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幸福の花
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ミサキと中島が別れたらしい。それを知ったのは、中島が俺のところに怒鳴り込んできてからだ。どうやら原因は俺にあって、俺のせいで別れを切り出されたと思っているらしい。
一体どう言う別れ話をしたのか、昨日のミサキの話を聞いているので全然関係ないとは言わないが、それにしたってノータッチで済ませたはずだ。それでこっちに怒鳴り込んでくるとか迷惑以外の何でもない。
「お前のせいでこうなったんだろうが! 何とか言えよ! あぁ!」
クラスメイトが遠巻きにこちらを見ている。中島やミサキが居るグループの奴らも同様にだ。本当に面倒くさい事になった。それに、今日はミサキが休んでいて来ていないから、説明してくれるやつもいない。
「聞きたいんだが、何で俺のせいなんだ? 俺はカフェの件以来お前らに絡んでないと思うが?」
「そうだよカフェだよ! あの後からミサキが俺を避けるようになったんだ! あの後お前がなんか言ったんだろ! 家が隣だって聞いてんだぞ!」
俺は呆れた目で中島を見た。何の証拠もなく憶測でものを言う。意味も無く怒鳴られて、いい加減イライラしてくる。
「言ったはずだ。あのカフェの件以来お前らと関わってない」
昨日の朝のことは言わない。言っても面倒くさくなるだけだし、それにあの時はもう別れると言っていたのだ。どう言う心情の変化か知らないが、それに巻き込まれてやるつもりもない。
「嘘をつくな! 昨日の朝のお前らが一緒に登校してたのを見たって奴がいんだよ!」
「チッ」
思わず舌打ちしてしまった。最悪の展開だ。ミサキのやつ別れるならもっと時間を置いてからにしてくれればよかったものを。
「舌打ちしやがって。やっぱり図星じゃねぇか! つーことはお前がなんか言って別れることになったってことだよなぁ!」
「一々怒鳴るな。俺が昨日の朝のあいつに聞いたのは、今までのことの謝罪と、お前と別れるってことだけだ。俺からは何も言っていない」
「この期に及んでまた嘘かよ、クズが! 俺はなぁもうちょっとでミサキとヤレたんだよ! 我慢して我慢してやっとヤレるところだったのに、どうしてくれんだよ。なあ!」
これを聞いて俺は意外に思った。あんだけ幸せそうにベタベタしてた割に、まだやることやって無かったなんて、流石に何ヶ月も経っているのに奥手すぎる。
「ミサキもなぁ、カフェでお前に会うまで乗り気だったんだよ! なのにお前に会ってから気分が悪くなったとか言い出しやがって! ほらみろ全部てめえのせいじゃねぇか!」
言ってることがメチャクチャだ。周りの奴らの反応を見ても、こいつの言動に引いているのがよくわかる。当然だろう、今のこいつの言い分からすればセックスするために付き合ってたと言ったようなもんだからな。ちょっとかまをかけてみるか。今のこいつなら正直に話しそうだ。
「じゃあお前はミサキとヤリたくて付き合ってたのか?」
「そうだよ!」
考えなしの肯定。馬鹿かこいつ。
「だとしたらお前の考えが透けて見えたんだろうよ。俺にクズと言う前に、お前がクズなのを自覚した方がいいんじゃないか?」
「てめぇ!!」
中島は今の俺の言動で本格的にキレたのか、胸ぐらを掴んで俺に殴りかかってきた。一発殴られたが、その後は流石にまずいと思ったのか中島と同じグループの男たちが中島を取り押さえてくれた。俺は殴られた時に口の中を切ったせいで、口からダラダラと血を流し、駆けつけた先生によって保健室に連れて行かれた。
「て事が今日あったことですかね」
「うわぁ。それは災難だったわね。口はもう大丈夫なの?」
「はい、ちょっと切っちゃっただけみたいで、しばらくご飯食べる時痛いぐらいで済みました」
