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第三章 溺愛しだしたら、止める事はできません。暴走開始です。
①
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誰が想像つくだろう。
“貴様と寝食を共にする気はない!”
“俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。その声を聞かせるな”
数ヶ月前にこう恵麻に啖呵を切った人物と同一人物だろうとは・・・。
「何も身に着けずとも恵麻は美しいが、風邪をひいてしまったら大変だし。俺も見たことのない恵麻の肌を俺以外に見せるなんて許さない。そうだ、一層の事、俺を見にまとうのはどうだ」
夜会で着るドレスのパンフレットを見ながら、天才的頭脳で天才的名案を思い付いたと言わんばかりに提案をしてくる龍迫に恵麻は口をあんぐり開ける。
閻魔大王こと地獄の番人と異名をとるほど常に厳しく、冷徹な龍迫がただの・・・すけべおじさんに見える。
妻に骨抜きなのですねと、飯田は聞いていないふりをしていると。
「ぶっ!!あはははははははは。どうやって、旦那様を身につけるの?旦那様の等身大ぬいぐるみでも作って、中に入ればいいのかしら?ご主人様の着ぐるみ。ぶっ!!生産したら、一定数の需要はありそうね」
思いっきり噴き出し、笑う恵麻に。
「素っ裸の恵麻様にご主人様は抱きつきたいのですね」
岬はいつまでたっても、寝室を共にしない夫婦に淡々と口を開く。
22時、23時は序の口。
深夜2、3時まで一緒に睡魔の限界まで二人は書斎にいたのだ。
さっさと、眠りたいのが使用人達の全員の気持ちだ。
「私の裸を見たい?旦那様ったら、エッチ。あはははは」
茶化すように恵麻は龍迫に話しかけるのだが。
龍迫は真剣な顔で黙り込み、恵麻を見つめるだけ。
「・・・まさか素っ裸な私にまとわりつこうと、本気で考えておいでですか?」
「あぁ」
「・・・へぇ」
龍迫は恵麻に興味がないと思いこんでいるのか、思い込みたいのか瞑想する恵麻に飯田は口を開く。
長年仕える主がかわいそうだし、時計を見るとすでに0時を回っていた。
今日は夜勤シフトではあるが、眠りたい。
「ご主人様は何かとかこつけて、恵麻様の裸を見たいのです」
飯田の分かりやすい言葉に恵麻はパタパタと手を振る。
「ないない。私みたいな貧相な女の素っ裸、旦那様は興味ないわ」
隣の部屋に移ってからも寝室のドアは鍵が掛かってないが、夜にやって来ることはないし。
そういう性的な触られ方をした記憶は皆無。
この家に来る前、娼婦を夜な夜な呼んでいると聞いていたがそんな気配はない。
愛してもらっている自信はあるのだが・・・。
この人には、種の保存という基本的動物に備わっている性欲・本能はあるのだろうか??
恵麻は自分の胸を触る。
貧相っとノリで言ったが、貧相だとは思わない。それなりに発達している。
「ご主人様は恵麻様が大好きでいらっしゃいますし。跡継ぎ問題もございます。ご主人様が選んだ女性の子であれば私は歓迎いたしますし。本日から、寝室を共にされてはいかがですか?」
―――ギィィィィ。
龍迫は音を立てて椅子から立ち上がった。
限界だった。
こんなにも自分は我慢をしているのに、恵麻はちっとも自分の心を気づいてくれていないし。
これだけ、飯田と岬が言っても信じようともしないし。
なんだったら、目の前で自分の胸をペタペタ触りその形を見せつけてきやがる。
このまま寝室に連れ込みたくて仕方がない。
しかし、無理やりそんなことをすれば二度と話してもらえないかもしれない。
だから実行に移せない。
今日はもう寝よう。
同じ空間に入れるだけで幸せには違いないが、今日はもう寝よう。
「旦那様?」
恵麻は死んでしまいそうなほど、一気に老け、本能と闘いやつれる様子の龍迫に立ち上がる。
「旦那様は私に性的欲求を抱かれているんのですか?」
「あぁ」
当然だ。
基本的動物の本能としてもそうだ。
龍迫は頷くと、手を伸ばし、恵麻の手を取りそっと口づける。
「一層の事、食べてしまいたい」
本当に食べられるのではないかと思うほどの迫力にひぃっと恵麻は一歩下がる。
「愛している。全身をくまなく観察し、全身を隅々まで嘗め回したい」
それは男性経験のない恵麻を硬直させるには十分だった。
「・・・恵麻が良いというまで絶対に手を出さない」
目から炎でも出そうなほど、決意を新たに紳士的な発言をする龍迫に恵麻は少し涙ぐんだ。
手を出してくれないのは、それは、それで悲しい。
「ふ、普通でお願いします」
小声で言うと、恵麻は岬を見る。
「岬さん」
