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しおりを挟むそしてついに逃げられない時が来てしまった。
「じゃあ俺が今からバイト先のホールの年上と同級生名前挙げていくから、はいかいいえで答えて言って。」
「逃げ道ないじゃん!!」
「はいまず店長。」
「スタートはや!?……違う」
もう逃げられないしこの状況で誤魔化すのも無理だよな。潔く認めよう。
そんな気持ちになったのも数日前から続くこの問答に私自身焦れったくなっていたのかもしれない。
次々に名前を挙げては否定していく。
「……かずき?」
「……ううん」
そして残るは1人になった。
「……え、じゃあ……俺…?」
「………………うん」
自分の声は思ったよりも小さくて、でも深夜3時の静まり返った部屋ではよく響いた。
「え、俺なん。まじか気付かんかった。」
「え、本当に気付いてなかったの?」
「うん」
まじかよ…
少し呆れながらもそんなもんなのかな、とため息をつく。ようやく気持ちを伝えられて気持ちが楽になった。
「……じゃあ付き合う…?」
「……へっ、いや、え?ど、ど、ど、え?あ、ん?」
「いやどんだけどもるん」
想いを伝えたら付き合うかどうかに繋がる。そんなこの世の摂理が頭に浮かばないほど私は混乱していたのだと思う。
好きだと伝えて、そっか俺なのか。じゃあおやすみ。には確かにならない。
そうだな、当然だ。当然なんだけど…
「仕方ないだろ…!!私は誰とも付き合ったことないんだよ……!!」
震える声で自分のちょっとしたコンプレックスを告げる。彼氏いない暦=年齢。顔は美人だと言われるし性格も良いと言われるのにどうして彼氏いないんだろうね、と友達によく言われた。
それがなんだか恥ずかしいことのように思えてコンプレックスだった。
「え!?そうなの!?」
今日1番でかいかもしれない悠の声がやっぱり恥ずかしいことなのかな、と私のコンプレックスを刺激した。
「……付き合う?」
それでも1度目よりも優しい声色で言われた問に私はまた震える声で呟いた。
「……いいの…?」
そう返せば悠の腕が拡げられてすっぽりと私は抱きしめられた。
その温かな体温が嬉しくて幸せでどうしようもなく泣きたくなった。
「……ねぇ、キスしたことある?」
「……ないよ」
「……お前どんだけピュアなんだよ」
真剣な声でそういうから少し笑ってしまった。
初めてのキスはとても恥ずかしくてすぐ彼の肩に顔を埋めた。
上から何照れてるんだよって声が聞こえて更に私は恥ずかしくて顔があげられなかった。
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