学校から帰って夜の10時頃。最近はほとんど毎日この時間にミサキさんと電話で話している。今日あったこととか、悩みとか、あれが面白かったとか、そんな感じのことを1時間ほど話すと、何だかスッキリして気分が良くなるのだ。
「それにしても私と同じ名前のミサキちゃん、やってくれちゃったわね。ミサキちゃんがちゃんと説明して別れていれば、タクミ君が殴られることも無かったでしょうに。多分メッセージアプリとかで別れを告げたのよ、それ」
「実際のところはどうか分かりませんけど、中島の言動とか、ミサキが学校に来てなかったのも合わせると、その可能性は高そうですよね」
しかしまあ、実際のところ俺はミサキに対して何も思うところは無くなっていた。逆にミサキさんと話すネタが出来たぐらいに考えてしまってまでいる。
ミサキさんと話すのは楽しい。それが愚痴でもなんでもだ。ミサキさんはそう言う話をしてしまった時は、後でちょっと後悔しちゃうと言っていたが、そう言う話をしてくれるって言うことは信頼してくれていると言うことであって、むしろ嬉しいとさえ思う。
「ミサキさん、この頃何だか前より元気になってきましたよね。最近何かいいことでもあったんですか?」
「ふふっ、まぁね」
「良かったですね。俺もミサキさんが元気になって嬉しいです!」
「ありがと!」
ミサキさんが元気になってきた理由、正直に言って気になる。けど流石に俺も不躾に聞いてしまうことが良くないことは分かるから、聞けない。それにどことなく声の調子の上がり方から、ミサキが彼氏が出来たと言って来た時の感じと重なって、聞くのが怖いと会う気持ちもあった。
「公園のベンチで初めて会った時の事覚えてる?」
「はい覚えてますよ。と言うか忘れられませんよ」
「あはは、そうだよね。その時さ私が君の不幸のタネって言うのを聞いて、それじゃあ私は不幸の花五分咲きねって言ったじゃない?」
「はい、言ってましたね。あの時はすみません、変な話しちゃって」
「いやいや、全然良いのよ。むしろあの話してくれたから自分もさらけ出せたしね。それでさ、私あの話を思い出して、最近の事を考えてみたら、もしかしたら私は不幸の花じゃなくて、幸福の花を咲かせられるんじゃないかと思っちゃってて」
上擦った声と、ちょっと早口になりながらも嬉しさが隠しきれないと言った口調。嫌でもあの時のことが思い浮かぶ。だから俺は咄嗟にこう切り出した。
「あの! その話の続きは、実際に会って話しませんか? たまには顔見せ合って話するのもいいかなって思って。前に会った時から時間も開いちゃってますし」
「あ、うん! もちろん良いわよ! だったら今度はどこかお店に食べに行く?」
「それも良いですね! じゃあこう言うのはどうでしょう。何か食べに行った後に、またあの公園に行って話しをするんです。その方が気兼ねなく話ができますし」
「それ良いね! じゃあそうしょっか。日にちはいつにする?」
「俺はミサキさんの都合が合う日で良いですよ。学生なので、そんなにやる事もないですし」
「そっか。じゃあ……明日! 明日の20時でどうかな?」
「大丈夫です。それじゃあ明日の20時に駅前で待ち合わせにしましょう」
「了解! あ、それとできるだけ大人っぽい格好で来てね。じゃないとお姉さん捕まっちゃうかも知れないから」
「ははっ、分かりました!」
ミサキさんが言った幸福の花という言葉、それからその前の話から察すると、ミサキさんに好きな人が出来たか、もしかすると彼氏が出来たのかも知れない。そう思って、咄嗟に会う約束をしてしまった。声だけじゃわからない事も、あって顔を見れば分かると思ったし、何よりもうあの時のような後悔はしたく無かった。
ハッキリ言おう。俺はミサキさんの事が好きになっている。もちろん女性としてだ。毎日毎日電話で話して、1時間じゃ足りないってぐらい盛り上がって。話をしていてこんなに楽しいと思った人は今まで一人も居ない。年齢の差があるし受け入れてもらえないかも知れないが、それでも後悔だけはもうしたくなかった。
「幸福の花、か」
