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第一章 身代わりの花嫁は翌日から愛される
⑤
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―――話しかけよう。
明日、話しかけよう。
明後日、話しかけよう。
龍迫は何度も決意をするが、決意をするだけ。
暴言を吐いたのは俺だ。
誰が悪い?
噂を信じ、それに基づき証拠や確信を得ないまま行動した自分が悪い。
龍迫は拳を握りしめた。
こんなに緊張したのはいつぶりだろう?
いつも、自分は何事も冷静に行動するよう教育を受け行動してきた。
「おい」
何度目の決心の後だろう。
屋根裏部屋に上がると、龍迫は意を決して声を掛けた。
「公爵様」
恵麻は少し驚いたように座っていた椅子から立ち上がると、丁寧に頭を下げる。
どうしたのかしら?
こんな屋根裏部屋にわざわざ来るだなんて。
「顔を上げろ」
「はい」
上を向いた恵麻は美しかった。
うっすら化粧をしているのは、どこかに出かけていたのだろうか?
シンプルなキャミソールのワンピースを着ている彼女は惜しげもなく体のラインを出し、まじかで見ると、無駄な破壊力すらある。
「来週、夜会がある」
「はい」
「同行しろ」
「はい」
「・・・いいのか?」
顔色一つ変えず。
声の抑揚一つ変えず頷く恵麻に龍迫は困惑する。
「はい。”貴様と寝食を共にする気はないが、折角、借金のカタで買ったんだ。しばらくは利用する”とのお言葉は忘れておりません。妻としての任務は全てお受けいたします」
そうだよな。
俺に群がる女共の様に“きゃー!嬉しいですわ”なんて言って、尻尾を振って寄って来るはずはない。
それにしても・・・。
ここまで淡々とされることは人生において初めて。
完全に龍迫の調子は崩れる。
「不便はないか?」
「はい。ございません」
「そうか。・・・夜会のドレスは商人を呼びつけて購入してもいいし、行きつけの店があれば行くといい。もし一人でできないようなら・・・・」
俺も付き合うと言おうとするが、言葉が出てはこない。
「飯田さんも、岬さんに相談をして決めます。有栖川公爵家の妻として、力不足かとは思いますが精一杯頑張ります」
丁寧に言う恵麻に龍迫は固まる。
そして、2人の間には沈黙が流れる。
「どうかなさいましたか?」
立ち去らない龍迫に恵麻はまだほかに何か言う事か、指示があるのかと黙って見上げると。1,2分経過してから龍迫は口を開く。
「・・・屋敷。お前が来てから明るくなった」
それは感謝を伝えたつもりだったのだが。
「うるさくしてしまい申し訳ございません。ご迷惑にならないよう気を付けます」
恵麻は詫びる。
それはそうだろう。敵意むき出しで、罵った相手が感謝や褒めてくるとは考えない。
「・・・感謝している」
拳を握り締め、人を褒めたり、感謝をしたことのない龍迫は渾身の一撃でお礼を言うが。
「とんでもございません」
さらっと、事務的に丁寧に淡々と答え続ける恵麻に絶句すると再び沈黙が流れた。
「・・・必要な物があれば、言え」
「はい」
ありがとうございます。
っとか。
嬉しい。
っとかではなく。
“はい”という返事に再び沈黙が流れる。
再び1,2分が過ぎたころ。
「お掛けになりますか?このソファーセットは納屋にあったものではございますが、皆さんが天日干しをしてカバーを張り直してくれて。公爵のお尻にも合うかと」
「あぁ」
龍迫は大人しくソファーに座る。
そんな龍迫に恵麻は少し困惑していた。
“俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。その声を聞かせるな”
初日に言われた言葉を従順に守ってきているのだが、破っていいのだろうか?
