだけ炎に焼かれたんだし耐性が強くても少しはダメージはあるはず。
一気に畳み込めば勝てる!
もう一度魔法でいくか。いや警戒されるだろうから次は剣か?
一瞬考え込んだ俺に馬車の方から声が聞こえた。
「今のうちにとどめを!!!剣でやつの首を!!!」
「え?サラ?」
「私のことはいいから早く!!体制立直されちゃいます!大丈夫だから!」
「あ、あぁ」
剣か。剣筋はいいってサラにも褒められたよな。
まぁこれでも剣道は有段者だったし・・・ってそんな事考えてる場合じゃないか。
確かに今ならブラッドウルフの瘴気も弱まっているし剣で本体にダメージを与えられるはずだ。
俺はブラッドウルフに向き直り一気に距離を詰めた。
当然ブラッドウルフも俺の動きに反応しその鋭い爪で攻撃をしかけてきたけど、ギリギリのところでかわし上段に構えたロングソードで首元を切りつけた。
一瞬避けようとはしたようだが、ファイヤーボールのダメージの為かタイミングが遅れ俺の剣は吸い込まれるようにブラッドウルフの首を切り落とした。
ズサッ。
首を切られたブラッドウルフの大きなお頭が地面に落ち、その後巨大な胴体も横に倒れた。
勝てたのか?
足元にはブラッドウルフの巨体が横たわっている。
ブラッドウルフを中心に先程まで広がりをみせていた瘴気も少しずつなくなって来ている。
それにしても・・・この剣。
俺はブラッドウルフの首を切り落とした自身の剣をあらためて見た。
初心者だしと武器屋のセール品を買ったはずだけど、こんなに切れ味って良いものなのか?
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