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第3話 追跡! 新右衛門探偵!
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黒川さん達を追いかけて行くと、いかにもアジトといったような場所に来てしまった。
人目につきにくい路地裏に入り込み、誰も使っていないであろうと思われる古びた倉庫の前にたどり着いた。
あまり特徴のない場所で、人の記憶には残りにくい造りになっている。
なぜかすぐに忘れ去られそうな、不思議な雰囲気を醸し出していた。
「何かおかしい……」
おそらく、ここが奴らのアジトだという事は間違いなさそうだが、もし僕が組織の一員だったら、真っ直ぐここに戻ってくるだろうか?
「罠かも知れない……」
なんとなくだけど、奴らに導かれてここに来てしまった感じがした。
とりあえず京子先生に連絡しようとした瞬間、僕はわかりやすい落とし穴に落ちてしまった!!
「うわ~!!やっぱり罠だった~!!」
深さは約30cm。
子供のいたずらだった。
大きいリアクションをとった自分が恥ずかしい……
穴があったら入りたい……
穴から出た僕は、改めて京子先生に連絡した。
「もしもし、柳町ですけど」
「気軽に電話して来ないで!!」
「…………」
切られてしまった……
この緊急時にツンデレ全開でどうしたら良いか分からない……
とりあえず、LIN◯でご機嫌を伺おう……
【アジトらしき所を見つけました。電話をかけてよろしいでしょうか?】
【早くかけなさい】
どないやねん! と思いながら、僕は電話をかけた。
「あの~……黒川さん達の後を追って来たら、アジトらしき所に着きまして……」
「それで新右衛門君。あなた今、どんな格好をしてるの?」
ここにきて、変態オヤジみたいな返しをされても困るんですけど……と思いながらも、何とか状況を伝えようと僕は必死になっていた。
「格好は出て行った時のままです。それより、これからどうしますか?」
「どうするもなにも、とりあえず突入するしかないでしょ!」
突入するしかないって事はないと思うけど……
「中の状況が分からなかったら、話にならないじゃない!」
「すみません。言っている事はごもっともなんですが、僕1人で突入した所で問題を解決する自信がありません!」
「柳町君! あなたは1人じゃないわ!」
「!?」
京子先生……
僕は、その言葉に勇気づけられた。
「あなたは1人じゃない。あなたの替わりなんていくらでも居るの!」
「そっちですか!?」
「だから大丈夫! あなたに何かあった所で、誰も困る人は居ないのよ!」
全然大丈夫じゃない……
「私以外は」
「えっ!? 今なんて言ったんですか?
京子先生!! 聞こえなかったんで、もう一度お願いします!!」
「あなたの替わりなんていくらでも居るの!!」
「そこじゃないです!!」
今、絶対言った!!
僕が居なくなったら、京子先生困るって絶対言った!!
「分かりました! とりあえず中の状況を確認してきます!」
「ちょっと待って新右衛門君! 場所は何処なの? 私もそっちに行くわ!」
「ここは七王子町の3丁目、亀田かつら工場跡地の裏の倉庫です。後で外観の写メを送っておきます!」
「わかったわ! 私も一服した後、エステに行ってからそっちに向かうから!」
「わ……分かりました……」
電話を切った僕は、出来る限り1人で何とかしようと思いました。
「よし。気を取り直して、まずはバレないように外から中が見える所を探してみよう」
僕は倉庫の周りを1周した。
入口らしき所は3箇所あったが、バレずに中を覗けそうな場所は見当たらなかった。
1ヶ所だけ高い所に小窓があり、木によじ登れば中が見えそうな所があった。
「あそこから中を覗いてみるか」
何とか木をよじ登り、倉庫の中を見てみると、中に人の気配は無く、燦然としていた。
おかしいと思い、木を降りてゆっくりと出入口の扉を開けたが、やっぱりそこに人の姿は無かった。
警戒しながら倉庫の中を探索したが、そこももぬけの殻だった。
「どういう事だろう?」
間違いなく黒川さんと赤スーツの2人組はこの倉庫に入って行ったのに、誰も居ないなんて……
僕はとりあえず京子先生に連絡をとった。
「京子先生、すみません。今、先ほどの倉庫の中なんですが、黒川さんも赤スーツの姿も無く、もぬけの殻なんです!」
「柳町君! また、あなたなの!? これから一服する所だったのに邪魔しないで欲しいわ」
これから一服……
ここに着いたのは13時過ぎで、今はもう14時だ。もしかしたら、もう近くに居るかも知れないという僕の淡い期待は、脆くも崩れ去った。
「ちなみにですが、やっぱりエステには行くんですか?」
「16時に予約を入れているわ。というか、何の確認なの? あなた、ストーカーなの? 私のプライバシーにばかり干渉して、彼氏ぶらないで!!」
「すみません……」
「私のスケジュールは、さっきの電話で伝えてあるわよね! その内、パンツの色まで聞かれるようになるのかしら!」
ただ状況を報告しようとしただけなのに、えらい言われようだ……