「お茶をお飲みになりますか?」
顔色をうかがいながら、恵麻は口を開く。
「あぁ」
間髪入れずに返事をする龍迫に恵麻はお茶を入れ出した。
龍迫はふっと、心地よい風に吹かれ屋根裏部屋の窓を見る。
大きく、開放的だった。
「気持ちいいな」
「はい」
恵麻は頷くと、お茶を差し出す。
「お庭で育てたミントと料理長から貰った紅茶のブレンドです。凄く爽やかなんですよ。お口に合うといいですが・・・。会わなければ飯田さんから頂いたコーヒーをどうぞ」
そういうと、ブレンドティーとコーヒーを机の上に置かれた。
「・・・美味い。・・・・ありがとう」
「お口にあい良かったです」
紅茶を飲む龍迫に恵麻は相槌を打つと、応接セットのソファーから3歩下がり立ったまま龍迫が何か言いだすのを待つ。
「座れ」
「はい」
指示をする龍迫に恵麻は大人しく座る。
「夜会ですが。ダンスはそれなりに踊れますし、お酒も強いほうです」
「そうか」
「阿婆擦れ、性悪、男癖が悪いなど様々な噂のですが・・・。信じる信じないは公爵様次第として、私は潔白。男女問わず、私からちょっかいを出すこともございません。ただ、私の事を良く思っていない人間が男性を派遣してきたり、何かしら仕掛けて来る可能性はあります。腹が立てばその場でも、後からでも私を心行くまで罵倒し、素っ裸にして放り出してくださいね」
そう言えば、そんな事を3週間前に言ったな。
龍迫はさっきまで美味しいと感じていたお茶が後悔で美味しく感じなくなった。
しかし、それを訂正することは覗き見していた時とは全く異なる恵麻の姿。
ニコニコ笑わず、無邪気で明るい様子ではなく。
大人しく静かで自分の顔色をうかがっている恵麻に、自分がそうさせたのだと言う事が出来なかった。
***
翌日、龍迫は町の視察のついでに飯田に恵麻がドレスの購入し、孤児院にいると聞き立ち寄っていた。
「車を止めろ」
龍迫は孤児院の目の前で車を止めさせる。
「待って!待って!恵麻様っ」
「きゃー。足が速い」
孤児院では恵麻が子供達と鬼ごっこをしていた。
ジーパンにTシャツというラフな格好で佇む恵麻は汗をき、、無邪気に子供達と無邪気に笑っている姿は美しい。
「あっ。公爵様だ」
一人の子供の声で恵麻は勿論、周囲にいた大人達も一斉に龍迫を見る。
「公爵様。突然のご訪問、歓迎申し上げます。いかがなさいましたか?」
院長は深々と頭を下げるが・・・。
「公爵様っ!孤児院を綺麗にしてくれてありがとう!」
「ねーねー!恵麻様がね。ここを綺麗にしてくれたのは、公爵様のおかげと言っていたよ」
子供達の声に院長の声はかき消される。
「どういたしまして」
龍迫は子供達に視線をあわせ、しゃがんで答えると近寄って来た恵麻を見上げた。
「いかがなさいましたか?」
恵麻は丁寧に尋ねる。
「ドレスは買えたか?」
「はい。有栖川公爵家と古くから交流のある呉服店で夜会に相応しいものを購入しました」
「そうか」
「ご心配をおかけして申し訳ございません」
「心配していない」
龍迫は返事をすると、恵麻は両腕を子供達に引っ張られる。
「恵麻様、帰っちゃうの?」
「えー!寂しい!まだ遊ぼうよっ」
誰もが龍迫の結婚を知っており、子供達は夫である龍迫が恵麻を迎えに来たと思ったようだった。
「皆は院内に戻りなさい」
院長は恵麻にまとわりつく子供達に声をかけ、院内に行くように伝えると、子供達は素直に従う。
「公爵様。本当に心優しく、お美しく、指導力のある公爵夫人をお迎えくださり心より感謝とお祝いを申し上げます」
「院長」
一度言葉を切り、話し出そうとする恵麻は首を振るが、院長は止めることをせず龍迫をしっかりと見た。
「公爵夫人が独身に戻られる際には、是非、こちらに職員としてお迎えしたく存じ上げます」
「院長。口が過ぎます。お詫びなさい」
領地の大人達は龍迫が結婚をしたことに加え、2人に事実上の夫婦関係がないことも知っていた。
敵意を持っていう院長はビシッと恵麻に窘められ、龍迫に深々と頭を下げる。
「申し訳ございません。口が過ぎました」
たった数週間でここまで思われるほどの人間関係を築けるのは、恵麻の人徳だ。
院長に不遜だと怒る気にはならないが、自分は絶対的地位の人間。
許すという事も立場上できない。
「お前に非はない」
ハラハラして院長と龍迫を見る恵麻に龍迫は素っ気無く言う。
「感謝いたします」
良かったわ。
切り捨てられたらどうしようかと思った。
礼を言う恵麻、龍迫、院長の間には沈黙が流れる。
「・・・一緒に帰宅でいいか?」
既に夕刻であり、そろそろ帰る時間だ。
「はい。ただいま、ドレスを持ってまいります」
走って恵麻はドレスを孤児院内に取りに行くと、車に包みを持って乗り込んだ。
そして、車内には再び沈黙が流れる。
明日、話しかけよう。
明後日、話しかけよう。
龍迫は何度も決意をするが、決意をするだけ。
暴言を吐いたのは俺だ。
誰が悪い?
