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第四章 過度に許しはしないけど、過度に仕返しもしません。
③
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久々の斎凛国だわ。
今日は高校大学を過ごした斎凛国の建国祭に招かれていた。
しっかりと、恵麻の腰に腕を回して誰にもとられてなるものかっと敵意全開な夫は先ほどからそわそわとしている。
「どうなさったのですか?」
閻魔大王こと地獄の番人は何をそんなにモジモジしているのかしら?物事を冷静、迅速、的確に決め実行に移す彼がモジモジするなんて初めてだわ。
そう思いながら、過労と睡眠不足で欠伸をかみ殺すと龍迫に声をかける。
「トイレに恵麻を連れていきたい」
「そういったプレイはお断りしております。早く行ってきてください」
どうしたのかと尋ねれば、お手洗いなんて。
クスクス恵麻が笑ったのもつかぬ間。
「どんな人間も蹴散らかす自身はあるけれど。最愛の妻を一人にして、妻が誰かに奪われたらと思うと、心配でどうにかなってしまいそうだ」
「はいはい。この会話を聞かれる方が、恥ずかしくてどうにかなってしまうわ」
「へぇ。どうなるんだ?」
「どうなるんでしょうね。さっさと、行ってきてください。折角、我が家をより繁盛に導いてくれる人脈をお持ちの方が沢山、同じ空間にいらっしゃるのですよ?目の前の方々と人脈作りを始めたいわ」
「そうだね。なんて俺の恵麻は聡明なんだ。さすが俺の恵麻」
早く言ってと、恵麻は龍迫の背を押すと名残惜しそうに龍迫は歩き出し、ふぁーっと過労から欠伸をした時だった。
「君が身代わりの花嫁だね」
横を見ると35歳前後の男性が愛想よく話しかけて来た。
身なりからして、王子か力のある公爵家の人間。
確かに、昔は姉の身代わりの花嫁で初対面の折には。
”貴様と寝食を共にする気はない”
”俺が呼ばれるまでは、姿を見せるな。その声を聞かせるな”と言われたこともあったが、それは遠い過去。
”今の恵麻は望まれた花嫁であり、望まれた妻だ”
「最新データによると、望まれた花嫁です」
その自信があると、少しも恵麻の心は乱されない。
「へぇ。ハッキリしているね」
感心したように彼は言うと、品定めをするように恵麻を頭のてっぺんから足先まで眺める。
しかし、こんな視線にも恵麻は慣れっこだ。
モデルのアルバイトをしている時は、自分という人間の見かけが商品であり品定めをされることが多かったし。
能津家でも嫌がらせの一環として頭のてっぺんから、足先まで見られることが多かった。
「知り合いか?」
お手洗いから戻って来た龍迫は怪訝そうに尋ねる。
「そうだよ。僕は彼女の事をよく知っている」
男はそういうと、龍迫を面白そうに見る。
「君はもっと、彼女に気遣った方がいいよ」
「どういう意味だ」
龍迫には十分、気を使ってもらっているけれど?
恵麻もどういう意味だろうと男を見る。
「そのままの意味だよ。そうやって、常に敵意をむき出しにするのは良くない」
クスクスと笑うように彼は言うと、恵麻を見る。
「有栖川公爵を怒らせたら、面倒だし、僕は荒波を嫌うタイプなんだ。君、この番人を宥めてくれないかな?」
十分、荒波を立てているわよ。
意図が掴めないわね。
どうしようかしら?と恵麻はピリピリしだす龍迫に少し考えた時だった。
「有栖川公爵、公爵夫人。ごきげんよう」
今日は建国祭の夜会。
大勢の人が来ており、有栖川公爵夫妻に話しかけたい人は大勢いる。
話しかけて来た人物に恵麻は空気を変えられるかしらと、振り返るとにっこり微笑んだ。
「ごきげよう」
身なりからして、どこかの公爵だろうが顔も名前も分からない。
「桜川公爵でございます。最近、領地で桜シャンパンと言うものを作りまして。もっとも影響力のある有栖川公爵領で試飲会を開らかせていただけないかなとお願いしたく声を掛けたのです」
そう言って桜川は隣の執事から用意していたシャンパングラスを恵麻達に手渡す。
「可愛いピンク色ですね。それに、とっても美味しそうですね」
キラキラと細かい泡がシャンパンの中で立ち、色も風味も良い。
飲まなくとも美味しい事は分かる一品だった。
「疲労とお酒の相性は良い。僕は無類のシャンパン好きだし、代わりの飲んであげよう」
そういって、男は恵麻が受け取ったグラスを横からとると一気に飲み干した。
確かに今、仕事は大きなプロジェクトの大詰めを迎えており疲労はたまっているためか、眠気は強いが、恵麻にとってはまだまだ余力がある。
「妻は酒を好む。この程度で妻は酔わない」
「そういうところも良くないよ。好きだから、飲ませる。愛してるから、甘やかす。もっと彼女を観察して、行動しないと」
