上 下
14 / 66

7ー2.我が暗器に触れるなッ!

しおりを挟む
「レイア。助けてくれてありがとう。これはお礼だぜ」

決め台詞とともに、唇を重ねようとした。

その時だった。

グイッと頬に痛みが走った。

「あ、痛だだだだ」

レイアのゴツい手が俺の唇を遮り、指が頬に食い込んでいた。

「言っただろう。私は結婚するまで操を守ると決めている。キスなんかしたら、子どもができてしまうだろう」

「ふぁ?」

「ところで、さっきからお尻でビクビクしてるこの棒はなんだ?」

コイツもしかして、知識が乏しい感じ?
キスで子どもて。
日本も異世界もパターンは同じかよ。

「ちょっと見てもいいか?この棒が気になって――」

「レイアッ!」

「な、なんだ?そんなに叫ばなくても」

「見てはならぬ。触れてはならぬ、我が暗器に」 

「あ、暗器だと?見たい!ぜひとも見させてくれ。私は武器に目がないんだ。それとできれば触らせてほしい」

「触るなッ!逝ってしまう」

「逝く……だと?触れただけで昇天する暗器とは。ジュンは大丈夫なのか?ずっと腰に隠していたんだろう?」

「ああ。俺は俺だけは大丈夫。何万回も触れてきたのだからな」

「……触れるだけで昇天する暗器を、何万回も。す、すごいな」

「さあ離れ給え。目をつぶり、そっとな。ゆっくりと慎重にそっと」

「あ、ああ。分かった。あれ?さっきからお尻に触れてるが……」

「衣服の上からは大丈夫なのだ!早く離れよ!」

「あ、ああ。すまない」

ゆっくりと立ち上がるレイアは、俺の言う通りに目をつぶっている。

コイツは本当にいい奴だ。
明日からいい友達で居たいと思う。

でも今日は、今日だけは、息子が悲鳴をあげるぐらいに、ナデナデしてあげようと思う。


さて、まずはギンギンな息子に落ち着いていただきたいが、これは無理だ。
まったく手に負えないドラ息子め。

「も、もう目を開けていいか?」

「ならぬ!しばし待て!」

「わ、分かった!」

俺は自分の服を拾い上げた。
ゴブリンの唾液と血液でドロドロに汚れてて、もう着れたもんじゃない。
Tシャツはまだ着れそうだけど……。
隠したいのは下なんだよ。

俺は仕方なく、Tシャツを破って腰に巻きつけた。

「……ちっ。ゴブリンと大差ないな。レイア!もうちょい目をつぶってろ!」

「任せろ!」

……本当に良い奴だが、不安になってくる。
ああも人を疑わない奴は、詐欺師のいいカモだろうに。

目を閉じる綺麗な横顔を脳みそに焼き付け、俺はガサガサと下草を掻き分けた。
ちょいと調べることがあるもんでね。

「これか、ゴブリンたちが固まった原因は」

その場所にあったのは、馴染みのある物だった。

俺にはとても馴染み深い、コールセンターの必需品……ヘッドセットだ。

なるほど。
突然ヘッドセットが降ってきたら、誰だって固まるわな。
だがなぜだ?

たしかゴブリンたちが固まる前、俺は怒ってた。
スキルがクソで、この窮地には役に立たねえと。
そういや皮肉ったな。
ヘッドセットで殴れっていうのかあああ!的なことを。

その直後に、何かが抜けるような感覚。

これはアレだ!

スキル覚醒の瞬間だ!
抜けてったのは、魔力か神力か?なんでもいいけど、そういうことだろ。

よーし、ようやく来たぜ。
俺の時代が。

「ッなわけねえだろ!ヘッドセットで何しろってんだッ!」





――――作者より――――
最後までお読みいただき、ありがとうごさいます。
作者の励みになりますので、♡いいね、コメント、☆お気に入り、をいただけるとありがたいです!
お手数だとは思いますが、何卒よろしくお願いします!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

男女比がおかしい世界に来たのでVtuberになろうかと思う

月乃糸
大衆娯楽
男女比が1:720という世界に転生主人公、都道幸一改め天野大知。 男に生まれたという事で悠々自適な生活を送ろうとしていたが、ふとVtuberを思い出しVtuberになろうと考えだす。 ブラコンの姉妹に囲まれながら楽しく活動!

処理中です...