噂を信じ、それに基づき証拠や確信を得ないまま行動した自分が悪い。
龍迫は拳を握りしめた。
こんなに緊張したのはいつぶりだろう?
いつも、自分は何事も冷静に行動するよう教育を受け行動してきた。
「おい」
何度目の決心の後だろう。
屋根裏部屋に上がると、龍迫は意を決して声を掛けた。
「公爵様」
恵麻は少し驚いたように座っていた椅子から立ち上がると、丁寧に頭を下げる。
どうしたのかしら?
こんな屋根裏部屋にわざわざ来るだなんて。
「顔を上げろ」
「はい」
上を向いた恵麻は美しかった。
うっすら化粧をしているのは、どこかに出かけていたのだろうか?
シンプルなキャミソールのワンピースを着ている彼女は惜しげもなく体のラインを出し、まじかで見ると、無駄な破壊力すらある。
「来週、夜会がある」
「はい」
「同行しろ」
「はい」
「・・・いいのか?」
顔色一つ変えず。
声の抑揚一つ変えず頷く恵麻に龍迫は困惑する。
「はい。”貴様と寝食を共にする気はないが、折角、借金のカタで買ったんだ。しばらくは利用する”とのお言葉は忘れておりません。妻としての任務は全てお受けいたします」
そうだよな。
俺に群がる女共の様に“きゃー!嬉しいですわ”なんて言って、尻尾を振って寄って来るはずはない。
それにしても・・・。
ここまで淡々とされることは人生において初めて。
完全に龍迫の調子は崩れる。
「不便はないか?」
「はい。ございません」
「そうか。・・・夜会のドレスは商人を呼びつけて購入してもいいし、行きつけの店があれば行くといい。もし一人でできないようなら・・・・」
俺も付き合うと言おうとするが、言葉が出てはこない。
「飯田さんも、岬さんに相談をして決めます。有栖川公爵家の妻として、力不足かとは思いますが精一杯頑張ります」
丁寧に言う恵麻に龍迫は固まる。
そして、2人の間には沈黙が流れる。
「どうかなさいましたか?」
立ち去らない龍迫に恵麻はまだほかに何か言う事か、指示があるのかと黙って見上げると。1,2分経過してから龍迫は口を開く。
「・・・屋敷。お前が来てから明るくなった」
それは感謝を伝えたつもりだったのだが。
「うるさくしてしまい申し訳ございません。ご迷惑にならないよう気を付けます」
恵麻は詫びる。
それはそうだろう。敵意むき出しで、罵った相手が感謝や褒めてくるとは考えない。
「・・・感謝している」
拳を握り締め、人を褒めたり、感謝をしたことのない龍迫は渾身の一撃でお礼を言うが。
「とんでもございません」
さらっと、事務的に丁寧に淡々と答え続ける恵麻に絶句すると再び沈黙が流れた。
「・・・必要な物があれば、言え」
「はい」
ありがとうございます。
っとか。
嬉しい。
っとかではなく。
“はい”という返事に再び沈黙が流れる。
再び1,2分が過ぎたころ。
「お掛けになりますか?このソファーセットは納屋にあったものではございますが、皆さんが天日干しをしてカバーを張り直してくれて。公爵のお尻にも合うかと」
「あぁ」
龍迫は大人しくソファーに座る。
そんな龍迫に恵麻は少し困惑していた。
“俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。その声を聞かせるな”
初日に言われた言葉を従順に守ってきているのだが、破っていいのだろうか?
