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神がいるから転生者が調子乗るんじゃないの?気持ちわかるわ。俺だって好き放題やってるし、最高だもんな。
だからお互いに好きな事をした方がいい!
異世界に来てまで我慢する必要なんてないんだ。
どんどん好きなことして、どんどん俺の神に嫌われて、どんどん俺のモチベを高めてくれ。
「ううっ、ぐぅ……おっおえぇぇぇ゛」
ござるでゅふふの側に落ちたのは『音叉響』という二股の金属だ。ふむふむ、響く音によって影響を与える、らしい。『音叉響』を鑑定眼で見た結果がこれだ。
俺の鑑定眼がバグったわけではない。にしてもざっくりしすぎだろ。
こいつらの能力は大変分かり辛い。鑑定眼で見ても、メニュー画面しか表示されないからだ。青頭を見た時もこの表示方法だったので、鑑定を阻害する能力か魔法かと思っていた。
でも、でゅふふ達を見て、これが設定であり能力である、という結論に至った。
つまり、能力が設定で設定が能力になっているというわけだ。
端的に言うと、この『音叉響』は能力ではないという事だ。
俺みたいに『主人公殺しの眼』とか『反主人公の証明』といった能力は持たずに、ゲーム的世界観に産み落とされた転生者ってわけ。だからゲーム的な設定がこいつらの能力として機能している。そして、そのゲーム的設定がこの世界においてのチートになっている。
どんな修行をして、拳銃とか剣とかこの音叉とかを手に入れたのかは知らんけど、どっかで獲得した物なんだろう。能力なら鑑定眼ででゅふふ達を見たときに『音叉響』って表示されるはずだからだ。
俺がコイツらを殺したらどうなるんだろうか。
普通なら、能力を手に入れる事が出来る。それプラス設定も手に入る。何故設定が割り込んでくるのか、神様に聞いてないから知らんけど、たぶん能力を発揮する為のOSみたいなものなんだろう。設定があって能力を使用できるから、この理屈であっているはず。
こいつらの場合はどうなるんだ。
ステータスが引き継がれるとか?それともこいつらが持つ武器の所有権が移るとか?
要らんけどな。武器を奪って使えるなら、殺す必要なさそうじゃん。武器以外に魅力ないもん。
青頭の拳銃、刀、本、ローブ、こいつらの武器が魅力的なだけで、設定はありきたりだしねえ。音叉はあんまり興味ない。興味ないけど……。
物は試しだ。
「ディキ」
「――――うっケケ、はっ」
「体調悪い?」
「はい」
『痛覚遮断』
「っケケケ、痛みが消えました」
「コイツ殺したら治療に行っていいよ」
「はっ」
影に潜ってたみたいだけど、いつにも増して顔色が悪かった。『音叉響』はじわじわ効く系なのか。
やっぱり要らんな。
「うぅ、はあ、はあぐっ……」
『我が標へ』
ディキの影が切り絵のように浮かび上がり、何本もの鋭利な刃に変貌した。上空に向かって長ーく伸びて、蹲ったまま動かないござるでゅふふの上でピタリと止まった。
ヒョオッ!
背後からサクサク貫通する。
最期の言葉は、あっ、だった。後頭部から鼻まで、背中から胸まで、腰から腹まで、スッカスカの穴開きチーズが出来上がった。ネズ公がいれば喜んだだろうに。
「裕介っ!ゆうすけええええー!」
振り返れば、磔のでゅふふBが叫んでいた。まだお肉を削がれてないから元気だ。お前はあと。
さあて、能力は?設定は?
ピコン!