俺はもう、自分が不幸だとは思っていない。いろんな事があって、色んな人に支えられて、何よりミサキさんに会う事が出来た。だけど、あの時拾ったタネはまだ確実に自分の中にある。
願わくば、この俺の不幸のタネも、幸福の花を咲かせてくれますように。そう願いながら、深い眠りへと落ちて行くのだった。
一体どう言う別れ話をしたのか、昨日のミサキの話を聞いているので全然関係ないとは言わないが、それにしたってノータッチで済ませたはずだ。それでこっちに怒鳴り込んでくるとか迷惑以外の何でもない。
「お前のせいでこうなったんだろうが! 何とか言えよ! あぁ!」
クラスメイトが遠巻きにこちらを見ている。中島やミサキが居るグループの奴らも同様にだ。本当に面倒くさい事になった。それに、今日はミサキが休んでいて来ていないから、説明してくれるやつもいない。
「聞きたいんだが、何で俺のせいなんだ? 俺はカフェの件以来お前らに絡んでないと思うが?」
「そうだよカフェだよ! あの後からミサキが俺を避けるようになったんだ! あの後お前がなんか言ったんだろ! 家が隣だって聞いてんだぞ!」
俺は呆れた目で中島を見た。何の証拠もなく憶測でものを言う。意味も無く怒鳴られて、いい加減イライラしてくる。
「言ったはずだ。あのカフェの件以来お前らと関わってない」
昨日の朝のことは言わない。言っても面倒くさくなるだけだし、それにあの時はもう別れると言っていたのだ。どう言う心情の変化か知らないが、それに巻き込まれてやるつもりもない。
「嘘をつくな! 昨日の朝のお前らが一緒に登校してたのを見たって奴がいんだよ!」
「チッ」
思わず舌打ちしてしまった。最悪の展開だ。ミサキのやつ別れるならもっと時間を置いてからにしてくれればよかったものを。
「舌打ちしやがって。やっぱり図星じゃねぇか! つーことはお前がなんか言って別れることになったってことだよなぁ!」
「一々怒鳴るな。俺が昨日の朝のあいつに聞いたのは、今までのことの謝罪と、お前と別れるってことだけだ。俺からは何も言っていない」
「この期に及んでまた嘘かよ、クズが! 俺はなぁもうちょっとでミサキとヤレたんだよ! 我慢して我慢してやっとヤレるところだったのに、どうしてくれんだよ。なあ!」
これを聞いて俺は意外に思った。あんだけ幸せそうにベタベタしてた割に、まだやることやって無かったなんて、流石に何ヶ月も経っているのに奥手すぎる。
「ミサキもなぁ、カフェでお前に会うまで乗り気だったんだよ! なのにお前に会ってから気分が悪くなったとか言い出しやがって! ほらみろ全部てめえのせいじゃねぇか!」
言ってることがメチャクチャだ。周りの奴らの反応を見ても、こいつの言動に引いているのがよくわかる。当然だろう、今のこいつの言い分からすればセックスするために付き合ってたと言ったようなもんだからな。ちょっとかまをかけてみるか。今のこいつなら正直に話しそうだ。
「じゃあお前はミサキとヤリたくて付き合ってたのか?」
「そうだよ!」
考えなしの肯定。馬鹿かこいつ。
「だとしたらお前の考えが透けて見えたんだろうよ。俺にクズと言う前に、お前がクズなのを自覚した方がいいんじゃないか?」
「てめぇ!!」
中島は今の俺の言動で本格的にキレたのか、胸ぐらを掴んで俺に殴りかかってきた。一発殴られたが、その後は流石にまずいと思ったのか中島と同じグループの男たちが中島を取り押さえてくれた。俺は殴られた時に口の中を切ったせいで、口からダラダラと血を流し、駆けつけた先生によって保健室に連れて行かれた。
「て事が今日あったことですかね」
「うわぁ。それは災難だったわね。口はもう大丈夫なの?」
「はい、ちょっと切っちゃっただけみたいで、しばらくご飯食べる時痛いぐらいで済みました」
学校から帰って夜の10時頃。最近はほとんど毎日この時間にミサキさんと電話で話している。今日あったこととか、悩みとか、あれが面白かったとか、そんな感じのことを1時間ほど話すと、何だかスッキリして気分が良くなるのだ。
