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11ー2.我慢しないでね?
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まずはレイアが窓ガラスをガッツリ殴って破壊し、次はアドミラがてくてく歩き、おっさんのズラをつまみ上げ、ピザ生地のように回転させた。
そしてシェリスは、おっさんの襟首を掴み上げて、耳元で何か呟いている。
「はあ、はあ。そ、そうだ。君は才能がある、アアッ!も、ももっと罵ってくれぇ」
あ、あれ?なんか、別の意味で効いてねえか?
お前の才能が怖いよ。
まあいいや。
ツルッパゲのおっさんが、いろんな意味で覚醒しただけだし。
「あ、あのー」
「はい!終わりですか?」
「はい……こちら、報酬の25ゴールドです」
「アザッス。ところであのおっさんなんですか?」
「あー、アレは……貴族の血筋の方でして。全然仕事しないんですよね」
「へー」
仕事しないのはまだしも、シコるのは普通にイカれてるだろ。
まあ、貴族相手にはなんにも言えなかったんだろうけどさあ。
大変だなあ役所ってのも。
「あのおっさんが言ってた、プリッケ冒険者ギルドって、有名なんすか?つい最近会った冒険者が、そこのギルドだって言ってたんすよね」
「三大ギルドの一角ですから。かなり有名ですけど……」
「三大?ちょいと教えてくれませんかねえ?こう見えても、召喚勇者なもんで、知らないことばかりなんすよ」
「勇者様でしたか。そういうことなら分かりました。三大ギルドとは――」
三大ギルドとは!
世界を股にかける超有名冒険者ギルドを指す。
その一角、プリッケ冒険者ギルドは、三大の中では最も新しいギルドで、登録冒険者を増やしつつ勢力を拡大しているらしい。
「へー。この辺はプリッケの縄張りって感じなんすか?」
「そうですね。この国ではプリッケ冒険者ギルドと、ビリガン冒険者ギルドしかありませんから……はい」
「ああ、いいっすよ気を使わなくて。吹いて飛ぶ鼻くそみたいなギルドなんで。この国はプリッケ一強かあ。おす!勉強になりました、あざした!」
と言って帰ろうとしたが、呼び止められてしまった。
「あのー、ガラスを……」
「あー、アレはウチの冒険者じゃないんで、彼女に請求してください。ういっすアザした」
と言って、今度こそ玄関まできたわけだが、タタタッと俺に近づく影があった。
「ジュン!あ、アレは違うんだ!あの男に苛立って、ちょっと空突きをしてみただけなんだ。そしたら、ガラスが近づいてきてて」
「近づくかあ!お前が近づいたの!間隔が短かったから、拳がガラスをぶち破ったの!」
「わ、わざとじゃ」
「私は言いましたよ?自腹だとね!」
「頼む!自腹でいいから!一緒に頭を下げてくれないか?頼むよジュン!」
「はあ……」
俺は保護者じゃないの!と言おうかとも思ったが、ゴブリンを倒した中だ。
おっさんに絡んでる二人とは違って、いい奴だし……まあ、いいか。
「100ゴールドぐらいしますので、分割でお支払いお願いしますね」
「済まなかった。今払えるだけ払う!ジュン!それをくれ」
「ああ?嫌に決まってんだろ!せめてお前の分け前の6ゴールドだけ……」
「頼むジュン!アレだ!」
するとレイアは耳元に近づき言った。
「暗器のことは黙っておくから!頼む!」
コイツ……まさか知ってる?
俺の息子が凶暴化しただけだと知ってて、交渉の材料にしているのか!?
「暗器は隠しておいてなんぼだろ?なあ頼むよ」
この感じは……バレてはいないな。
クソッ!
だが断りきれない。
もしもあの二人に言いふらされたら、間違いなく俺の名誉に傷がつく!
そうだ!
だったら、俺も妥協案を提示すればいい。
このままじゃあ、俺だけが割りを食うから、少しばかり利益を得ないとな。
ウィンウィンてやつ。
「……くっ。じゃあ一つ言ってくれ」
「分かった!何を言えばいい?」
俺は、レイアの耳元でとある言葉を伝えた。
ずっと夢見ていた、あの言葉だ。
「そ、それだけでいいのか?私は構わないが」
「ああ頼む」
レイアは俺の耳元に近づき、言った。
「はぁぁ、こーんなに大きくして……我慢しないでね?」
「……はぁぁぁい!ありがとうございまぁぁあす!」
こうして、ゴブリン討伐報酬は、一瞬にして溶けてしまった。
なんか、おっさんの気持ちが分かった瞬間でもあった。
――――作者より――――
最後までお読みいただき、ありがとうごさいます。
作者の励みになりますので、♡いいね、コメント、☆お気に入り、をいただけるとありがたいです!
