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第54話この陰謀の黒幕は……
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二体のドラゴンを完全に消滅させたドーム型シールドの中で、光の矢はダイヤモンドダストのようにキラキラ輝きながら消えていった。
シールドを解除して地面に座り込む。
「ユージッ!」
「おわっ」
アイゼンとレイモンドが俺に飛びついてきた。
「まったく、なんてやつなんだお前は! 本当にドラゴンゾンビを倒すなんて!」
アイゼンが興奮して大喜びする。
「しかも二体同時だぞコノヤロー! バカヤロー!」
褒めてるのか怒ってるのか分からないぞレイモンド……。
二人に強く抱きしめられて俺は咳込んだ。心配したアイゼンが背中を優しくさすってくれた。レイモンドの腕に掴まりゆっくりと立ち上がる。
「ユージッ」
「勇者さまっ」
クレアとマリアが駆け寄ってくる。二人の後ろから村人たちも集まって来た。
「アニキ……自分の分のポーションを俺なんかのためにすんません……」
ルイスが涙と鼻水を垂らしながら謝る。
「何言ってるんですか。俺は一応『ドラゴンブレス』の幹部ですよ。ギルメンを守るのは当然です」
「アニキィィィ! 一生ついていくッス」
ルイスが叫びながら大泣きする。
「勇者様、本当にありがとうございます。ご無事でなによりです。アイゼン騎士団長はじめ兵士の皆様も、村を救っていただきありがとうございます」
「すべてユージのおかげだ。ところで村長、野営地を賊が占拠していると聞いたが?」
「はい。かなりガラの悪い連中でして、村へ戻るよう脅されました。抵抗したルイス殿に斬りかかってきて……」
村長が怯えた口調で説明する。
モンスターの襲撃に合わせるかのように現れた賊。ゴブリンとドラゴンに不死の呪術を施した魔術師の陰。目的は一体なんだ?
「賊が襲撃してくる可能性もある。各小隊は警備配置に着け!」
「ハッ」
レイモンドの指揮で兵士たちが機敏に動いた。
突如、一人の兵士が炎に包まれた。次々と兵士たちが発火していく。村人たちから悲鳴が上がり、パニックに陥った兵士たちが恐怖にあおられ叫び声を上げる。
アイゼンとレイモンドがマントを使って消化を試みるが炎の勢いは収まらず、兵士たちは跡形もなく燃えつきた。
周囲を見渡すが人の気配は全く感じられない。
「いやいや、まったく恐れ入ったよ」
声のする上空を見上げる。
一人の男が空からゆっくりと下りてきて、地面に足を付けた。
「アウリー! 貴様、どういうことだっ!」
男の顔を見てアイゼンが怒りの声を上げる。
アウリー? アイゼンの知り合いか?
男をジッと観察する。身長は俺より少し低い。小柄で華奢に見える。年齢は俺の親父と同じくらいだろうか? 手には太めのステッキを持ち、指には色とりどりの宝石をあしらった指輪がはめられている。
「弟子が世話になったな、レイモンド」
「弟子がクズなら師も外道だな」
レイモンドが剣を構えてアウリーをにらむ。
「まさか不死の呪いを凌駕するほどの使い手とはな。ランクLRは、はったりではないと見える」
「仲間殺した人に褒めてもらっても全然嬉しくないっすね。で、おじさん誰?」
「ふっ。この国に私を知らない者がいたとはなあ」
アウリーがバカにしたような目で俺を見る。
「ヤツの名はアレスタ・アウリー。ローガルド王国で3人しかいないランクURの一人。王国最強の魔術師だ」
クレアの声は怒りで震えていた。
シールドを解除して地面に座り込む。
「ユージッ!」
「おわっ」
アイゼンとレイモンドが俺に飛びついてきた。
「まったく、なんてやつなんだお前は! 本当にドラゴンゾンビを倒すなんて!」
アイゼンが興奮して大喜びする。
「しかも二体同時だぞコノヤロー! バカヤロー!」
褒めてるのか怒ってるのか分からないぞレイモンド……。
二人に強く抱きしめられて俺は咳込んだ。心配したアイゼンが背中を優しくさすってくれた。レイモンドの腕に掴まりゆっくりと立ち上がる。
「ユージッ」
「勇者さまっ」
クレアとマリアが駆け寄ってくる。二人の後ろから村人たちも集まって来た。
「アニキ……自分の分のポーションを俺なんかのためにすんません……」
ルイスが涙と鼻水を垂らしながら謝る。
「何言ってるんですか。俺は一応『ドラゴンブレス』の幹部ですよ。ギルメンを守るのは当然です」
「アニキィィィ! 一生ついていくッス」
ルイスが叫びながら大泣きする。
「勇者様、本当にありがとうございます。ご無事でなによりです。アイゼン騎士団長はじめ兵士の皆様も、村を救っていただきありがとうございます」
「すべてユージのおかげだ。ところで村長、野営地を賊が占拠していると聞いたが?」
「はい。かなりガラの悪い連中でして、村へ戻るよう脅されました。抵抗したルイス殿に斬りかかってきて……」
村長が怯えた口調で説明する。
モンスターの襲撃に合わせるかのように現れた賊。ゴブリンとドラゴンに不死の呪術を施した魔術師の陰。目的は一体なんだ?
「賊が襲撃してくる可能性もある。各小隊は警備配置に着け!」
「ハッ」
レイモンドの指揮で兵士たちが機敏に動いた。
突如、一人の兵士が炎に包まれた。次々と兵士たちが発火していく。村人たちから悲鳴が上がり、パニックに陥った兵士たちが恐怖にあおられ叫び声を上げる。
アイゼンとレイモンドがマントを使って消化を試みるが炎の勢いは収まらず、兵士たちは跡形もなく燃えつきた。
周囲を見渡すが人の気配は全く感じられない。
「いやいや、まったく恐れ入ったよ」
声のする上空を見上げる。
一人の男が空からゆっくりと下りてきて、地面に足を付けた。
「アウリー! 貴様、どういうことだっ!」
男の顔を見てアイゼンが怒りの声を上げる。
アウリー? アイゼンの知り合いか?
男をジッと観察する。身長は俺より少し低い。小柄で華奢に見える。年齢は俺の親父と同じくらいだろうか? 手には太めのステッキを持ち、指には色とりどりの宝石をあしらった指輪がはめられている。
「弟子が世話になったな、レイモンド」
「弟子がクズなら師も外道だな」
レイモンドが剣を構えてアウリーをにらむ。
「まさか不死の呪いを凌駕するほどの使い手とはな。ランクLRは、はったりではないと見える」
「仲間殺した人に褒めてもらっても全然嬉しくないっすね。で、おじさん誰?」
「ふっ。この国に私を知らない者がいたとはなあ」
アウリーがバカにしたような目で俺を見る。
「ヤツの名はアレスタ・アウリー。ローガルド王国で3人しかいないランクURの一人。王国最強の魔術師だ」
クレアの声は怒りで震えていた。
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