「それにしても私と同じ名前のミサキちゃん、やってくれちゃったわね。ミサキちゃんがちゃんと説明して別れていれば、タクミ君が殴られることも無かったでしょうに。多分メッセージアプリとかで別れを告げたのよ、それ」
「実際のところはどうか分かりませんけど、中島の言動とか、ミサキが学校に来てなかったのも合わせると、その可能性は高そうですよね」
しかしまあ、実際のところ俺はミサキに対して何も思うところは無くなっていた。逆にミサキさんと話すネタが出来たぐらいに考えてしまってまでいる。
ミサキさんと話すのは楽しい。それが愚痴でもなんでもだ。ミサキさんはそう言う話をしてしまった時は、後でちょっと後悔しちゃうと言っていたが、そう言う話をしてくれるって言うことは信頼してくれていると言うことであって、むしろ嬉しいとさえ思う。
「ミサキさん、この頃何だか前より元気になってきましたよね。最近何かいいことでもあったんですか?」
「ふふっ、まぁね」
「良かったですね。俺もミサキさんが元気になって嬉しいです!」
「ありがと!」
ミサキさんが元気になってきた理由、正直に言って気になる。けど流石に俺も不躾に聞いてしまうことが良くないことは分かるから、聞けない。それにどことなく声の調子の上がり方から、ミサキが彼氏が出来たと言って来た時の感じと重なって、聞くのが怖いと会う気持ちもあった。
「公園のベンチで初めて会った時の事覚えてる?」
「はい覚えてますよ。と言うか忘れられませんよ」
「あはは、そうだよね。その時さ私が君の不幸のタネって言うのを聞いて、それじゃあ私は不幸の花五分咲きねって言ったじゃない?」
「はい、言ってましたね。あの時はすみません、変な話しちゃって」
「いやいや、全然良いのよ。むしろあの話してくれたから自分もさらけ出せたしね。それでさ、私あの話を思い出して、最近の事を考えてみたら、もしかしたら私は不幸の花じゃなくて、幸福の花を咲かせられるんじゃないかと思っちゃってて」
上擦った声と、ちょっと早口になりながらも嬉しさが隠しきれないと言った口調。嫌でもあの時のことが思い浮かぶ。だから俺は咄嗟にこう切り出した。
「あの! その話の続きは、実際に会って話しませんか? たまには顔見せ合って話するのもいいかなって思って。前に会った時から時間も開いちゃってますし」
「あ、うん! もちろん良いわよ! だったら今度はどこかお店に食べに行く?」
「それも良いですね! じゃあこう言うのはどうでしょう。何か食べに行った後に、またあの公園に行って話しをするんです。その方が気兼ねなく話ができますし」
「それ良いね! じゃあそうしょっか。日にちはいつにする?」
「俺はミサキさんの都合が合う日で良いですよ。学生なので、そんなにやる事もないですし」
「そっか。じゃあ……明日! 明日の20時でどうかな?」
「大丈夫です。それじゃあ明日の20時に駅前で待ち合わせにしましょう」
「了解! あ、それとできるだけ大人っぽい格好で来てね。じゃないとお姉さん捕まっちゃうかも知れないから」
「ははっ、分かりました!」
ミサキさんが言った幸福の花という言葉、それからその前の話から察すると、ミサキさんに好きな人が出来たか、もしかすると彼氏が出来たのかも知れない。そう思って、咄嗟に会う約束をしてしまった。声だけじゃわからない事も、あって顔を見れば分かると思ったし、何よりもうあの時のような後悔はしたく無かった。
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「幸福の花、か」
俺はもう、自分が不幸だとは思っていない。いろんな事があって、色んな人に支えられて、何よりミサキさんに会う事が出来た。だけど、あの時拾ったタネはまだ確実に自分の中にある。
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