お手数だとは思いますが、何卒よろしくお願いします!
そしてシェリスは、おっさんの襟首を掴み上げて、耳元で何か呟いている。
「はあ、はあ。そ、そうだ。君は才能がある、アアッ!も、ももっと罵ってくれぇ」
あ、あれ?なんか、別の意味で効いてねえか?
お前の才能が怖いよ。
まあいいや。
ツルッパゲのおっさんが、いろんな意味で覚醒しただけだし。
「あ、あのー」
「はい!終わりですか?」
「はい……こちら、報酬の25ゴールドです」
「アザッス。ところであのおっさんなんですか?」
「あー、アレは……貴族の血筋の方でして。全然仕事しないんですよね」
「へー」
仕事しないのはまだしも、シコるのは普通にイカれてるだろ。
まあ、貴族相手にはなんにも言えなかったんだろうけどさあ。
大変だなあ役所ってのも。
「あのおっさんが言ってた、プリッケ冒険者ギルドって、有名なんすか?つい最近会った冒険者が、そこのギルドだって言ってたんすよね」
「三大ギルドの一角ですから。かなり有名ですけど……」
「三大?ちょいと教えてくれませんかねえ?こう見えても、召喚勇者なもんで、知らないことばかりなんすよ」
「勇者様でしたか。そういうことなら分かりました。三大ギルドとは――」
三大ギルドとは!
世界を股にかける超有名冒険者ギルドを指す。
その一角、プリッケ冒険者ギルドは、三大の中では最も新しいギルドで、登録冒険者を増やしつつ勢力を拡大しているらしい。
「へー。この辺はプリッケの縄張りって感じなんすか?」
「そうですね。この国ではプリッケ冒険者ギルドと、ビリガン冒険者ギルドしかありませんから……はい」
「ああ、いいっすよ気を使わなくて。吹いて飛ぶ鼻くそみたいなギルドなんで。この国はプリッケ一強かあ。おす!勉強になりました、あざした!」
と言って帰ろうとしたが、呼び止められてしまった。
「あのー、ガラスを……」
「あー、アレはウチの冒険者じゃないんで、彼女に請求してください。ういっすアザした」
と言って、今度こそ玄関まできたわけだが、タタタッと俺に近づく影があった。
「ジュン!あ、アレは違うんだ!あの男に苛立って、ちょっと空突きをしてみただけなんだ。そしたら、ガラスが近づいてきてて」
「近づくかあ!お前が近づいたの!間隔が短かったから、拳がガラスをぶち破ったの!」
「わ、わざとじゃ」
「私は言いましたよ?自腹だとね!」
「頼む!自腹でいいから!一緒に頭を下げてくれないか?頼むよジュン!」
「はあ……」
俺は保護者じゃないの!と言おうかとも思ったが、ゴブリンを倒した中だ。
おっさんに絡んでる二人とは違って、いい奴だし……まあ、いいか。
「100ゴールドぐらいしますので、分割でお支払いお願いしますね」
「済まなかった。今払えるだけ払う!ジュン!それをくれ」
「ああ?嫌に決まってんだろ!せめてお前の分け前の6ゴールドだけ……」
「頼むジュン!アレだ!」
するとレイアは耳元に近づき言った。
「暗器のことは黙っておくから!頼む!」
コイツ……まさか知ってる?
俺の息子が凶暴化しただけだと知ってて、交渉の材料にしているのか!?
「暗器は隠しておいてなんぼだろ?なあ頼むよ」
この感じは……バレてはいないな。
クソッ!
だが断りきれない。
もしもあの二人に言いふらされたら、間違いなく俺の名誉に傷がつく!
そうだ!
だったら、俺も妥協案を提示すればいい。
このままじゃあ、俺だけが割りを食うから、少しばかり利益を得ないとな。
ウィンウィンてやつ。
「……くっ。じゃあ一つ言ってくれ」
「分かった!何を言えばいい?」
俺は、レイアの耳元でとある言葉を伝えた。
ずっと夢見ていた、あの言葉だ。
「そ、それだけでいいのか?私は構わないが」
「ああ頼む」
レイアは俺の耳元に近づき、言った。
「はぁぁ、こーんなに大きくして……我慢しないでね?」
「……はぁぁぁい!ありがとうございまぁぁあす!」
こうして、ゴブリン討伐報酬は、一瞬にして溶けてしまった。
なんか、おっさんの気持ちが分かった瞬間でもあった。
――――作者より――――
最後までお読みいただき、ありがとうごさいます。
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