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第67話戦いを終えて……

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「で、あんたはどういう風の吹きまわして俺たちを助けたんだ? 今回の件は礼を言っとくけど、あんたのしたこと忘れたわけじゃねぇからな」
 少し離れた場所で、目を細めて俺たちの様子を見守っていたハインに声をかける。
「ユージ、これを調べてくれ」
「おっ」
 ハインが投げたものを受け取る。それは、黒く焼け焦げたネックレスだった。アウリーが持っていたものにそっくりだ。
「私はこういったものにうとくてな。頼んだぞ」
「おい、あんた。これどこで手に入れたんだよ?」
「先日私に挑んできたどこぞの国の勇者とやらが持っておった」
 ハインが髪をかき上げながら平然と答えた。
「おいハイン! あんた何者なんだ? 知ってること全部教えろよ!」
「そう焦るでない、強き者よ。この世界の真実、己の目で見極めよ。守るべきものは誰か、戦うべき相手は誰か、己の心に問いかけよ。道はおのずと開かれる」
「お、おい待てって。まだ聞きたいことが――」
 俺が言い終える前にハインは漆黒の空間の中へ消えていった。

 このネックレスにどんな秘密があるんだ?
 勇者に挑まれたって言ってたけど、ハインの正体は?
 あいつ、なんで俺を助けに来たんだ?

 様々な疑問が浮かんできて頭がごちゃごちゃになる。別れ際にハインが残した言葉も気になる。
 色々考えすぎて、頭がボーっとしてきた……。

「ユージ! ユージ!」
 途切れていく意識の中で、みんなの声が聞こえた。



 俺が目を覚ましたのは二日後の昼だった。俺は倒れてからすぐに騎士団の野営地に運び込まれたそうだ。スキルバの診察によると命に別状もなく、急激な魔力消費に体が追いついていないことから生じる副反応みたいなものらしい。要するに寝てれば治るという、軽い風邪程度の扱いでテントのベッドに放置されたわけである。
 スキルバが魔術で治癒してくれた効果もあり、実際体調はすこぶる快調で頭もすっきり爽快だった。
 キューべ村は跡形もなく壊滅してしまったが、アイゼンとレイドが中心となり村の復興に取り組んでくれている。
 生き残った『スノードロップ』のメンバーはレイモンドによって取り調べが行われたが、有力な情報を得ることはできなかった。アウリーにとってやはりギルドは単なる使い捨ての駒に過ぎなかったようだ。俺に命を救われた『スノードロップ』メンバーたちは、彼らの強い要望で結局『ドラゴンブレス』に移籍することとなった。今は罪滅ぼしのため、みんなと一緒に村の復興を手伝っている。

「起きていたのか? あれだけの戦いのあとだ。村のことは私たちに任せて、体をゆっくり休めろ」
 テントに入って来たアイゼンがベッドに腰かけた。
「体はもうすっかり回復してます。俺も手伝いますよ。それよりアイゼンさん、王都に帰還しなくて本当に良かったんですか?」
 アウリーとの戦闘後、アイゼンは王都へ連絡を試みたが水晶に反応が無く、未だこちらの状況を報告できていない。
 本来ならば一刻も早く王都へ帰還しなければならないところを、騎士団はキューべ村復興のため残ってくれているのだ。
「ああ。騎士団長である私が責任を持つ。心配無用だ。何より、困っている者たちを放置して期間はできぬからな」
 アイゼンが凛々しい表情で言った。
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