13 / 17
第三章 溺愛する皇子(最終章
③
しおりを挟む
誠一は女性にはべたべたされると、気がなくなるのかしら?
もう少し、気に入られていなければ貿易は順調であるが確実なモノではない。
今、婚約者を解任されれば婚約者という立場を利用して広げていっている貿易だの領地は勿論、国全体の公共施設のプログラムだのがたちまち憤るだろう。
それは困る。
沢山の人もお金も動いている。
「傷つく前に婚約者をやめろ」
潤は志麻子を見送る誠一を振り返ることなく、前を向いたまま静かに言う。
志麻子は今まで潤の低くて落ち着いた声を聴いたことはなかった。
驚くように潤の背を見るが、彼が振り返ることはない。
「お前、殿下に惚れてるだろう」
「否定はしないわ」
そう。私は誠一に惚れている。
けれども、認めたくはない。
認めてしまうと、婚約を破断されるかもしれない。それは避けたい。
「あの殿下は常に数週間から数か月で婚約者を解任していっている。どの婚約者達も解任後は殿下に近づかないほど傷ついている。お前も絶対に捨てられる」
それも否定しない。
指さしをされた時に比べて、物凄く優しく?むしろ、付きまとわれている感じもあるが・・・。
誠一の歴代の婚約者は全員が誠一の側近が選び抜いただけあり、どの女性も志麻子よりも美しいか。可愛いか。
位は最低でも公爵で、ほとんどが王位継承権を持つ王族の姫ばかり。
黙りこむ志麻子に潤は少しだけ息を吐いた。
「殿下に思いっきり甘えろ。そしたら解任される」
「今やってる仕事が・・・」
「時間は立てばたつほど、状況は重くなる。時間が経てばたつほど、お前の仕事は軽くなるのか?」
それを言われると、絶対に否定はできない。
時間が経てばたつほど。
今も関係各所で人、お金が動いている。
傷は一秒でも早く別れて浅いほうがいいわね。
志麻子は悲しそうに俯き微笑んだ。
―――いい夢を見れた。
素敵な人の婚約者。
考え方を変えたら、家族令嬢のほとんどが恋愛なんて経験せずに好きでもない男性と結婚して行く。
それが、良い暮らしを領民にさせてもらってる代償。
***
さぁ。
一週間、どうやって分かりやすく甘えるか計画を練りまくったわ。
完璧。
志麻子は日曜の昼下がり。
思いっきりお洒落をすると王宮を初めて訪れていた。
「誠一」
ひょこっと執務室に現れた志麻子に誠一は幽霊でも見たかのように硬直する。
「昼間から幽霊でも見ているような顔ね」
クスクス笑いながら志麻子は少しだけ部屋の中に入るか迷ったようなしぐさをしてから、中に入る。
「どうした」
誠一は書類を机にぞんざいに置くと立ち上がった。
「顔を見たくて」
「そうか」
誠一は口元を思いっきり緩めると、志麻子に手を差し出した。
「おいで」
前回、潤が志麻子にそう言っていたのをやはり嫉妬していたのだ。
「うん」
志麻子は頷くと、差し出された手を取る。
もう。
こんなことをされたら、私に好意があると思って。
今からやることができなくなるじゃない。
でも、いけないわ。
恋を優先して、仕事や沢山の人の生活を脅かすなんていけないわ。
誠一は志麻子を自分の椅子まで導くと、膝に志麻子をひょいっと持ち上げた。
えぇぇぇ!!!!
この展開は聞いてないって。
思いっり目が泳ぐと、机の上に置いてある書類を見つめる。
冷静になるには、今の状況から思考回路を止めて何かに一瞬でも集中しよう。
「脱字」
志麻子は机に置かれた、書類を指さすと誠一は赤ペンでさされたところに印をつけた。
誠一は志麻子の首に自分の顔を埋める。
「あったかい」
「そりゃ、血の通った人間ですから」
「良い匂い」
「そりゃ、香水を今日はつけてますから」
「俺の為に?」
「・・・そうじゃないと言えばうそになりますが。でも、誠一の為だけかといわれれば違うかもしれません。汗臭いのを嗅がせるのは申し訳ないけど、嗅がせてしまえば恥ずかしいから」
自分の為であり、誠一の為である。
志麻子はそこで思考を止めると、誠一を見る。
今日は私が完全に惚れこむ前に婚約破棄。
婚約者を解任されるためにべたべたしに来たのだ。
「仕事と私・・・仕事の方が大切ですよね」
「志麻子の方が大切だ」
仕事と私。どっちが大事なの?
