絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美

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⑥ 名家の義母と義祖母の話

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主人の母は源氏の松枝。
主人の祖母であり。母親の姑は平家の松江。

湯川家の嫁に一般人代表のような梨乃が混じってごめんね~。
あはははははっというのが嫁いだ当初に思ったのは遠い記憶。

本日は百貨店で高級羊羹を購入。
羊羹一本、3千円(税抜き)
源氏の松江の伴侶であり、総一郎の祖父の100歳のお誕生日なのだから。
高いが、まぁしかたないか。

「お祝いにお客様もいらっしゃるかもしれないし。割り切れる数は縁起も悪いので、3本入りの約1万円を用意しましたが。良かったかしら?」
今日の梨乃はお上品モード。
「ありがとう」
「熨斗も掛けているわね」
「サンキュー」
「3本の内訳はオーソドックスな餡子の羊羹2本、季節物の涼し気な羊羹1本です」
「おぉ~」
なんの”おぉ~”だよ。
梨乃はそう思いつつ、羊羹を総一郎に渡すと家を訪問する。
この虎のマークの羊羹は義母も大好きなメーカー。

「おめでとうございます」
にっこり微笑み梨乃は総一郎の後ろから3歩下がって。
どこの奥様でしょう?
普段は小学校をジャージでわっさ、わっさ歩いているとは思えない笑顔でお祝いを言う。

「わぁ。ありがとうございます」
お義婆様は大喜びで羊羹を確認すると・・・。
「大切に頂きますね」
そういって、違う部屋に持っていき。
私たちは違うお菓子を出され、食べつつ、お爺様を囲い写真撮影。

あらぁ。
1本3千円のお高級羊羹。
仲の良いお母様のお口にも入れて差し上げたかったわ。
そう思いつつ1時間ほどでお暇をし、斜め前の義実家に義祖父母邸から移動すると。
お義母様は口を開く。

「ほんとに源氏は気にいるものを取り込んでしまう。私は平家だから理解できない。3本も入っているのだから、1本くらい持ってお帰りと持たせてもいいし。しょうもないお菓子を出すくらいなら。切り分けて皆で食べてもいいのに」

***
「ぶっ。あはははははは。思い出し笑い」
梨乃は帰りの電車で、笑いだす。

「お義母様ったら、この令和の世(2000年代)に平安(1000年代)まで遡って物を言っていらっしゃる」
本当にDNAにあの家の者とは、仲良くするなとか、プログラミングされてるのかしら?

「確かに」
「千年の時を超えて不仲よ?それで?平家と源氏のDNAを持つあなたはどう思うわけ?」

「千年の時を超え、頑張ってるなと思う」

「あはははは。今度、お義母様に同じものを差し入れましょうか?それとも、思い出すから違うメーカーの羊羹がいいかしら?1本3千円羊羹を買う財力はお持ちでしょう?」

「そうだなぁ。梨乃に任せる」
総一郎は相槌を打つと、梨乃はクスクス笑う。

性格悪いとか。
意地汚いとか。

そういう明らかな悪口ではなく。
”取り込んでしまう”っか。怒っているのは十分伝わるので、義母のそういう表現は参考になり、尊敬する。
姑の悪口を聞いても。義母の嫁、息子、夫は返事に困るものね。
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