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12ー2.秘宝(玩具)
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「要するに組織的な犯行ってこった」
「何か聞き出せました?」
「……アイシャが聞き出してくれたぜ」
すると、奥へ続く廊下の陰から、くるくるパーマがひょこっと出てきた。
顔も出せやッ!
「どうやら、プリッケ冒険者ギルドの連中にそそのかされたらしい」
「プリケツに……ちなみにいくら盗んだんです?その子」
「こっちの金庫には少額しか置いてねえからよ。大した金額じゃあねえんだ。ただ、一昨日ぐれえから、毎日だったから……」
おっさんの苦い顔を見れば、すべて聞かずとも分かる。
相当な金額を盗まれたんだろうな。
「40ゴールドぐれえか」
「一昨日から、1日40ゴールドとなると、120ゴールドですか……ガラス1枚の修理代ぐらい?」
「いや。3日で40ゴールドだ。上等な飯代ってとこか」
「しょぼ」
「ああ!?しょぼいってなんだ、てめえ」
「いや、40ゴールドのために盗みに入らせるって、しょぼくないですか?ゴブリン8匹倒せば手に入る金額っすよ?」
「だから金が目的じゃねえんだよ」
じゃあ一体何なんだよッ!
つーかまずは、鼻毛を切れ!険しい表情でタメを作られても、鼻にしか目がいかないの!
「ダンジョン攻略の証。秘宝を盗みに来たんだな」
ダンジョン!?秘宝!?
俺は思わず生唾を飲み込んだ。
ファンタジー要素満載の言葉に、胸が躍らないはずがない。
確かに、このおっさん。二つ名こそアレだが、まあまあ強い気がする。比較対象がシェリスしかいないんで、ちょっと定かではないけど。
つまり!マジで秘宝がある!
このギルドに!
「……秘宝。それは一体、どんな物なんです」
おっさんは、皆を見回した。
誰にも言うなよと、言いたげに。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「魔力喰らいの王冠だ」
「魔力喰らいの王冠!?か、カッコいい。どんな力が秘められてるんですかッ!?」
「欲しいもん……心の底から欲しいもんを具現化してくれるってえ宝具だ。オツムで欲しいと想像しちまえば、具現化してくれる。たとえこの世界に存在しなくてもな」
「ち、チートアイテムだ!ハンパないアイテムじゃないっすか!」
「まあな」
ん?なんでそんな、悲しげなんだ。
まさか失くした!?いやいや、いくらゴリラでも秘宝を失うほど落ちぶれちゃいないって。
ああ!
ものすごい力があるってことは、その代償もすごいってパターンだ。
結構グロめな感じなのか?
「魔力をバカみてえに喰われるから、もしもコイツが触ったら、死んでたろうな」
「ほう。それは、危なかったですね」
うんうん。少女も震えていらっしゃる。
これで反省して、普通の女の子になりな。ゴリラに頭を握りつぶされる前にな。
「ギルドマスターさぁん。その秘宝見たいなぁ」
「あ?ああ、まあ良いけどよお、さっき使ったばかっただからよお、ちょっと待っててくれるか?」
「はぁい!」
アドミラが見たいというのは、何となく分かる。
俺も見たい!
レイアも目を輝かせてるし、やっぱり秘宝は、ワクワクするよな!
だが、ちょっと気になるな。
さっき使ったばかって。まな板じゃああるめえし。
うーん?さっき?
さっきって何かしてたかな。
おっさんは、裏で腰振ってただけだろうに。
……ん?
おいおい嘘だろ。
秘宝を、まさか!
ゴリラてめえ、まさかッ!
奥へ続く廊下の陰から、おっさんが出てきた。
続いて、くるくるパーマがひょこっと顔をのぞかせて、顔を赤らめている。
おっさんの手に握られていたそれは……。
「おお、悪い悪い。ベタベタだったから、ちょっと拭いてきたわ。ほれこれが魔力喰らいの王冠だ」
「ただのディ※※じゃねえかぁぁあ!」
「あ?違えよ。これは愛をサポートしてくれる宝具魔力喰らいの王冠……」
「死ねぇぇぇぇぇぇいッ!」
宝具というか、ただの卑猥な玩具。
俺が飛びかかったのは言うまでもない。
そして返り討ちにあったのも、言うまでもないだろう。
――――作者より――――
最後までお読みいただき、ありがとうごさいます。
作者の励みになりますので、♡いいね、コメント、☆お気に入り、をいただけるとありがたいです!