私をかまって!っと歴代の婚約者達のように振舞おうとするが、仕事と恋愛だと仕事をとってしまう志麻子にとってそのセリフは国民の顔も浮かぶと言い切ることができない。
誠一はそんな志麻子に何があったんだろうと不思議そうにしながらも、パソコンの電源をコンセントから引き抜いた。
「えっ!データが消える!」
「仕事よりも志麻子が優先だ。さぁ、何をする?」
ニコニコ言った時だった。
トントンッ。
歯切れのいいノックオンと共にドアが開かれる。
「殿下、至急見ていただきたい書類が・・・ございません!」
それは、この国の経済大臣。
しかし、上機嫌で志麻子を膝の上に乗せる誠一に大臣は言葉を切ると思いっきりその場で一礼する。
「大変っ失礼いたしました!ごゆっくりどうぞ!」
叫ぶように言う大臣に志麻子の顔は真っ赤になる。
「待ってっ!全然大丈夫!大至急書類を・・・」
立ち去ろうとする大臣を志麻子は呼び止めようとするが、志麻子の口は誠一の手によって塞がれる。
「見ない。去れ。オヤジに言え!」
淡々と誠一は言うと、大臣はその場に土下座をする。
「はいっっ。国王陛下にお頼み申し上げますっっ」
叫ぶように言うと、そのまま這うように大臣は部屋を出た。
「部屋は封鎖しておきます」
大臣のそんな様子を見ていた淳二は誠一に声を掛けると、ドアが閉められた。
誠一は少し足を開き、志麻子をより安定して膝に乗せ。
志麻子の顔を覗き込む。
「な、なに?」
「次はどう出て来るかなって」
「・・・仕事をしてください」
「俺がいなきゃいけない仕事なんて、災害時の指揮、戦争の判断だけだ。今はどちらもない。明日、階段から落ちて死ぬかもしれない。そうなっても国が回るようにしておくことも皇子の務めだ」
誠一は穏やかに言うと、志麻子を見る。
「そう」
志麻子のシナリオでは・・・。
「仕事と私、どっちが大切なの?!相手をしてください!構って!」
っと執務室で叫び狂い。
誠一に執務室を追い出されるっというのがシナリオだった。
そして、つまみだされた後は執務室のドアの前でドアをどんどん叩きながら中に入れろと叫び。
淳二をはじめとする家臣たちを死力を尽くして責め立て、罵る予定にしていた。
既にシナリオが崩れており立ち行かない。
「お、お、お散歩したいです」
「良いよ」
誠一はそういうと、志麻子をそっと膝から下ろして腕を差し出す。
「や、山をお散歩したいです」
「分かった。ヘリを用意する」
「結構です!」
「歩いていく?疲れたら言えよ。抱っこするから」
誠一はまるで小さな子供の面倒でも見るように穏やかに言うと、腕をとらない志麻子の手を取り歩き出す。
指と指を絡めて手を繋ぐその姿はまさに恋人同士。
カッターシャツにスラックスと言うラフな格好の誠一は王宮を堂々と出る。
「あっ。王子様だ!」
「志麻子様と王子様だ!志麻子様っ図書館綺麗にしてくれてありがとう」
「王子様っ志麻子様っ。コーヒーとても美味しいです」
街の人たちは誠一と志麻子を見ると声を上げる。
志麻子はニコニコと手を振りながら、誠一とつないだ手を解こうとするが・・・。
誠一は絶対に解かない。
「山まで歩くと、3時間ほどかかるけど?」
「・・・交通公共機関を・・・使います」
「タクシーも含まれるよな?」
「え、えぇ」
苦笑した時だった。
「殿下~!」
ヘリコプターが頭上に現れる。
「えっ!ヘリコプターはタクシーとは言いません」
「別に車とは言ってないだろう?料金を払って乗る乗り物には相違ない」
誠一はそういうと、降りて来たロープに器用に足をひっかけ手を取ると開いている手で志麻子をしっかり抱きしめ飛行機に乗り込んだ。
「時間がなかったので、リクエストを全ては用意できませんでしたが・・・」
そういって淳二は誠一に籠のバスケットを差し出す。
中には美味しそうな紅茶の入った水筒、ビスケット、キャラメル、ゼリーが入っていた。
「美味しそう」
志麻子は思わず声を出すと誠一は籠を志麻子に差し出す。
「お散歩の休憩は大切だろ?」
「え、ええ」