「今日は白よ」
「えっ!?」
聞いてもいないのに、答えてくれた……
「あ、あの~……先ほどの黒川さんの件なんですけど……」
「あら、私のパンツの色なんかに興味は無いって言いぐさね」
そんな事はないですが……
「まぁ良いわ。それで、そこには誰も居ないって言っていたけど、本当なの?」
「そうなんです。3人が入って行くのを、この目で確認したんですが、誰も居ないんです!」
「いくら新右衛門君の目が節穴でも、それは不自然ね」
さらっと傷付く事を言う……
「地下への隠し通路とかは無いの?」
「それも注意して探したんですが、それらしい所は見つかりませんでした」
「あと考えられる事とすれば、誰かの能力かも知れないわね」
「能力ですか?」
「ええ。今回の件でブルーハワイの名を聞いてから、ちょっと不思議に思っていた事があるの」
「何ですか?」
「あの目立つ格好で活動している割りには、組織の名前をほとんど聞いた事がないのよ。この異能力業界で長くやっている私やジョニーが、名前も知らないなんて事あると思う?」
「確かに不自然かも……」
「ましてや、私の事務所の近くじゃない! 組織の中に、何か身を潜める事に長けた能力者が居るって考えるのが普通だと思うの」
「言われてみればそうかも知れません! ここの倉庫に来た時も、何か変な違和感があってここにあるのに無いみたいな不思議な感覚があったんです!」
「何、訳の分からない事言ってるの?」
「違うんです! ちょっとうまく言えないんですけど存在感を消すというか視界に入っているけど見えないみたいな、変な感じなんです!」
「変なのは、あなたの頭の中だけにしてよ!」
この話の流れを振ったのはそっちなのに、ひどい……
「だから、そうじゃなくって! 京子先生に言われて気付いたんですが、能力を発動する時って、なんか独特の雰囲気みたいなものが出るじゃないですか! それがあるのに無いんです!」
「あるのに無いってどういう事!? 働いたのに給料が入ってないみたいな事?」
「何かちょっと違いますけど……」
「それは柳町君だけね……」
「えっ!? もしかして、また今月も給料無いんですか!?」
「だから何度も言ってるじゃない! うちは出来高制だから、良い働きをすれば給料も上がるって!」
自分では良い働きをしていると思うんですけど……
「だから例えて言うならば、お刺身のツマみたいというか、メガネでいう鼻おさえというか、物は無いのに匂いだけするみたいな変な感じなんです!」
「っていう事は、新右衛門君! あなたには見えていないけど、そこに居るって事なんじゃないの!?」
「電話の相手は美人の先生かい?」
「あっ!! 赤スーツ!!」
さっきまで誰も居なかったのに、彼らは突然目の前に現れた!!
人目につきにくい路地裏に入り込み、誰も使っていないであろうと思われる古びた倉庫の前にたどり着いた。
あまり特徴のない場所で、人の記憶には残りにくい造りになっている。
なぜかすぐに忘れ去られそうな、不思議な雰囲気を醸し出していた。
「何かおかしい……」
おそらく、ここが奴らのアジトだという事は間違いなさそうだが、もし僕が組織の一員だったら、真っ直ぐここに戻ってくるだろうか?
「罠かも知れない……」
なんとなくだけど、奴らに導かれてここに来てしまった感じがした。
とりあえず京子先生に連絡しようとした瞬間、僕はわかりやすい落とし穴に落ちてしまった!!
「うわ~!!やっぱり罠だった~!!」
深さは約30cm。
子供のいたずらだった。
大きいリアクションをとった自分が恥ずかしい……
穴があったら入りたい……
穴から出た僕は、改めて京子先生に連絡した。
「もしもし、柳町ですけど」
「気軽に電話して来ないで!!」
「…………」
切られてしまった……
この緊急時にツンデレ全開でどうしたら良いか分からない……
とりあえず、LIN◯でご機嫌を伺おう……
【アジトらしき所を見つけました。電話をかけてよろしいでしょうか?】
【早くかけなさい】
どないやねん! と思いながら、僕は電話をかけた。
「あの~……黒川さん達の後を追って来たら、アジトらしき所に着きまして……」
「それで新右衛門君。あなた今、どんな格好をしてるの?」
ここにきて、変態オヤジみたいな返しをされても困るんですけど……と思いながらも、何とか状況を伝えようと僕は必死になっていた。
「格好は出て行った時のままです。それより、これからどうしますか?」
「どうするもなにも、とりあえず突入するしかないでしょ!」
突入するしかないって事はないと思うけど……
「中の状況が分からなかったら、話にならないじゃない!」
「すみません。言っている事はごもっともなんですが、僕1人で突入した所で問題を解決する自信がありません!」
「柳町君! あなたは1人じゃないわ!」
「!?」
京子先生……
僕は、その言葉に勇気づけられた。
「あなたは1人じゃない。あなたの替わりなんていくらでも居るの!」
「そっちですか!?」
「だから大丈夫! あなたに何かあった所で、誰も困る人は居ないのよ!」
全然大丈夫じゃない……
「私以外は」
「えっ!? 今なんて言ったんですか?
