蒼い夏

くねひと

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#17 最後にハプニング

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「縄を解いてもらないならせめてパンツだけでも身に付けさせて下さい」
「そんなにパンツが欲しければ、口にでもくわえていろよ」
 俺は顔をそむける進に対して強引にパンツを押し付け、無理やりに口にくわえさせると、後込みする彼の尻を蹴り上げ、雑木林に囲まれた山道から何も身を遮る物のないじゃり道に追い出したのだった。

「ううううう……」
 激しく身悶える進。たまらない羞恥心に彼の体がブルブルと震えているのが、俺にははっきりと分かった。
「ほら、縄を解いてもらいたいんだろう?服を着たいんだろう?だったら、車までさっさと歩くんだ」
「くうう……」
 パンツを口にくわえながら、尚も悲憤の呻きを漏らす進だったが、ことここに到れば、もう車まで歩むより他にしようがない。こうして進は従順に歩き出したのだった。

「はああ……」
 それでも時折、極度の緊張感に胸が締め付けられるのだろう、進の口から苦しげなため息が漏れてくる。今、彼は狂おしい程の被虐的な官能に包まれている筈……。
 その証拠に斜め後ろを歩く俺の目には、腹部にくっつくのではないかと思える位の反り返しを示している進の怒張がはっきりと映し出されているのだ。
 来て良かったな……そう、俺の心が和んだときだった。

「お前ら、そこで何をしているんだ!」
 突然の怒鳴り声に、俺も進も反射的に声のした方へ体を捻った。見れば、俺達の100メートル程後ろを自転車に乗った中年の男がこちらへ向かって来るではないか。顔面蒼白となった進の口はポカンと開き、パンツがひらひらとじゃり道に舞い落ちていく。

「急げ!」
 俺は助手席のドアを開けると突き倒すように進を車内に押し込み、そして自分も運転席に転がり込むと、無我夢中で車を発進させた。
 相手の男がどれだけ迫ってきているのかバックミラーを覗く余裕等全くなかった。とにかく自転車を振り切ることだけを考え、走り易い道を無作為に選んでいく内にいつしか道に迷い、気が付いたとき俺達はモーテルのネオン看板がちらつく山道を走っていた。ここまで来ればもう大丈夫だろう、俺は道路脇に車を停めた。

「驚いたな……」
 語りかける俺の肩に進は頭を預けている。
「見られちゃったね………」
 少しかすれた声で進がポツリとつぶやく。
「いや、逆光だったから、はっきりとは分からなかった筈だよ」
 確証は何もなかったけれど、俺は落ち込んでいる進の肩を優しく叩きながらそう慰める。気付かない内に俺達は友達に話すような口調に戻っていた。

「縄を解かなくちゃな…」
 進を河童山で縛り上げてからかれこれ5,6時間は経っていた。既に彼の体の節々は痛み始めている頃であろう。しかし、進は甘えるような目つきでチラリと俺を見上げた後、すぐ俺の胸に顔を埋めてこう告げたのだ。
「今日は田村君の家に泊まると言って、家を出てきたんだ……」

 進が顔を俺の胸から腹、そして股間へとずらしていく………。そして器用にGパンのチャックを歯で挟むと、下に引き降ろしたのだった。
「進……」
 進の誘いかけにつられて、俺も右手を開かれたGパンの前扉に差し入れると、半ば硬化し始めていた肉筒をまさぐり出す。それを待ちかねていたかのように、進はすっぽりとくわえ込むのであった。

「う……」
 熱く、甘い痺れが股間から全身に伝播していく。そして俺のS性が再び疼き始めてくる。ふと顔を上げると、妖しげな色合いのモーテルのネオン看板が目に入った。この先左折500メートル………。
「歯をたてるなよ」
 進は俺の牡筒を口に含んだまま、コックリと頷く。俺は車をスタートさせると、左手で進の背中で縛り付けられている両手首を撫でながら、右手一本で左へ大きくハンドルを切った。(了)
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