もう少し、気に入られていなければ貿易は順調であるが確実なモノではない。
今、婚約者を解任されれば婚約者という立場を利用して広げていっている貿易だの領地は勿論、国全体の公共施設のプログラムだのがたちまち憤るだろう。
それは困る。
沢山の人もお金も動いている。
「傷つく前に婚約者をやめろ」
潤は志麻子を見送る誠一を振り返ることなく、前を向いたまま静かに言う。
志麻子は今まで潤の低くて落ち着いた声を聴いたことはなかった。
驚くように潤の背を見るが、彼が振り返ることはない。
「お前、殿下に惚れてるだろう」
「否定はしないわ」
そう。私は誠一に惚れている。
けれども、認めたくはない。
認めてしまうと、婚約を破断されるかもしれない。それは避けたい。
「あの殿下は常に数週間から数か月で婚約者を解任していっている。どの婚約者達も解任後は殿下に近づかないほど傷ついている。お前も絶対に捨てられる」
それも否定しない。
指さしをされた時に比べて、物凄く優しく?むしろ、付きまとわれている感じもあるが・・・。
誠一の歴代の婚約者は全員が誠一の側近が選び抜いただけあり、どの女性も志麻子よりも美しいか。可愛いか。
位は最低でも公爵で、ほとんどが王位継承権を持つ王族の姫ばかり。
黙りこむ志麻子に潤は少しだけ息を吐いた。
「殿下に思いっきり甘えろ。そしたら解任される」
「今やってる仕事が・・・」
「時間は立てばたつほど、状況は重くなる。時間が経てばたつほど、お前の仕事は軽くなるのか?」
それを言われると、絶対に否定はできない。
時間が経てばたつほど。
今も関係各所で人、お金が動いている。
傷は一秒でも早く別れて浅いほうがいいわね。
志麻子は悲しそうに俯き微笑んだ。
―――いい夢を見れた。
素敵な人の婚約者。
考え方を変えたら、家族令嬢のほとんどが恋愛なんて経験せずに好きでもない男性と結婚して行く。
それが、良い暮らしを領民にさせてもらってる代償。
***
さぁ。
一週間、どうやって分かりやすく甘えるか計画を練りまくったわ。
完璧。
志麻子は日曜の昼下がり。
思いっきりお洒落をすると王宮を初めて訪れていた。
「誠一」
ひょこっと執務室に現れた志麻子に誠一は幽霊でも見たかのように硬直する。
「昼間から幽霊でも見ているような顔ね」
クスクス笑いながら志麻子は少しだけ部屋の中に入るか迷ったようなしぐさをしてから、中に入る。
「どうした」
誠一は書類を机にぞんざいに置くと立ち上がった。
「顔を見たくて」
「そうか」
誠一は口元を思いっきり緩めると、志麻子に手を差し出した。
「おいで」
前回、潤が志麻子にそう言っていたのをやはり嫉妬していたのだ。
「うん」
志麻子は頷くと、差し出された手を取る。
もう。
こんなことをされたら、私に好意があると思って。
今からやることができなくなるじゃない。
でも、いけないわ。
恋を優先して、仕事や沢山の人の生活を脅かすなんていけないわ。
誠一は志麻子を自分の椅子まで導くと、膝に志麻子をひょいっと持ち上げた。
えぇぇぇ!!!!
この展開は聞いてないって。
思いっり目が泳ぐと、机の上に置いてある書類を見つめる。
冷静になるには、今の状況から思考回路を止めて何かに一瞬でも集中しよう。
「脱字」
志麻子は机に置かれた、書類を指さすと誠一は赤ペンでさされたところに印をつけた。
誠一は志麻子の首に自分の顔を埋める。
「あったかい」
「そりゃ、血の通った人間ですから」
「良い匂い」
「そりゃ、香水を今日はつけてますから」
「俺の為に?」
「・・・そうじゃないと言えばうそになりますが。でも、誠一の為だけかといわれれば違うかもしれません。汗臭いのを嗅がせるのは申し訳ないけど、嗅がせてしまえば恥ずかしいから」
自分の為であり、誠一の為である。
志麻子はそこで思考を止めると、誠一を見る。
今日は私が完全に惚れこむ前に婚約破棄。
婚約者を解任されるためにべたべたしに来たのだ。
「仕事と私・・・仕事の方が大切ですよね」
「志麻子の方が大切だ」
仕事と私。どっちが大事なの?