お手数だとは思いますが、何卒よろしくお願いします!
「何か聞き出せました?」
「……アイシャが聞き出してくれたぜ」
すると、奥へ続く廊下の陰から、くるくるパーマがひょこっと出てきた。
顔も出せやッ!
「どうやら、プリッケ冒険者ギルドの連中にそそのかされたらしい」
「プリケツに……ちなみにいくら盗んだんです?その子」
「こっちの金庫には少額しか置いてねえからよ。大した金額じゃあねえんだ。ただ、一昨日ぐれえから、毎日だったから……」
おっさんの苦い顔を見れば、すべて聞かずとも分かる。
相当な金額を盗まれたんだろうな。
「40ゴールドぐれえか」
「一昨日から、1日40ゴールドとなると、120ゴールドですか……ガラス1枚の修理代ぐらい?」
「いや。3日で40ゴールドだ。上等な飯代ってとこか」
「しょぼ」
「ああ!?しょぼいってなんだ、てめえ」
「いや、40ゴールドのために盗みに入らせるって、しょぼくないですか?ゴブリン8匹倒せば手に入る金額っすよ?」
「だから金が目的じゃねえんだよ」
じゃあ一体何なんだよッ!
つーかまずは、鼻毛を切れ!険しい表情でタメを作られても、鼻にしか目がいかないの!
「ダンジョン攻略の証。秘宝を盗みに来たんだな」
ダンジョン!?秘宝!?
俺は思わず生唾を飲み込んだ。
ファンタジー要素満載の言葉に、胸が躍らないはずがない。
確かに、このおっさん。二つ名こそアレだが、まあまあ強い気がする。比較対象がシェリスしかいないんで、ちょっと定かではないけど。
つまり!マジで秘宝がある!
このギルドに!
「……秘宝。それは一体、どんな物なんです」
おっさんは、皆を見回した。
誰にも言うなよと、言いたげに。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「魔力喰らいの王冠だ」
「魔力喰らいの王冠!?か、カッコいい。どんな力が秘められてるんですかッ!?」
「欲しいもん……心の底から欲しいもんを具現化してくれるってえ宝具だ。オツムで欲しいと想像しちまえば、具現化してくれる。たとえこの世界に存在しなくてもな」
「ち、チートアイテムだ!ハンパないアイテムじゃないっすか!」
「まあな」
ん?なんでそんな、悲しげなんだ。
まさか失くした!?いやいや、いくらゴリラでも秘宝を失うほど落ちぶれちゃいないって。
ああ!
ものすごい力があるってことは、その代償もすごいってパターンだ。
結構グロめな感じなのか?
「魔力をバカみてえに喰われるから、もしもコイツが触ったら、死んでたろうな」
「ほう。それは、危なかったですね」
うんうん。少女も震えていらっしゃる。
これで反省して、普通の女の子になりな。ゴリラに頭を握りつぶされる前にな。
「ギルドマスターさぁん。その秘宝見たいなぁ」
「あ?ああ、まあ良いけどよお、さっき使ったばかっただからよお、ちょっと待っててくれるか?」
「はぁい!」
アドミラが見たいというのは、何となく分かる。
俺も見たい!
レイアも目を輝かせてるし、やっぱり秘宝は、ワクワクするよな!
だが、ちょっと気になるな。
さっき使ったばかって。まな板じゃああるめえし。
うーん?さっき?
さっきって何かしてたかな。
おっさんは、裏で腰振ってただけだろうに。
……ん?
おいおい嘘だろ。
秘宝を、まさか!
ゴリラてめえ、まさかッ!
奥へ続く廊下の陰から、おっさんが出てきた。
続いて、くるくるパーマがひょこっと顔をのぞかせて、顔を赤らめている。
おっさんの手に握られていたそれは……。
「おお、悪い悪い。ベタベタだったから、ちょっと拭いてきたわ。ほれこれが魔力喰らいの王冠だ」
「ただのディ※※じゃねえかぁぁあ!」
「あ?違えよ。これは愛をサポートしてくれる宝具魔力喰らいの王冠……」
「死ねぇぇぇぇぇぇいッ!」
宝具というか、ただの卑猥な玩具。
俺が飛びかかったのは言うまでもない。
そして返り討ちにあったのも、言うまでもないだろう。
――――作者より――――
最後までお読みいただき、ありがとうごさいます。
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お手数だとは思いますが、何卒よろしくお願いします!
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