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#1 週末のビジネスホテル
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「そうか、K物産はこちらの条件を総て呑んだか。良かったな、三浦君」
電話越しに、江田本部長の無邪気に喜ぶ姿が目に浮かんでくる。
(こいつときたら自分のせいで起きたトラブルなのに、面倒なことはみんな部下に任せて絶対にクレーム客とは会わないのだからなあ……)
心の中ではそんな愚痴が出てきてしまう三浦だが、
「本部長のご指示通りに交渉した結果ですよ。いいアドバイスありがとうございました」
実際に口をついて出た言葉は陳腐なお追従であった。
「ところで今どこにいるんだ?」
「えっ! い、今ですか。…く、空港ですよ」
予期しない質問だったのか、三浦はぎくりとしながらそう答える。
「明日は土曜で休みだろう。せっかく出張したんだから一泊して遊んでくればいいのに」
江田は余程機嫌がいいのか、そんなことまで言ってくる。
「いや、明日は娘のピアノの発表会なんですよ」
「そうか、まあ今の時代、家族サービスは大事だからな」
「それではこれで失礼します」
三浦は丁寧に挨拶して電話を切ろうとした。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、三浦君。今、君の傍に須藤はいるか?」
「須藤ですか?」
須藤は三浦のすぐ傍にいた。しかし三浦はそうと答えることができなかった。
「い、いや、彼は土産物を見ています」
「そうか、それならちょっと相談したいことがあるんだ。君も承知の通り須藤は例の件で大失敗している。今度の異動で子会社へ飛ばそうと思うんだが……」
突然の人事の話に三浦はたじろいだ。
「それは考え直してもらえませんか。それでは須藤が余りにもかわいそうですよ」
「まあ、部下を思う君の気持ちは分からんでもないが」
帰ったらゆっくり相談しよう……。
そう言って、江田は電話を切った。
「畜生、人のことを何だと思っていやがるんだ」
携帯の通話ボタンを押した後、あからさまに江田を怒鳴り散らしたのは………、当の須藤であった。
そう、二人の会話中ずっと須藤が携帯を手に持ち三浦の耳と口に押し当てていたのだ。三浦は自分では携帯を手にすることができなかったのである。
なぜなら………、三浦は両手を厳しく後ろ手に縛り上げられていたのだ。しかも着衣はパンツ一枚も許されない素っ裸で………。
そこは空港でも何でもなかった。空港と言ったのは三浦のでまかせで、実際は古びたビジネスホテルのツインルームだったのだ。
全裸後ろ手縛りにされた三浦はベッドの縁に座り、隣に腰を下ろした須藤に携帯をあてがってもらいながら、江田に出張報告をしていたのだった。
「さあ、仕事は終わった。もうお前は俺の上司じゃない。俺に仕える一匹の牡奴隷にすぎない」
奴隷がご主人様と並んで座っていてもいいのか?
須藤にそうたしなめられて、三浦は慌ててカーペットが敷き詰められた床に正座する。
「フフフ、今日もこってりと可愛がってやるからな………」
既に背広の上着を脱いでいる須藤はワイシャツの襟元を緩めながら、床の上にかしこまる三浦の裸身の上に淫靡な視線を走らせるのだった。
電話越しに、江田本部長の無邪気に喜ぶ姿が目に浮かんでくる。
(こいつときたら自分のせいで起きたトラブルなのに、面倒なことはみんな部下に任せて絶対にクレーム客とは会わないのだからなあ……)
心の中ではそんな愚痴が出てきてしまう三浦だが、
「本部長のご指示通りに交渉した結果ですよ。いいアドバイスありがとうございました」
実際に口をついて出た言葉は陳腐なお追従であった。
「ところで今どこにいるんだ?」
「えっ! い、今ですか。…く、空港ですよ」
予期しない質問だったのか、三浦はぎくりとしながらそう答える。
「明日は土曜で休みだろう。せっかく出張したんだから一泊して遊んでくればいいのに」
江田は余程機嫌がいいのか、そんなことまで言ってくる。
「いや、明日は娘のピアノの発表会なんですよ」
「そうか、まあ今の時代、家族サービスは大事だからな」
「それではこれで失礼します」
三浦は丁寧に挨拶して電話を切ろうとした。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、三浦君。今、君の傍に須藤はいるか?」
「須藤ですか?」
須藤は三浦のすぐ傍にいた。しかし三浦はそうと答えることができなかった。
「い、いや、彼は土産物を見ています」
「そうか、それならちょっと相談したいことがあるんだ。君も承知の通り須藤は例の件で大失敗している。今度の異動で子会社へ飛ばそうと思うんだが……」
突然の人事の話に三浦はたじろいだ。
「それは考え直してもらえませんか。それでは須藤が余りにもかわいそうですよ」
「まあ、部下を思う君の気持ちは分からんでもないが」
帰ったらゆっくり相談しよう……。
そう言って、江田は電話を切った。
「畜生、人のことを何だと思っていやがるんだ」
携帯の通話ボタンを押した後、あからさまに江田を怒鳴り散らしたのは………、当の須藤であった。
そう、二人の会話中ずっと須藤が携帯を手に持ち三浦の耳と口に押し当てていたのだ。三浦は自分では携帯を手にすることができなかったのである。
なぜなら………、三浦は両手を厳しく後ろ手に縛り上げられていたのだ。しかも着衣はパンツ一枚も許されない素っ裸で………。
そこは空港でも何でもなかった。空港と言ったのは三浦のでまかせで、実際は古びたビジネスホテルのツインルームだったのだ。
全裸後ろ手縛りにされた三浦はベッドの縁に座り、隣に腰を下ろした須藤に携帯をあてがってもらいながら、江田に出張報告をしていたのだった。
「さあ、仕事は終わった。もうお前は俺の上司じゃない。俺に仕える一匹の牡奴隷にすぎない」
奴隷がご主人様と並んで座っていてもいいのか?
須藤にそうたしなめられて、三浦は慌ててカーペットが敷き詰められた床に正座する。
「フフフ、今日もこってりと可愛がってやるからな………」
既に背広の上着を脱いでいる須藤はワイシャツの襟元を緩めながら、床の上にかしこまる三浦の裸身の上に淫靡な視線を走らせるのだった。
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