私をかまって!っと歴代の婚約者達のように振舞おうとするが、仕事と恋愛だと仕事をとってしまう志麻子にとってそのセリフは国民の顔も浮かぶと言い切ることができない。
誠一はそんな志麻子に何があったんだろうと不思議そうにしながらも、パソコンの電源をコンセントから引き抜いた。
「えっ!データが消える!」
「仕事よりも志麻子が優先だ。さぁ、何をする?」
ニコニコ言った時だった。
トントンッ。
歯切れのいいノックオンと共にドアが開かれる。
「殿下、至急見ていただきたい書類が・・・ございません!」
それは、この国の経済大臣。
しかし、上機嫌で志麻子を膝の上に乗せる誠一に大臣は言葉を切ると思いっきりその場で一礼する。
「大変っ失礼いたしました!ごゆっくりどうぞ!」
叫ぶように言う大臣に志麻子の顔は真っ赤になる。
「待ってっ!全然大丈夫!大至急書類を・・・」
立ち去ろうとする大臣を志麻子は呼び止めようとするが、志麻子の口は誠一の手によって塞がれる。
「見ない。去れ。オヤジに言え!」
淡々と誠一は言うと、大臣はその場に土下座をする。
「はいっっ。国王陛下にお頼み申し上げますっっ」
叫ぶように言うと、そのまま這うように大臣は部屋を出た。
「部屋は封鎖しておきます」
大臣のそんな様子を見ていた淳二は誠一に声を掛けると、ドアが閉められた。
誠一は少し足を開き、志麻子をより安定して膝に乗せ。
志麻子の顔を覗き込む。
「な、なに?」
「次はどう出て来るかなって」
「・・・仕事をしてください」
「俺がいなきゃいけない仕事なんて、災害時の指揮、戦争の判断だけだ。今はどちらもない。明日、階段から落ちて死ぬかもしれない。そうなっても国が回るようにしておくことも皇子の務めだ」
誠一は穏やかに言うと、志麻子を見る。
「そう」
志麻子のシナリオでは・・・。
「仕事と私、どっちが大切なの?!相手をしてください!構って!」
っと執務室で叫び狂い。
誠一に執務室を追い出されるっというのがシナリオだった。
そして、つまみだされた後は執務室のドアの前でドアをどんどん叩きながら中に入れろと叫び。
淳二をはじめとする家臣たちを死力を尽くして責め立て、罵る予定にしていた。
既にシナリオが崩れており立ち行かない。
「お、お、お散歩したいです」
「良いよ」
誠一はそういうと、志麻子をそっと膝から下ろして腕を差し出す。
「や、山をお散歩したいです」
「分かった。ヘリを用意する」
「結構です!」
「歩いていく?疲れたら言えよ。抱っこするから」
誠一はまるで小さな子供の面倒でも見るように穏やかに言うと、腕をとらない志麻子の手を取り歩き出す。
指と指を絡めて手を繋ぐその姿はまさに恋人同士。
カッターシャツにスラックスと言うラフな格好の誠一は王宮を堂々と出る。
「あっ。王子様だ!」
「志麻子様と王子様だ!志麻子様っ図書館綺麗にしてくれてありがとう」
「王子様っ志麻子様っ。コーヒーとても美味しいです」
街の人たちは誠一と志麻子を見ると声を上げる。
志麻子はニコニコと手を振りながら、誠一とつないだ手を解こうとするが・・・。
誠一は絶対に解かない。
「山まで歩くと、3時間ほどかかるけど?」
「・・・交通公共機関を・・・使います」
「タクシーも含まれるよな?」
「え、えぇ」
苦笑した時だった。
「殿下~!」
ヘリコプターが頭上に現れる。
「えっ!ヘリコプターはタクシーとは言いません」
「別に車とは言ってないだろう?料金を払って乗る乗り物には相違ない」
誠一はそういうと、降りて来たロープに器用に足をひっかけ手を取ると開いている手で志麻子をしっかり抱きしめ飛行機に乗り込んだ。
「時間がなかったので、リクエストを全ては用意できませんでしたが・・・」
そういって淳二は誠一に籠のバスケットを差し出す。
中には美味しそうな紅茶の入った水筒、ビスケット、キャラメル、ゼリーが入っていた。
「美味しそう」
志麻子は思わず声を出すと誠一は籠を志麻子に差し出す。
「お散歩の休憩は大切だろ?」
「え、ええ」
1
お気に入りに追加
439
あなたにおすすめの小説
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
ヒロインではないので婚約解消を求めたら、逆に追われ監禁されました。
曼珠沙華
恋愛
「運命の人?そんなの君以外に誰がいるというの?」
きっかけは幼い頃の出来事だった。
ある豪雨の夜、窓の外を眺めていると目の前に雷が落ちた。
その光と音の刺激のせいなのか、ふと前世の記憶が蘇った。
あ、ここは前世の私がはまっていた乙女ゲームの世界。
そしてローズという自分の名前。
よりにもよって悪役令嬢に転生していた。
攻略対象たちと恋をできないのは残念だけど仕方がない。
婚約者であるウィリアムに婚約破棄される前に、自ら婚約解消を願い出た。
するとウィリアムだけでなく、護衛騎士ライリー、義弟ニコルまで様子がおかしくなり……?