「はい。恵麻様。腹を据えられましたか?」
岬は淡々と視線を合わせることなく、すがるような女主人に返事をする。
「後で部屋に来てくれる?普通ってどういうものなのか、教えて欲しいわ」
「私も結婚はしておりますが。他の家庭と比べたことがないため、普通は分かりかねます。ご主人様は一般の殿方よりかは理性の強いお方だと・・・きっと、たぶん、そう思います。私共は失礼いたします」
一礼すると、岬は全ての使用人たち退出を始めた。
「・・・え・・・」
目をぱちぱちさせながら、恵麻は退室する使用人一同と手を離さない龍迫を見比べてから。
助けを求めるようにドアを閉めようとする飯田を見るが。
「自分は老齢であり。妻がおりますので、何も思いませんが。男性であれば、女性として完璧な恵麻様をどうこうしたいと思わないものはいないでしょう。ご主人様はどうこうする、その権利があるお方。自分を制しておられるのは、一重に恵麻様を愛されているからかと思いますが・・・。理性が強すぎるのは傷ですぞ?」
「あ、そ、そう」
恵麻は相槌を打つと真っ赤になり扉は閉まった。
2人の間には沈黙が流れる。
そして、龍迫は恵麻の手を離すと少し息を吐く。
「別々に寝るか」
呟くようにいうが、今度は恵麻が龍迫の腕を掴んで離さない。
「・・・普通で」
目を伏せ、小声で言う恵麻に龍迫は心臓が口から出るのではないかと言うほど高鳴る。
龍迫は緊張、喜びから震える手足を制すると、恵麻を抱き上げる。
そして、向かうのは、もちろん寝室。
「普通よ?普通」
「普通が何か分かるのか?」
真っ赤になり湯たんぽのように熱くなる恵麻に龍迫は自分だけが緊張しているのではないのだと安心感を覚え、冷静さを取り戻し苦笑しながら尋ねると。
「わ、分かるわよ。私だって、エロ本と呼ばれる本の1冊や2冊読んだことはあるわ」
「そうか。知識があって、安心した。・・・ふーん。エロ本の1冊や2冊か」
龍迫はそんな恵麻に満面なにっこり微笑んだ。
今度、その恵麻が読んだエロ本を問い詰めてみるか。
―――ゾクッ。
取って食われる。
文字通り食われる。
恵麻は初めて見る龍迫の満面の笑みに背筋が凍るのが分かった。
“貴様と寝食を共にする気はない!”
“俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。その声を聞かせるな”
数ヶ月前にこう恵麻に啖呵を切った人物と同一人物だろうとは・・・。
「何も身に着けずとも恵麻は美しいが、風邪をひいてしまったら大変だし。俺も見たことのない恵麻の肌を俺以外に見せるなんて許さない。そうだ、一層の事、俺を見にまとうのはどうだ」
夜会で着るドレスのパンフレットを見ながら、天才的頭脳で天才的名案を思い付いたと言わんばかりに提案をしてくる龍迫に恵麻は口をあんぐり開ける。
閻魔大王こと地獄の番人と異名をとるほど常に厳しく、冷徹な龍迫がただの・・・すけべおじさんに見える。
妻に骨抜きなのですねと、飯田は聞いていないふりをしていると。
「ぶっ!!あはははははははは。どうやって、旦那様を身につけるの?旦那様の等身大ぬいぐるみでも作って、中に入ればいいのかしら?ご主人様の着ぐるみ。ぶっ!!生産したら、一定数の需要はありそうね」
思いっきり噴き出し、笑う恵麻に。
「素っ裸の恵麻様にご主人様は抱きつきたいのですね」
岬はいつまでたっても、寝室を共にしない夫婦に淡々と口を開く。
22時、23時は序の口。
深夜2、3時まで一緒に睡魔の限界まで二人は書斎にいたのだ。
さっさと、眠りたいのが使用人達の全員の気持ちだ。
「私の裸を見たい?旦那様ったら、エッチ。あはははは」
茶化すように恵麻は龍迫に話しかけるのだが。
龍迫は真剣な顔で黙り込み、恵麻を見つめるだけ。
「・・・まさか素っ裸な私にまとわりつこうと、本気で考えておいでですか?」
「あぁ」
「・・・へぇ」
龍迫は恵麻に興味がないと思いこんでいるのか、思い込みたいのか瞑想する恵麻に飯田は口を開く。
長年仕える主がかわいそうだし、時計を見るとすでに0時を回っていた。
今日は夜勤シフトではあるが、眠りたい。
「ご主人様は何かとかこつけて、恵麻様の裸を見たいのです」
飯田の分かりやすい言葉に恵麻はパタパタと手を振る。
「ないない。私みたいな貧相な女の素っ裸、旦那様は興味ないわ」
隣の部屋に移ってからも寝室のドアは鍵が掛かってないが、夜にやって来ることはないし。
そういう性的な触られ方をした記憶は皆無。
この家に来る前、娼婦を夜な夜な呼んでいると聞いていたがそんな気配はない。
愛してもらっている自信はあるのだが・・・。
この人には、種の保存という基本的動物に備わっている性欲・本能はあるのだろうか??
