43 / 88
第43話この異世界でおさわりは……
しおりを挟む
「ユゥゥゥゥゥジッ! この変態!」
恐ろしい顔をしたクレアがテントに駆け込んできた。
「ひいっ。ごめんなさい。命だけはお助けをっ」
反射的にレイモンドの後ろに隠れる。
「またアイゼンに、やらしいことしようとしてたでしょ!」
「大丈夫だクレア。ユージも反省しているから許してやってくれ」
アイゼンが止めに入り、なだめるようにクレアの肩を優しく叩く。
この二人、いつの間に仲良くなったんだ?
「いくら記憶喪失だからって、いいことと悪いことの分別くらいはつくでしょっ」
クレアが悪さをした子供を叱る母親のような口調で怒った。
どうやらこの異世界でも女性の体に触れることはタブーらしい。
フェラやパイズリ、中出しまでよくて、おさわり禁止とは不思議な価値観である。ただ単純に貞操観念が異様に低い世界なのだと勘違いしていたが、この異世界には明快な性的常識が存在しているのだろう。
「本当にすみませんでした。もう二度としません」
「そんなに胸が触りたかったなら、私に言いなさいよね」
「クレアのおっぱいかぁ……」
「今アイゼンの胸と見比べてため息ついたでしょっ!」
クレアが俺の頬を力いっぱいつねった。
「イテテテッ」
悲鳴を上げる俺を見て、アイゼンとレイモンドが声を上げて笑い出した。
「ねえ、アイゼン。ユージの疑いは晴れたのよね。王都に連行したりしないわよね?」
「その件だがこれから陛下に連絡を取り、ユージが事件に関与していないことを伝えるつもりだ。陛下にご納得いただければ、王都への連行は取り消しだ」
「よかった……」
クレアが胸に手を当て、ため息をつく。
国民的英雄であるアイゼンの話なら、きっと国王も耳を傾けてくれるはず。そもそも、モンスター襲撃事件や俺の調査指令を受けるほど、アイゼンは国王から信頼されているのだ。彼女の説得にも応じてくれるはずだ。
「私は連絡用水晶で陛下に報告をしてくる」
「あ、俺もあいさつしといた方がいいですか?」
「ユージが出ると余計にややこしくなる。おとなしくしていろ」
アイゼンは釘をさすように言うと、テントをあとにした。
「まあ安心しろ。団長は陛下からの信頼も厚い」
レイモンドが俺の背中をバンバン叩く。
「よかったわね。これでまた一緒にリランに帰れるね」
クレアが嬉しそうに言った。
俺が想定していた筋書きとはかなり違ったけど、早く疑いが晴れて本当に良かった。俺がモンスターを引き寄せているわけじゃないことも分かって一安心だ。すぐリランに帰ることも出来るけど、村のことも心配だから、予定通りもう少しキューべ村に滞在させてもらおう。
「レイモンド! 魔術妨害だっ。周囲に不審な者がいないか警戒に当たれ。指揮は任せる!」
慌てた様子で戻ってきたアイゼンがレイモンドに命じる
「はっ!」
レイモンドは穏やかな表情から一変し、アイゼンに敬礼すると厳しい顔でテントを出て行った。
「何か問題ですか?」
「王都への連絡を何者かに妨害された。そうとうな魔術の使い手、おそらくランクはSR以上」
俺の質問にアイゼンが早口で答える。
「じゃあ、探すの手伝います。こういうの俺、けっこう向いてると思うんで」
「お、おいっ。ユージ、君はここで待機して――」
アイゼンの制止を聞き終える前に、俺はテントから飛び出して空中に舞い上がった。
恐ろしい顔をしたクレアがテントに駆け込んできた。
「ひいっ。ごめんなさい。命だけはお助けをっ」
反射的にレイモンドの後ろに隠れる。
「またアイゼンに、やらしいことしようとしてたでしょ!」
「大丈夫だクレア。ユージも反省しているから許してやってくれ」
アイゼンが止めに入り、なだめるようにクレアの肩を優しく叩く。
この二人、いつの間に仲良くなったんだ?
「いくら記憶喪失だからって、いいことと悪いことの分別くらいはつくでしょっ」
クレアが悪さをした子供を叱る母親のような口調で怒った。
どうやらこの異世界でも女性の体に触れることはタブーらしい。
フェラやパイズリ、中出しまでよくて、おさわり禁止とは不思議な価値観である。ただ単純に貞操観念が異様に低い世界なのだと勘違いしていたが、この異世界には明快な性的常識が存在しているのだろう。
「本当にすみませんでした。もう二度としません」
「そんなに胸が触りたかったなら、私に言いなさいよね」
「クレアのおっぱいかぁ……」
「今アイゼンの胸と見比べてため息ついたでしょっ!」
クレアが俺の頬を力いっぱいつねった。
「イテテテッ」
悲鳴を上げる俺を見て、アイゼンとレイモンドが声を上げて笑い出した。
「ねえ、アイゼン。ユージの疑いは晴れたのよね。王都に連行したりしないわよね?」
「その件だがこれから陛下に連絡を取り、ユージが事件に関与していないことを伝えるつもりだ。陛下にご納得いただければ、王都への連行は取り消しだ」
「よかった……」
クレアが胸に手を当て、ため息をつく。
国民的英雄であるアイゼンの話なら、きっと国王も耳を傾けてくれるはず。そもそも、モンスター襲撃事件や俺の調査指令を受けるほど、アイゼンは国王から信頼されているのだ。彼女の説得にも応じてくれるはずだ。
「私は連絡用水晶で陛下に報告をしてくる」
「あ、俺もあいさつしといた方がいいですか?」
「ユージが出ると余計にややこしくなる。おとなしくしていろ」
アイゼンは釘をさすように言うと、テントをあとにした。
「まあ安心しろ。団長は陛下からの信頼も厚い」
レイモンドが俺の背中をバンバン叩く。
「よかったわね。これでまた一緒にリランに帰れるね」
クレアが嬉しそうに言った。
俺が想定していた筋書きとはかなり違ったけど、早く疑いが晴れて本当に良かった。俺がモンスターを引き寄せているわけじゃないことも分かって一安心だ。すぐリランに帰ることも出来るけど、村のことも心配だから、予定通りもう少しキューべ村に滞在させてもらおう。
「レイモンド! 魔術妨害だっ。周囲に不審な者がいないか警戒に当たれ。指揮は任せる!」
慌てた様子で戻ってきたアイゼンがレイモンドに命じる
「はっ!」
レイモンドは穏やかな表情から一変し、アイゼンに敬礼すると厳しい顔でテントを出て行った。
「何か問題ですか?」
「王都への連絡を何者かに妨害された。そうとうな魔術の使い手、おそらくランクはSR以上」
俺の質問にアイゼンが早口で答える。
「じゃあ、探すの手伝います。こういうの俺、けっこう向いてると思うんで」
「お、おいっ。ユージ、君はここで待機して――」
アイゼンの制止を聞き終える前に、俺はテントから飛び出して空中に舞い上がった。
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
逆転世界でヘイトを溜めて犯されよう!〜貞操逆転世界で犯されたいリメイク版〜
腹筋パンダ(出張)
恋愛
早乙女隼人(さおとめはやと)は女に犯されたい願望を持つMな高校2年生。めちゃくちゃイケメンだが童貞だ。あほな事故で貞操が逆転した世界に迷い混んでしまう。貞操が逆転した世界だと分かった彼は思う。「夢の逆輪姦…いや輪姦して貰えるのでは?」と。
この世界で犯されるのは簡単だ。さてどのようにして女の子に犯されよう…
メインはノクターンノベルズで投稿しています‼️
*/寝取られは嫌いなので絶対にありません(断言)
私が好きだった(この作品を書いていた)作家さんが突然投稿をやめてしまわれたので、後を引き継ぐ形で投稿しております。
土曜日と日曜日の投稿でやっていきます。
よろしくお願いします!
是非ブクマと評価お願いします‼️
Twitterもやってますのでぜひそちらも覗いてみてください‼︎
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R-18】寝取られが合法の世界に転生したので種付け師としてヤりまくる
そーだえんそ
ファンタジー
特に夢を持たないままブラック企業へ就職し働きすぎで過労死してしまった男は、異世界へと転生した。
転生した世界ではなんと「種付け師」という、寝取ることを専門にした役職が存在していた。
フールとして新たな人生をはじめた男は「種付け師」となってヤりまくる生活を送ることに!
※♡喘ぎあり
※数字の後に♡:R-18シーンあり ♥:中出しあり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる