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※番外編

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「琴音さん。今、社長は猛烈に機嫌が悪くそれはもうすれ違ったカタギの社員は腰を抜かし。組の幹部たちも1年から3年ほど寿命を縮ませるほどです」

秘書科の田中部長はにっこりと琴音に自信が持っていた書類を琴音に押し付けるように持たせのは。
熱くも寒くもない9月の下旬の昼下がり。
「ですのでっ!!!琴音さん」
「はい」
書類を受け取りながら、琴音は田中の圧力に片足を下げ身構えるのだが。
「鬼からサインを貰って来てください」
「嫌ですっ!」
私は夫であり社長であり、やくざの頭である宋史からきつい事を言われることもないし。
あの鋭い目で見られることもない。
けれど宋史の出す鋭い覇気には身が引ける。

「姐さん!僕達が死んでも良いんですか?」
何と酷いとその場に崩れ鳴かれそうな田中に琴音はうぅっと言葉を詰まらせる。
「死なれるのは良くないわ」
でもっと言おうとする琴音ににっこりと田中は笑いながら社長室のドアを開けた。

***
「失礼致します」
ドアが開くなり、宋史と目が合い。
一瞬にして宋史の目から殺気は消えるのだが、部屋に張り詰めていたピリピリとした空気はなくならない。
琴音は宋史の秘書課の一人。
秘書であり妻。
「おいで」
宋史はドアの前に立つ琴音にいつも通りの優しい笑みを浮かべ、穏やかに声を掛ける。
「この書類にお目通しの上、サインを下さい」
公私混同は良くない。
なので琴音は一礼すると部屋の中に入り、宋史の机のに書類を置くが宋史はボールペンを握ることもせず。
書類を一瞥もしない。
そんな宋史に琴音は自身の上着の内ポケットに手を入れ、ふくよなか胸の後ろからボールペンを取り出すと書類の上にボールペンを置いた。

――――ペロンッ。

琴音が置いたボールペンを宋史は手に取ると、おもむろに舐める。
「な、何をしているんですかっ。お腹がすいてるなら、なにか食べる物を持ってくるわ」
「腹は空いていない。琴音をチャージしている」
淡々という宋史に琴音はボールペンを取り上げた。
「ボールペンに体臭はついていないと思いますよ」
「そうか。では、直に香りを嗅がせてもらおうか」
宋史が大真面目に指を刺すのは琴音のお股にある蜜部。

「なっ!変態」

顔を赤めらせて抗議する琴音にピクリと宋史は嫌なことでも思い出したのか、一瞬、部屋の空気を凍らせると再び和やかに笑う。
しかし、そこで流さず追求するのが妻だ。
「どんな嫌な事があったんですか?」
琴音のいる場所で宋史がこういったあからさまな変態行動をとるのは珍しい。
「琴音は鋭いなぁ。俺の変化に気が付いてくれて嬉しい」
宋史はふわっと笑う。
気がづいて欲しいわけでも、構ってちゃんでもないが。
自分の普段と違う様子に妻が気が付いてくれるのは嬉しい。

「口に出すと心の整理がされてスッキリするかもしれませんし、宋史に比べるとあまり万能とは言い難いけれど平均的思考回路の私でも視点が変わって役に立てるかもしれません。教えてください」

琴音はそう言いながら宋史の机に手を付き、少し顔を近づけると宋史は立ち上がると琴音の両肩を掴んだ。
そしてそのまま机越しに抱きしめたかと思うとふわりと華奢な琴音を抱き上げ再び椅子に座る。

そんなに心乱されることがあったんだ。

ーーー可哀想。

琴音はすっかり持ち上げられることになれ、宋史の頭を撫ぜる。
「・・・たんだ」
ぼそぼそという宋史に琴音は困ったように首を傾げる。
「聞こえないわ。もう少し大きな声でもう一回」
「想像されたんだ」
「何を?」
誰に何を想像されたんだろう?
会社を陥れられること、それとも、組に押し入られて潰される事?
宋史が心動かされるとは、どんな想像なのだろう。
「組の総会でも、会社のパーティーでも。どいつもこいつも、琴音の可愛さ、気立ての良さ、スタイルの良さを語りやがる」
「自慢の妻でいいではないですか?けなされるよりもよっぽどいいわ」
「お前を手にしたいと言われると腸が煮えくり返る」
「あはははは。”したい”と思うのも言うのも発言発想の自由でしょう。・・・気にしないの。誰も私を手にできないし、手にしているのは社長だけなんだから。ね?機嫌を直して仕事しましょ」

「無理。機嫌は治らない」
子どものような宋史に琴音は少し体を伸ばす。

ちゅっ。

宋史の額にキスをする。
「これでも駄目?」
「・・・少し治った」
「じゃあ。これで、もうちょっと治った?」
琴音は宋史の手を自分の胸に当てる。
「スタイルは見かけで分かっても、本当にそうかどうかは分からないわ」
「・・・そうだな」

宋史はネクタイを緩めると上着の前を開け、カッターシャツをはだけさせるとそのまま琴音のブラウスのボタンに手をかける。
「第一ボタン、第二ボタンを開けると谷間が見えるかと思ったらキャミソールがあった。下着は優秀だな」
「会社!勤務時間よ」
「時間休だ」
「第三ボタンを開けると全部見えるのか」
器用に服の上からブラジャーのフォックを外す。
するとピンク色をした果実が顔をだし、先端の頂が現れ宋史はじっと見つめる。

「誰もこの美しい色も形も知らない」
「当然でしょう。仕事に戻るわよ」
「俺は1時間の時休。琴音は特別勤務だ。社長のご機嫌取りも部下の仕事だろう?」
「そんな仕事はありません!大人なんだから、自分の機嫌は自分でとってください。まれに妻は奉仕するだけです」
自分の機嫌は自分でとってくださいと跳ね除けるのは簡単だが、突き放すのは悲しく琴音は”奉仕するだけ”と余計な事を口走る。

けれども完全にエッチなスイッチが入っている宋史が止まらないことは妻である琴音はよく知っている。
覚悟を決め、黙って目を閉じると唇を差し出す琴音に宋史は左手を琴音の後頭部へと、右手を琴音の背中へとそれぞれ回し抱き寄せつつ唇を近づけていった。
やがて触れ合う二人の唇は唇だけにとどまらず濃厚に舌を絡めとる。
ちゅ・・・んちゅ。
「んんっ・・・んんん」
甘い声が漏れると今度は強弱をつけつつ見事な膨らみを手で揉み、その感触を確認しながら楽しんでゆく。
「しっかり引き締まっていて弾力があるいい胸を俺以外は誰も知らない」
満足げに宋史は言うが、琴音の耳には届かない。
「ん・・・あん・・・」
宋史は琴音の反応1つ1つが愛しくてたまらない。
少し嬉しそうな様子で微笑み、琴音の左胸の先端部分を右手でつまむ。それから3本の指を使い、先端の宝石をこすり始めた。
「あんっ・・・ひゃ・・・」
琴音の声がワントーン高くなると、宋史の機嫌は完全に治り左右の宝石を交互に舐めたり、つまんだり、さすったりと楽しみ続ける。
いつの間にか、下半身が揺れ宋史はそんな下半身に右手を添えて確認すると、身粒を覆う布にはこぼれんばかりの花蜜が溢れていた。スカートは脱がせず、蜜部を覆うショーツだけ脱がせると体を曲げる。
そこから放たれている香りは宋史を誘うもの。
ボールペンについた少しの琴音の香りなんて非ではない。

目を凝らし秘所をじっくりと観察するすると、そっと指でその蜜を救い口の中に入れる。
「ひゃあっ!何をしてるのっ」
「いつもの事だろう?」
昨日の夜も今朝も直に味わったが、はやりいつ味わっても妻は良い。
それに初心な反応を未だにしてくれる琴音に本能を駆り立てられる。

ちゃぷ……ぴちゃ……ぴっちゅ……。
花蜜は次から次へと溢れてくるので、決してそこが乾くことはなく宋史は指で丁寧に刺激を与え続ける。
「あんまり大きな声を出すなよ。誰も入って来やしないが、俺だけの声を聞かれたくない」
秘書課は組事務所の頭の切れる幹部ばかりで構成されているが、奴らも男だ。
こんなに可愛い優しい琴音に魅了されないわけがない。
「続きは家で・・・声・・・あんっ・・・声が止まらない」
その瞬間、体は宋史と向き合う体制となり口は口で塞がれる。

「たっぷり時間をかけれないのがもどかしい」

なんだかんだで仕事人間な2人だ。
予定はびっしり詰まっている。

下腹部に与えられる快楽と、2つの果実に与えられる刺激にうっとりと琴音は表情を潤ませる。

ずっっっちゃ!

今までとは比べ物にならない刺激が下腹部に与えられた。
「んっっっっっっっっっ」
口がふさがれていなければ、大きな声が出ていただろうが宋史のおかげでそれはくぐもった声に代わる。
「最高だ」
宋史は極上の笑みを浮かべそう言うと、ぐいっと琴音の体を自分に押し付けた。
「しゃ、社長」
「何?」
家では社長とは絶対に呼ばれない。
だから、新鮮なその呼び方に宋史は満足しながら動きを止める。
とろけるようなそんな琴音の瞳にそれでっと意地悪く笑う。
「どうして欲しい?仕事?それとも、愛し合う?」
「もう・・・。愛し合ってるでしょう」
じらさないでっと動かない宋史の上で琴音は少し体を動かす。
「んっっ」
「おい。セルフで楽しむな」
自分の上で感じながら、身をよじる妻は愛おしいがやはりここは最高の快楽をエスコートしたい。

***
行為を終え社長室のシャワーで身支度を整えると、宋史は機嫌がよくなった。
琴音を誰にも触れさせないには今の権力、地位を維持し向上させなければな。
そんな思考回路にはまった宋史は部下一同に今まで以上に仕事の指示を出し。

「琴音さん。社長の機嫌を取って欲しいとはいいましたが・・・。社長をやる気にさせないでください」
仕事量が倍になった秘書課からはブーイングが怒った。
彼らの慰めは宋史から出された社員還元特別ボーナスだけであった。  【完】

※お付き合いありがとうございました。
TLって需要あるか否か不思議なまま、書いたものですがお付き合いくださる読者様に感謝です。
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