蒼い夏

くねひと

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#9 犬のように…

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 俺からどんな注文がつけられるのか気になるのだろう。進は少し眉毛を寄せて俺に尋ねてくる。
 俺はそれには答えず、進を手頃な木の前に立たせるとリュックから一本長めのロープを取り出し、それで進の右足首を縛った。

 進は不安そうな顔で俺のすることを見守っている。
 彼が気を病むのも当然と言えば当然だろう。
 何をするにしろ、それは進を辱める手段に決まっているのだから。俺は頭の高さにある頑丈そうな木の枝にロープをかけると、力任せに思い切り引き絞った。

「あああああ」
 ロープに引っ張られ、進の右足首は胸の辺りまで吊り上げられてしまった。
「熊避け鈴を外してやる代わりに犬のように片足を上げて小便をするんだ」
 俺の企みに気付いた進は高々と吊り上げられた右足を何とか必死に引き下げようともがくのだが、とき既に遅かった。

 俺は手早く木の枝にロープの端を結び付けて縄止めをすませてしまう。必死にあがいていた進だったが、やがてどうにもならないと悟ると、今度は一転して動きを止めた。彼の生理的欲求は限界に近づいてきていたのだ。

「も…もう鈴を外さなくてもいいです。こ、このままします……」
 悲痛な声で進が俺に告げる。しかしそうMに言われて、はいどうぞと許すSはいないだろう。
「駄目だね。俺が鈴を外す前に勝手に漏らすんじゃないぜ。それにお前の放水シーンもしっかりと動画に納めておかないとな」
「ああ、もう、か、勘弁して下さい」

 頂点に達した尿意を堪える為か、進は激しく腰をよじった。小便さえも自分の意思で自由にすることのできないMのもどかしさに進は何度か後頭部を背後の木の幹に打ち付けるのだった。
「は、早く……漏れてしまいます」

 しかしそう言われても細紐は進の肉竿の鎌首にしっかりと食い込み、しかも固結びした為に、俺が真剣に取り組んでもなかなか結び目がほどけなかった。
「漏らすなよ。もし漏らしたら罰として毛剃りだからな」
「…う…駄目。出……出ます」

 俺が熊避け鈴を取り去ったのとほぼ同時に、進の肉筒からシュッと一条の噴流が勢いよくほとばしり出た。
「あ、こら、この馬鹿!」
 慌てて飛びのいたけれど、彼の放水が俺のGパンの裾に引っかかってしまった。
 でもそんなことを気にしている暇はない。俺はスマホを手に取るとろくにピントも合わせないまま、急いでビデオのボタンを押した。

 片足を吊られ、しかも硬化している肉筒からは円弧を描いて思いも寄らぬ方向に放水が飛んでいく。一度始まった放尿はもはや自分の意思で止めることはできない。
 どうして我慢できなかったのだろう。そんな自責の念と、そして情けない自分の醜態をスマホの動画に納められてしまう屈辱に耐える為にか、奥歯をきりきりと噛み締める進が画面に映し出されていた………。
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