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35.男の敵
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「アソコは全く関係ありませんぞ」
族長は真剣な眼差しでそう言った。決してシモの話しをしてたわけじゃない。
御魔森の横にある、魔族たちの集落が血霧の園だろう、と聞いたら実は違ったのだ。
血霧の園はこの国の東端にあるらしい。ただし、大手を振って遠足にでも行こうものなら、確実に抹殺されてしまうそうだ。
ちょうど国境を跨ぐように存在するようで、迂闊には近づけないようだ。
ファンタジー前回のネーミングに心躍るのは、男の子の性だろう。合法的に行けるよう、バイアにビザとか手配してもらおう。
さて当面の遊びはどうしたものか。
フレッシュな高校生転生者たちが消えて、俺の玩具は一つだけになった。忘れちゃいけない深雪ちゃんだ。
この子、なかなかタフなのだ。
しきりに「殺しなさいよ」というあたりから、余裕が見て取れる。
痛ぶりがいがあって大変宜しいのだが……今じゃないな。せっかくの玩具を使い潰すのは勿体ない。もっと熟成させてからがいいな。
そういうわけで、やることは1つ!
「ジョーーーーンくぅーーーん、あーそーぼー」
人の欲は際限がない。
飯を食う事で満ちる者あらば、眠りこけることでリフレッシュする者あり。しからば……そういうことだ。田舎ほどガキが多いのは暇だからだろう。どっかのエロい研究者がそんな論文を発表していたはずだ。
いや、偉い研究者だ。
いや、偉くてエロい研究者だ。
「ジロー、何?」
「遊ぼうぜ」
「遊ぶって何すんの?」
「おいおい言わせんなよ。分かってんだろ?」
「はあ。俺は妻帯者だぞ?勘弁してくれよ」
「いいのかなー。エイミーちゃんの***を****して****を***してもよー」
精悍な顔つきで、ジョンは引き戸を閉じた。
「何をぼーっとしてるんだジロー。早く行こう」
「ういーっす」
この国は王族がいなくてもなんとかなってる。
こうしてトゥカナの街へ繰り出しても、ヒャッハーなモヒカン世紀末がナイフをベロベロしながらギンギンな目でカツアゲしてくることもない。
いかに平時か分かるだろう。
バイアの部下が脳みそトロトロの元老院議員達を動かして国家運営しているのが、上手くいってるってことかな。
「統治してみれば?」
成功しようが失敗しようがどうでもいいっす。勝手にやってろい!という気持ちで放った言葉だったが、言っといて良かった。
バイアに丸投げして俺は風俗ライフを満喫できるのだから。
さあて着きましたよ、花の街。オーク御一行に荒らされた街は未だに復興していない。王都から代官が来たらしいが、前領主の血族共が煩くて運営が滞っていると暗部が言っていた。
別に転生者がいるってわけでもないのに、なんで情報収集してんの?って聞いたら「標様の安息地だからです」だと。
ウチの暗部は本当に優秀だ。できる子たちだ。俺のオススメを今度奢ってやろうと思う。
まかり間違って病気なんか貰わないように、俺が指名してやらんとな。こういう時に、俺が独自に構築した風俗データベースが役に立つってことよ。
先輩が導いてやらんとな。標になってやらんとな。
そうだ、汁を出す雄しべ、すなわち汁べになってやろう。
「あっ……」
あっ………………。
「あっ……」
ジョンも気づいたようだ。
俺とジョンはただの友達じゃない。それ以上に深い関係だ。エロい繋がりがあるとかそういうんじゃない。いや、エロい繋がりではあるが、腐女子が喜ぶネチョネチョした挿しつ挿されつの繋がりではない。
俺たちは兄弟なのだ。風俗で繋がりし兄弟だから分かることがある。
俺たちがシェアしていない女の子は数えるほどだ。
それ故、記憶に残る。
ましてや俺だけが貰って、ジョンだけが貰ってないのだ。
忘れられるわけがない。
俺だけが味見した女。
そして、激辛スパイシー過ぎて体が悲鳴を上げてしまった、魔性の女。
そう!俺の息子をザクロにした張本人が横切ったのだ。出勤時間だったのか焦った様子で軒先に吸い込まれていったのだ!
「あの子、だよなジロー」
「見つけたぞ、遂に」
あのボケだけは許さぬ――。
店はとっくに破壊されていて、本人はどこにいるか分からない。
今まではクレームをぶつける場所がなかった。
しかし今はどうだ。
眼前を颯爽と横切りやがった。
直接本人に言い募る好機だ!
田舎に引っ込んだと思っていたが、そうか……移籍しただけだったか。
「行くぞジョン」
「えっ!?何言ってんだよ。また病気をもらうのか?」
「アホ!文句を言いに行くんだよ」
アイツだけは許せん。
俺が如何に苦悶したか思い知らせてやる。
勘違いするなよ?手荒な真似はしない。日々、ザクロという煉獄に焼かれ、苦悶と絶頂の間でよく分からない性癖を獲得した辛苦と恥辱をクソアマに叩きつけてやる。懇々と問い詰め、貞操がユルユルでチ○・マ○カスだらけのクソ先祖を罵倒し、いずれ生むであろう子供や孫、末代まで陰部が臭くなれと呪詛を吐いてやる。
要するに、泣かせたい。
パックリして、黄色い液体が流れ、痛みとグロさで親子関係がギクシャクした悲劇を、語り聞かせたい。
クソアバズレゴミウジカスど腐れマ○コ宿主の、女畜生を泣かさないと、息子が浮かばれないってもんだぜ。
大好きな花街だってのに、キッツい香水を鼻腔に噴霧されたような気分だ。
これも奴のせい。
ざけんじゃねぇ。
俺は堂々とのれんを潜り「やってるかい!」ってな具合に江戸っ子を気取っていると、茶髪おっさんが俺に釘付けだった。
――茶髪しか働いちゃいけないって就業規則でもあんのかね。
「あ、あんたは……」
「は?」
なんだよ、なんだってんだよ。何をビビってんだよ。明らかに顔色が悪くなって、口元を震わせている。
誰だ?なんかしたか?全く心当たりがないんだが。
「あんた、魔王だろ」
「人違いです」
「う、嘘だね。ボサボサの黒髪に特徴のない顔つき、間違いない。俺は見たんだ」
「いえ、人違いです。さっき入った女の子を……」
「嘘つくな!お前に、俺の家族は殺されたんだぞ!」
いや知らんて。豚がやったんだろ。いや、鳥か?犬は暇そうにしてたから豚か鳥だろ。お料理に使いやすいお肉素材がやったんだろうが!俺は知らんわ!
「知らん!誰だ魔王って!俺はただの風俗好きだ!」
「くっ、ふざけやがって。こうなったら……」
カウンター下から取り出したのは…………あれはっ!?
「大人の玩具、だよな」
「アレは、そうだね」
ジョンも同意するんだから間違いない。完全に***を模した****を***するためだけに生み出された、正真正銘の***マシーン(ディ○ド)だ。
あんなもの、俺の体じゃ受け止められない。
ブゥィィン――――。
細かく振動し始めたディ○ドは先端から粘着質な乳白色の液体を放出した。水鉄砲のように噴射した液体は蛇のようにうねり始め、ぶるんっと螺旋階段のように渦を巻いた。
茶髪男は、当たり前のように構えた。今から剣道の試合でも始めるかのような佇まいだ。
手にしているのは、ただのディ○ドだってのに。
「死ねぇぇぇぇっ!」
カウンター越しに叫ぶと、体を捩って鋭い突きを放った。
どう考えても届かない距離。
大人の玩具で恥ずかしげもなくマジな顔をするようなやつだ。つまりコイツは、脳みそ的に問題があるのだ。だから俺との距離も見誤る。息巻いているが、何だか可哀想なやつだなと同情していた。
すると、ディ○ドから飛び出た白濁液の螺旋が、俺を目掛けて伸びたのだ。渦を解きバネの力で顔面に一直線。
「うわっキモっ」
思わず口をついた。だってめっちゃキモいじゃん。キモすぎて吐き気がするぐらいに、生理的に受け付けない。
嫌悪感に体も同調し、スムーズに頭を傾けて避けた。
すると表から悲鳴が上がった。
「うぎゃあああああ!」
どさりと倒れ、顔をかきむしりながらじたばたともがき苦しむおっさん。垂れ下がったのれんにはぽっかりと穴が開いている。
顔射……キメられたか。今日からお前は、女の子として生きていきなさい。そうすれば多少は言い訳も出来るってもんでしょう。
どぅるんと、いちいちキモイ音を立てて、白い液化武器はディ○ドまで引っ込んだ。
見かけはただのディ○ドだが、殺意と殺傷能力は本物らしい。
つーかどこの誰だ。こんなアホみたいな武器を作った奴はよお。
「妻の恨みを思い知れぇぇ!」
口上は立派。その意気も立派。恨みを晴らそうとする甲斐性もまた立派。
武器だけ、どうにもならんかったかね。いや、立派な***を模してるけどさあ。
バカの1つ覚えで、またもや突きで穿とうとタメを作った。その隙を見逃すはずもない。
ジョンがな――。
『反転』
どぉるんと伸びてきた白濁の液化剣は、突如Uターンして猛進した。
うん、セルフでキマりました。
眉間をぶち抜く一発だ。あうあうと最期の言葉を残して、茶髪男はカウンターの向こうに沈んでいった。
「サンキュー」
「まさか、武器だったなんて……。すまない、怪我させるとこだったよ」
「おいおい、お前はありのままでいてくれよな。油断しろ、女のケツだけを見てろ。それでいいんだよ」
「はあ。そういうわけにもいかないよ。なんたって俺の妻は族長の娘だからね」
「あーーーー。確かに。お前の父ちゃんと母ちゃんになる訳だ、アイツらが」
「傷でもつけたら、俺が殺されるよ」
「標様パワーで庇えたらよかったが、無理だよな」
「そりゃあね。歴代の標様を殺したのはあの方たちなんだから。いくらジローでも無理」
同情するぜ。ジョンの肩を叩いて憐みの視線をくれてやった。今日ぐらいはハメ外して、ハメようなとの思いも乗せて。
「ひ、ひぃいぃ!」
ハメハメの視線を理解してくれないジョンに、目を細めたり眉毛をくねくねさせたりと、どうにか無言の意思疎通を試みていると、奥からやって来たのはあの女だった。
ツーカーの仲なら目の色だけで分かってほしかったが、どうやら一ミリも分かってくれていないようだ。もうちょっと粘って親友の絆を確かめたかったが、コイツが来ちゃあ、ほっとけねえや。
「おい女。てめえ……」
「こ、この、神の敵めぇぇぇ!」
WHAT?
それ俺のセリフー。いやちゃうわ、ずっとこう言いたかったのだ。
「男の敵めぇえぇぇぇえっ!」
女以上につばを飛ばして叫んでやった。瞼をこれでもかと広げ、全身全霊で叫んだ。
当時の息子が上げていた悲鳴に比べれば、足りないだろう。しかぁし!その一端を知らしめるには十分だと思う。
「うるさい、うるさい、うるさぁい!なんで死んでないのよ!チンコがぐじゅぐじゅになるっていうから、私は、私は……」
コイツ……分かっててヤッたのか。
最低だ。店の安全管理もクソすぎるが、人としてどうなんだ。人のチンコをなんだと思ってやがる。ただのイモムシとでも思ってるのか?
時には可愛く、時には猛しく、時には女の子の色香によって惑う、俺の分身、いや親友、家族、もう一人の俺なのだ。
ぐじゅぐじゅにしようと思ってたと。ふざけた女だ。やはり男の敵だ。
「ジロー、アイツ変だ」
「ああ、分かってるよ。イカれてやがる」
「ん?俺はあの魔力のことを言っているんだけど」
「魔力?魔力がなんだ。ゴミじゃねえか」
「ジローにすればそうだろうけどさ。よく見てよ」
頭を掻きむしるぶっ飛んだ女を凝視する。
――――別に普通じゃん。
ジョンよりも魔力が多いぐらいで、それ以外は特段際立つ部分はない。
何が変なんだ?うーうー唸りながら髪を振り乱す行動よりも変なことなんてあるのか?
「分からん」
「魔力量が魔族よりも多いだろ。そんなの転生者しかありえない」
「えっそうなの?」
初耳なんですけどー。
「だけど、ジローみたいに無茶苦茶な量ではない。なんというか、転生者を薄めたような……」
「ほう」
ほう。ホウホウ。
転生者を薄めたような人間か。
「ヘイ!こっち見ろアバズレ!」
ピタリと手を止め、ゆっくりと顔を上げる様は、ジャパニーズホラーだった。男に捨てられ人生が荒んだ果ての地縛霊のように見えなくもない、名演技だ。
日本アカデミー取れるよ君。
「転生者に縁があったりする?」
「殺す、殺す、殺すコロス」
「後で殺されてあげるから答えてくんね?」
「お前は許さないっ!」
「……はあ」
俺が恨むのは、道理だろ。社会通念上、普遍的で常識的な感情の遷移だろう。俺の恨みは間違っちゃいないと断言できる。
でもさ、お前に恨まれる筋合いはないぜ。ミジンコ程度の隙もないほどに、余地はない。逆恨み?いや、何を恨むよ?当時のプレイ内容はめっちゃ普通だったと記憶している。ハードSMも、赤ちゃんプレイも、スカトロもしてない。まじでノーマル。礼に始まり礼に終わる、紳士的で何処にでもある夜だった。終わり際に握ったのが金でなく互いの手なら、映画にでもできるロマンスだったことは間違いない。
なおかつ、めちゃめちゃ楽しませた。証明はできないが、これはマジ。あーー、ビデオでも撮って見せたかったわーと言いたくなるほどマジ。
何処に恨まれる要素があるよ。
皆無じゃん。
「お前が転生しなければ、私は、私は……」
強く握りしめた拳から、ポタポタと血が垂れた。どんだけ深い恨みなん?怖い怖い。
「私は今頃、幸せになっていたというのにっ!」
理解できまへん。
詳細は次回へ!
族長は真剣な眼差しでそう言った。決してシモの話しをしてたわけじゃない。
御魔森の横にある、魔族たちの集落が血霧の園だろう、と聞いたら実は違ったのだ。
血霧の園はこの国の東端にあるらしい。ただし、大手を振って遠足にでも行こうものなら、確実に抹殺されてしまうそうだ。
ちょうど国境を跨ぐように存在するようで、迂闊には近づけないようだ。
ファンタジー前回のネーミングに心躍るのは、男の子の性だろう。合法的に行けるよう、バイアにビザとか手配してもらおう。
さて当面の遊びはどうしたものか。
フレッシュな高校生転生者たちが消えて、俺の玩具は一つだけになった。忘れちゃいけない深雪ちゃんだ。
この子、なかなかタフなのだ。
しきりに「殺しなさいよ」というあたりから、余裕が見て取れる。
痛ぶりがいがあって大変宜しいのだが……今じゃないな。せっかくの玩具を使い潰すのは勿体ない。もっと熟成させてからがいいな。
そういうわけで、やることは1つ!