確かに、今の疲労と眠気でお酒を飲めば、気を抜けば倒れかねないが。
欠伸は噛み殺し、恵麻も無類のシャンパン好きで起きる根拠のない気合で乗り切る自信があった。
「じゃあね」
男は龍迫の機嫌が更に悪くなることを確認して、あっさり立ち去った。
***
夜会はお開きになり、帰路の車内で今日あった人の位、名前、容姿や受けた印象、話した内容を書き留めていくが・・・。
眠い。
「旦那様。あの男性なのだけど。ふわぁ~」
「眠っていいぞ。家に着いたら、ベッドまで運ぶ。あの男は俺の恵麻の事を良く知っていると言っていたが、恵麻はあの野郎が誰か知らないことくらい分かっている」
欠伸をする恵麻に龍迫は優しく言う。
「そう。・・・名前も。・・・顔も知らない」
「そうか。ほら、来い。車のドアなんかによりかかるんじゃない。恵麻に体を預けられたドアに嫉妬して、ドアの無い車になってしまうし。命じたところで、飯田も岬も効かない。あいつら、最近、俺の言う事を聞かないんだ」
「ドアのない車は困るわ。車が絶叫マシーンになってしまう」
龍迫はパソコンに入力を終え、相槌を打つ恵麻を抱き寄せた。
恵麻が使ったシーツ、タオルは洗濯せずに保管しろ。
古くなった歯ブラシをコレクションとして捨てるな等、恵麻の知らない所でも、龍迫は恵麻に対する愛を爆発させており。一瞬、飯田も岬も龍迫が一人の女性を愛したことに対して嬉しく、一瞬は協力をしようとしていたのだが。最近は駄目なものは駄目だとはっきり言い龍迫のコレクションは全て破棄され。
ご主人様は異常です。もはや、怖いです。
モノの善悪は判るでしょう?
最近は使用人達も強くなり、龍迫は止められてばかりだった。
「旦那・・・様」
「無理に話さなくていい。明日も明後日も時間は沢山、話をする時間はあるのだから。俺の可愛い恵麻」
そう。
旦那様の恵麻よ。
恵麻は心の中で頷くと同時に深い眠りについた。
「あの男を知らべろ」
「はい。ご主人様」
恵麻が寝たことを確認すると、龍迫は飯田に指示を出した。
今日は高校大学を過ごした斎凛国の建国祭に招かれていた。
しっかりと、恵麻の腰に腕を回して誰にもとられてなるものかっと敵意全開な夫は先ほどからそわそわとしている。
「どうなさったのですか?」
閻魔大王こと地獄の番人は何をそんなにモジモジしているのかしら?物事を冷静、迅速、的確に決め実行に移す彼がモジモジするなんて初めてだわ。
そう思いながら、過労と睡眠不足で欠伸をかみ殺すと龍迫に声をかける。
「トイレに恵麻を連れていきたい」
「そういったプレイはお断りしております。早く行ってきてください」
どうしたのかと尋ねれば、お手洗いなんて。
クスクス恵麻が笑ったのもつかぬ間。
「どんな人間も蹴散らかす自身はあるけれど。最愛の妻を一人にして、妻が誰かに奪われたらと思うと、心配でどうにかなってしまいそうだ」
「はいはい。この会話を聞かれる方が、恥ずかしくてどうにかなってしまうわ」
「へぇ。どうなるんだ?」
「どうなるんでしょうね。さっさと、行ってきてください。折角、我が家をより繁盛に導いてくれる人脈をお持ちの方が沢山、同じ空間にいらっしゃるのですよ?目の前の方々と人脈作りを始めたいわ」
「そうだね。なんて俺の恵麻は聡明なんだ。さすが俺の恵麻」
早く言ってと、恵麻は龍迫の背を押すと名残惜しそうに龍迫は歩き出し、ふぁーっと過労から欠伸をした時だった。
「君が身代わりの花嫁だね」
横を見ると35歳前後の男性が愛想よく話しかけて来た。
身なりからして、王子か力のある公爵家の人間。
確かに、昔は姉の身代わりの花嫁で初対面の折には。
”貴様と寝食を共にする気はない”
”俺が呼ばれるまでは、姿を見せるな。その声を聞かせるな”と言われたこともあったが、それは遠い過去。
”今の恵麻は望まれた花嫁であり、望まれた妻だ”
「最新データによると、望まれた花嫁です」
その自信があると、少しも恵麻の心は乱されない。
「へぇ。ハッキリしているね」
感心したように彼は言うと、品定めをするように恵麻を頭のてっぺんから足先まで眺める。
しかし、こんな視線にも恵麻は慣れっこだ。
モデルのアルバイトをしている時は、自分という人間の見かけが商品であり品定めをされることが多かったし。
能津家でも嫌がらせの一環として頭のてっぺんから、足先まで見られることが多かった。
「知り合いか?」
お手洗いから戻って来た龍迫は怪訝そうに尋ねる。
「そうだよ。僕は彼女の事をよく知っている」
男はそういうと、龍迫を面白そうに見る。
「君はもっと、彼女に気遣った方がいいよ」
「どういう意味だ」
龍迫には十分、気を使ってもらっているけれど?
