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第53話ランガの森ダンジョン編㉞
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ベネディクタに襲い掛かる巨大なツルを戦闘用ブラの魔法陣が跳ね返す。
「私の合図で飛び出して。シルフが最大魔力で魔法攻撃。ミラーがひるんだスキをついてベックが魔石を奪い取る。いいわね?」
ベネディクタが後ろの2人に確認する。
「チビデブの魔力の源はあの魔石よ。ベック、しっかりね」
「おいおい、プレッシャーかけるなって」
シルフの言葉にベックが苦笑いを見せる。
「今よ!」
ベネディクタの合図でベックとシルフが前に出た。シルフが飛行魔法を使い、ベックと共にミラーの顔面めがけて突撃する。
「私の最大魔力、これでも喰らえぇぇ!」
シルフの声と同時にダンジョン内で強風が巻き起こった。ものすごい風圧の塊がミラーに迫る。
シルフの風魔法が襲い掛かる中、ミラーが不気味な笑みを浮かべる。
「よっしゃ、直撃コース! 次は俺の番だぜ」
「ダメッ。ベック下がって!」
勇んで前に出ようとするベックをシルフが制止した。
ミラーの体がまばゆい光を放つ。
その刹那、シルフの風魔法が跳ね返された。
「きゃぁぁぁぁっ」
シルフとベックは吹き飛ばされ、ダンジョンの壁に衝突した。壁のレンガが砕け散り、土埃が舞う。
「シルフ! ベック!」
ベネディクタが2人の名前を叫び駆け寄る。
「イテテテ……」
「ベック、大丈夫?」
「シルフの防御魔法のおかげで俺は大したことないっすけど、シルフが……」
ベックの両手の平には、全身傷だらけでボロボロになったシルフが倒れていた。
「シルフ!」
「ごめん……私、ミスっちゃった」
「違うわ。私のせいでこんなに傷ついて……」
ベネディクタの瞳に涙が溢れる。
「ハハハハッ! どうだ? 魔法反射の味は? 自分の魔法を喰らうとは笑いが止まらんぞ」
ミラーの高笑いがダンジョン内に響く。
「黙れぇぇぇ!」
マリアが大剣を振り下ろし、巨大なツルを斬り飛ばす。
「グッ。いまいましい冒険者め。これでも喰らえ!」
ミラーが連続で攻撃を仕掛けるが、戦闘用ブラの魔法陣によって相殺される。マリアとオリバーがミラーを引きつけ、ベネディクタたちから離れるように誘導する。
「なんでシルフの魔法が効かないの?」
「おそらくダンテスを吸収した時、ヤツの装備に付与されていた魔法反射まで自分のものにしたんだ」
「そんな……」
「今のミラーに魔法は効かない」
オリバーが低い声で答えた。
「マリアに加勢しねぇと」
「ダメよ」
立ち上がろうとするベックをベネディクタが押さえる。
「なんで! オルトリンガムさんのバフだって、ずっとはもたない」
「ええ、あと10分といったところね」
「だったら――」
「ベックに頼みたいことがあるの。最後のお願いを聞いてくれるかしら?」
「縁起でもねぇ。最後なんて言うなよ……」
ベックが緯線をそらし、うつむいた。
「私の合図で飛び出して。シルフが最大魔力で魔法攻撃。ミラーがひるんだスキをついてベックが魔石を奪い取る。いいわね?」
ベネディクタが後ろの2人に確認する。
「チビデブの魔力の源はあの魔石よ。ベック、しっかりね」
「おいおい、プレッシャーかけるなって」
シルフの言葉にベックが苦笑いを見せる。
「今よ!」
ベネディクタの合図でベックとシルフが前に出た。シルフが飛行魔法を使い、ベックと共にミラーの顔面めがけて突撃する。
「私の最大魔力、これでも喰らえぇぇ!」
シルフの声と同時にダンジョン内で強風が巻き起こった。ものすごい風圧の塊がミラーに迫る。
シルフの風魔法が襲い掛かる中、ミラーが不気味な笑みを浮かべる。
「よっしゃ、直撃コース! 次は俺の番だぜ」
「ダメッ。ベック下がって!」
勇んで前に出ようとするベックをシルフが制止した。
ミラーの体がまばゆい光を放つ。
その刹那、シルフの風魔法が跳ね返された。
「きゃぁぁぁぁっ」
シルフとベックは吹き飛ばされ、ダンジョンの壁に衝突した。壁のレンガが砕け散り、土埃が舞う。
「シルフ! ベック!」
ベネディクタが2人の名前を叫び駆け寄る。
「イテテテ……」
「ベック、大丈夫?」
「シルフの防御魔法のおかげで俺は大したことないっすけど、シルフが……」
ベックの両手の平には、全身傷だらけでボロボロになったシルフが倒れていた。
「シルフ!」
「ごめん……私、ミスっちゃった」
「違うわ。私のせいでこんなに傷ついて……」
ベネディクタの瞳に涙が溢れる。
「ハハハハッ! どうだ? 魔法反射の味は? 自分の魔法を喰らうとは笑いが止まらんぞ」
ミラーの高笑いがダンジョン内に響く。
「黙れぇぇぇ!」
マリアが大剣を振り下ろし、巨大なツルを斬り飛ばす。
「グッ。いまいましい冒険者め。これでも喰らえ!」
ミラーが連続で攻撃を仕掛けるが、戦闘用ブラの魔法陣によって相殺される。マリアとオリバーがミラーを引きつけ、ベネディクタたちから離れるように誘導する。
「なんでシルフの魔法が効かないの?」
「おそらくダンテスを吸収した時、ヤツの装備に付与されていた魔法反射まで自分のものにしたんだ」
「そんな……」
「今のミラーに魔法は効かない」
オリバーが低い声で答えた。
「マリアに加勢しねぇと」
「ダメよ」
立ち上がろうとするベックをベネディクタが押さえる。
「なんで! オルトリンガムさんのバフだって、ずっとはもたない」
「ええ、あと10分といったところね」
「だったら――」
「ベックに頼みたいことがあるの。最後のお願いを聞いてくれるかしら?」
「縁起でもねぇ。最後なんて言うなよ……」
ベックが緯線をそらし、うつむいた。
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