恵麻は自分の胸を触る。
貧相っとノリで言ったが、貧相だとは思わない。それなりに発達している。
「ご主人様は恵麻様が大好きでいらっしゃいますし。跡継ぎ問題もございます。ご主人様が選んだ女性の子であれば私は歓迎いたしますし。本日から、寝室を共にされてはいかがですか?」
―――ギィィィィ。
龍迫は音を立てて椅子から立ち上がった。
限界だった。
こんなにも自分は我慢をしているのに、恵麻はちっとも自分の心を気づいてくれていないし。
これだけ、飯田と岬が言っても信じようともしないし。
なんだったら、目の前で自分の胸をペタペタ触りその形を見せつけてきやがる。
このまま寝室に連れ込みたくて仕方がない。
しかし、無理やりそんなことをすれば二度と話してもらえないかもしれない。
だから実行に移せない。
今日はもう寝よう。
同じ空間に入れるだけで幸せには違いないが、今日はもう寝よう。
「旦那様?」
恵麻は死んでしまいそうなほど、一気に老け、本能と闘いやつれる様子の龍迫に立ち上がる。
「旦那様は私に性的欲求を抱かれているんのですか?」
「あぁ」
当然だ。
基本的動物の本能としてもそうだ。
龍迫は頷くと、手を伸ばし、恵麻の手を取りそっと口づける。
「一層の事、食べてしまいたい」
本当に食べられるのではないかと思うほどの迫力にひぃっと恵麻は一歩下がる。
「愛している。全身をくまなく観察し、全身を隅々まで嘗め回したい」
それは男性経験のない恵麻を硬直させるには十分だった。
「・・・恵麻が良いというまで絶対に手を出さない」
目から炎でも出そうなほど、決意を新たに紳士的な発言をする龍迫に恵麻は少し涙ぐんだ。
手を出してくれないのは、それは、それで悲しい。
「ふ、普通でお願いします」
小声で言うと、恵麻は岬を見る。
「岬さん」
「はい。恵麻様。腹を据えられましたか?」
岬は淡々と視線を合わせることなく、すがるような女主人に返事をする。
「後で部屋に来てくれる?普通ってどういうものなのか、教えて欲しいわ」
「私も結婚はしておりますが。他の家庭と比べたことがないため、普通は分かりかねます。ご主人様は一般の殿方よりかは理性の強いお方だと・・・きっと、たぶん、そう思います。私共は失礼いたします」
一礼すると、岬は全ての使用人たち退出を始めた。
「・・・え・・・」
目をぱちぱちさせながら、恵麻は退室する使用人一同と手を離さない龍迫を見比べてから。
助けを求めるようにドアを閉めようとする飯田を見るが。
「自分は老齢であり。妻がおりますので、何も思いませんが。男性であれば、女性として完璧な恵麻様をどうこうしたいと思わないものはいないでしょう。ご主人様はどうこうする、その権利があるお方。自分を制しておられるのは、一重に恵麻様を愛されているからかと思いますが・・・。理性が強すぎるのは傷ですぞ?」
「あ、そ、そう」
恵麻は相槌を打つと真っ赤になり扉は閉まった。
2人の間には沈黙が流れる。
そして、龍迫は恵麻の手を離すと少し息を吐く。
「別々に寝るか」
呟くようにいうが、今度は恵麻が龍迫の腕を掴んで離さない。
「・・・普通で」
目を伏せ、小声で言う恵麻に龍迫は心臓が口から出るのではないかと言うほど高鳴る。
龍迫は緊張、喜びから震える手足を制すると、恵麻を抱き上げる。
そして、向かうのは、もちろん寝室。
「普通よ?普通」
「普通が何か分かるのか?」
真っ赤になり湯たんぽのように熱くなる恵麻に龍迫は自分だけが緊張しているのではないのだと安心感を覚え、冷静さを取り戻し苦笑しながら尋ねると。
「わ、分かるわよ。私だって、エロ本と呼ばれる本の1冊や2冊読んだことはあるわ」
「そうか。知識があって、安心した。・・・ふーん。エロ本の1冊や2冊か」
龍迫はそんな恵麻に満面なにっこり微笑んだ。
今度、その恵麻が読んだエロ本を問い詰めてみるか。
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