サラシがちぎれた男装騎士の私、初恋の陛下に【女体化の呪い】だと勘違いされました。
ゆちば
恋愛
ビリビリッ!
「む……、胸がぁぁぁッ!!」
「陛下、声がでかいです!」
◆
フェルナン陛下に密かに想いを寄せる私こと、護衛騎士アルヴァロ。
私は女嫌いの陛下のお傍にいるため、男のフリをしていた。
だがある日、黒魔術師の呪いを防いだ際にサラシがちぎれてしまう。
たわわなたわわの存在が顕になり、絶対絶命の私に陛下がかけた言葉は……。
「【女体化の呪い】だ!」
勘違いした陛下と、今度は男→女になったと偽る私の恋の行き着く先は――?!
勢い強めの3万字ラブコメです。
全18話、5/5の昼には完結します。
他のサイトでも公開しています。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
甘すぎ旦那様の溺愛の理由(※ただし旦那様は、冷酷陛下です!?)
夕立悠理
恋愛
伯爵令嬢ミレシアは、恐れ多すぎる婚約に震えていた。
父が結んできた婚約の相手は、なんと冷酷と謳われている隣国の皇帝陛下だったのだ。
何かやらかして、殺されてしまう未来しか見えない……。
不安に思いながらも、隣国へ嫁ぐミレシア。
そこで待っていたのは、麗しの冷酷皇帝陛下。
ぞっとするほど美しい顔で、彼はミレシアに言った。
「あなたをずっと待っていました」
「……え?」
「だって、下僕が主を待つのは当然でしょう?」
下僕。誰が、誰の。
「過去も未来も。永久に俺の主はあなただけ」
「!?!?!?!?!?!?」
そういって、本当にミレシアの前では冷酷どころか、甘すぎるふるまいをする皇帝ルクシナード。
果たして、ルクシナードがミレシアを溺愛する理由は――。
【完結】気味が悪い子、と呼ばれた私が嫁ぐ事になりまして
まりぃべる
恋愛
フレイチェ=ボーハールツは両親から気味悪い子、と言われ住まいも別々だ。
それは世間一般の方々とは違う、畏怖なる力を持っているから。だが両親はそんなフレイチェを避け、会えば酷い言葉を浴びせる。
そんなフレイチェが、結婚してお相手の方の侯爵家のゴタゴタを収めるお手伝いをし、幸せを掴むそんなお話です。
☆まりぃべるの世界観です。現実世界とは似ていますが違う場合が多々あります。その辺りよろしくお願い致します。
☆現実世界にも似たような名前、場所、などがありますが全く関係ありません。
☆現実にはない言葉(単語)を何となく意味の分かる感じで作り出している場合もあります。
☆楽しんでいただけると幸いです。
☆すみません、ショートショートになっていたので、短編に直しました。
☆すみません読者様よりご指摘頂きまして少し変更した箇所があります。
話がややこしかったかと思います。教えて下さった方本当にありがとうございました!
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
不能と噂される皇帝の後宮に放り込まれた姫は恩返しをする
矢野りと
恋愛
不能と噂される隣国の皇帝の後宮に、牛100頭と交換で送り込まれた貧乏小国の姫。
『なんでですか!せめて牛150頭と交換してほしかったですー』と叫んでいる。
『フンガァッ』と鼻息荒く女達の戦いの場に勢い込んで来てみれば、そこはまったりパラダイスだった…。
『なんか悪いですわね~♪』と三食昼寝付き生活を満喫する姫は自分の特技を活かして皇帝に恩返しすることに。
不能?な皇帝と勘違い姫の恋の行方はどうなるのか。
※設定はゆるいです。
※たくさん笑ってください♪
※お気に入り登録、感想有り難うございます♪執筆の励みにしております!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる