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第18話この町ナンバー1冒険者の実力は本物らしい……
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起き上がったモンスターの体には傷一つついていない。
「レイドさん、ローザさんはどこですか?」
モンスターを注視したまま早口で尋ねる。
「ローザは向こうの通りから逃がした。中央広場へ向かってるはずだ。エリーは助けられたんだよな?」
「はい、クレアに預けてきました」
「そんなら安心だ。心置きなく戦えるってもんだぜ!」
レイドが構える剣から炎が燃え上がった。炎はどんどん大きくなり、巨大な火柱へ形を変えた。
「すっげぇ」
その迫力に圧倒され、俺は思わず後ずさりする。
「これでも喰らいやがれ!」
レイドの剣が振り下ろされ、燃え盛る火柱がモンスターに直撃した。熱風の風圧で周囲のがれきが一気に吹き飛ばされる。大通りに爆発音がとどろき、モンスターの体は業火に包まれた。炎の勢いはさらに増し、モンスターの体を焼き尽くしていく。
「レイドさん、やりましたね!」
「俺の持ってる火属性最高魔術だ。広範囲に影響が出るから温存してたが、避難が完了すればこっちのもんさ」
レイドが額の汗をぬぐいながら自信に満ちた表情を見せる。
さすがこの町ナンバー1冒険者。実力は本物だ。
「ナンバー1がこの程度の魔術とは、実になげかわしい……」
「!?」
おいおい、嘘だろ。まだ話せるなんて……まさか、ノーダメージとかありえないよな?
モンスターが数回羽ばたくと、火柱を上げて燃え盛っていた炎が一瞬で消えてしまった。モンスターの体から何本かの黒煙が上がっているが、動きに変化は無く、大きなダメージがあるようには見えない。
「そ、そんな……」
レイドの顔がみるみるうちに青ざめていく。
剣を握る手がブルブル震え出し、その構えは弱弱しく下がっていく。
「レイドさん、構えて! 敵の攻撃がきます!」
レイドは明らかに戦意喪失してる。どうする? 撤退するか? でも、レイドを連れて飛べるのか? そもそも、ここで逃げたら町の人たちはどうなる?
この異世界に来て不安だった俺に、優しくしてくれたクレアやスキルバの笑顔が浮かんだ。娘を必死で守ろうとするローザ、母親を心配するエリーの真剣な顔を思い出した。
「レイドさんは撤退してください! ここは俺が食い止めます」
「む、無理だ。こんな化け物にかなうはずねぇ」
「おぉぉぉぉぉっ」
モンスターに向かって走る。
もう一回体当たりだ!
俺は体を丸くし、モンスターめがけて飛び掛かった。
モンスターの羽から疾風が巻き起こる。その風圧で俺はあっけなく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
いってぇ……骨とか折れてないよな? 動けよ俺の体。
次の攻撃に備え、急いで体を起こす。
羽ばたいて一瞬で間合いを詰めたモンスターが、かぎ爪を振り下ろす。
やばっ。防御しなきゃだけど、盾とか持ってねぇし!
命の危機に直面した今、ファンタジー系アニメで目にしていた盾を心底欲しいと初めて思った。
頭を抱えた俺の全身に衝撃が走る。
あぁ、俺の体、モンスターの爪に引き裂かれて……ない?
あちこち体を触って確認するが、どこも出血していない。
「き、貴様は……」
モンスターのかぎ爪は砕け散り、指先から出血していた。地面にポタポタとモンスターのどす黒い血液が滴り落ちる。
出血箇所を押さえながらモンスターが飛び上がり、俺から距離をとった。
「レイドさん、ローザさんはどこですか?」
モンスターを注視したまま早口で尋ねる。
「ローザは向こうの通りから逃がした。中央広場へ向かってるはずだ。エリーは助けられたんだよな?」
「はい、クレアに預けてきました」
「そんなら安心だ。心置きなく戦えるってもんだぜ!」
レイドが構える剣から炎が燃え上がった。炎はどんどん大きくなり、巨大な火柱へ形を変えた。
「すっげぇ」
その迫力に圧倒され、俺は思わず後ずさりする。
「これでも喰らいやがれ!」
レイドの剣が振り下ろされ、燃え盛る火柱がモンスターに直撃した。熱風の風圧で周囲のがれきが一気に吹き飛ばされる。大通りに爆発音がとどろき、モンスターの体は業火に包まれた。炎の勢いはさらに増し、モンスターの体を焼き尽くしていく。
「レイドさん、やりましたね!」
「俺の持ってる火属性最高魔術だ。広範囲に影響が出るから温存してたが、避難が完了すればこっちのもんさ」
レイドが額の汗をぬぐいながら自信に満ちた表情を見せる。
さすがこの町ナンバー1冒険者。実力は本物だ。
「ナンバー1がこの程度の魔術とは、実になげかわしい……」
「!?」
おいおい、嘘だろ。まだ話せるなんて……まさか、ノーダメージとかありえないよな?
モンスターが数回羽ばたくと、火柱を上げて燃え盛っていた炎が一瞬で消えてしまった。モンスターの体から何本かの黒煙が上がっているが、動きに変化は無く、大きなダメージがあるようには見えない。
「そ、そんな……」
レイドの顔がみるみるうちに青ざめていく。
剣を握る手がブルブル震え出し、その構えは弱弱しく下がっていく。
「レイドさん、構えて! 敵の攻撃がきます!」
レイドは明らかに戦意喪失してる。どうする? 撤退するか? でも、レイドを連れて飛べるのか? そもそも、ここで逃げたら町の人たちはどうなる?
この異世界に来て不安だった俺に、優しくしてくれたクレアやスキルバの笑顔が浮かんだ。娘を必死で守ろうとするローザ、母親を心配するエリーの真剣な顔を思い出した。
「レイドさんは撤退してください! ここは俺が食い止めます」
「む、無理だ。こんな化け物にかなうはずねぇ」
「おぉぉぉぉぉっ」
モンスターに向かって走る。
もう一回体当たりだ!
俺は体を丸くし、モンスターめがけて飛び掛かった。
モンスターの羽から疾風が巻き起こる。その風圧で俺はあっけなく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
いってぇ……骨とか折れてないよな? 動けよ俺の体。
次の攻撃に備え、急いで体を起こす。
羽ばたいて一瞬で間合いを詰めたモンスターが、かぎ爪を振り下ろす。
やばっ。防御しなきゃだけど、盾とか持ってねぇし!
命の危機に直面した今、ファンタジー系アニメで目にしていた盾を心底欲しいと初めて思った。
頭を抱えた俺の全身に衝撃が走る。
あぁ、俺の体、モンスターの爪に引き裂かれて……ない?
あちこち体を触って確認するが、どこも出血していない。
「き、貴様は……」
モンスターのかぎ爪は砕け散り、指先から出血していた。地面にポタポタとモンスターのどす黒い血液が滴り落ちる。
出血箇所を押さえながらモンスターが飛び上がり、俺から距離をとった。
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