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第30話この森がゴブリンの根城らしい……
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ジェイソンの話通り、麦畑の先には深い森があった。
「おじいちゃんから聞いた話なんですが、昔は林業も盛んだったそうです。でも、ゴブリンが住みつくようになってから、仕事ができなくなったそうで……」
歩きながらマリアが俺に寄り添う。
まだ昼だというのに、背の高い木々に覆われた森の中は薄暗く、今にもどこからかモンスターが現れそうな不気味な雰囲気をかもしだしていた。ヒンヤリした空気が緊張感を高める。ゴブリンが下級モンスターと分かっていても、村を襲撃した大群が襲ってきたことを想像すると、一抹の不安に襲われる。ガーゴイルは強敵だったが、一体だった。今回の相手は大群だ。一体を倒すことに時間をかけてはいられない。爆発的な力で瞬時にかたを付けねばならない。村の女性たちが囚われていることを考慮すれば、持久戦になるほどこちらが不利になる。俺は頭の中で戦い方のイメージを反復しながら、周囲を警戒して前に進んだ。
やけに森が静かすぎる。さっきまでは鳥の鳴き声が聞こえていたのに……。
奥へ進めば進むほど、生命の宝庫であるはずの森が無機質に感じられ違和感をおぼえる。
「キャアァァァァッ」
マリアの悲鳴が森林にこだました。
頭上から現れたゴブリンたちが地面に着地し、あっという間に俺たちを取り囲んだ。
ヤツら、木の上に隠れて待ち伏せてたのか。
一体のゴブリンがマリアの足を掴んで引きずり倒す。体は140センチくらいで小柄だが、力は十分にありそうだ。
「手を離せっ」
イメージした炎の剣でゴブリンを薙ぎ払う。ゴブリンは一瞬で燃え上がり、灰と化した。
「ケェェェェッ」
怒っているのか威嚇しているのか、ゴブリンたちが一斉に雄叫びを上げた。
数は9匹、ここは接近戦で片付ける!
二刀をイメージして両手を構える。
こん棒や石斧を振りかざし、ゴブリンたちが一斉に襲い掛かって来た。
もっと有利なリーチを! 俺が振るのはロングソードだ!
右手の一振りで前方のゴブリン4体を焼き払い、体を回転させながら左手の一振りで後方のゴブリン4体を焼き払った。灰と化したゴブリンが森のうす暗闇に散っていく。
「キエッケェェェ」
距離をとっていた一体のゴブリンが背を向けて走り出した。
「す、すごい……ゴブリンたちを一瞬で」
「大丈夫? 立てる?」
地面に尻もちをついたままのマリアに手を差し伸べる。
「ありがとうございます。すみません。私、足手まといになってしまって……」
「いやいや。マリアのおかげでゴブリンをおびき出せたよ。逃げたヤツの後を追えば、きっと根城にたどり着けるはず」
「はい!」
俺たちは逃げたゴブリンの後を追いかけた。
「おじいちゃんから聞いた話なんですが、昔は林業も盛んだったそうです。でも、ゴブリンが住みつくようになってから、仕事ができなくなったそうで……」
歩きながらマリアが俺に寄り添う。
まだ昼だというのに、背の高い木々に覆われた森の中は薄暗く、今にもどこからかモンスターが現れそうな不気味な雰囲気をかもしだしていた。ヒンヤリした空気が緊張感を高める。ゴブリンが下級モンスターと分かっていても、村を襲撃した大群が襲ってきたことを想像すると、一抹の不安に襲われる。ガーゴイルは強敵だったが、一体だった。今回の相手は大群だ。一体を倒すことに時間をかけてはいられない。爆発的な力で瞬時にかたを付けねばならない。村の女性たちが囚われていることを考慮すれば、持久戦になるほどこちらが不利になる。俺は頭の中で戦い方のイメージを反復しながら、周囲を警戒して前に進んだ。
やけに森が静かすぎる。さっきまでは鳥の鳴き声が聞こえていたのに……。
奥へ進めば進むほど、生命の宝庫であるはずの森が無機質に感じられ違和感をおぼえる。
「キャアァァァァッ」
マリアの悲鳴が森林にこだました。
頭上から現れたゴブリンたちが地面に着地し、あっという間に俺たちを取り囲んだ。
ヤツら、木の上に隠れて待ち伏せてたのか。
一体のゴブリンがマリアの足を掴んで引きずり倒す。体は140センチくらいで小柄だが、力は十分にありそうだ。
「手を離せっ」
イメージした炎の剣でゴブリンを薙ぎ払う。ゴブリンは一瞬で燃え上がり、灰と化した。
「ケェェェェッ」
怒っているのか威嚇しているのか、ゴブリンたちが一斉に雄叫びを上げた。
数は9匹、ここは接近戦で片付ける!
二刀をイメージして両手を構える。
こん棒や石斧を振りかざし、ゴブリンたちが一斉に襲い掛かって来た。
もっと有利なリーチを! 俺が振るのはロングソードだ!
右手の一振りで前方のゴブリン4体を焼き払い、体を回転させながら左手の一振りで後方のゴブリン4体を焼き払った。灰と化したゴブリンが森のうす暗闇に散っていく。
「キエッケェェェ」
距離をとっていた一体のゴブリンが背を向けて走り出した。
「す、すごい……ゴブリンたちを一瞬で」
「大丈夫? 立てる?」
地面に尻もちをついたままのマリアに手を差し伸べる。
「ありがとうございます。すみません。私、足手まといになってしまって……」
「いやいや。マリアのおかげでゴブリンをおびき出せたよ。逃げたヤツの後を追えば、きっと根城にたどり着けるはず」
「はい!」
俺たちは逃げたゴブリンの後を追いかけた。
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