『ステータスの引き継ぎを実行しま……』
「却下だ」
『……ヂヂヂ、却下。引き継ぎは中断されました。それではまず武器を選択してください』
視界に広がったのは半透明のメニュー画面。村の入口から付近で行われる、転生者による殺戮ショーもバッチリ見える。上手くできたUIだ。
メニュー一覧の武器選択というアイコンに吹き出しがついていて、ここをタップ!と書かれている。
ひとまずタップ。
その中にあるのは『音叉響』だけ。随分貧相だな。空欄が幾つもあるから、武器は何種類も持てそうだ。『音叉響』の上に吹き出しが出てきたのでタップしてみる。
『既に装備しています』
いや、してないけど。
ああ!はいはい。転がってますね。
タップしたら武器が出てきて、システム上は装備扱いになるわけだ。つーことは、武器さえ奪えばいいんだな。殺す必要なさげじゃん。
音叉、もとい『音叉響』を手にとってみる。すると武器一覧から円グラフみたいな表示に切り替わり、その中には3つの選択肢がある。
『純音』『楽音』『噪音』
コイツが使ってた、内臓ぐちゃぐちゃは『噪音』。
『純音』は敵の攻撃を跳ね返す。
『楽音』は敵にデバフを与える。
文面だけなら使えそうだけど、当の本人は死んでるからな。役立たずの能力じゃん。
これって、技だよな。この『音叉響』を使った技だ。
なるほど、武器を手に入れるだけでは、こいつらの技が手に入らないわけだ。
じゃあ殺すべきだな。
そして、吹き出しがやたら『噪音』を押せと。
はい、押しましたよっと。
『音叉響を叩いて音を響かせましょう。アナタの敵に自動でロックされますので、武器を向ける必要はありません』
あーはー、これってチュートリアルか。どーせ使わんし、中止だ中止!
『……ヂヂヂヂ……これ……これでアナタも立派な勇者です。さあ、魔王の手から世界を救いましょう!』
ほーん、こういう設定ですか。
で、俺が何故か魔王扱いになっていると。ネズ公じゃなくて俺が?なんでやねん!魔物を引き連れる転生者はネズ公だろうが!と言っても誰も聞いてくれないよなー。
ネズ公死んだし。俺は魔族の標様だし。魔のリーダーってことなら魔王になるな。
――――ああ、主人公っぽいわ。
危ねえ、危ねえ。危うく主人公ポジションを受け入れるところだった。ダークファンタジーの正道を行きそうだったぜ。魔王はやりましぇぇぇえんっ!
ここいらで1つ、俺が主人公でない事を証明しないとな。
「ディキ帰っていいよ。おつかれー。ちゃんと治療してねー」
「はっ。お側にはチェリーフィズが居りますので、何かあればお呼びください」
「オッケー」
気が利くな。優秀すぎるよ。大企業の秘書とかに向いてるんじゃないの?Goo○leに秘書っていうポジションがあるなら紹介したいわ。
なんのコネもないけど
いつまでもメニューが表示されていて鬱陶しかったので、ハエを追っ払うように手を振ったら消えた。自動で消えてくれんかね。大体分かるだろ。
村の入口では転生者たちが殺戮を頑張っている。ポークを量産し、大量の鳥肉を転がして、犬肉は……何に使うの?食べるの?そういう風習があるなら否定しないけど、お前ら日本人だよね。
あーあ可哀想。動物愛護法違反だろ。
鳥がだいぶ減った。ワンころとポークはそれなりに耐え忍んでいる。転生者は強い!しかし数には勝てないようで、数名が大怪我を負ってダウンしている。死んではいない。
それでは、もっと時間を稼いでもらおうかね、化け物諸君。
『不落の城』
『神速の猟犬』
『千載一遇の眼』
『猪突鉄塊』
OH めちゃんこ魔力が減ったわ。付与する対象が増えれば魔力も減るわな。しゃーないか。
「くっ、コイツら急に……」
「誰か魔王をっ!」
「それどころじゃない!」
というように、転生者が明らかに押され出した。
ネズ公、いい能力だね。本当にありがとう。年食って恥ずい限りだが、もしかしたら俺は、ネズ公に恋をしていたのかもしれない。だってこんなに寂しいんだぜ?あのムチモフのボディを撫で回したくてウズウズしている。
早くペットを見つけないとな。次の恋を見つけて、忘れないとな。
「なっ!?そうだよなでゅふふC」
「でゅふ、でゅふ、ゔゔ、殺してくれ」
「断る。ああその前に……ん?どうやるんだ?」
付与した能力はどうやって解除するんでしょうか。
『解除!』
…………ダメ?