「お茶をお飲みになりますか?」
顔色をうかがいながら、恵麻は口を開く。
「あぁ」
間髪入れずに返事をする龍迫に恵麻はお茶を入れ出した。
龍迫はふっと、心地よい風に吹かれ屋根裏部屋の窓を見る。
大きく、開放的だった。
「気持ちいいな」
「はい」
恵麻は頷くと、お茶を差し出す。
「お庭で育てたミントと料理長から貰った紅茶のブレンドです。凄く爽やかなんですよ。お口に合うといいですが・・・。会わなければ飯田さんから頂いたコーヒーをどうぞ」
そういうと、ブレンドティーとコーヒーを机の上に置かれた。
「・・・美味い。・・・・ありがとう」
「お口にあい良かったです」
紅茶を飲む龍迫に恵麻は相槌を打つと、応接セットのソファーから3歩下がり立ったまま龍迫が何か言いだすのを待つ。
「座れ」
「はい」
指示をする龍迫に恵麻は大人しく座る。
「夜会ですが。ダンスはそれなりに踊れますし、お酒も強いほうです」
「そうか」
「阿婆擦れ、性悪、男癖が悪いなど様々な噂のですが・・・。信じる信じないは公爵様次第として、私は潔白。男女問わず、私からちょっかいを出すこともございません。ただ、私の事を良く思っていない人間が男性を派遣してきたり、何かしら仕掛けて来る可能性はあります。腹が立てばその場でも、後からでも私を心行くまで罵倒し、素っ裸にして放り出してくださいね」
そう言えば、そんな事を3週間前に言ったな。
龍迫はさっきまで美味しいと感じていたお茶が後悔で美味しく感じなくなった。
しかし、それを訂正することは覗き見していた時とは全く異なる恵麻の姿。
ニコニコ笑わず、無邪気で明るい様子ではなく。
大人しく静かで自分の顔色をうかがっている恵麻に、自分がそうさせたのだと言う事が出来なかった。
***
翌日、龍迫は町の視察のついでに飯田に恵麻がドレスの購入し、孤児院にいると聞き立ち寄っていた。
「車を止めろ」
龍迫は孤児院の目の前で車を止めさせる。
「待って!待って!恵麻様っ」
「きゃー。足が速い」
孤児院では恵麻が子供達と鬼ごっこをしていた。
ジーパンにTシャツというラフな格好で佇む恵麻は汗をき、、無邪気に子供達と無邪気に笑っている姿は美しい。
「あっ。公爵様だ」
一人の子供の声で恵麻は勿論、周囲にいた大人達も一斉に龍迫を見る。
「公爵様。突然のご訪問、歓迎申し上げます。いかがなさいましたか?」
院長は深々と頭を下げるが・・・。
「公爵様っ!孤児院を綺麗にしてくれてありがとう!」
「ねーねー!恵麻様がね。ここを綺麗にしてくれたのは、公爵様のおかげと言っていたよ」
子供達の声に院長の声はかき消される。
「どういたしまして」
龍迫は子供達に視線をあわせ、しゃがんで答えると近寄って来た恵麻を見上げた。
「いかがなさいましたか?」
恵麻は丁寧に尋ねる。
「ドレスは買えたか?」
「はい。有栖川公爵家と古くから交流のある呉服店で夜会に相応しいものを購入しました」
「そうか」
「ご心配をおかけして申し訳ございません」
「心配していない」
龍迫は返事をすると、恵麻は両腕を子供達に引っ張られる。
「恵麻様、帰っちゃうの?」
「えー!寂しい!まだ遊ぼうよっ」
誰もが龍迫の結婚を知っており、子供達は夫である龍迫が恵麻を迎えに来たと思ったようだった。
「皆は院内に戻りなさい」
院長は恵麻にまとわりつく子供達に声をかけ、院内に行くように伝えると、子供達は素直に従う。
「公爵様。本当に心優しく、お美しく、指導力のある公爵夫人をお迎えくださり心より感謝とお祝いを申し上げます」
「院長」
一度言葉を切り、話し出そうとする恵麻は首を振るが、院長は止めることをせず龍迫をしっかりと見た。
「公爵夫人が独身に戻られる際には、是非、こちらに職員としてお迎えしたく存じ上げます」
「院長。口が過ぎます。お詫びなさい」
領地の大人達は龍迫が結婚をしたことに加え、2人に事実上の夫婦関係がないことも知っていた。
敵意を持っていう院長はビシッと恵麻に窘められ、龍迫に深々と頭を下げる。
「申し訳ございません。口が過ぎました」
たった数週間でここまで思われるほどの人間関係を築けるのは、恵麻の人徳だ。
院長に不遜だと怒る気にはならないが、自分は絶対的地位の人間。
許すという事も立場上できない。
「お前に非はない」
ハラハラして院長と龍迫を見る恵麻に龍迫は素っ気無く言う。
「感謝いたします」
良かったわ。
切り捨てられたらどうしようかと思った。
礼を言う恵麻、龍迫、院長の間には沈黙が流れる。
「・・・一緒に帰宅でいいか?」
既に夕刻であり、そろそろ帰る時間だ。
「はい。ただいま、ドレスを持ってまいります」
走って恵麻はドレスを孤児院内に取りに行くと、車に包みを持って乗り込んだ。
そして、車内には再び沈黙が流れる。
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