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番外編

人生において大切なこと。

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―――あれから15年。

「お父様。婚約者を決めるうえで心得ておくことは何ですか?」

中学を卒業する息子の尚斗なおとが唐突に国王である父、誠一に尋ねたのは日曜の昼下がり。
志麻子と娘の蘭子が作ったクッキーを食べている時。

「お兄様。来週、王太子妃候補の皆さんと会うんですよね」

蘭子はそう言うと、志麻子の膝の上に座る。
誠一は大まじめに聞く尚斗をまっすぐ見る。

「1度しか言わない。よく聞け。これは、最も人生において大切なことだ」

何をいうんだろう?
志麻子は大真面目の夫を見る。

「指差し禁止」

大真面目に言う夫に志麻子は噴き出した。
「はい?」
尚斗はすっとんきょんな声を上げる。

「どんなにタイプな女の子だったとしても指さしで指名してはいけない。どの女の子も好みではなかったとしても指さしで指名してはいけない」
「・・・僕はそんな事をしませんよ」

何を言っているのだろう?
要点を掴めずに困惑している尚斗に志麻子はぷっと志麻子は吹き出した。

「婚約者をノリで指差し、決定してはいけない」

「・・・。お母様。全く参考になりません」

尚斗は至極困惑した様子で言うと、志麻子はくすくす笑い続ける。
「そうね。でも、人間は関わってみなければわからないでしょ?きっかけが指差しだとしてもその後が大切よ」
志麻子はそう言うと尚斗は両親を見比べる。

「人を指さすなんて失礼な事はしません。まさか、お父様はお母様を指さしで決めたりなんて・・・。していませんよね?」

「ふふふふ。親の恋愛秘話は結婚をしたら教えてあげるわ」
志麻子はそう言うと、誠一はため息をつき。
尚斗は父は母を指さしで決めたのかと目を見開いた。

***
「墓場まで後悔することなんてないわよ」
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