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第22話この異世界で俺はハッピーエンドを選択する……
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選択肢は2つしかないのに、どれを選んでも最悪の結果が待っている。この異世界にはバッドエンドしかないのだろうか? 俺のランクLRは間違いなくて、ガーゴイルに勝てるのは現状、俺しかいなくて……。
――君のこと、信じてるから!
クレアの言葉が胸に突き刺さる。
どちらを選んでも最悪の選択肢……それはつまり、両方とも不正解ってことだよな? じゃあ、正解ってなんだ?
――今のあなたに出来ないことは何も無い。想像力こそがあなたの最高の武器よ。
スキルバの言葉を思い出し、胸が熱くなった。
クレアを助けて、町の人たちも助ける! それが正解だろ!
「おい! ガーゴイルっ。強さとはなにか教えてやるよ。強さとはハッピーエンドだ!」
「意味の分からぬことを。画策しても無駄だぞ。貴様が構えを見せたその時、娘の頭を砕いてやる!」
ガーゴイルは凄みのある声で俺を脅し、クレアを前に突き出し盾にした。
目を閉じて意識を研ぎ澄ます。攻撃対象はクレアを掴んでいるガーゴイルの腕。攻撃手段は無属性の鋭い斬撃。クレアを助けて町の人たちも絶対に助ける! 最後に、自分自身を強く信じて!
つぶっていた目を開いた瞬間、ガーゴイルの太い腕が斬り飛ばされた。
「グオォォォォォォォッ」
ガーゴイルが悲鳴を上げて地面に崩れた。切断された傷口を押さえながら、もだえ苦しむ。
クレアがエリーを抱き上げ、俺の元へ走ってくる。
「クレアさん、下がっていてください。ヤツにとどめを刺します!」
俺はイメージした剣を両手で構えた。
突然、ガーゴイルの前に黒く淀んだ大きな楕円形が出現した。まるで生きているかのようにうごめき、不気味な空気を漂わせる。
禍々しい漆黒の中から、1人の男が現れた。青白い肌、長髪の白い髪、瞳は氷のように冷たく感じた。体は細いが、身長は高い。レイドと同じくらいありそうだ。
「帰りが遅いから迎えに来てみれば、これはどういうことだい?」
「面目ありません。あの子供がレジェンドです。間違いありません」
ガーゴイルが白髪の男の足元にひれ伏した。
「ほう、あの子供が……」
男が俺に視線を向ける。
ここにきて新手の登場かよ。しかもめっちゃ強い雰囲気かもし出しちゃってるし……。
「お前がガーゴイルの主人か? そいつ、門番なんだろ? 見逃してやるからさっさと連れて帰れ」
さっきからとてつもない疲労感を感じる。ガーゴイルとの戦闘の影響だろう。気を抜いたら今にも倒れて眠ってしまいそうだ。
「もし断ったら?」
「ガーゴイルもお前もぶっ殺す!」
「ハハハハ。面白い少年だ。私はあの少年に勝てるか?」
白髪の男がガーゴイルに尋ねた。
「そ、それは……ただお気を付けください。あやつは、武具を必要とせず、さらにノーモーションで魔術を使います。無属性攻撃は、かなりやっかいかと……」
「それを早く言わぬか! この私が危うく返り討ちに合うところであったぞ」
白髪の男がガーゴイルに唾を飛ばしてまくし立てる。
良かった。このまま戦っていたら返り討ちに合ったのは俺の方だ。
「逃げるなら今だぞ。俺の気が変わらないうちにさっさと行け」
「お言葉に甘えてそうさせてもらおう。それから少年、よく眠ってゆっくり体を休めよ。体内の魔力に対して、器である肉体が追いついておらぬぞ」
「!?」
白髪の男の言葉に、俺の心臓が強く早く鼓動した。
アイツ、俺が限界なのを知っていて……。
冷汗が噴き出てくる。
ガーゴイルが漆黒の闇に入って行く。白髪の男は俺に不敵な笑みを残し、禍々しい淀みの中へ消えていった。2人がいなくなると漆黒の楕円形は徐々に縮小し、跡形もなく消えてしまった。
助かったのか……クレアも無事だ。町の人たちも。良かった……。
体中の力が一気に抜けて地面に倒れた。
「ユージ! ユージっ――」
薄れていく意識の中で、クレアが何度も俺の名前を呼ぶ声が聞こえた――。
――君のこと、信じてるから!
クレアの言葉が胸に突き刺さる。
どちらを選んでも最悪の選択肢……それはつまり、両方とも不正解ってことだよな? じゃあ、正解ってなんだ?
――今のあなたに出来ないことは何も無い。想像力こそがあなたの最高の武器よ。
スキルバの言葉を思い出し、胸が熱くなった。
クレアを助けて、町の人たちも助ける! それが正解だろ!
「おい! ガーゴイルっ。強さとはなにか教えてやるよ。強さとはハッピーエンドだ!」
「意味の分からぬことを。画策しても無駄だぞ。貴様が構えを見せたその時、娘の頭を砕いてやる!」
ガーゴイルは凄みのある声で俺を脅し、クレアを前に突き出し盾にした。
目を閉じて意識を研ぎ澄ます。攻撃対象はクレアを掴んでいるガーゴイルの腕。攻撃手段は無属性の鋭い斬撃。クレアを助けて町の人たちも絶対に助ける! 最後に、自分自身を強く信じて!
つぶっていた目を開いた瞬間、ガーゴイルの太い腕が斬り飛ばされた。
「グオォォォォォォォッ」
ガーゴイルが悲鳴を上げて地面に崩れた。切断された傷口を押さえながら、もだえ苦しむ。
クレアがエリーを抱き上げ、俺の元へ走ってくる。
「クレアさん、下がっていてください。ヤツにとどめを刺します!」
俺はイメージした剣を両手で構えた。
突然、ガーゴイルの前に黒く淀んだ大きな楕円形が出現した。まるで生きているかのようにうごめき、不気味な空気を漂わせる。
禍々しい漆黒の中から、1人の男が現れた。青白い肌、長髪の白い髪、瞳は氷のように冷たく感じた。体は細いが、身長は高い。レイドと同じくらいありそうだ。
「帰りが遅いから迎えに来てみれば、これはどういうことだい?」
「面目ありません。あの子供がレジェンドです。間違いありません」
ガーゴイルが白髪の男の足元にひれ伏した。
「ほう、あの子供が……」
男が俺に視線を向ける。
ここにきて新手の登場かよ。しかもめっちゃ強い雰囲気かもし出しちゃってるし……。
「お前がガーゴイルの主人か? そいつ、門番なんだろ? 見逃してやるからさっさと連れて帰れ」
さっきからとてつもない疲労感を感じる。ガーゴイルとの戦闘の影響だろう。気を抜いたら今にも倒れて眠ってしまいそうだ。
「もし断ったら?」
「ガーゴイルもお前もぶっ殺す!」
「ハハハハ。面白い少年だ。私はあの少年に勝てるか?」
白髪の男がガーゴイルに尋ねた。
「そ、それは……ただお気を付けください。あやつは、武具を必要とせず、さらにノーモーションで魔術を使います。無属性攻撃は、かなりやっかいかと……」
「それを早く言わぬか! この私が危うく返り討ちに合うところであったぞ」
白髪の男がガーゴイルに唾を飛ばしてまくし立てる。
良かった。このまま戦っていたら返り討ちに合ったのは俺の方だ。
「逃げるなら今だぞ。俺の気が変わらないうちにさっさと行け」
「お言葉に甘えてそうさせてもらおう。それから少年、よく眠ってゆっくり体を休めよ。体内の魔力に対して、器である肉体が追いついておらぬぞ」
「!?」
白髪の男の言葉に、俺の心臓が強く早く鼓動した。
アイツ、俺が限界なのを知っていて……。
冷汗が噴き出てくる。
ガーゴイルが漆黒の闇に入って行く。白髪の男は俺に不敵な笑みを残し、禍々しい淀みの中へ消えていった。2人がいなくなると漆黒の楕円形は徐々に縮小し、跡形もなく消えてしまった。
助かったのか……クレアも無事だ。町の人たちも。良かった……。
体中の力が一気に抜けて地面に倒れた。
「ユージ! ユージっ――」
薄れていく意識の中で、クレアが何度も俺の名前を呼ぶ声が聞こえた――。
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