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第14話この町で一番強い男に俺は勝つ……?
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中央広場の一角を、ギルド『ドラゴンブレス』の男たちが取り囲み、それまでの穏やかな雰囲気が一変してピリピリした空気が流れる。異変を察した住民たちが、その場から距離をとり、何事が起こるのかと息をひそめて見守っている。
「私たち、食事中なんだけど。用事があるなら、改めてお店に来てくれないかしら?」
クレアが冷静な表情で言う。
「クレア、あんたに用はねぇ。用があるのは、そっちのチビだ。俺の仕事の邪魔をしやがった。この町のナンバー1ギルド『ドラゴンブレス』に逆らうとどうなるか、教えてやらねぇとなぁ」
レイドが拳を握りしめ、パキポキと指関節の音を鳴らして威嚇する。
後ろに控えるギルドメンバーたちがゲラゲラとわざとらしく笑った。
どうする? レイド1人相手でも絶対かなわないのに、これだけの人数相手にどう立ち回る? 隙を見てクレアと一緒に逃げるか? 俺がおとりになって、その隙にクレアを逃がすか? どれも全然うまくいく気がしない……。
「あのぉ、つかぬことをお尋ねしますが、ナンバー1ギルドのマスターというのは、この町で最も強い冒険者なんですか?」
「てめぇ、なめてんのか! クソガキっ。俺がこの町ナンバー1冒険者に決まってんだろーが!」
レイドが声を荒げて俺をにらみつけた。
ギルドメンバーたちも、「ぶっ殺すぞ!」とか口々に叫んで騒ぎ出す。
「それじゃ、俺と勝負してもレイドさんは絶対に負けないですか?」
「ちょっと、なに言い出すの。君がレイドに勝てわけないでしょ」
クレアが心配そうに俺を制止する。
「俺は信じてないっすけど、クレアさんは俺がレジェンドだって信じてくれてるんでしょ? 大丈夫っすよ」
俺はそっとクレアに耳打ちした。
「信じてるけど、それとこれとは話が別よ!」
クレアの手をそっとふりほどき、俺はベンチから立ち上がり、レイドの前に立ちふさがった。
「へへへ。ボコボコにしてやるぜ」
レイドが笑いながら剣を抜く。
「この勝負、剣の使用禁止でおねがいします」
「はぁ? 今さらビビってんじゃねぇぞコラ!」
頭を下げる俺に、レイドはじめ男たちが罵声を浴びせる。
「だって俺、剣持ってないですし。そもそも、剣とか使えませんし。そんな素人相手に、ナンバー1冒険者のレイドさんは剣で挑まないと勝てないくらい弱いんですか?」
離れた場所の野次馬からクスクスと笑い声が漏れた。
「んなわけねぇだろうが! 素手だろうがなんだろうが、俺が勝てない勝負はねぇんだよ!」
「ホントですか? じゃあ、レイドさんは指相撲で俺に勝てますか?」
「すもう? 当たりめぇだ! 力比べでお前みてぇなチビに負けるはずがねぇ」
レイドが余裕の表情で豪語する。
「では、失礼しますね。こうやって、手と手を握って組み合います。使用していいのは親指のみです。相手の親指を押さえつけて、10カウントすれば勝ちです」
「ふん、単純だな。お前みたいなチビが、俺のパワーに勝てるはずがねぇ。ひねり潰してやる!」
レイドの勝利宣言に、男たちから「うおぉぉぉ!」と歓声が上がった。
いつの間にか、俺たちを囲むようにして多くの野次馬が集まっていた。
「私たち、食事中なんだけど。用事があるなら、改めてお店に来てくれないかしら?」
クレアが冷静な表情で言う。
「クレア、あんたに用はねぇ。用があるのは、そっちのチビだ。俺の仕事の邪魔をしやがった。この町のナンバー1ギルド『ドラゴンブレス』に逆らうとどうなるか、教えてやらねぇとなぁ」
レイドが拳を握りしめ、パキポキと指関節の音を鳴らして威嚇する。
後ろに控えるギルドメンバーたちがゲラゲラとわざとらしく笑った。
どうする? レイド1人相手でも絶対かなわないのに、これだけの人数相手にどう立ち回る? 隙を見てクレアと一緒に逃げるか? 俺がおとりになって、その隙にクレアを逃がすか? どれも全然うまくいく気がしない……。
「あのぉ、つかぬことをお尋ねしますが、ナンバー1ギルドのマスターというのは、この町で最も強い冒険者なんですか?」
「てめぇ、なめてんのか! クソガキっ。俺がこの町ナンバー1冒険者に決まってんだろーが!」
レイドが声を荒げて俺をにらみつけた。
ギルドメンバーたちも、「ぶっ殺すぞ!」とか口々に叫んで騒ぎ出す。
「それじゃ、俺と勝負してもレイドさんは絶対に負けないですか?」
「ちょっと、なに言い出すの。君がレイドに勝てわけないでしょ」
クレアが心配そうに俺を制止する。
「俺は信じてないっすけど、クレアさんは俺がレジェンドだって信じてくれてるんでしょ? 大丈夫っすよ」
俺はそっとクレアに耳打ちした。
「信じてるけど、それとこれとは話が別よ!」
クレアの手をそっとふりほどき、俺はベンチから立ち上がり、レイドの前に立ちふさがった。
「へへへ。ボコボコにしてやるぜ」
レイドが笑いながら剣を抜く。
「この勝負、剣の使用禁止でおねがいします」
「はぁ? 今さらビビってんじゃねぇぞコラ!」
頭を下げる俺に、レイドはじめ男たちが罵声を浴びせる。
「だって俺、剣持ってないですし。そもそも、剣とか使えませんし。そんな素人相手に、ナンバー1冒険者のレイドさんは剣で挑まないと勝てないくらい弱いんですか?」
離れた場所の野次馬からクスクスと笑い声が漏れた。
「んなわけねぇだろうが! 素手だろうがなんだろうが、俺が勝てない勝負はねぇんだよ!」
「ホントですか? じゃあ、レイドさんは指相撲で俺に勝てますか?」
「すもう? 当たりめぇだ! 力比べでお前みてぇなチビに負けるはずがねぇ」
レイドが余裕の表情で豪語する。
「では、失礼しますね。こうやって、手と手を握って組み合います。使用していいのは親指のみです。相手の親指を押さえつけて、10カウントすれば勝ちです」
「ふん、単純だな。お前みたいなチビが、俺のパワーに勝てるはずがねぇ。ひねり潰してやる!」
レイドの勝利宣言に、男たちから「うおぉぉぉ!」と歓声が上がった。
いつの間にか、俺たちを囲むようにして多くの野次馬が集まっていた。
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