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22ー2.レイアさんさあ
しおりを挟む「こ、これなんかいいですね」
「おお、そうだな。うむ、持ってみなさい」
「……おおっと」
「おっと危ない。慣れない内は、ふらつくものだったな。ハハハハ」
おいおい、ふらついたレイアの腰に手を当てて、他にはどこを擦り付けてんだろうな。
「一度振ってみるといい」
「え?ここでですか?」
「ああ、振っているところが見たい」
本当は乳のブルンブルンをご所望なのだろうが、そうは問屋が卸さないぜ。
レイアの胸当ては金属製。1ミリも揺れんぞ。
どうするのだ!どこを見てオカズにするというのだ!
「は、はあ。ではいきます。はああっ!」
レイアが剣を振り下ろす直前に、俺は思い出した。
コイツが真性のドジっ子であることを。
そして、そしてぇぇぇぇぇ!
「ちょっと待――」
ジャギンッ――。
レイアが向いている方向には、あの家庭用テーブルがあることを思い出した。
ドシンッ――。
ちょっとだけ揺れた、チェレーブロ商会の一階フロア。
その原因は、真っ二つに切断された家庭用テーブルである。
100億ゴールドのテーブル。
世界樹の生木から切り出したテーブル。
日本円で一兆円の家庭用テーブル。
誰も口を開けなかった。
あのドS大怪獣のアドミラでさえ、表情を失っていた。
「あ、あ、ああ、ああああの、あの、すみ、すみません、すみませんでした!」
その言葉にどれほどの価値があるのだろうか。
100億ゴールドの輝きはあるだろうか。
答えは否ッ!
あるわけねえ。
「ぁぁ、ハハは、ああーあ、ハハ、ははハ」
壊れてしまったおやっさん。
本当に悲しいよ。ナンパしてお持ち帰りしたかった美女が、100億ゴールドを叩き斬ったのだから。
ちょっとカッコつけて、いい剣をプレゼントして、パコパコしたかっただけなのになあ。
奥さんがいない隙に、ちょっと羽目を外したかっただけなのにな。
そりゃあ、涙目になるわ。
「本当に、申し訳ない!」
「ハハはハハ、いやいいんだ。私が振れと、フレと、言ったのだ、からなあああはははは」
壊れてしまったおやっさんは、正装の男たちに担がれて、どこかへと消えていった。
そして俺たちは、従業員たちからの無言の圧力を受けて、早々に退散したのだった。
「……アドミラ、本当にすまない。私はどうしたらいいだろうか」
「……死んで詫びたらどうでしょう」
「そ、それはできない!だが、それほど重い罪だよな」
とてつもない雰囲気だった。
ドンマイドンマイ、切り替えてこーぜ!とか言えない。
なにもドンマイじゃないもん。
普通にこいつが悪い。
「てか、あれどうやったんだよ。斬撃が飛んでたろ」
「……これは魔法剣なんだ。魔力を吸い上げて、斬撃を伸ばしたり魔法を付与したりできる」
「へえ。すげえじゃん。ちゃっかりもらってるしな」
「ちゃ、ちゃっかりではない。従業員の方が持ち帰れと、頑なに言うから……いや、まあ、ありがたいのだがな」
あーあ。
どうなんのかなー。
おやっさんが正気に戻ったら、まずブチギレるだろ。
次は俺のスキルの件は破談になって、商会からの金は当てにできなくなり、ギルド戦争で負けると。
これで、この旅にも幕がおりますか。
「みんな家はどこぴょん?泊めてほしいぴょん」
「突然だな。俺ん家来いよ。一緒に寝てくれるなら、バフォッ」
「お前の家なんてねえだろカス。次肩組んだら、ケツの穴から心臓引っこ抜いて、お前のチンポと交尾させてやる」
「ひょ、表現が独特なこって」
クソッ、肋骨が折れた気がする。これは完全に折れてるわ、間違いない。慰謝料を請求しないと……。
「折れてねえよ」
「くっ、思考を読んだだと!?貴様スキル持ちか!」
「ツラ見れば分かるわ」
ちっ。
ちょっと触ったぐらいで怒るなよな。
本当はもっとナデナデしたいんだからな!
こんなもんじゃ済まないぐらい、ナデナデしたいけど、むしろ抑えてやってるんだからな!
はあ。
そうか。
俺ってホームレスなのか。
いいなー、追放されなかった召喚勇者は。
今頃ぬくぬくのベッドで、クソエロいメイドにあーんなことやこーんなことしてもらってんだろうな。
あぁぁぁあぁあぁあぁぁぁああいいな゛あ゛!
「私は基本的に野宿だが、一緒に寝るか?」
「の、野宿ぴょん?え、えーと、アドミラたんは?」
「私はぁ……考えてませんでしたぁ」
「金あるんだろ?宿に泊まればいいじゃん。ついでに俺も泊めてくださいお願いしますアドミラ様!」
「フフフ。いいですよぉ?肥溜めに突っ込んだ私の靴を、べろべろと愛おしそうに舐めてくれるならぁ」
「……悪魔め」
で、ギルドに到着したわけだが。
どうなってんだおい!
――――作者より――――
最後までお読みいただき、ありがとうごさいます。
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お手数だとは思いますが、何卒よろしくお願いします!
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