「ジョーーーーンくぅーーーん、あーそーぼー」
人の欲は際限がない。
飯を食う事で満ちる者あらば、眠りこけることでリフレッシュする者あり。しからば……そういうことだ。田舎ほどガキが多いのは暇だからだろう。どっかのエロい研究者がそんな論文を発表していたはずだ。
いや、偉い研究者だ。
いや、偉くてエロい研究者だ。
「ジロー、何?」
「遊ぼうぜ」
「遊ぶって何すんの?」
「おいおい言わせんなよ。分かってんだろ?」
「はあ。俺は妻帯者だぞ?勘弁してくれよ」
「いいのかなー。エイミーちゃんの***を****して****を***してもよー」
精悍な顔つきで、ジョンは引き戸を閉じた。
「何をぼーっとしてるんだジロー。早く行こう」
「ういーっす」
この国は王族がいなくてもなんとかなってる。
こうしてトゥカナの街へ繰り出しても、ヒャッハーなモヒカン世紀末がナイフをベロベロしながらギンギンな目でカツアゲしてくることもない。
いかに平時か分かるだろう。
バイアの部下が脳みそトロトロの元老院議員達を動かして国家運営しているのが、上手くいってるってことかな。
「統治してみれば?」
成功しようが失敗しようがどうでもいいっす。勝手にやってろい!という気持ちで放った言葉だったが、言っといて良かった。
バイアに丸投げして俺は風俗ライフを満喫できるのだから。
さあて着きましたよ、花の街。オーク御一行に荒らされた街は未だに復興していない。王都から代官が来たらしいが、前領主の血族共が煩くて運営が滞っていると暗部が言っていた。
別に転生者がいるってわけでもないのに、なんで情報収集してんの?って聞いたら「標様の安息地だからです」だと。
ウチの暗部は本当に優秀だ。できる子たちだ。俺のオススメを今度奢ってやろうと思う。
まかり間違って病気なんか貰わないように、俺が指名してやらんとな。こういう時に、俺が独自に構築した風俗データベースが役に立つってことよ。
先輩が導いてやらんとな。標になってやらんとな。
そうだ、汁を出す雄しべ、すなわち汁べになってやろう。
「あっ……」
あっ………………。
「あっ……」
ジョンも気づいたようだ。
俺とジョンはただの友達じゃない。それ以上に深い関係だ。エロい繋がりがあるとかそういうんじゃない。いや、エロい繋がりではあるが、腐女子が喜ぶネチョネチョした挿しつ挿されつの繋がりではない。
俺たちは兄弟なのだ。風俗で繋がりし兄弟だから分かることがある。
俺たちがシェアしていない女の子は数えるほどだ。
それ故、記憶に残る。
ましてや俺だけが貰って、ジョンだけが貰ってないのだ。
忘れられるわけがない。
俺だけが味見した女。
そして、激辛スパイシー過ぎて体が悲鳴を上げてしまった、魔性の女。
そう!俺の息子をザクロにした張本人が横切ったのだ。出勤時間だったのか焦った様子で軒先に吸い込まれていったのだ!
「あの子、だよなジロー」
「見つけたぞ、遂に」
あのボケだけは許さぬ――。
店はとっくに破壊されていて、本人はどこにいるか分からない。
今まではクレームをぶつける場所がなかった。
しかし今はどうだ。
眼前を颯爽と横切りやがった。
直接本人に言い募る好機だ!
田舎に引っ込んだと思っていたが、そうか……移籍しただけだったか。
「行くぞジョン」
「えっ!?何言ってんだよ。また病気をもらうのか?」
「アホ!文句を言いに行くんだよ」
アイツだけは許せん。
俺が如何に苦悶したか思い知らせてやる。
勘違いするなよ?手荒な真似はしない。日々、ザクロという煉獄に焼かれ、苦悶と絶頂の間でよく分からない性癖を獲得した辛苦と恥辱をクソアマに叩きつけてやる。懇々と問い詰め、貞操がユルユルでチ○・マ○カスだらけのクソ先祖を罵倒し、いずれ生むであろう子供や孫、末代まで陰部が臭くなれと呪詛を吐いてやる。
要するに、泣かせたい。
パックリして、黄色い液体が流れ、痛みとグロさで親子関係がギクシャクした悲劇を、語り聞かせたい。
クソアバズレゴミウジカスど腐れマ○コ宿主の、女畜生を泣かさないと、息子が浮かばれないってもんだぜ。
大好きな花街だってのに、キッツい香水を鼻腔に噴霧されたような気分だ。
これも奴のせい。
ざけんじゃねぇ。
俺は堂々とのれんを潜り「やってるかい!」ってな具合に江戸っ子を気取っていると、茶髪おっさんが俺に釘付けだった。
――茶髪しか働いちゃいけないって就業規則でもあんのかね。
「あ、あんたは……」
「は?」
なんだよ、なんだってんだよ。何をビビってんだよ。明らかに顔色が悪くなって、口元を震わせている。
誰だ?なんかしたか?全く心当たりがないんだが。
「あんた、魔王だろ」
「人違いです」
「う、嘘だね。ボサボサの黒髪に特徴のない顔つき、間違いない。俺は見たんだ」
「いえ、人違いです。さっき入った女の子を……」
「嘘つくな!お前に、俺の家族は殺されたんだぞ!」
いや知らんて。豚がやったんだろ。いや、鳥か?犬は暇そうにしてたから豚か鳥だろ。お料理に使いやすいお肉素材がやったんだろうが!俺は知らんわ!
