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第38話アイゼン団長はおっぱいだけでなく実力もすごかった……
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アイゼンが俺に歩み寄り、切れ長の目で俺の顔をジッと見据えた。綺麗な顔は相変わらず無表情のままで、彼女の心境を読み解くのは難しい。
何か試されているかのような気持ちにさせられる。俺は目をそらさずに、彼女の瞳を真っすぐに見た。
「君は自分の力を証明すると言ったな?」
アイゼンが俺を見下ろしながら口を開いた。
「はい、俺の能力を見てもらえばわかることなんで」
「では、私と試合をしてもらおう。伝説の勇者であれば、私など足元にも及ばぬはず」
「ちょ、ちょっと待てください。わざわざ戦う必要なんてないでしょ?」
「どうした? 怖気づいたか? 君が私に勝てたなら、願いを聞き入れても構わぬが。どうする、自称勇者様」
動揺する俺を見て、アイゼンは余裕の表情を浮かべる。
予期せぬ方向に進んでしまった……でも、これはチャンスだ。まずは、試合に勝ってアイゼンに俺の力を認めさせる。そして王都には行かずキューべ村に滞在してゴブリン襲撃事件を調査する。俺の潔白を証明するんだ!
「もちろん受けて立ちますよ。ただし、俺が勝ったら王都には行かない」
「いいだろう」
「そしてもう一つ、俺が満足するまでパイズリしてもらいます!」
「ズリキチという生き物はパイズリのことしか頭にないと聞いたが、どうやら本当らしいな」
アイゼンがため息をつき、不憫な視線を俺に向ける。
冗談のつもりで言ったのだが、笑っているのはルイスただ一人。
「やはり勇者様は豊かな胸のほうがお好きなのですね……」
マリアが寂しそうな顔で俺を見る。
「斬られて死ねっ」
クレア、今の一言で俺の心が死んだよ……。
「では、場所を移そう」
アイゼンが足早に歩きだし、俺たちは彼女のあとについていった。
騎士団の野営地から少し離れた森の近くまで来て足を止め、彼女は振り返った。
「えっと、試合のルールは?」
「攻撃手段を問わず、なんでもありで構わぬよ。勝敗を決するのは敗北の自己申告でよいか?」
「OK!」
俺の返事を合図に、アイゼンが剣を抜いて正眼に構えた。
アイゼンの構える剣は全長80センチほど、両刃で細身のものだった。
相手は騎士、接近戦で斬り合うのは分が悪い。ここは少し気が咎めるが十分に間合いを取りつつ、遠距離攻撃で一気に無力化してしまおう。
ケガさせないように加減しつつ……風よ剣を巻き上げろ!
アイゼンの手元に意識を集中して風を吹き上げる。
「ほう、ただのズリキチというわけではなさそうだな」
アイゼンが口元に笑みを浮かべた。
彼女は柄をしっかりと握ったまま離そうとはせず、巻きあがる風の圧力に顔色一つ変えず耐えていた。
おいおい、マジかよ!? 加減してるとはいえ、けっこうな風圧ですよ……。
やがて剣のふらつきはピタリと止まり、アイゼンが静かに目を閉じた。再び彼女が目を見開いた瞬間、とてつもない衝撃波が俺に襲い掛かった。どんなに踏ん張ってもその力を跳ね返すことはできず、俺は10メートル近く後方まで押し切られてしまった。
ふぅ。シールドを準備しといてよかった。生身で受けたら体がバラバラになってたな……あの人、マジで殺す気かよ!
「今の覇気を耐えるとはな。正直驚いた。もう少し力を解放するとしよう」
おいおい、今のが小手調べかよっ。いい、いい。解放しなくていい!
アイゼンの俺を見る目つきが変わった。
何か試されているかのような気持ちにさせられる。俺は目をそらさずに、彼女の瞳を真っすぐに見た。
「君は自分の力を証明すると言ったな?」
アイゼンが俺を見下ろしながら口を開いた。
「はい、俺の能力を見てもらえばわかることなんで」
「では、私と試合をしてもらおう。伝説の勇者であれば、私など足元にも及ばぬはず」
「ちょ、ちょっと待てください。わざわざ戦う必要なんてないでしょ?」
「どうした? 怖気づいたか? 君が私に勝てたなら、願いを聞き入れても構わぬが。どうする、自称勇者様」
動揺する俺を見て、アイゼンは余裕の表情を浮かべる。
予期せぬ方向に進んでしまった……でも、これはチャンスだ。まずは、試合に勝ってアイゼンに俺の力を認めさせる。そして王都には行かずキューべ村に滞在してゴブリン襲撃事件を調査する。俺の潔白を証明するんだ!
「もちろん受けて立ちますよ。ただし、俺が勝ったら王都には行かない」
「いいだろう」
「そしてもう一つ、俺が満足するまでパイズリしてもらいます!」
「ズリキチという生き物はパイズリのことしか頭にないと聞いたが、どうやら本当らしいな」
アイゼンがため息をつき、不憫な視線を俺に向ける。
冗談のつもりで言ったのだが、笑っているのはルイスただ一人。
「やはり勇者様は豊かな胸のほうがお好きなのですね……」
マリアが寂しそうな顔で俺を見る。
「斬られて死ねっ」
クレア、今の一言で俺の心が死んだよ……。
「では、場所を移そう」
アイゼンが足早に歩きだし、俺たちは彼女のあとについていった。
騎士団の野営地から少し離れた森の近くまで来て足を止め、彼女は振り返った。
「えっと、試合のルールは?」
「攻撃手段を問わず、なんでもありで構わぬよ。勝敗を決するのは敗北の自己申告でよいか?」
「OK!」
俺の返事を合図に、アイゼンが剣を抜いて正眼に構えた。
アイゼンの構える剣は全長80センチほど、両刃で細身のものだった。
相手は騎士、接近戦で斬り合うのは分が悪い。ここは少し気が咎めるが十分に間合いを取りつつ、遠距離攻撃で一気に無力化してしまおう。
ケガさせないように加減しつつ……風よ剣を巻き上げろ!
アイゼンの手元に意識を集中して風を吹き上げる。
「ほう、ただのズリキチというわけではなさそうだな」
アイゼンが口元に笑みを浮かべた。
彼女は柄をしっかりと握ったまま離そうとはせず、巻きあがる風の圧力に顔色一つ変えず耐えていた。
おいおい、マジかよ!? 加減してるとはいえ、けっこうな風圧ですよ……。
やがて剣のふらつきはピタリと止まり、アイゼンが静かに目を閉じた。再び彼女が目を見開いた瞬間、とてつもない衝撃波が俺に襲い掛かった。どんなに踏ん張ってもその力を跳ね返すことはできず、俺は10メートル近く後方まで押し切られてしまった。
ふぅ。シールドを準備しといてよかった。生身で受けたら体がバラバラになってたな……あの人、マジで殺す気かよ!
「今の覇気を耐えるとはな。正直驚いた。もう少し力を解放するとしよう」
おいおい、今のが小手調べかよっ。いい、いい。解放しなくていい!
アイゼンの俺を見る目つきが変わった。
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