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ボクたちはずっといっしょ
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果たして、お姉ちゃんはそこに居た。
「お姉ちゃん!」
顔を上げたお姉ちゃんのひとみは、さびしくて悲しくて暗い、あの時のボクと同じひとみだった。
「太郎… 久しぶり。元気そうね。幸せそうで良かったわ」
お姉ちゃんは、さびし気に笑った。
「お姉ちゃん、パパとママに暴力ふるったの?」
「あんなのパパでもママでもない。気に入らないことがあると、私をなぐって、けっ飛ばして… がまんできなかったから… だから…」
お姉ちゃんの目から、なみだがあふれた。
「ボク、ここにもどってくるよ。お姉ちゃんと一緒にここで暮らす」
「バカ、何言ってるの。アンタにはもう家族がいるんだから」
「だってお姉ちゃんのそんな悲しくてさびしい目、サヨナラさせるのはボクしかいないから… ボクはもうお姉ちゃんとはなれない」
ボクは泣いた。お姉ちゃんも泣いた。
ボクのパパとママは、お姉ちゃんのパパとママにもなってくれた。
かたくなにお姉ちゃんからはなれようとしないボクを見て、そしてかつてのボクと同じひとみのお姉ちゃんを見て、ママはあっさり二人のママになると決断してくれたのだ。
日曜の昼下がり、ボクとお姉ちゃんはサンルームで寝転んでいる。
その姿をソファにこしかけ、紅茶を飲みながら、パパとママが幸せそうに見ていた。
その視線は、とても暖かで優しく、心地いい。
「ローラはホントおてんばね。勝手に家を出てって、大きな犬と平気でケンカして、血まみれで帰ってくるんだから」
ママが笑うと、パパもおだやかに笑う。
「ホントだよ。ロングダックスフンドの美人さんなのになあ。そのくらいのたくましさが太郎にあったらなあ。柴犬のくせに弱虫だ」
「ロングダックスフンドとシバイヌって何?」
ボクの問いかけにお姉ちゃんは「知らないわよ!」とぶっきら棒に答える。
「それより、いつの間にそんなデカくなっちゃったの。生意気ね」
「知らないうちに大きくなっちゃったんだよ… どうしてかなぁ」
ボクは、なるべく体を小さくして、お姉ちゃんにくっついた。
「ああ、うっとうしい… 散歩行ってくる」
お姉ちゃんは立ち上がると、ボクのほうを見た。
そこにはさびしさも悲しみも消え去った、愛くるしいひとみがかがやいていた。
「ローラが一人で散歩に出ちゃうわ。あなた、急いで」
ママがあわてて散歩の準備をする。
「よっしゃ。行くぞ、太郎!」
ボクは大きな声で返事をした。
終わり
最後まで読んでいただきありがとうございました。
心から感謝いたします。
フリーイラストを合わせたネタバレイラストです。
テイスト違うけど、どちらも可愛い(*^◯^*)
柴犬のもう少し大きくなったイラストは見つけられなかったので、これは「ぽっかぽかホーム」で新しいパパとママを待ってる頃のふたりですかね。
ダックスフンド mokojoさんの作品
柴犬 Bonnyさんの作品
picrewのお遊びも載せます。
オヤジ顔で可愛くないボクの「脳内ボク」はこんな感じ。いつもお姉ちゃんにハート送って大好きアピールしてます。
ぽぽんえすさんの「いやしばいぬ(癒柴犬)メーカー」で作成しました。
あ、ちなみに金太はシェパードの仔犬です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「お姉ちゃん!」
顔を上げたお姉ちゃんのひとみは、さびしくて悲しくて暗い、あの時のボクと同じひとみだった。
「太郎… 久しぶり。元気そうね。幸せそうで良かったわ」
お姉ちゃんは、さびし気に笑った。
「お姉ちゃん、パパとママに暴力ふるったの?」
「あんなのパパでもママでもない。気に入らないことがあると、私をなぐって、けっ飛ばして… がまんできなかったから… だから…」
お姉ちゃんの目から、なみだがあふれた。
「ボク、ここにもどってくるよ。お姉ちゃんと一緒にここで暮らす」
「バカ、何言ってるの。アンタにはもう家族がいるんだから」
「だってお姉ちゃんのそんな悲しくてさびしい目、サヨナラさせるのはボクしかいないから… ボクはもうお姉ちゃんとはなれない」
ボクは泣いた。お姉ちゃんも泣いた。
ボクのパパとママは、お姉ちゃんのパパとママにもなってくれた。
かたくなにお姉ちゃんからはなれようとしないボクを見て、そしてかつてのボクと同じひとみのお姉ちゃんを見て、ママはあっさり二人のママになると決断してくれたのだ。
日曜の昼下がり、ボクとお姉ちゃんはサンルームで寝転んでいる。
その姿をソファにこしかけ、紅茶を飲みながら、パパとママが幸せそうに見ていた。
その視線は、とても暖かで優しく、心地いい。
「ローラはホントおてんばね。勝手に家を出てって、大きな犬と平気でケンカして、血まみれで帰ってくるんだから」
ママが笑うと、パパもおだやかに笑う。
「ホントだよ。ロングダックスフンドの美人さんなのになあ。そのくらいのたくましさが太郎にあったらなあ。柴犬のくせに弱虫だ」
「ロングダックスフンドとシバイヌって何?」
ボクの問いかけにお姉ちゃんは「知らないわよ!」とぶっきら棒に答える。
「それより、いつの間にそんなデカくなっちゃったの。生意気ね」
「知らないうちに大きくなっちゃったんだよ… どうしてかなぁ」
ボクは、なるべく体を小さくして、お姉ちゃんにくっついた。
「ああ、うっとうしい… 散歩行ってくる」
お姉ちゃんは立ち上がると、ボクのほうを見た。
そこにはさびしさも悲しみも消え去った、愛くるしいひとみがかがやいていた。
「ローラが一人で散歩に出ちゃうわ。あなた、急いで」
ママがあわてて散歩の準備をする。
「よっしゃ。行くぞ、太郎!」
ボクは大きな声で返事をした。
終わり
最後まで読んでいただきありがとうございました。
心から感謝いたします。
フリーイラストを合わせたネタバレイラストです。
テイスト違うけど、どちらも可愛い(*^◯^*)
柴犬のもう少し大きくなったイラストは見つけられなかったので、これは「ぽっかぽかホーム」で新しいパパとママを待ってる頃のふたりですかね。
ダックスフンド mokojoさんの作品
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picrewのお遊びも載せます。
オヤジ顔で可愛くないボクの「脳内ボク」はこんな感じ。いつもお姉ちゃんにハート送って大好きアピールしてます。
ぽぽんえすさんの「いやしばいぬ(癒柴犬)メーカー」で作成しました。
あ、ちなみに金太はシェパードの仔犬です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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