京子先生!! 聞こえなかったんで、もう一度お願いします!!」
「あなたの替わりなんていくらでも居るの!!」
「そこじゃないです!!」
今、絶対言った!!
僕が居なくなったら、京子先生困るって絶対言った!!
「分かりました! とりあえず中の状況を確認してきます!」
「ちょっと待って新右衛門君! 場所は何処なの? 私もそっちに行くわ!」
「ここは七王子町の3丁目、亀田かつら工場跡地の裏の倉庫です。後で外観の写メを送っておきます!」
「わかったわ! 私も一服した後、エステに行ってからそっちに向かうから!」
「わ……分かりました……」
電話を切った僕は、出来る限り1人で何とかしようと思いました。
「よし。気を取り直して、まずはバレないように外から中が見える所を探してみよう」
僕は倉庫の周りを1周した。
入口らしき所は3箇所あったが、バレずに中を覗けそうな場所は見当たらなかった。
1ヶ所だけ高い所に小窓があり、木によじ登れば中が見えそうな所があった。
「あそこから中を覗いてみるか」
何とか木をよじ登り、倉庫の中を見てみると、中に人の気配は無く、燦然としていた。
おかしいと思い、木を降りてゆっくりと出入口の扉を開けたが、やっぱりそこに人の姿は無かった。
警戒しながら倉庫の中を探索したが、そこももぬけの殻だった。
「どういう事だろう?」
間違いなく黒川さんと赤スーツの2人組はこの倉庫に入って行ったのに、誰も居ないなんて……
僕はとりあえず京子先生に連絡をとった。
「京子先生、すみません。今、先ほどの倉庫の中なんですが、黒川さんも赤スーツの姿も無く、もぬけの殻なんです!」
「柳町君! また、あなたなの!? これから一服する所だったのに邪魔しないで欲しいわ」
これから一服……
ここに着いたのは13時過ぎで、今はもう14時だ。もしかしたら、もう近くに居るかも知れないという僕の淡い期待は、脆くも崩れ去った。
「ちなみにですが、やっぱりエステには行くんですか?」
「16時に予約を入れているわ。というか、何の確認なの? あなた、ストーカーなの? 私のプライバシーにばかり干渉して、彼氏ぶらないで!!」
「すみません……」
「私のスケジュールは、さっきの電話で伝えてあるわよね! その内、パンツの色まで聞かれるようになるのかしら!」
ただ状況を報告しようとしただけなのに、えらい言われようだ……
「今日は白よ」
「えっ!?」
聞いてもいないのに、答えてくれた……
「あ、あの~……先ほどの黒川さんの件なんですけど……」
「あら、私のパンツの色なんかに興味は無いって言いぐさね」
そんな事はないですが……
「まぁ良いわ。それで、そこには誰も居ないって言っていたけど、本当なの?」
「そうなんです。3人が入って行くのを、この目で確認したんですが、誰も居ないんです!」
「いくら新右衛門君の目が節穴でも、それは不自然ね」
さらっと傷付く事を言う……
「地下への隠し通路とかは無いの?」
「それも注意して探したんですが、それらしい所は見つかりませんでした」
「あと考えられる事とすれば、誰かの能力かも知れないわね」
「能力ですか?」
「ええ。今回の件でブルーハワイの名を聞いてから、ちょっと不思議に思っていた事があるの」
「何ですか?」
「あの目立つ格好で活動している割りには、組織の名前をほとんど聞いた事がないのよ。この異能力業界で長くやっている私やジョニーが、名前も知らないなんて事あると思う?」
「確かに不自然かも……」
「ましてや、私の事務所の近くじゃない! 組織の中に、何か身を潜める事に長けた能力者が居るって考えるのが普通だと思うの」
「言われてみればそうかも知れません! ここの倉庫に来た時も、何か変な違和感があってここにあるのに無いみたいな不思議な感覚があったんです!」
「何、訳の分からない事言ってるの?」
「違うんです! ちょっとうまく言えないんですけど存在感を消すというか視界に入っているけど見えないみたいな、変な感じなんです!」
「変なのは、あなたの頭の中だけにしてよ!」
この話の流れを振ったのはそっちなのに、ひどい……
「だから、そうじゃなくって! 京子先生に言われて気付いたんですが、能力を発動する時って、なんか独特の雰囲気みたいなものが出るじゃないですか! それがあるのに無いんです!」
「あるのに無いってどういう事!? 働いたのに給料が入ってないみたいな事?」
「何かちょっと違いますけど……」
「それは柳町君だけね……」
「えっ!? もしかして、また今月も給料無いんですか!?」
「だから何度も言ってるじゃない! うちは出来高制だから、良い働きをすれば給料も上がるって!」
自分では良い働きをしていると思うんですけど……
「だから例えて言うならば、お刺身のツマみたいというか、メガネでいう鼻おさえというか、物は無いのに匂いだけするみたいな変な感じなんです!」
「っていう事は、新右衛門君! あなたには見えていないけど、そこに居るって事なんじゃないの!?」
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