スキル【コールセンター】では知識無双もできません。〜残念ヒロインとギルドシェア爆上げ旅〜

16ー1.あれれれれ？もう終わりっすか？

「プッピピピ。けっ、決闘？プピピブリブリ」

「ん？もしや、ウンチを漏らしているのか！？体調が悪いなら決闘は別の機会にするか。まずはトイレへ行ったほうが――」

「笑ってんだじょ！今どき決闘ってプピピピヒ」

……はあ。
俺のセリフ取るの止めてほしいんだけど。
いやマジで。
今度ちゃんと話し合おう。

「スカムさん。ビリガン冒険者ギルド職員の、ジュンです！あなたが浮浪児を使い、空き巣に入らせたことは知っています。大人しく我々に同行してください」

「ふんっ。同行？どこに行くんだゃ？」

「騎士のとこですよ」

「ブピピピピヒブチブチ」

きっしょい笑い方だな。
まあ言わないでおこう。穏便に済むならその方が良いし。

「証拠がないだりょ！浮浪児の証言とＢ級冒険者のオイラの証言、どちらを信じるかにゃゃ？」

「……くっ。卑劣なやつだ」

「さっさと帰るんだゃゃゃ！弱小ギル、ぶほっ」

すると視線の端で、影が動くのが見えた。
気になって目で追うと、次の瞬間には、何かを言いかけたスカムが、体をくの字に曲げて吹っ飛んだ。

「ジューン、終わったから帰るぴょん」

「お、お前、なにしてんの」

スカムが横たわるギルド内を覗き込み、シェリスは鼻で笑った。

「え？話が長いから倒したぴょん。こういうのは一回痛い目を見せないと、分からないぴょん」

チラリと奥を覗いてみると、スカムは泡を吹いて倒れていた。
彼を囲むのは、ギルド内にいた冒険者たちで、今まさにぶっ飛んできた方向を見ている。

……思っくそ目が合ってるんですけど。

全員を敵に回すとか聞いてないんですけど。

「ジューン、これで終わりぴょん？早く帰ってアドミラたんと遊びたいぴょん」

「シェリスちゃん、後ろ見てくださぁい」

圧倒的な覇気……ではなく、なんだこのモヤモヤは。
サウナから出たばかりの蒸気みたいだ。
オーラともいえるそれを、メラメラ溢れたさせた男どもが、シェリスを睨みつけてる。

「おうおうおう！プリッケギルドの冒険者を殴るたあ、どこのもんだ！」

「いや、そんなあ。ヤクザじゃないんですからね？穏便に解決しましょーよぉぉ」

とは言ってみたものの、通用するはずがない。
だって俺たちから手を出したんだもん。
あー、これは、ヤバめ？
ナイフをベロベロしてるモヒカンやら、剣をベロベロしてる七三分けやら、矢じりをベロベロしてるエルフやら……基本ベロベロしてる奴しかいない。
つーかエルフいるやん！

ちっ。男かよ。
女だったら、貫かれたかったのに。

「痛っ」
「おい、刃先をベロベロしたら切れちまうぜ？」
「そうそう、切れないところをこう、べーっと」

なんの指導をしてんだよお前らは！

「我々はビリガンギルドの冒険者だッ！幼子をそそのかした悪人を、成敗させてもらっただけだ！喧嘩を売りたいわけではない！」

「ごちゃごちゃうるせぇ女だ。てめえら、たたんじまいな！」


「ヒャッハー！」
「ジャクソンッ！」
「ゲヒャヒャヒャ！」
「ブヒャヒャ！」

わらわらと姿を見せた、世紀末チックな連中。
その数、おおよそ１５ぐらい。
本当に冒険者なのか？ただの輩じゃないか。
なんか、オーラみたいのがモヤモヤしまくってるし、マジで何だコレ。

つーか、ジャクソンて言わなかったか？
笑い声かくしゃみなのか、まさか友だちを呼んだか。

「すごい魔力ですねぇ」

「魔力？」

「これは魔力認識魔道具ですよぉ。戦うために持ってきたんじゃないのですかぁ？」

「演出のためだ！」

「そうですかぁ。それでは、頑張ってくださいねぇ」

「え？アドミラも戦えよ！？」

「シェリスちゃーん！頑張ってぇ！」

「ぴょんぴょんッ！」

こ、コイツ。
なぜ今、ウンコ座りを！？
決めポーズはもういいから！もう来てるから！
ヨダレまみれの武器をチラチラさせてっから！

「んぽぅっ！」
「触んなや死ねッ！」
「んぼっ」

ドゴォォォン！

やはりシェリスは強いな。
ザコい敵を蹴り飛ばし、短いスカートからチラリをさせてくれる。
サンキューな！

「シェリス！私も加勢するぞ！はぁあ、ぶへっ」

レイアはコケた。
綺麗な路面、舗装されてて穴もない地面。
何をどうやったのか知らないが、顔からダイブしたのだ。







――――作者より――――
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