「知らん!誰だ魔王って!俺はただの風俗好きだ!」
「くっ、ふざけやがって。こうなったら……」
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「アレは、そうだね」
ジョンも同意するんだから間違いない。完全に***を模した****を***するためだけに生み出された、正真正銘の***マシーン(ディ○ド)だ。
あんなもの、俺の体じゃ受け止められない。
ブゥィィン――――。
細かく振動し始めたディ○ドは先端から粘着質な乳白色の液体を放出した。水鉄砲のように噴射した液体は蛇のようにうねり始め、ぶるんっと螺旋階段のように渦を巻いた。
茶髪男は、当たり前のように構えた。今から剣道の試合でも始めるかのような佇まいだ。
手にしているのは、ただのディ○ドだってのに。
「死ねぇぇぇぇっ!」
カウンター越しに叫ぶと、体を捩って鋭い突きを放った。
どう考えても届かない距離。
大人の玩具で恥ずかしげもなくマジな顔をするようなやつだ。つまりコイツは、脳みそ的に問題があるのだ。だから俺との距離も見誤る。息巻いているが、何だか可哀想なやつだなと同情していた。
すると、ディ○ドから飛び出た白濁液の螺旋が、俺を目掛けて伸びたのだ。渦を解きバネの力で顔面に一直線。
「うわっキモっ」
思わず口をついた。だってめっちゃキモいじゃん。キモすぎて吐き気がするぐらいに、生理的に受け付けない。
嫌悪感に体も同調し、スムーズに頭を傾けて避けた。
すると表から悲鳴が上がった。
「うぎゃあああああ!」
どさりと倒れ、顔をかきむしりながらじたばたともがき苦しむおっさん。垂れ下がったのれんにはぽっかりと穴が開いている。
顔射……キメられたか。今日からお前は、女の子として生きていきなさい。そうすれば多少は言い訳も出来るってもんでしょう。
どぅるんと、いちいちキモイ音を立てて、白い液化武器はディ○ドまで引っ込んだ。
見かけはただのディ○ドだが、殺意と殺傷能力は本物らしい。
つーかどこの誰だ。こんなアホみたいな武器を作った奴はよお。
「妻の恨みを思い知れぇぇ!」
口上は立派。その意気も立派。恨みを晴らそうとする甲斐性もまた立派。
武器だけ、どうにもならんかったかね。いや、立派な***を模してるけどさあ。
バカの1つ覚えで、またもや突きで穿とうとタメを作った。その隙を見逃すはずもない。
ジョンがな――。
『反転』
どぉるんと伸びてきた白濁の液化剣は、突如Uターンして猛進した。
うん、セルフでキマりました。
眉間をぶち抜く一発だ。あうあうと最期の言葉を残して、茶髪男はカウンターの向こうに沈んでいった。
「サンキュー」
「まさか、武器だったなんて……。すまない、怪我させるとこだったよ」
「おいおい、お前はありのままでいてくれよな。油断しろ、女のケツだけを見てろ。それでいいんだよ」
「はあ。そういうわけにもいかないよ。なんたって俺の妻は族長の娘だからね」
「あーーーー。確かに。お前の父ちゃんと母ちゃんになる訳だ、アイツらが」
「傷でもつけたら、俺が殺されるよ」
「標様パワーで庇えたらよかったが、無理だよな」
「そりゃあね。歴代の標様を殺したのはあの方たちなんだから。いくらジローでも無理」
同情するぜ。ジョンの肩を叩いて憐みの視線をくれてやった。今日ぐらいはハメ外して、ハメようなとの思いも乗せて。
「ひ、ひぃいぃ!」
ハメハメの視線を理解してくれないジョンに、目を細めたり眉毛をくねくねさせたりと、どうにか無言の意思疎通を試みていると、奥からやって来たのはあの女だった。
ツーカーの仲なら目の色だけで分かってほしかったが、どうやら一ミリも分かってくれていないようだ。もうちょっと粘って親友の絆を確かめたかったが、コイツが来ちゃあ、ほっとけねえや。
「おい女。てめえ……」
「こ、この、神の敵めぇぇぇ!」
WHAT?
それ俺のセリフー。いやちゃうわ、ずっとこう言いたかったのだ。
「男の敵めぇえぇぇぇえっ!」
女以上につばを飛ばして叫んでやった。瞼をこれでもかと広げ、全身全霊で叫んだ。
当時の息子が上げていた悲鳴に比べれば、足りないだろう。しかぁし!その一端を知らしめるには十分だと思う。
「うるさい、うるさい、うるさぁい!なんで死んでないのよ!チンコがぐじゅぐじゅになるっていうから、私は、私は……」
コイツ……分かっててヤッたのか。
最低だ。店の安全管理もクソすぎるが、人としてどうなんだ。人のチンコをなんだと思ってやがる。ただのイモムシとでも思ってるのか?
時には可愛く、時には猛しく、時には女の子の色香によって惑う、俺の分身、いや親友、家族、もう一人の俺なのだ。
ぐじゅぐじゅにしようと思ってたと。ふざけた女だ。やはり男の敵だ。
「ジロー、アイツ変だ」
「ああ、分かってるよ。イカれてやがる」
「ん?俺はあの魔力のことを言っているんだけど」
「魔力?魔力がなんだ。ゴミじゃねえか」
「ジローにすればそうだろうけどさ。よく見てよ」
頭を掻きむしるぶっ飛んだ女を凝視する。
――――別に普通じゃん。
ジョンよりも魔力が多いぐらいで、それ以外は特段際立つ部分はない。
何が変なんだ?うーうー唸りながら髪を振り乱す行動よりも変なことなんてあるのか?
「分からん」
「魔力量が魔族よりも多いだろ。そんなの転生者しかありえない」
「えっそうなの?」
初耳なんですけどー。
「だけど、ジローみたいに無茶苦茶な量ではない。なんというか、転生者を薄めたような……」
「ほう」
ほう。ホウホウ。
転生者を薄めたような人間か。
「ヘイ!こっち見ろアバズレ!」
ピタリと手を止め、ゆっくりと顔を上げる様は、ジャパニーズホラーだった。男に捨てられ人生が荒んだ果ての地縛霊のように見えなくもない、名演技だ。
日本アカデミー取れるよ君。
「転生者に縁があったりする?」
「殺す、殺す、殺すコロス」
「後で殺されてあげるから答えてくんね?」
「お前は許さないっ!」
「……はあ」
俺が恨むのは、道理だろ。社会通念上、普遍的で常識的な感情の遷移だろう。俺の恨みは間違っちゃいないと断言できる。
でもさ、お前に恨まれる筋合いはないぜ。ミジンコ程度の隙もないほどに、余地はない。逆恨み?いや、何を恨むよ?当時のプレイ内容はめっちゃ普通だったと記憶している。ハードSMも、赤ちゃんプレイも、スカトロもしてない。まじでノーマル。礼に始まり礼に終わる、紳士的で何処にでもある夜だった。終わり際に握ったのが金でなく互いの手なら、映画にでもできるロマンスだったことは間違いない。
なおかつ、めちゃめちゃ楽しませた。証明はできないが、これはマジ。あーー、ビデオでも撮って見せたかったわーと言いたくなるほどマジ。
何処に恨まれる要素があるよ。
皆無じゃん。
「お前が転生しなければ、私は、私は……」
強く握りしめた拳から、ポタポタと血が垂れた。どんだけ深い恨みなん?怖い怖い。
「私は今頃、幸せになっていたというのにっ!」
理解できまへん。
詳細は次回へ!
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普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
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