恵麻もどういう意味だろうと男を見る。
「そのままの意味だよ。そうやって、常に敵意をむき出しにするのは良くない」
クスクスと笑うように彼は言うと、恵麻を見る。
「有栖川公爵を怒らせたら、面倒だし、僕は荒波を嫌うタイプなんだ。君、この番人を宥めてくれないかな?」
十分、荒波を立てているわよ。
意図が掴めないわね。
どうしようかしら?と恵麻はピリピリしだす龍迫に少し考えた時だった。
「有栖川公爵、公爵夫人。ごきげんよう」
今日は建国祭の夜会。
大勢の人が来ており、有栖川公爵夫妻に話しかけたい人は大勢いる。
話しかけて来た人物に恵麻は空気を変えられるかしらと、振り返るとにっこり微笑んだ。
「ごきげよう」
身なりからして、どこかの公爵だろうが顔も名前も分からない。
「桜川公爵でございます。最近、領地で桜シャンパンと言うものを作りまして。もっとも影響力のある有栖川公爵領で試飲会を開らかせていただけないかなとお願いしたく声を掛けたのです」
そう言って桜川は隣の執事から用意していたシャンパングラスを恵麻達に手渡す。
「可愛いピンク色ですね。それに、とっても美味しそうですね」
キラキラと細かい泡がシャンパンの中で立ち、色も風味も良い。
飲まなくとも美味しい事は分かる一品だった。
「疲労とお酒の相性は良い。僕は無類のシャンパン好きだし、代わりの飲んであげよう」
そういって、男は恵麻が受け取ったグラスを横からとると一気に飲み干した。
確かに今、仕事は大きなプロジェクトの大詰めを迎えており疲労はたまっているためか、眠気は強いが、恵麻にとってはまだまだ余力がある。
「妻は酒を好む。この程度で妻は酔わない」
「そういうところも良くないよ。好きだから、飲ませる。愛してるから、甘やかす。もっと彼女を観察して、行動しないと」
確かに、今の疲労と眠気でお酒を飲めば、気を抜けば倒れかねないが。
欠伸は噛み殺し、恵麻も無類のシャンパン好きで起きる根拠のない気合で乗り切る自信があった。
「じゃあね」
男は龍迫の機嫌が更に悪くなることを確認して、あっさり立ち去った。
***
夜会はお開きになり、帰路の車内で今日あった人の位、名前、容姿や受けた印象、話した内容を書き留めていくが・・・。
眠い。
「旦那様。あの男性なのだけど。ふわぁ~」
「眠っていいぞ。家に着いたら、ベッドまで運ぶ。あの男は俺の恵麻の事を良く知っていると言っていたが、恵麻はあの野郎が誰か知らないことくらい分かっている」
欠伸をする恵麻に龍迫は優しく言う。
「そう。・・・名前も。・・・顔も知らない」
「そうか。ほら、来い。車のドアなんかによりかかるんじゃない。恵麻に体を預けられたドアに嫉妬して、ドアの無い車になってしまうし。命じたところで、飯田も岬も効かない。あいつら、最近、俺の言う事を聞かないんだ」
「ドアのない車は困るわ。車が絶叫マシーンになってしまう」
龍迫はパソコンに入力を終え、相槌を打つ恵麻を抱き寄せた。
恵麻が使ったシーツ、タオルは洗濯せずに保管しろ。
古くなった歯ブラシをコレクションとして捨てるな等、恵麻の知らない所でも、龍迫は恵麻に対する愛を爆発させており。一瞬、飯田も岬も龍迫が一人の女性を愛したことに対して嬉しく、一瞬は協力をしようとしていたのだが。最近は駄目なものは駄目だとはっきり言い龍迫のコレクションは全て破棄され。
ご主人様は異常です。もはや、怖いです。
モノの善悪は判るでしょう?
最近は使用人達も強くなり、龍迫は止められてばかりだった。
「旦那・・・様」
「無理に話さなくていい。明日も明後日も時間は沢山、話をする時間はあるのだから。俺の可愛い恵麻」
そう。
旦那様の恵麻よ。
恵麻は心の中で頷くと同時に深い眠りについた。
「あの男を知らべろ」
「はい。ご主人様」
恵麻が寝たことを確認すると、龍迫は飯田に指示を出した。
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