ピコン。
『付与は解除できません。有効時間が切れるのを待ってください』
にゃるほど。で有効時間とは?何分?
『……』
何分?
『……』
ナンプラー。
『……』
聞いてないよぉぉ!ネズ公のUI分かりにくいよぉ!時間制限あるなら書いとけよ!ていうかなんで返事しないの?照れてるの?何なのよ。
『……』
コイツ、使えねえ。何か特定のアクションをしないと、声を上げないタイプか。ド変態め。
なんか、魔力がどんどん減ってるわ。やべーよ、マティーニとダイキリにも魔力を共有してるし、これって危機なんじゃないの?
もー、ほんとヤダッ。
「C、ごめんな。解除しようと思ったんだけどできないわ」
「い、いい゛、いいから、ころ゛じてくれ゛!」
「そんなに怒るなよ。良い思いさせてあげるからさ」
「………………………………お願いじま゛ず。ころじで」
そんなに辛かったか。
そんなギンギンで言われても、説得力ないっての。
「好きな子、いる?嘘ついたら削ぐからね」
「い、いな、い」
「はい嘘です」
「う゛う、ぎゃああああ゛あ゛あ゛」
「好きな子は誰?かわいい子でもいい。答えて」
「マ゛、マ゛ジガル゛ディガヂャン」
「ん?マジカル・ディカ?」
「で、でぃ、ディガ」
「ディガ?」
「でゅふ、ディ、ゔぅ、ディガ、らでぃどぅれど」
「あっはははあ、リカね?リカ。それはクラスメイト、じゃねーな?」
「ア゛ニメ」
「もーーー。3次元の女の子に興味持ちなよー」
「――――があ゛あ゛あ゛あ゛、ひっ、ひっゔっっぉ、おぇ゛」
「クラスメイトの女の子。君がかわいいと思う子、誰かいない?そのマジカル・リカちゃんに似てる子でもいいよ」
「ゔぅぅ、ひぃうう。ゆ゛、ゆ゛じが」
「ゆー、ゆりか!ゆりかだな!?」
「じょうでず。お゛ねがいじま゛じゅ。もうや゛めで……」
「分かったもう止める。チェリー」
「はっ」
「コイツ治せる?」
「あまり得意ではありませんが、ある程度なら」
「プリーズ」
「はっ」
チェリーボーイが……。画が卑猥だ。
ちょうどチェリーの顔面が、濡れそぼった、男根の前に……。
『治癒せよ』
ほわ~んとでゅふふCが輝き、治りました。得意じゃないってのは傷痕が残るって意味か。まあそれぐらいはいいっしょ、漢!って感じで。
「チェリー、あ……」
怖っ。めっちゃ怖い顔してる!キショかったんだね。ごめんね。でもさ、わざわざ正面に立つ君が悪いよ?斜めからでも治癒出来たでしょうに。
「あ、ありがとうね」
「――――はっ。標様、コイツを殺すときは、私にお命じ下さい」
「う、うん。分かったーじゃあ、もういいよー」
「はっ。ぺっ」
唾……。あんなショタが、あんなに恐ろしいなんて。カワユイのお。俺ってばもしかして、男もイケる口では?腐女子のみなさ~ん!これからBLが……。
「ありがとうございます。何でも言うことを聞きますから、アレは、アレだけは勘弁してください!」
「――はあ。今、創出者の中でも奇特な、貴腐人の方々に呼びかけをしていたところなのに」
「創出、貴腐……申し訳ありませんでしたっ!もうしませんから、赦してくださいっ!」
「はいはい。別に怒っちゃあいませんよっと」
台に登って手の縄を外してあげた。足の方も外して、でゅふふCを自由にする。磔は本来釘を使うべきだが、それだとわくわくがない。既に痛みに耐えてる人間を更に甚振る?ノンノンノン気でしょーが。
全く痛くない、縛られて怖い、そんな人が最初に味わう苦痛を見るのがいいんじゃないの。処女厨やら初鰹厨やら初夢厨やら、初物に拘るところが、俺にも出てるんだね。生粋の日本人だわ。
「あ、ありがとうございます」
さっと土下座に移る君も、生粋の日本人。よろしい。俺たちきっと気が合うね。
「B君だけ傷がないってズルくなーい?」
「――――そ、そうですね。でゅふ」
「A君だってほら、傷があるんだよ?君よりは少ないけどさ」
「――――はい」
「これよく切れるし、よく削げる。やってみるか?」
「――――――――――――――――――――――――――――――――はい」
「待って、リョウ!止めてくれ!頼むから!」
悲鳴がCに降り注ぐ。イッちゃうんじゃないの?ドMとドSの両属性持ちってやべえーよ。女と男両方食えるみたいなもんじゃん。やべーよ。幸福だねー。
「おわ、終わりました」
「良くやった。震えてるな」
「す、すみません。初めて、人を……」
「よしよし、大丈夫だ。血が出てるだろ?止血してあげようか」
「僕、治癒の魔法ができなくて……」
「血を止めるだけだ。火を使えばいい」
「火、ですか?」
「ラン○ー見たことない?世代が違うもんなー。それなら、ああ!ハガ○ンは?大佐が腹の傷焼いてたじゃん、あれよあれ」
「そ、それだと痛いんじゃ……」
「はぁ~」
「やります!やりますやりますやります!」
「ゔぅ、待って、まっ、ぎゃあああぁ!」
そろそろ、バトロワ開始しようかね。
だからお互いに好きな事をした方がいい!
異世界に来てまで我慢する必要なんてないんだ。
どんどん好きなことして、どんどん俺の神に嫌われて、どんどん俺のモチベを高めてくれ。
「ううっ、ぐぅ……おっおえぇぇぇ゛」
ござるでゅふふの側に落ちたのは『音叉響』という二股の金属だ。ふむふむ、響く音によって影響を与える、らしい。『音叉響』を鑑定眼で見た結果がこれだ。
俺の鑑定眼がバグったわけではない。にしてもざっくりしすぎだろ。
こいつらの能力は大変分かり辛い。鑑定眼で見ても、メニュー画面しか表示されないからだ。青頭を見た時もこの表示方法だったので、鑑定を阻害する能力か魔法かと思っていた。
でも、でゅふふ達を見て、これが設定であり能力である、という結論に至った。
つまり、能力が設定で設定が能力になっているというわけだ。
端的に言うと、この『音叉響』は能力ではないという事だ。
俺みたいに『主人公殺しの眼』とか『反主人公の証明』といった能力は持たずに、ゲーム的世界観に産み落とされた転生者ってわけ。だからゲーム的な設定がこいつらの能力として機能している。そして、そのゲーム的設定がこの世界においてのチートになっている。
どんな修行をして、拳銃とか剣とかこの音叉とかを手に入れたのかは知らんけど、どっかで獲得した物なんだろう。能力なら鑑定眼ででゅふふ達を見たときに『音叉響』って表示されるはずだからだ。
俺がコイツらを殺したらどうなるんだろうか。
普通なら、能力を手に入れる事が出来る。それプラス設定も手に入る。何故設定が割り込んでくるのか、神様に聞いてないから知らんけど、たぶん能力を発揮する為のOSみたいなものなんだろう。設定があって能力を使用できるから、この理屈であっているはず。
こいつらの場合はどうなるんだ。
ステータスが引き継がれるとか?それともこいつらが持つ武器の所有権が移るとか?
要らんけどな。武器を奪って使えるなら、殺す必要なさそうじゃん。武器以外に魅力ないもん。
青頭の拳銃、刀、本、ローブ、こいつらの武器が魅力的なだけで、設定はありきたりだしねえ。音叉はあんまり興味ない。興味ないけど……。
物は試しだ。
「ディキ」
「――――うっケケ、はっ」
「体調悪い?」
「はい」
『痛覚遮断』
「っケケケ、痛みが消えました」
「コイツ殺したら治療に行っていいよ」
「はっ」
影に潜ってたみたいだけど、いつにも増して顔色が悪かった。『音叉響』はじわじわ効く系なのか。
やっぱり要らんな。
「うぅ、はあ、はあぐっ……」
『我が標へ』
ディキの影が切り絵のように浮かび上がり、何本もの鋭利な刃に変貌した。上空に向かって長ーく伸びて、蹲ったまま動かないござるでゅふふの上でピタリと止まった。
ヒョオッ!
背後からサクサク貫通する。
最期の言葉は、あっ、だった。後頭部から鼻まで、背中から胸まで、腰から腹まで、スッカスカの穴開きチーズが出来上がった。ネズ公がいれば喜んだだろうに。
「裕介っ!ゆうすけええええー!」
振り返れば、磔のでゅふふBが叫んでいた。まだお肉を削がれてないから元気だ。お前はあと。
さあて、能力は?設定は?
ピコン!
『ステータスの引き継ぎを実行しま……』
「却下だ」
『……ヂヂヂ、却下。引き継ぎは中断されました。それではまず武器を選択してください』
視界に広がったのは半透明のメニュー画面。村の入口から付近で行われる、転生者による殺戮ショーもバッチリ見える。上手くできたUIだ。
メニュー一覧の武器選択というアイコンに吹き出しがついていて、ここをタップ!と書かれている。
ひとまずタップ。
その中にあるのは『音叉響』だけ。随分貧相だな。空欄が幾つもあるから、武器は何種類も持てそうだ。『音叉響』の上に吹き出しが出てきたのでタップしてみる。
『既に装備しています』
いや、してないけど。
ああ!はいはい。転がってますね。
タップしたら武器が出てきて、システム上は装備扱いになるわけだ。つーことは、武器さえ奪えばいいんだな。殺す必要なさげじゃん。
音叉、もとい『音叉響』を手にとってみる。すると武器一覧から円グラフみたいな表示に切り替わり、その中には3つの選択肢がある。
『純音』『楽音』『噪音』
コイツが使ってた、内臓ぐちゃぐちゃは『噪音』。
『純音』は敵の攻撃を跳ね返す。
『楽音』は敵にデバフを与える。
文面だけなら使えそうだけど、当の本人は死んでるからな。役立たずの能力じゃん。
これって、技だよな。この『音叉響』を使った技だ。
なるほど、武器を手に入れるだけでは、こいつらの技が手に入らないわけだ。
じゃあ殺すべきだな。
そして、吹き出しがやたら『噪音』を押せと。
はい、押しましたよっと。
『音叉響を叩いて音を響かせましょう。アナタの敵に自動でロックされますので、武器を向ける必要はありません』
あーはー、これってチュートリアルか。どーせ使わんし、中止だ中止!
『……ヂヂヂヂ……これ……これでアナタも立派な勇者です。さあ、魔王の手から世界を救いましょう!』
ほーん、こういう設定ですか。
で、俺が何故か魔王扱いになっていると。ネズ公じゃなくて俺が?なんでやねん!魔物を引き連れる転生者はネズ公だろうが!と言っても誰も聞いてくれないよなー。
ネズ公死んだし。俺は魔族の標様だし。魔のリーダーってことなら魔王になるな。
――――ああ、主人公っぽいわ。
危ねえ、危ねえ。危うく主人公ポジションを受け入れるところだった。ダークファンタジーの正道を行きそうだったぜ。魔王はやりましぇぇぇえんっ!
ここいらで1つ、俺が主人公でない事を証明しないとな。
「ディキ帰っていいよ。おつかれー。ちゃんと治療してねー」
「はっ。お側にはチェリーフィズが居りますので、何かあればお呼びください」
「オッケー」
気が利くな。優秀すぎるよ。大企業の秘書とかに向いてるんじゃないの?Goo○leに秘書っていうポジションがあるなら紹介したいわ。
なんのコネもないけど
いつまでもメニューが表示されていて鬱陶しかったので、ハエを追っ払うように手を振ったら消えた。自動で消えてくれんかね。大体分かるだろ。
村の入口では転生者たちが殺戮を頑張っている。ポークを量産し、大量の鳥肉を転がして、犬肉は……何に使うの?食べるの?そういう風習があるなら否定しないけど、お前ら日本人だよね。
あーあ可哀想。動物愛護法違反だろ。
鳥がだいぶ減った。ワンころとポークはそれなりに耐え忍んでいる。転生者は強い!しかし数には勝てないようで、数名が大怪我を負ってダウンしている。死んではいない。
それでは、もっと時間を稼いでもらおうかね、化け物諸君。
『不落の城』
『神速の猟犬』
『千載一遇の眼』
『猪突鉄塊』
OH めちゃんこ魔力が減ったわ。付与する対象が増えれば魔力も減るわな。しゃーないか。
「くっ、コイツら急に……」
「誰か魔王をっ!」
「それどころじゃない!」
というように、転生者が明らかに押され出した。
ネズ公、いい能力だね。本当にありがとう。年食って恥ずい限りだが、もしかしたら俺は、ネズ公に恋をしていたのかもしれない。だってこんなに寂しいんだぜ?あのムチモフのボディを撫で回したくてウズウズしている。
早くペットを見つけないとな。次の恋を見つけて、忘れないとな。
「なっ!?そうだよなでゅふふC」
「でゅふ、でゅふ、ゔゔ、殺してくれ」
「断る。ああその前に……ん?どうやるんだ?」
付与した能力はどうやって解除するんでしょうか。
『解除!』
…………ダメ?
ピコン。
『付与は解除できません。有効時間が切れるのを待ってください』
にゃるほど。で有効時間とは?何分?
『……』
何分?
『……』
ナンプラー。
『……』
聞いてないよぉぉ!ネズ公のUI分かりにくいよぉ!時間制限あるなら書いとけよ!ていうかなんで返事しないの?照れてるの?何なのよ。
『……』
コイツ、使えねえ。何か特定のアクションをしないと、声を上げないタイプか。ド変態め。
なんか、魔力がどんどん減ってるわ。やべーよ、マティーニとダイキリにも魔力を共有してるし、これって危機なんじゃないの?
もー、ほんとヤダッ。
「C、ごめんな。解除しようと思ったんだけどできないわ」
「い、いい゛、いいから、ころ゛じてくれ゛!」
「そんなに怒るなよ。良い思いさせてあげるからさ」
「………………………………お願いじま゛ず。ころじで」
そんなに辛かったか。
そんなギンギンで言われても、説得力ないっての。
「好きな子、いる?嘘ついたら削ぐからね」
「い、いな、い」
「はい嘘です」
「う゛う、ぎゃああああ゛あ゛あ゛」
「好きな子は誰?かわいい子でもいい。答えて」
「マ゛、マ゛ジガル゛ディガヂャン」
「ん?マジカル・ディカ?」
「で、でぃ、ディガ」
「ディガ?」
「でゅふ、ディ、ゔぅ、ディガ、らでぃどぅれど」
「あっはははあ、リカね?リカ。それはクラスメイト、じゃねーな?」
「ア゛ニメ」
「もーーー。3次元の女の子に興味持ちなよー」
「――――があ゛あ゛あ゛あ゛、ひっ、ひっゔっっぉ、おぇ゛」
「クラスメイトの女の子。君がかわいいと思う子、誰かいない?そのマジカル・リカちゃんに似てる子でもいいよ」
「ゔぅぅ、ひぃうう。ゆ゛、ゆ゛じが」
「ゆー、ゆりか!ゆりかだな!?」
「じょうでず。お゛ねがいじま゛じゅ。もうや゛めで……」
「分かったもう止める。チェリー」
「はっ」
「コイツ治せる?」
「あまり得意ではありませんが、ある程度なら」
「プリーズ」
「はっ」
チェリーボーイが……。画が卑猥だ。
ちょうどチェリーの顔面が、濡れそぼった、男根の前に……。
『治癒せよ』
ほわ~んとでゅふふCが輝き、治りました。得意じゃないってのは傷痕が残るって意味か。まあそれぐらいはいいっしょ、漢!って感じで。
「チェリー、あ……」
怖っ。めっちゃ怖い顔してる!キショかったんだね。ごめんね。でもさ、わざわざ正面に立つ君が悪いよ?斜めからでも治癒出来たでしょうに。
「あ、ありがとうね」
「――――はっ。標様、コイツを殺すときは、私にお命じ下さい」
「う、うん。分かったーじゃあ、もういいよー」
「はっ。ぺっ」
唾……。あんなショタが、あんなに恐ろしいなんて。カワユイのお。俺ってばもしかして、男もイケる口では?腐女子のみなさ~ん!これからBLが……。
「ありがとうございます。何でも言うことを聞きますから、アレは、アレだけは勘弁してください!」
「――はあ。今、創出者の中でも奇特な、貴腐人の方々に呼びかけをしていたところなのに」
「創出、貴腐……申し訳ありませんでしたっ!もうしませんから、赦してくださいっ!」
「はいはい。別に怒っちゃあいませんよっと」
台に登って手の縄を外してあげた。足の方も外して、でゅふふCを自由にする。磔は本来釘を使うべきだが、それだとわくわくがない。既に痛みに耐えてる人間を更に甚振る?ノンノンノン気でしょーが。
全く痛くない、縛られて怖い、そんな人が最初に味わう苦痛を見るのがいいんじゃないの。処女厨やら初鰹厨やら初夢厨やら、初物に拘るところが、俺にも出てるんだね。生粋の日本人だわ。
「あ、ありがとうございます」
さっと土下座に移る君も、生粋の日本人。よろしい。俺たちきっと気が合うね。
「B君だけ傷がないってズルくなーい?」
「――――そ、そうですね。でゅふ」
「A君だってほら、傷があるんだよ?君よりは少ないけどさ」
「――――はい」
「これよく切れるし、よく削げる。やってみるか?」
「――――――――――――――――――――――――――――――――はい」
「待って、リョウ!止めてくれ!頼むから!」
悲鳴がCに降り注ぐ。イッちゃうんじゃないの?ドMとドSの両属性持ちってやべえーよ。女と男両方食えるみたいなもんじゃん。やべーよ。幸福だねー。
「おわ、終わりました」
「良くやった。震えてるな」
「す、すみません。初めて、人を……」
「よしよし、大丈夫だ。血が出てるだろ?止血してあげようか」
「僕、治癒の魔法ができなくて……」
「血を止めるだけだ。火を使えばいい」
「火、ですか?」
「ラン○ー見たことない?世代が違うもんなー。それなら、ああ!ハガ○ンは?大佐が腹の傷焼いてたじゃん、あれよあれ」
「そ、それだと痛いんじゃ……」
「はぁ~」
「やります!やりますやりますやります!」
「ゔぅ、待って、まっ、ぎゃあああぁ!」
そろそろ、バトロワ開始しようかね。
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