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第8話ゴブリン襲来編②
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ハルトの防具店がある田舎町ロームから北へ5キロ進むと、そこにはランガと呼ばれる森林地帯が広がっている。すぐそばには林業で発展を遂げた町ルドルフがあり、中級冒険者を中心としたギルドの拠点となっていた。
ランガの森にはモンスターが生息しているため、冒険者たちは林業従事者の護衛や、モンスター討伐といったクエストを受けて生計を立てていた。商品化された建築用木材や木製家具製品の運搬、または輸送の護衛といった難易度の低いクエストを安定して受けることもできるため、初級冒険者たちにも人気の町である。
ルドルフのギルド協会に、約50名の冒険者が集合していた。皆、ギルド協会から配布された資料を見つめる。屈強な男たちの中でひと際目立っているのが、長い金髪を一つにまとめ、細身の体に大剣を背負う美少女である。
「よぉ、マリア。やっとギルドに加入する気になったか? この町じゃ、ソロの冒険者はクエストが受けられねぇからなぁ」
若い冒険者がニヤニヤ笑いながら声をかけた。
「おあいにく様。今回の討伐クエストはソロでも受けられるのよ」
「どうせお前は、大した働きもできねぇ。俺は、たった2か月でランクBに昇格したってのに、お前はどうだ? そのデカい乳のせいでろくに動けねぇ役立たずさ」
若い冒険者が周りに聞こえるようにわざと大声を上げると、周囲から笑いが起こった。
「静かにしろベック。説明が始まるぞ」
「すんません、マスター」
ギルドマスターに頭を下げたベックが、マリアを横目で見ながら笑みを浮かべる。
マリアは毅然とした態度を崩さず、挑発を無視してギルド協会の説明に耳を傾けた。
ルドルフのギルド協会が発注した特別クエストは、ランガの森で確認されたゴブリンの殲滅であった。突如出現したおよそ200匹のゴブリンを、ランガの森入り口までおびき寄せて討伐するという作戦である。
ゴブリンは子供の肉を喰らい、女性を犯す。放置しておけば、森の近くにある町ルドルフが襲撃されてしまう。
幸いゴブリンは小柄で知能が低く、身体能力もそれほど高くはない。ある程度の実戦経験を積んだ初級冒険者なら、十分対応できるモンスターである。
ルドルフに拠点を置く3つのギルド、総勢122名とソロ冒険者のマリア・バンフォードがこの作戦に参加することとなった。
各ギルド代表の50名は、細かな作戦の段取りを確認した後、解散してそれぞれの拠点へ戻っていった。
(初級ランクCの冒険者は私だけか……前衛の取りこぼしたゴブリンを仕留めるのが私の役目。うん、今は派手な活躍より、地道な仕事を確実にこなそう!)
マリアは資料を読み返しながら、ギュッと拳を握りしめた。
ランガの森にはモンスターが生息しているため、冒険者たちは林業従事者の護衛や、モンスター討伐といったクエストを受けて生計を立てていた。商品化された建築用木材や木製家具製品の運搬、または輸送の護衛といった難易度の低いクエストを安定して受けることもできるため、初級冒険者たちにも人気の町である。
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「よぉ、マリア。やっとギルドに加入する気になったか? この町じゃ、ソロの冒険者はクエストが受けられねぇからなぁ」
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若い冒険者が周りに聞こえるようにわざと大声を上げると、周囲から笑いが起こった。
「静かにしろベック。説明が始まるぞ」
「すんません、マスター」
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マリアは毅然とした態度を崩さず、挑発を無視してギルド協会の説明に耳を傾けた。
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幸いゴブリンは小柄で知能が低く、身体能力もそれほど高くはない。ある程度の実戦経験を積んだ初級冒険者なら、十分対応できるモンスターである。
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マリアは資料を読み返しながら、ギュッと拳を握りしめた。
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